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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------329号--2006.02.26------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「サッカリン・トマトケチャップ・ちくわ
(Q&A)」「アガリクス」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 今年の5月29日から、食品衛生法が改正されて、農薬等の規制
が「ポジティブリスト制」に変わります。その件でこんなメールを
いただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 今春5月29日より、食品衛生法の改正でポジティブリスト制の
導入をして農薬等の規制方法が従来と変わるそうですが、

(1)生産者や食品製造業者・流通業者・消費者にはどう影響(関
係)してくると考えられるのでしょうか?。

(2)今回の法改正で、対象になるのはおそらく輸入食品がメイン
だと思うのですが、国産品に対して同じスタンスで行政監視や指導
が行える状況にはないと思われます。お考えをお教えください。

 多分、日本の食料自給率が低いことから、海外からの農水畜産物
輸入に依存する率が高いので、輸入食品への監視や規制を強化する
ことで、国民の安全確保を強化するような主旨だと思うのですが、
違うでしょうか?

 小さな食品加工メーカーに勤務しており、取引先から意味不明な
問合せを頂くことがあります。主に「御社の製品に関して、ポジテ
ィブリスト制度に照らして安全である証明書を○月△日までに提出
して下さい」といった内容です。リスト上に記載されている対象食
品174品目、対象物質799物質全てを調べろと言わんばかりで
す。

 実際には、トレーサビリティシステムを作るなり、生産履歴をキ
チンと管理している生産者とそれを理解して情報開示してくれる流
通業者を選択して付き合えば問題は減ると思いますが、現実はなか
なかそういう訳にもいきません。

 畜産品についてはBSE問題以降牛のトレーサビリティシステム
等があるのであまり心配していませんが、農産品と水産品の分野で
は、生産者や流通側の意識が低くて話にならない面があります。経
済的な力関係が働いたり、制度自体への理解が不足・欠如していた
りして、遅々として体制作りが進みません。

 基本的に全ての関係者が、個々に関連する法令(農薬・動物医薬
品・飼料添加物や肥料取締等)を遵守・理解していればこんな問題
(意味不明な取引先からの問合せ)は起こらないと思いますが、知
らずに済ませていたことが問題になっているように感じます。

 証明書を提示しろといわれた場合、自己防衛的に残留農薬の検査
結果を備えておかないといけないのかもしれませんが、検査コスト
が実際の商いに見合わないことが一番の問題になると思います。是
非お考えをお聞かせください。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ポジティブリスト制は食品衛生法の規制ですので、農薬取締法と
は意味が違います。国内向けと輸入品向けでまた意味が違うと思い
ます。

 まず、国内向けでは、農薬取締法を守っていればポジティブリス
トにひっかからないようになっているはずです。問題点として、他
の農地で使った農薬が混入することが心配されています。

 輸入品向けでは、各国によって違う農薬の使用実態があります。
日本で使用されていないものでも、基準がないと規制できませんし、
生産国でOKな残留でも日本ではダメということになると非関税障
壁になってしまいます。そこで国際的な基準に合わせていくという
ことが考えられているようです。

 実際に運用する段階になって、誰が、どのように検査するのかに
ついては、よくわかりません。輸入時の検査はおこなわれるのでし
ょうが、国内向けでは保健所で定期的に調べる程度ではないでしょ
うか。

 輸入品で検査にひっかかれば輸入は認められません。国産品の場
合はよほどひどいもの以外は検査結果を統計として提出するだけに
なりそうに思っています。

 影響の方ですが、農家の方では農薬取締法を遵守するという以外
の対応方法はとれないと思います。遵守した上で、他からの混入な
どで、検査にひっかかった場合は問題になりますね。

 農家では栽培記録をつけておいて、いつでも公開できるようにす
るようにした方がよいと思いますが、実際にすべての農家ができる
ことでもないので、どうなるかは心配です。

 加工食品についても規制値はあります。以下のページで「加工食
品」で検索してください。
http://m5.ws001.squarestart.ne.jp/zaidan/search.html

