安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>334号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------334号--2006.04.02------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「納豆菌・わけぎ・トンカツ・ポジティブリ
スト(Q&A)」「牛乳」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 前回紹介したお便りについて、こんな感想をいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

『安心!?食べ物情報 Food Review 333』の冒頭で、元NHKで環境
問題を取り上げていた友達からの話を聞いて食べ物について不安で
不安で仕方がない・・・という主旨の記事がありましたね。NHK
番組のディレクターと思われる人から「テレビでは言えない」など
と普通の人が聞かされたら、やっぱりそのような反応になるのでし
ょうか。

 私は記事を読んでいて、黒澤明監督の『生きものの記録』という
映画を思い出しました。昭和30年に公開されたこの映画は当時35歳
の三船敏郎が70歳くらいの老人を演じてそれだけでも楽しかったの
ですが、映画は原水爆の恐怖に異常に取り付かれた老人が、家族親
族から妾の一族までも巻き込んで「危険な」日本からブラジル移住
の計画を独断的に進めようとし、家族らはあまりの突拍子もない彼
の行動を止めようと裁判所に調停を求める経過を中心に物語が進ん
でいきます。

 映画の三船は裁判所から準禁治産者としての命令を受け、海外移
住に伴う行動を停止され、最後には自分が経営する工場への放火容
疑で逮捕され、そして精神病棟に送られます。

 映画を監督した黒澤の意図は、老狂人のドタバタを描くことでは
なくもちろん原水爆(核兵器)の存在と当時の米ソの核兵器を背景
にした軍事的対立に対する強烈な警告でありました。

『Food Review 333』の記事にあるようにもはや「安全な」食べ物
は地球上に残されていないのでないか? という疑いを持つ人々が
依然として存在して(むしろ増えて)いることに、50年以上前のこ
の映画が現実味を帯びて思い出されるのです。

 映画のなかの三船は原水爆に関する事以外は、会社の経営者であ
り極めて常識的な判断力と分別とを持っており、その意味では「普
通の人」なのです。映画ではそれが、余計に原水爆の恐怖に対する
「異常さ」を際立たせる結果となっております。記事にあるような
「食物の不安」を強烈に訴える人たちも、普段の生活ではごく「普
通の」人々ではないかと想像されるのです。そのような意味で、映
画との多くの共通点を感じてしまいました。

 もとより私は核兵器を容認するような「寛容さ」は持ちませんが、
食べ物に対しては一般的なレベルにおいて寛容性を持たないと生活
が維持できないのではないかと考えております。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「NHKのディレクター」が嘘つきなのは、昨年の朝日−NHK
騒動を見ているとわかると思うのですがねえ…。どうもありがとう
ございました。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.市販の納豆菌の原材料は何ですか?

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A.「納豆学会」というサイトでは納豆菌の入手先が掲載されてい
ます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 「宮城野菌」「成瀬菌」「高橋菌」が、国内三大納豆菌種と呼ば
れ、多くの納豆屋さんがお使いになっています。

http://www.nattou.com/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 市販の納豆菌は粉末状で、これは納豆菌の胞子なんだそうです。
だから「市販の納豆菌の原料」は納豆菌そのものです。

 納豆菌はごくありふれた細菌ですので、稲藁などにもついていま
す。伝統的な納豆の製造はこうした自然の納豆菌を繁殖させるので
すが、やはり失敗も多いので、素直に市販の納豆菌を使った方がよ
さそうですね。

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Q.わけぎは小口切りにして生で食べれますか?

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A.わけぎはねぎの仲間です。ねぎとたまねぎの雑種なんだそうで
す。味噌あえなどでよく食べますが、そのまま生で食べても問題は
ないと思います。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 市販されているわけぎも太めで短い方が味が良い。わけぎは一般
には、みそ和え、酢みそ和えと、限られた料理が食される。しかし、
普通のねぎと、同じように、汁にしたり、いためたり、いためてオ
ムレツにしてみても良い。普通のねぎにはない歯ごたえと香り、甘
味がある。

http://www.maing.co.jp/maimai/Shunwotaberu/P_20_0002.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ねぎと違って辛くないため、薬味としてはもう一つかもしれませ
ん。

 関東ではなじみがないようです。関東で「わけぎ」といっても、
ちょっと違うものをさしています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 わけぎは、ねぎとたまねぎの雑種で関西以西で栽培されます。ね
ぎと違って種をつくらず、地下の球(鱗茎)で増えます。

 わけぎよりさらに細いあさつきは、独立した種類で辛みの強いの
が特徴です。

 関東の市場では葉ねぎの仲間の分けねぎを”わけぎ”、若どりの
葉ねぎを”あさつき”、さらに若い若芽を”芽ねぎ”とよんでいま
す。

http://www.vegefund.com/panfu/negi/negi.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

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Q.先日トンカツ屋で、生焼け(レア?中が結構ピンクだった。)
のロースカツを2切れほど食べてしまったのですが、寄生虫が心配
です。医者に行った方が良いのでしょうか?

