安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>310号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------310号--2005.10.16------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「韃靼そば」「レモン果汁・山菜・こんにゃく・酵母(Q&A)」
「そば」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 10月7〜9日、中国の深セン(センは土偏に川)というところ
に行ってきました。深センは香港の隣にある都市です。

 香港は広東省の一番南にあります。香港島が中心ですが、その対
岸の九龍半島と近くの島が、今では香港特別行政区となって、イギ
リスから中国に返還されています。

 香港は出入国の面からいうと、今でも中国とは別の国です。香港
行きの飛行機でいきましたが、まず香港に入国し、バスで深センと
の「国境」に行きます。川の手前で香港の出国手続きをし、再びバ
スに乗って川をわたります。ここでもう一度ならんで今度は中国へ
の入国と何とも面倒なものです。ちょうどシンガポールからマレー
シア(ジョホールバル)へ渡ったときと同じでした。

 中国人は今でも香港に自由に入ることはできません。お金持ちだ
とビザを入手して入ることはできるようです。でも庶民は入れてく
れません。中国人が日本に入国するのもたいへんなのですが、自国
でも似たようなものではあるわけです。

 日本人である私は香港にも中国にも、ビザなしで自由に入国でき
ます。海外に出ると日本のパスポートというのはなかなか大したも
のであることがよくわかります。日本人であるというだけで、一種
特権階級なんですね。ありがたいような、くすぐったいようなもの
です。

 深センは香港に隣接した都市です。中国が開放政策をはじめるま
では普通の農村だったそうですが、今では中国で一番豊かな都市に
なっています。

 広東省の省都広州でも、香港でも、言葉は広東語が中心です。と
ころがこの二つにはさまれた深センでは、みんな普通話(北京語)
をしゃべっています。外部から流れ込んできた人が多いので、自然
とそうなるようです。

 例によって大きな看板と、町中レストランだらけの、いかにも中
国風の都市です。道も広くてきれいで、上海のようにうるさくない
のが印象的でした。

 さて、深センの某会社の人から呼ばれて行ったのですが、その会
社は「韃靼(だったん)そば」を雲南省で作っていて、日本に進出
したいということです。

 中国産の食品はいろいろと話題になっています。しかし普通は輸
入をしているのは日本側の会社です。日本国内まで中国側の会社が
進出してきている例はほとんどありません。

 原料を輸出したり、安い人件費を利用して安価な工業製品を輸出
したり、というのが中国の貿易の主なところです。でも、だんだん
と変わりつつあるのだな、と感じました。

 栽培の内容や、工場での衛生管理なども徹底しておこない、中国
産食品の信用を取り戻していこう、という意欲があります。私とし
てはぜひ協力したいと思い、いろいろと日本の現状など、話してき
ました。

 韃靼そばは「苦そば」ともよばれ、ルチンの含有量が普通のそば
よりもうんと多いのが特徴です。標高2000m以上の高原で栽培
されているそうで、原料としてはすでに日本にも輸入されてきてい
ます。

 中国で生産すれば、ある程度安くできます。また栽培の現場に近
いというのは、原料の確保や栽培の実態を知ることができるという
点で、大きな利点になります。私もそのうち、現地へも行ってみた
いですね。

 中国産でも安全、安心な食品ができる、ということを実証してい
きたいものだ、と考えています。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.レモン果汁はレモンの農薬などで危ないのでしょうか? 一気
にたくさん飲むのはよくないことですか?

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A.危ないということの意味にもよりますが、健康を害するという
ことに関してなら、別に問題はないと思います。

 もちろん、栽培中に農薬は使用しているでしょうが、それと危な
いということは直接にはむすびつきません。農薬の使用実態とか、
残留の状況などは不明な部分もあります。しかし輸入時の検査でひ
っかかるということもないので、心配するほどではないと思います。

 輸入レモンなどの柑橘類では、カビを防ぐ処理(ポストハーベス
ト処理)がされていますが、果汁なら収穫後すぐに絞りますので、
そういうことも必要ありません。

 果汁を絞った後は、濃縮したり冷凍したりして保存、流通します。
果汁はカビが生えたり、発酵したりしますので、保存はなかなか大
変です。でも、基本的に添加物によって抑えるということはないと
思います。

 何でも、一度にたくさん飲んでよいということはありません。ほ
どほどにすべきだと思いますよ。

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Q.中国産の山菜の水煮についてお聞きします。日本では山菜と言
うとほとんど天然物ですが、中国産の水煮は天然物なのでしょうか?
ほとんど出回ってるのが中国産で価格も安いので魅力なのですが、
横浜に輸入されてくる中国産等の山菜の不気味な記事を読んでしま
いました。

