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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------330号--2006.03.05------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「スモークサーモン(Q&A)」「味の素」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 短いですが、こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 質問に答えてくださる方は非常に良識がある方と感じます。驚く
べき質問が多いにもかかわらず、真摯に答えられる姿勢に頭が下が
ります。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 今週はこれだけです。サーバーの引っ越しなどの関係で、もしか
したら私に届いていないメールがあるかもしれません。申し訳あり
ませんが、そういう場合はもう一度おくってください。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.スモークサーモンを作る際、スモークをかける前に風乾させま
すが、燻製作りの本によると陰干しする様にとあります。干物同様
に日光に当てたほうがうまみ成分が生成されると思うのですが、陰
干しにする理由が分かりません。単に温度が上がるからということ
なのでしょうか?そうであれば気温の低い時期はお日様に当てて乾
燥させたほうが美味しくなるということですか?

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A.これはなかなか難しい技術の話題です。「乾燥」と「日光」は
なかなか相いれないものがあるようです。食べ物が乾燥していくの
は空気中に水分が出て行くからで、これには乾燥した空気と風が必
要です。だから乾燥させるためには基本的に日光は必要ありません。

 日光は紫外線なども含んでいて、かなり生理的な活性が強いもの
です。調理器具などは日光にあてるだけで殺菌効果が期待できたり
します。同じように食べ物にあてても、有益な栄養分ができたりす
る効果はあるのでしょう。しかし全体として日光は刺激が強すぎて
あまり使いやすいものではないと思います。日光にあたった部分が
すぐに乾燥してしまい、全体がほどよく乾燥するというのは難しい
のです。

 燻製の前段階の処理では、全体が均一に乾燥していることが望ま
しいでしょうから、陰干しがよいのでしょうね。この後に燻製にす
る工程がありますから、うま味はそれで充分でしょう。

 干しいたけなどでは機械乾燥より日光にあてたものの方がおいし
いです。しかし、魚の干物では機械で乾燥させたものの方がおいし
かったりします。これは天日ではなかなか理想的な乾燥状態になら
ないこと、脂肪分などは日光の悪影響をうけてしまうことなどが理
由なのではないか、と推測しています。

 理屈ではなかなか理解しがたくとも、積み重ねてきた技術として
こうした方がよい、ということにはやはり理由はあるのだと思いま
す。そういう技術を経験によって体得していくところがこういう趣
味の醍醐味だと思います。はいろいろ試してみて、自分流の技術を
考えてみるのが楽しそうですね。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「味の素」
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 先日、テレビで「キッチンウォーズ」という番組をやっていまし
た。味の素が単独提供していて、コマーシャルもドラマのつづきの
ような感じでやっていました。

 天海祐希主演で、ドラマはまずまずおもしろかったのですが、印
象に残ったのはコマーシャルで「味の素」を取り上げていたことで
す。

 会社名の「味の素」ではなく、商品の「味の素」です。商品名=
会社名ですから、昔なら当然のことですが、巨大な食品メーカーに
なっている味の素にとっては、わざわざ大金をはたいたコマーシャ
ルに使うというほどのものではないはずです。

 商品としての「味の素」は価格的にもとても安くて、たくさん売
ったからといって儲かるものではありません。さらに加工度の高い
各種食品や調味料の原料ですから、今でも重要な商品でしょうが、
なぜ今ごろ、「味の素」を宣伝する気になったのか、ちょっと不思
議に思いました。

 これは新しいイメージ戦略なのでしょうね。「味の素=悪」とい
う構図が、さまざまな場面で利用されてきました。一応反論はして
いて、言われっぱなしというわけではありませんが、消費者の受け
取り方では圧倒的に不利な状況がつづいていました。

 とはいえ、市場では味の素(というより化学調味料)を使った食
品が圧倒的に売れています。だから金持ちケンカせずでいままでや
ってきていました。

 そのためもあって、食品メーカーまでが「この商品には化学調味
料を使っていません」と平気で言うようになってきました。「化学
調味料=悪」という消費者側の見方を受け入れた図です。

 味の素株式会社としては、こういう見方に挑戦する気になったの
でしょう。「化学調味料のどこが悪い!」ということを主張してい
こうということだと思います。

 私も「化学調味料不使用」という宣伝にはうさんくさいものを感
じています。そのことを以下に書いてみます。

・化学調味料とは何か?