 見ればわかるように、加工食品といっても精米とか小麦粉とかの
加工程度の低いものばかりです。通常の加工食品についてはたくさ
んの原料を使っていますので、規制しても意味はないと考えられま
す。

 だから、一般の加工食品のメーカーは知らない顔をしておくこと
も可能です。HACCPの考えによって、入荷段階でチェックする
のも立派な考えですが、最終製品が規制の対象外で、実際の危害も
予想できないとなれば、実効性はどうなのでしょうか。

 「無農薬」の野菜を使っているとかいうことをセールスポイント
にするのであれば、やはり検査はしないといけないですが、こうい
うところが一番いい加減だったりします。

 自衛のために農薬検査をしておくこともよいですが、入荷のたび
に検査しないといけないのではできるところはほとんどないでしょ
う。以前にも、一度だけ検査した結果のコピーをずっと見せてまわ
っているメーカーがありました。意味はないのですが、何もしない
よりはましということでは悪くないのかもしれません。

 「証明書」ということになると、まず原料を列挙して、ポジティ
ブリスト制の対象となるものとそれ以外をわけ、対象となるものに
ついてはその実態を書くことになるのでしょうか。油脂類のメーカ
ーからはそういう書類をとっておくことは可能でしょう。生鮮品に
ついては…、どうも書けそうにないですね。

 この問題についてはあまり詳しくないので、以下のサイトをごら
んください。

財団法人 日本食品化学研究振興財団
http://www.ffcr.or.jp/

農薬ネット
http://nouyaku.net/

 農薬ネットの掲示板にはこの問題に関する話題もあります。専門
家の多いところなので、参考になると思います。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.今使用している醤油にはサッカリンが添加されているので使っ
てはいけないといわれました。サッカリンナトリウムの毒性と利便
性、なぜ使用されているのか、教えてください。

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A.サッカリンナトリウムは、醤油には0.50g/kg未満以下という規
制で、使ってもよいようですね。
http://www.eiken.city.yokohama.jp/food_inf/data/Additive_back/kanmi_01.html

 サッカリンのような甘味料を使ったものは、いわゆる「甘口」の
もので、普通はあまり使わないと思います。九州の醤油は甘口が多
いので、そちらの方なのでしょうか。

 原料表示に「サッカリン」と書かれていない場合は使っていない
ので、表示を確認してください。

 味は趣味の問題ですので、甘口がよいという人はそれでよいので
すが、私はやはり甘味料など使わないものの方がよいと思っていま
す。

 毒性については、上記サイトには「LD50 4〜8g/kg」となってい
ます。それほど毒性の強いものではありません。以前問題になった
ときは発ガン性が指摘されていましたが、それも現在では否定され
ているようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 動物実験で大量のサッカリンをねずみに与えたところ、嚢腫瘍が
出来た事の実験から、サッカリンの危険性を伝える報道が過去長い
間ありましたが、結論として、人体レベルでは影響が無い事が結論
ずけられました。

http://plaza.harmonix.ne.jp/~lifeplus/text2/sakrin.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 この論文によるとサル20匹に生後すぐからサッカリンナトリウム
25mg/kgを与え続けて24年間飼育したそうです。対照群は16匹。実
験終了後に全てのサルを殺して解剖して病変を検索し、結果として
はサッカリンに由来する病変は何ら認められなかった、ということ
です。

http://hw001.gate01.com/uneyama/sacch.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ということでそれほど心配することはないと思います。ただ、上
記のような理由で、私もサッカリン入りの醤油をおすすめしたいと
は思わないです。趣味の問題ではありますが。

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Q.トマトケチャップに保存料が入っていなくても 保存性がいい
のはどうしてなのか教えてくさい。

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A.ケチャップの保存性は主に酸味と甘みによります。酸味には酢
を使っていて、酸性の強いものです。酸性が強いと腐敗しにくいも
のです。

 甘みは砂糖ですね。砂糖があると微生物の繁殖に必要な水分が使
えなくなるので、保存性がよくなります。

 ケチャップは全体として、酸性で利用できる水分が少ないことで、
保存性を高めているといえます。

 しかし、マヨネーズなどと比べるとやはりあまり保存性がよいと
はいえません。開封後は冷蔵庫で保管するようにして、なるべく早
く使い切るのが一番です。

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Q. スーパーで4本ー100円というちくわがうられているのですが、
加工者、販売者、表示ありません。中国産の魚であるとかの可能性
ありますか?