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A.豚肉は寄生虫の恐れがあるので、生では食べない方がよいとさ
れています。現実にどれくらいの割合で寄生虫の卵があるのかはよ
くわかりません。実際にはそれほど危険なわけではないように思い
ます。

 色が赤くて生のようでも、普通に食べられる状態でしたら、全く
の生というわけではなく、ある程度火が通っているものです。生の
肉はかみ切るだけでたいへんですから。

 だからあまり心配することはないと思います。ただし、何か症状
があるようでしたら、お医者さんに診てもらうのがよいのはもちろ
んです。

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Q.ポジティブ制度について教えてください。農水のホームページ
を読んでもよく分かりません。

 色々回りに聞くのですが、農薬のトレサビリティーの事で規定の
農薬の証明なき原料は使用できないとか…(でも海外の農薬のすべ
ては完全に把握できないのでは?)しかも全て調べるとコストが天
文学的になると思います。

 5月より施行されると聞きましたが、我々業者としては急に言わ
れても対応ができませんし…

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A.食品衛生法が改正されて、いままで基準が決められていなかっ
た農薬にも、すべて基準が適用されるようになります。

 「ポジティブリスト」というのは、このリストに載っているもの
のみが許される、というリストです。「ネガティブリスト」はリス
トに載っているもののみ規制されますので、逆になります。言葉の
感じとは逆に、ポジティブリストの方が厳しい規制になるわけです。

 具体的な運用については、なかなか見えてこないですね。PSE
法といい、最近の法律はどうも理念先行で具体的な運用が見えない
ものが多いです。実務官僚が実務をしないでどうする、と私は思い
ますが、法律を作っているのはあくまで国会議員ですので、頭でっ
かちなのは国民全体の責任ということになります。

 この件に関しては、「農薬ネット」の掲示板で詳しい議論がされ
ていますので、そちらを参考にしてください。メールマガジンでも
解説されています。
http://nouyaku.net/index.html

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「牛乳」
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 全国的に牛乳が余っていて、かなり困った状況になっています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

17年度末・18年度始期の余乳処理をめぐる状況

●生乳生産は、一部地域を除き、依然強含みで推移している

●飲用消費が回復していない状況にあって、すでに全国的に大量の
余乳が発生している

●地域差はあるが、3月半ばから学乳休止期間に入る〜

(1)北海道

■北海道では、2月までの動向で推移した場合、生乳生産が引き続
き増加することが見込まれる。

 3月・4月ともに、過去の同月と比べて、生乳処理量が史上最高
となることが見込まれる。

■また、生乳生産がピークを迎える6月に向かっても、同程度もし
くはそれ以上の処理が必要となる見込みである。

■3〜6月の処理水準は、道内での生乳処理能力を日量400〜8
00t程度オーバーする見込みである。

■年末年始に引き続き、処理不可能乳の発生が危惧される状況にあ
る。また、こうしたことから、都府県の余乳を北海道で補完的に処
理する余力は期待できない。

(2)都府県

■直近の都府県の生乳生産は、一部地域を除き、当初の見込みより
も強含みで推移している。

■一方で、現状の基調から、飲用消費は、当面回復が期待できる状
況にない。

■特定乳製品向け処理量は、余乳の処理が厳しかった前年に比べて、
3月は7千トン、4月は3千トン多く発生することが見込まれる。
現状の都府県内での乳製品処理能力を超過すると考えられる。

■都府県の余乳処理能力には限界があり、需給の僅かな変動、処理
予定の乳製品工場の小規模なトラブル、乳質事故等によっても、予
想以上の混乱が生じる。

※北海道・都府県ともに処理不可能乳の発生が危惧される状況にあ
る。

http://www.j-milk.jp/expertise/news/8d863s0000067p44.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 牛乳の生産量は乳牛の数に左右されます。増産のためには子を産
ませるわけですが、半分は雌牛でまた乳牛になります。増産が増産
を呼んでしまう構造があり、その結果、乳牛が増えすぎたというこ
とが背景にあるようです。

 残りの半分は雄牛です。こちらは去勢して牛肉になるわけですが、
アメリカ産牛肉の輸入禁止もあって、肉牛を飼っている農家は非常
に儲かっています。そのため、雄の子牛も高く売れます。結果とし
て、牛乳の増産圧力はかなり強くなっているようです。

 消費の低迷ということもあります。こちらは「牛乳有害説」とい
うのがあって、ここにきてかなり効いてきているようです。

 「牛乳有害説」ははっきり言って根拠のない妄説です。生産者の
方も馬鹿らしくて相手にしてこなかったと思いますが、そろそろこ
ういう業務妨害に類する言説に対しては訴訟をおこすなどの対策が
必要なのではないでしょうか。ホクレンなどは充分その力があるの
ですから、対応してほしいと思います。

 こういう妄説が拡がるには、段階があって、

発案者(狂信者)

煽動者(詐欺師)

信奉者

一般人

 と拡がっていきます。

 以前は「低温殺菌牛乳以外はダメ」というようなキャンペーンが
ありました。あのときはどちらかというと「煽動者」の段階からス
タートしていました。実際、消費者運動をすすめている人たちが自
分たちの運動を盛り上げるためにでっち上げた工作であることを高
橋晄正氏が暴露していました。