 実はこれには厳密な定義はありません。実質的には原料にグルタ
ミン酸ソーダを含んでいない、という意味ですから、「化学調味料
=グルタミン酸ソーダ」ということになります。

・グルタミン酸ソーダはその商品に含まれていないのか?

 これははっきりしていて、必ず含まれています。グルタミン酸ソ
ーダを単体として使用していなくても、原料にはグルタミン酸が含
まれています。また加工食品なら調味料抜きということはあり得な
いですから、調味料由来のグルタミン酸も必ずあります。

・調味料とはどういうものか?

 食品の原料に、風味原料(昆布、カツオ節など)のみを使用して
作ったとき、「化学調味料不使用」という表示に文句はありません。
そういうものはたいへん貴重なものですし、そういう食品を製造し
続ける努力には敬意を表したいと思います。

 しかし市販されているほとんどすべての食品はそうではなく、添
加物としての調味料を使用しています。たんぱく加水分解物、エキ
ス類など原料や製法はさまざまですが、工場で製造・精製され、粉
末などの形になったものです。

 昆布エキスなどには大量のグルタミン酸ソーダが含まれています。
「化学調味料不使用」のはずのダシの素から、不自然に多量のグル
タミン酸が検出されたりします。こういうものもグルタミン酸ソー
ダ単体を使っていないという点では「化学調味料不使用」なのです。
しかし、実は他のものよりグルタミン酸の量は多かったりするので
す。

 そういうものを使っている消費者が、「化学調味料を使っていな
いのにおいしい」と思っているのなら、これははっきり言って騙さ
れているのだと思います。

・化学調味料の使用は悪いことなのか?

 歴史的に見て、化学調味料の登場が食品業界に悪い影響を与えた
ことは確かだと思います。化学調味料だけではなく、いろんな食品
添加物が無批判に大量に使われました。

 当時の文化程度ではやむを得ない面があったとはいえ、今に至る
不信感を消費者に持たせてしまったという点ではかなり重大な失敗
だったと思います。

 しかし、「安易に」「大量に」使うことが悪いのであって、コス
トと味のバランスをとるため、適切に使うことが悪いのではありま
せん。

 化学調味料に頼らない食品づくりをおこなうメーカーが増え、消
費者がそれを選択していくのなら、自然と解決していく問題です。

・グルタミン酸ソーダの毒性は?

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 MSG(monosodium L-glutamate、グルタミン酸ソーダ)について
の最も信頼できる報告はFDA(アメリカ食品医薬品局)から出されて
いてhttp://vm.cfsan.fda.gov/~lrd/msg.htmlで手に入れることが
できます。英文は苦手、という方のために要約しますと、MSGに関
するFDAの判断は1959年には「塩や酢などの普通の食品成分と同じ
ように安全」でした。

 1970年代になって「普通の食品成分」でも安全性評価を行うべき
だという判断の元に再評価が行われ、1980年にMSGは「現状では危
険性はないがより多く消費される場合にはさらなる研究が必要」と
されています。このころ、MSGによる「中華料理店症候群」なる報
告があり、本やTVニュースやショーでMSGが生命に危険があるとか
ほんの少しでも害があるとか騒ぎになり(日本のワイドショーの起
こす騒ぎに似てます、今ならさしずめ環境ホルモン?)、1980-1994
の間に662件の苦情がFDAに寄せられましたが、頭痛が主なもので重
大な症状は一件もありませんでした。