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A.ちくわといっても、生で食べられるわりとよいものから、おで
ん用などで売られているでんぷんの多いものまで、いろいろです。
値段としては、それくらいだと、特に安いというほどでもないです。

 ちくわの原料は魚のすり身ですが、かまぼこなどよりもすり身の
量や品質はこだわりませんので、わりと安いものです。見た目より
重さがないこともあります。

 表示がないというのはバラ売りなのでしょうか。包装されていて
表示がないようでしたら大問題です。ばら売りの場合は表示は必要
ないことになっています。似たような値段でちゃんと包装された、
メーカー品も売っていると思いますので、そちらをおすすめします。

 原料の冷凍すり身は北洋でとれたスケソウダラのすり身がほとん
どでしたが、最近では東南アジア産のすり身も多いそうです。

 冷凍のすり身は原価を安くするためには必須ですが、それなりに
加工方法は難しく、市場で安い魚を買ってきて簡単に作れるという
ようなものではありません。専用の工場が必要なのです。

 中国ではあまり作っていないと思いますが、もし専用の工場があ
った場合は中国産でも別に問題はないと思います。

 ちなみに、イワシからすり身を作る技術もできているのですが、
イワシが高くなってしまったのでお蔵入りになっているとか。すり
身の加工技術の開発は、それだけで本が一冊できてしまうほどの興
味深い話です。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「アガリクス」
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 少し古いニュースですが、こんな事件がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 厚生労働省は十三日、健康食品「アガリクス」を原材料とする
「キリン細胞壁破砕アガリクス顆粒(かりゅう)」に発がんを促進
する作用が認められたとして、キリンビール子会社のキリンウェル
フーズ(東京都江東区)に自主的な販売停止と回収を要請し、食品
安全委員会に販売停止の可否を諮問した。

 キリンウェルフーズは同日、顆粒だけでなく、全アガリクス商品
の販売の中止、回収を発表した。アガリクスはカワリハラタケと呼
ばれるキノコの一種。がんの予防効果があるとされ、健康食品とし
て広く販売されている。今回の要請は一社の製品だけだが、アガリ
クス市場への影響は必至とみられる。アガリクスが肝障害を引き起
こす疑いが学術誌で報告され、国立医薬品食品衛生研究所で三社の
製品の毒性を調べていた。

 この結果、ラットの試験でキリンウェルフーズの製品から発がん
を促進する作用を確認。残る二社の製品から発がん促進作用は未確
認だったが、厚労省は食品安全委に、念のため安全性に関する意見
を求める。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060214-00000002-san-bus_all
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 がんを予防するという触れ込みのものが効果がなかったことに注
目してください。3社の製品を調べて、効果がありそうなものはな
く、1社のものでがんを促進する効果が認められた、というのです。

 ただ、この実験はごく大雑把なものだったようで、こんな記事が
ありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 内閣府の食品安全委員会が16日開かれ、発がんを促進する作用
が確認されたキリンウェルフーズ(東京)のアガリクス製品販売禁
止の可否について審議した。

 委員からは「何百種類もあるアガリクス製品からなぜ3社の商品
が実験対象になったか分からない」「この実験ではアガリクスが原
因なのか添加物が原因なのか不明」と実験や選定方法への疑問の声
が相次ぎ、同委員会は詳細なデータを提供することを条件に専門調
査会で議論することを決めた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060216-00000177-kyodo-soci
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この問題に最終的に回答が出るのはまだ先の話のようです。しか
し、普通の食品ではなく、がん予防という目的でとる健康食品です
から、現在の時点で販売を中止することは合理的だと思います。