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A.山菜は山村の裏山ではいくらでも生えています。山菜とりなど
も楽しいですね。でも、市場に出荷されてくるのは栽培されたもの
が多いのではないでしょうか。「天然もの」というのはあまり売ら
れていないと思います。

 同様に、輸入の山菜も天然ものではないと思います。また、山菜
は生ではなく、塩漬けなどの一次加工された状態で入ってくるもの
も多いです。ときどき報道されますが、確かにドラム缶などに入っ
ている状態は、食品としては気持ちよくないですね。

 ただし、国内産のものでも、野菜の塩漬けなど一次加工品の段階
では、別に見栄えのよいものではありません。このあたりは仕方な
いことなのかなと思っています。

 生で売られているものでしたら、農薬などの使用に関してもう一
つ信用度が低いでしょうが、実際は国産とあまり違わないと思いま
す。

 私としては、国産、輸入ものにかかわらず、山菜を買ってくるこ
と自体に疑問を感じています。やはり山菜は自分で野に出てとって
くるものです。

 山菜については、以下のページが詳しいです。ごらんください。
http://www.nittokusin.jp/sansai/index.html

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Q.近頃、中国産のこんにゃくをよく見かけるようになりました。
原産国は中国と表示なってます。こんにゃくの状態に加工されて日
本に輸入されてると思うのですが、原料のこんにゃく粉は安全なの
でしょうか?こんにゃくも農薬の使用が、よく言われてる危ないの
が使われてる可能性はあるのでしょうか?

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A.一時は中国産のこんにゃくを日本で包装して、国産のように扱
っていたところもあったようです。このごろは原産国表示をするよ
うになったので、みく見かけるのでしょう。

 中国からこんにゃく粉としても輸入されてきています。こんにゃ
く粉はこんにゃく芋から、有効成分を精製したものです。かなり高
度な精製で、見かけは怪しいクスリのような真っ白な粉です。

 「芋こんにゃく」と言って、こんにゃく芋から直接つくる製法も
ありますが、普通のこんにゃくはみんなこんにゃく粉から作ります。

 こんにゃく粉になった時点で、農薬のことを心配することはない
と思います。芋は地中にできますから、元々農薬がついていること
も少ないでしょうし。さらに芋の他の成分はすべて捨ててしまった
もので、純粋に近いグルコマンナンという物質がこんにゃく粉です。

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Q.イタリアにて、食関係の通訳をしている者です。先日、日本人
のプロのコックさんのパンの授業での通訳の際、イースト菌と訳し
たところ、彼らから、それはビール酵母ではないのか?と問いただ
されました。確かにイタリア語を直訳すると、ビール酵母ですが、
私は製パンに使うのはイースト菌と長い間解釈していました。でも、
彼らに言わせると、今日本では、ビール酵母を使ったパンが存在す
るとのこと。イースト菌とビール酵母の違いを教えていただけます
か?

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A.酵母にもいろいろな種類があります。酵母の一番重要な働きは、
アルコール発酵といって、糖分を二酸化炭素とアルコールに分解す
ることです。アルコールはもちろんお酒の主成分になります。パン
では焼くときに蒸発してしまいます。二酸化炭素は閉じ込めておく
とビールの泡のもとになります。パンでは発生した二酸化炭素が逃
げていくとき、生地に細かな穴をあけていくので、パンのふわふわ
した食感ができるというわけです。

 ビール酵母というのは、その中でもアルコール発酵に適した種類
で、「サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)
という種類の酵母です。一般には醸造に関連して単に「酵母」とい
えば、この種類の酵母をさしています。また、パン酵母も基本的に
同じ種類です。種のレベルでは、「パン酵母=ビール酵母」と考え
てよいです。

 しかし、実際には要求される性能が違うので、ビール用、ワイン
用、清酒用、そしてパン用とみんな微妙に品種が違います。普通は
パン作りにはパン用に選抜された品種を使いますが、微妙な味つく
りにこだわって、それ以外の酵母を使うこともあるのでしょう。自
家製酵母とかいって、自分で培養したりする人もいます。

 清酒つくりの世界では、よく「何号酵母を使った」ということが
話題になります。品種の微妙な差で、味も変わってくるのですね。
これは他の酒でも、パンでも同じことです。

 酵母は真菌類、要するにカビの仲間です。カビは普通、多細胞の
生物ですが、その中で単細胞で生活しているものを酵母とよんでい
ます。多くは発芽によって繁殖します。細菌よりはるかに大きく、
全く違う生物です。

 酵母は英語では「イースト」です。酵母菌という言い方からする
と、イースト菌という言い方も成り立ちますが、誤解の多い表現で
すので避けた方がよいと思います。というのは、一部に「イースト
菌」と「パン酵母」が違うもののように思い込んでいる人がいるか
らです。