 低温殺菌牛乳が普及してくると、こんどは「牛乳有害説」が出て
きたわけです。こんどは立派な発案者がいるようです。ときどきマ
スコミなどでも登場してきていて、困ったことだと思っていたら、
毎日新聞でこんな記事を見つけました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 牛乳が生産過剰に陥り、1000トンの廃棄処分が決まった。ホ
クレンなどは消費拡大に躍起だ。牛乳は健康に良い食品だと一般に
信じられているが、牛乳が実は人体に害を及ぼすとの主張も根強く
存在する。酪農王国・北海道には悩ましいが、消費者として「牛乳
有害説」も知っておきたい。

 「病気にならない生き方」(サンマーク出版)は現在65万部の
ベストセラー。「胃腸は語る」(弘文堂)は98年の刊行以来11
万部。著者は米国アルバート・アインシュタイン医科大外科教授で
胃腸内視鏡外科医の新谷弘実氏。30万例の胃腸を診察した目で数
々の“健康の常識”を覆す。その一つが牛乳神話だ。

 大部分の人の胃相・腸相は「牛乳を飲むことによって悪くなり、
難病ともいえる悪性炎症性の大腸炎もできる」。牛乳が子供たちの
アレルギー体質を作ることや、飲み過ぎが骨粗しょう症を招く危険
性も紹介している。

 出版社や新谷氏の事務所によると、牛乳メーカーや農協から抗議
などは一切ないという。

 生活習慣病予防のための「食事バランスガイド」=イラスト=を
昨年作成した厚生労働省に聞いた。ガイドによると、1日に必要な
牛乳・乳製品は牛乳換算で180CC。牛乳有害説の評価について
「それは内閣府の食品安全委員会の所管」(生活習慣病対策室)と
の回答だった。

 食品安全委員会は「厚生労働省から特に要請がないのでそのよう
な審議はしていない。見解もない」(事務局)。典型的なたらい回
し。行政も牛乳批判を無視・黙殺していることが理解できた。

 道の健康増進計画の素案にもこのバランスガイドが引用されてい
る。立案した地域保健課の担当者に新谷氏の著書を示すと、「それ
が正しいと言える根拠はどこにあるのか。日本人のカルシウム不足
は牛乳で補うべきだと考える専門家の方がはるかに多いのではない
か」。続けて「(牛乳が問題だという)国の情報はない。だから国
と同じ見解です」。「地域主権」が聞いてあきれる。

 宗谷管内豊富町の酪農家でチーズやアイスクリーム作りも手掛け
る久世薫嗣(しげつぐ)さん(62)は牛乳・乳製品を否定する立
場ではない。しかし、日本で主流の超高温殺菌牛乳(130度、2
秒殺菌)の問題点を次のように指摘する。「予備加熱(85度で1
5〜20分)でたんぱく質が熱変性し、発がん物質ができる可能性
を指摘する学者もいる。カルシウムも熱で不溶解性のものに変化す
るので吸収されなくなる。これが一番大きな問題です」

 久世さんは牛乳は低温殺菌(65度で30分)で飲むことを勧め
る。そして、問題だらけの牛乳を生み出している効率優先の生産・
加工・流通のシステムを問い直すべきだと訴える。【山田寿彦】

毎日新聞 2006年3月25日

http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/hokkaido/shizen/news/
20060325ddlk01070383000c.html

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 山田記者、これはないでしょう。マスコミが煽動者役をやってど
うするのですか。

 そもそも、現在非常に苦しんでいる北海道の酪農民を、北海道版
の紙面で貶める記事を書くとは…。

 「行政も牛乳批判を無視・黙殺」しているのは、愚にもつかない
妄説だからです。でもこういうものを放置しておくと山田記者のよ
うな人も出てくるということは反省すべきでしょうね。

 無理な増産で余剰乳に苦しむのは自業自得です。しかしこういう
妨害キャンペーンのせいで消費が低迷するというのは気の毒としか
いいようがありません。言論の自由といっても、自分たちは安全地
帯にいて、他人の生活をおびやかす言説をまきちらす権利は誰にも
ありません。

 生産者団体はまず毎日新聞を訴えるべきです。また、こういうキ
ャンペーンを推進している人たちにも損害賠償請求をおこすのがよ
いと思います。

 「牛乳有害説」が根拠のない妄説であることは以前にも書きまし
た。こういう妄説にひっかからないよう、もう一度呼びかけたいと
思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 紹介した毎日新聞の記事は、北海道版だったようで、私は見てい
ませんでした。この日は花巻で温泉に入っていたりしましたので、
見落としていたのかもしれませんが。

 ずっと毎日新聞をとっていて、このごろはわりとまともな解説記
事も載っているので、私は評価していました。しかしこの記事を見
て、毎日新聞をやめようかと真剣に考えています。読売新聞も朝日
新聞も好きでないのに、困ったものです。「ネットがあれば新聞は
いらない」派に転向したほうがよいのかもしれません。

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