 がんを促進する作用が確認されなくても、予防する効果があると
いう結果になることは考えられないですから、アガリクス関係の健
康食品はすべて販売を中止するべきでしょう。

 アガリクスについての説明は以下のようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 アガリクス(Agaricus)とはハラタケ目ハラタケ科のハラタケ属の
ことである。ハラタケ属のキノコにはハラタケ、ツクリタケ、シロ
オオハラタケなどがある。

 本来は上記属名の事であるが、一般には、ブラジル原産の和名カ
ワリハラタケ(アガリクス・ブラゼイ・ムリル Agaricus blazei
Murril)の事をアガリクスと称し、そのキノコを原料とした健康食
品として広く販売されている。

 このキノコはブラジルより種菌が日本に持ち込まれ、1970年代後
半から日本で人工栽培され、最初ヒメマツタケとして販売が始まっ
た。その後いくつかの研究機関から抗腫瘍効果(免疫療法)や血糖
値降下作用等が報告され、注目が高まった。1990年代中ごろより、
いわゆるアガリクスブームが始まり、乾燥キノコや抽出エキス等が
販売されるようになり、日本国内で300億円以上とも言われる巨大
な市場を形成した。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%AC%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%82%B9
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ネットで検索すると、アガリクス関係の健康食品は山のように出
てきます。キリンや協和発酵といった大手が参入していることが特
徴です。大手企業が何を考えてこんな怪しげなものに手を出してい
ったのかは理解できないところです。

 キリンはこれで大火傷ですが、協和発酵はどうなるでしょうか。
もちろん、消費者としてはどちらも手を出してはいけないことは明
白です。

 これほど大きな商品になったのには、国立がんセンターも関係し
ているようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

Q6. 国立がんセンターのデータとして、アガリクスの抗がん効果に
ついて記述している出版物がみられますが、本当のことですか?


 アガリクスの抗がん効果について、近年、当センターでの研究成
果との関連を述べている出版物がみられます。しかし、アガリクス
の定義が明確でなく、Agaricus blazei Murillといった個別のきの
こ名を指すものから、学名上のAgaricusには分類されますが、別名、
通称等で呼ばれているマッシュルーム等までも含め、アガリクス類
と言っているものまであります。

 過去において当センターで池川、千原らがきのこ類の抗がん作用
に関する研究を行い、動物実験に基づく研究成果を国内外の学術雑
誌(GANN, Cancer Researchなど)等に発表しています。Agaricus
blazei Murillについては、在職時の研究発表は確認されていませ
んが、Agaricus bisporus (Lange) Singについては、その抗がん作
用は低いと述べています。

 一般的に、植物類は生育する土壌、気候、季節等によって含有成
分の比率が一定でなく、その品質の確保は大変困難であるとされて
います。また、動物実験データはヒトに応用する場合の根拠の一つ
とはなりますが、絶対的なものでなく、ヒトへの効果と安全性はヒ
トにおける科学的研究においてのみ確実な結論が得られるものです。
ヒトにおける薬効の科学的研究は、比較対照試験、できれば二重盲
検試験で実証することが一般的であり、個々の症例のみをもってそ
の効果を結論づけることには慎重を期す必要があります。

http://www.ncc.go.jp/jp/ncc-cis/pub/index/qanda.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 苦しい言い訳をしていますが、そういう論文を書いたのは本当の
ようです。どうも困ったことですね。

 この手の健康食品のメリットとしては、気休め程度の効果はある
と思っていました。がん恐怖の強い人もいますからね。でも、今回
の事件でそういうことも言っていられなくなりました。がん予防に
効果のある健康食品は存在しないと思った方がよさそうです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 2月末にサーバーを移転します。ドメインはそのままで、物理的
にサーバーを変えるだけなので、影響はないと思いますが、月末の
切り替え時につながりにくくなったりするかもしれません。

 今までのサーバーは実はアメリカにありました。それが東京に移
転しますので、日本からのアクセスでは少し近くなります。

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