 これは単なる誤解ですが案外根強いですから、通訳のときは日本
語としては「酵母」だけを使った方がよいでしょう。また、「ビー
ル酵母」「パン酵母」というのも、使い方からくる名前です。正確
を期すなら、種名(サッカロミセス・セレビシエ)または選抜系統
名(協会○○号とか)などを使います。これから先の話になると、
あまりにも奥が深くなりますので、通訳するのもたいへんですね。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「そば」
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 そばの原料などの表示について、つぎのようなニュースがありま
した。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 農水省は7日、小売店やスーパーなどで売られているそば粉とめ
んを対象に、産地や原料が正しく表示されているかを調査した結果
を公表した。表示が欠落していた商品などを製造・販売していた2
58業者を対象に、伝票や製造記録を詳しく調べた結果、115業
者が産地を偽るなど不適正な表示をしていた。

 不適正な表示のうち、原材料の産地を偽っていたケースが21件
あった。そのなかには、北海道産と表示されたそば粉が、実は中国
やカナダから輸入されていた例もあった。また、「地元産のそば使
用」と表示されながら、実際には、ほかの県産だった例も。

 そば粉の含有割合を偽っていた例は47件あった。「そば粉8割
使用」と表示しながら、実際には5割以下しか使っていなかったそ
ばや、小麦粉を多く使っていたにもかかわらず、そば粉の割合の方
が多いと表示してあった例などがあった。

 問題があった115業者に対して、国または都道府県がJAS法
に基づいて改善を指示・指導したが、業者名の公表は見送られた。

 調査は昨年12月から今年7月にかけて、全国3001店舗で売
られていた3万6452点の商品を対象に実施された。

http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20051007/K2005100702710.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 農林水産省の発表は以下のページです。

http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20051007press_6.html

 そばの原料はそば粉と小麦粉が主なものです。混ぜる割合はいろ
いろあって、乾めんなどでは小麦粉の方が多いものが普通です。

 八割そばという表示なら、そば粉を8割使っているということな
のですが、以前から表示には疑問をもつ人も多かったと思います。

 そば粉の品質や、麺の作り方にもより、一概にはいえませんが、
そば粉の割合の高いものほど作りにくく、特に乾めんにするのは難
しいのです。

 地方のメーカーでは、地元のそば粉を使用した、というイメージ
で売っているところがあります。でも、量的に安定して入荷するの
は難しく、ごまかしが入る余地があったということなのだと思いま
す。

 私も昔、メーカーの人に、地元産のそばを石臼でひいたものを使
ってつくったという麺を試食させてもらったことがあります。なか
なかおいしかったので、商品化をすすめましたが、量が確保できな
いから、研究用でおしまいだ、などと言っていました。確か一回だ
け、数量限定で扱ったと思います。

 こういうものもないことはないのです。しかし、常時それを求め
られると、とてもつらいものがあります。ごまかして売るのは悪い
ですが、現実を見ようとせず、イメージだけで「地元産」などとい
うものを求める方にも問題があるのではないでしょうか。

 趣味の世界では、どこのそば粉を使ったとか、10割そばを作っ
たとか、いろいろと楽しみにすればよいのです。しかしメーカーが
商品として売るときは、輸入のそば粉を使っていたり、小麦粉の方
が多かったりするのは、当たり前なのだということをもっと広める
必要があると思います。

 「そば」というものによいイメージを高めようとして、いろいろ
と宣伝したことが、現実がついてこないせいでウソの表示になって
しまい、かえってイメージを落としてしまったようです。もちろん、
ちゃんと表示しているメーカーの方が多いのでしょうが、こういう
ニュースになってしまうと、全体が疑いの目で見られることは当然
です。

 国家機関にウソ、いつわりが多いと発表されてしまったそば業界
に、失地回復の手段はあるのでしょうか?自浄努力を期待したいで
す。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 関西育ちの私はそばというと茶色い色をしたものしか知りません
でした。茶色いのはそばの外側の部分もひきこんだもので、上等の
そば粉ほど白くなるのですね。でも作っているそば屋(関西ですか
らほんとうはうどん屋)の話では、白いそばを作っても売れないか
ら、わざと色の濃いそば粉をまぜるのだ、と言っていました。

 そばは味と香が強いので、うどんと同じだしではダメなんだ、と
いって、「かえし」という醤油とみりんを主成分に、長期保存して
おいたタレを使うことなども教えてもらいました。たしに比べると
味の強さが違います。石臼でひいたそば粉が、どう違うかとか、ま
ことに趣味の道は奥深いものです。そういうところにこだわるのが
日本人らしいところです。でも、落とし穴はそのすぐそばにあるの
ですね。

 恣意的な思い入れは、結果としてのごまかしと紙一重のところが
あります。ISOやHACCPなどのドキュメントを大切にする文
化を、職人といえども取り入れていくことが時代の要請なのだと思
います。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
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