 1986年にはFDAの諮問委員会でMSGはある種の人々に食後何らかの
反応を引き起こすことがあるが一般的には健康に影響はないとされ
ました。他に1991年にECの食品科学委員会がMSGを毎日摂取しても
問題はない、乳幼児にも問題はないと判断しています(グルタミン
酸は母乳中にかなり高濃度で入ってます)。

 1992年にはアメリカ医学会が、1987年にはFAOとWHOの合同委員会
が、MSGを健康に悪影響なしと判断しています。

 そして1995年にFASEB(アメリカ実験生物学協会)とFDAがMSGに
関する最終報告書をまとめています。この350ページにわたる報告
書は一部50$で誰でも手に入れることができます(申込先は9650
Rockville Pike, Bethesda, MD 20184)が、このなかでいわゆる中
華料理店症候群という「疾患」の存在は否定されています。MSG不
耐の人がMSGを「空腹時に、大量に、他の食物はとらない状態で」
摂取した場合に、摂取後一時間以内に頭痛や頬の紅潮などの症状を
訴えることがあること(これをMSG symptom complexと名付けてい
ます)、これが重症の喘息患者に起こった場合は問題になるかもし
れないというのがMSGの考えうる最も重い有害作用とされています。
そして脳に悪いとかビタミン欠乏を引き起こすとかいった事実はな
く、安全性に問題はないと結論しています。

http://hw001.gate01.com/uneyama/Kinyou.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 闇の組織がウソの情報を流している、または真実を隠していると
信じている人もいるようですが、これが科学の世界でのファイナル
アンサーです。

・現状と今後の課題は?

 一部のたちの悪いところを除いて、現在ではほとんどのメーカー
で、化学調味料の使用は適正レベルをそれほどはずれていないと思
っています。

 そうはいっても、消費者には「化学調味料悪者説」が根強くあり
ます。この現状がいくつかの危うさをもたらしていると思います。

 まず、何か悪者を仕立て上げて人々を煽動する人たちの存在です。
つぎに、そういう思い込みにつけ込んでうまく立ち回ろうとする、
悪質な業者も跡を絶ちません。

 「化学調味料不使用」という表示の食品のほとんどはまじめなも
のです。それなりの努力をし、コストを支払って成立しています。

 しかし、消費者がその商品そのものの評価ではなく、「化学調味
料不使用」というコピーだけにとらわれていると、同じようなコピ
ーでインチキ品が登場してきます。

 こちらはコストを支払っていませんから、「悪貨が良貨を駆逐す
る」という現象が市場でおこってしまいます。

 いずれにせよ、「化学調味料悪者説」は消費者にとって百害あっ
て一利なしです。その意味で、味の素株式会社の戦略変換は私は支
持したいと思います。

 ただし、その戦略が成功するかどうかは未知数です。失敗する可
能性の方が高いでしょうね。泣きどころは「味の素は悪くない」と
言っている私自身、味の素をすすめる気にはならないということで
す。

 中華料理ではあるまいし、あんなものをたくさん家庭で使うのは
やっぱり感心しないです。そうは言っても味の素は使っていなくて
も、各種の調味料などは平気で使っているのですから、私自身偏見
があるのです。

 私自身を含めて、「化学調味料悪者説」を退治するには、どうす
ればよいのか、なかなか難しいものです。

 視野を広げて見れば、そういう「悪者」を私たちの社会はどんど
ん作ってきたと思います。これは実は間違ったことだったのではな
いか?そういう反省をするべきところにきているのだと思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 今週はいただいたメールが少なくて困りました。メールマガジン
作成者に愛の手を…。

 関西ローカルの番組なのですが、民主党の議員が「闇の組織と戦
っている」と発言したのには驚きました。それってショッカーとか
いう組織のことなのでしょうか。こんなことを考えている人が国会
議員をしているというのは実に不思議なものです。国会も大人用と
幼稚園に分ける必要があるのかもしれませんね。幼稚園の方がおも
しろそうで、そちらに人気が集まってしまいそうですが。

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