安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>31号


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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------31号--2000.06.04------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

     「小麦の残留農薬」(つづき)
     Q&A「ショートニング」
     「そば」
     「コーヒー」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 前回の「小麦の残留農薬」について、つぎのようなメールをいた
だきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 安心!?食べ物情報---Food-Reviewを愛読いたしております。

 さて30号にあった小麦の残留農薬の件ですが、先日、4月26日食
糧庁が平成11年度の検査結果を公表しました。それによればクロル
ピリホスメチルは 217検体中から 113、マラチオンは 160(国産小
麦では279検体中に0)。

 クロルピリホスメチル、 113件検出の内訳は、米国産小麦からは
105(検体数 118)カナダ産からは38(検体数59)オーストラリア
産からは 5(検体数40)。残留濃度は0.01〜0.90ppm。環境庁が
設けた作物残留基準値(農薬取程法)は、コメで0.01ppm、野菜
で0.03。

 マラチオンの残留は、米国産小麦からは108(検体数118)カナダ
産からは51(検体数59)オーストラリア産からは1(検体数40)。
残留濃度は0.01〜0.73ppmです。

 詳しくは農水省、食糧庁のHPをご覧ください。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この情報は以下のURLの食糧庁のページに掲載されています。

http://www.syokuryo.maff.go.jp/

 私も見てきました。しかしこういった情報をHTML形式ではな
く、PDFファイルにしているのは困ったものです。

 で中身の方ですが、輸出国によって、著しく残留農薬の検出率が
違うことがわかります。これは輸入の経路によるらしく、オースト
ラリア、カナダは太平洋をまっすぐに渡ってきますが、アメリカか
らはミシシッピ川口からパナマ運河を経てやってくるのが、一番の
原因です。

 アメリカも西海岸から船積みすればよさそうなものですが、そう
もいかない事情があるのでしょう。

 「作物残留基準」については、前回引用したグレガリナさんの話
だと、使用実態に基づいて決められているそうで、安全性の評価と
はまた別のことなんだそうです。

 このデータに対して、いかがお考えか、ぜひグレガリナさんのご
意見をうかがいたいですね。(読んでくれているかな?)

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--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q. はじめまして。パンに入っている油脂の成分内容を具体的に
知りたいのです。そもそも油脂という成分の定義を知りたいのです
が。
 私はベジタリアンなので、ラードやヘッド、魚脂などは食べませ
ん。ただし、バターはいただきます。大手のパン屋さんはどのよう
な種類の油脂を使っているのでしょうか。また、油脂類とはどのよ
うなものでしょうか。私が調べた範囲では油脂はほとんど動物性だ
ということでしたが、それがどのような動物性油脂であるかは様々
な行程を経ているため、特定できないと言われたのですが。

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A.パンには普通、油脂成分が使われています。「油脂」というこ
とについては、

http://www.kenji.ne.jp/food/food17/food1702.html

に以前少し書いたことがあります。参考にしてください。

「たーくんのおもしろ栄養学」というページ

http://dietetics.hoops.ne.jp/shishitsu.htm

にもまとまった情報がのっています。

 一般論としては、脂肪というのは、脂肪酸とグリセリンの結合し
たもので、この脂肪酸の種類によって、いろんな脂肪があります。

 植物性の脂肪は常温で液体ですし、動物性の脂肪は固体のものが
多いのですが、もちろん例外もあります。

 で、パンにどのような油脂を使っているかというと、「ショート
ニング」と呼ばれる植物性油脂です。

 ショートニングはバターと同じような固形の油脂で、バターの風
味を活かすパン以外のほとんどのパンで、パターの代わりに用いら
れます。油脂をパン生地に練り込んでおくのは、パン作りの基本の
一つです。

 ショートニングは植物性油脂に「水素添加」といって、油脂中の
不飽和結合をある程度飽和結合に変えて、品質を改善したものです。
こういう技術を使いますので、原料の植物は特定できないと思いま
す。

 一般に動物性の脂肪は、高価で扱いが難しいので、食品業界では
あまり使われていないと思います。カレールウなどに牛脂を使いま
すが、そういった動物性脂肪の特性が必要なもの以外、普通に「油
脂」と書いてあれば、植物性のことがほとんどです。

 ショートニングという名前は、ビスケットに油脂を入れないと、
ガチガチになるので、ショート(崩壊)しやすいように、入れる油
脂のことをいうのだ、ということを本で読んだ覚えがあります。

 小麦粉などのでんぷん原料でお菓子を作る場合、砂糖・油脂・卵
がだいたい定番のお助け原料ということになります。これらは美味
しさもさることながら、物性的になくてはならないものです。

 パンでは、砂糖や油脂の多いものを「リッチ」、少ないものを
「リーン」と表現します。ふわっと柔らかいパンは基本的にリッチ
な構成になっています。製法としてはリーンなものが作りやすいら
しいのですが、リッチなパンは劣化しにくく、何よりも美味しいの
で、このタイプが主流ですね。したがって、油脂(ショートニング)
も必ず使われています。

 栄養的には、脂肪が体に悪い、というのは迷信の一種ですから、
気になさらないように。また純粋ベジタリアンの方にも、問題はな
いと思います。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「そば」
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 5月、6月というのはそばの美味しい季節です。市販されている
そばとしては、乾そば、生そば、ゆでそばがあります。

 そばの原料はもちろんそば粉ですが、そば粉ばかりでできている
わけではありません。つなぎとして、普通は小麦粉を使用し、小麦
粉の方が多く使われていることが多いのです。

 特に乾そばの場合は、2〜3割がそば粉、というものが多いので
す。そこで、「五割そば」「七割そば」などといって、そば粉の量
を増やしたものが作られています。乾そばとしてはこの辺が限界の
ようです。

 ゆでそばというのも売られていますが、そばはうどんより劣化が
早いので、あまり美味しいものではありません。やはり生そば、乾
そばを自分で茹でるのが美味しいです。

 そば粉はそばの実をひいたものですが、原料はほとんど中国など
からの輸入です。国産のそばは量が大変少なくなっています。一度、
国産のそば粉を使ったという乾そばを試食したことがあります。

 これは大変美味しくてびっくりしたのですが、よく聞いてみると、
そば粉だけではなく、製法も違う、ということで、この方が影響が
大きいのかもしれません。

 そばの実を粉にするのに、「石臼」を使ったというのです。

 石臼というのは世界中に古くからある粉をひく道具で、溝を切っ
た二つの石を溝を合わせるように重ね、その間に穀物などを入れて
砕いて粉にするものです。

 この石臼の溝のきり方には、一定の規則があって、世界中で共通
なのだそうです。おそらく二千年ほど前に、どこかで発明された道
具が、全世界に伝播したのだ、という話です。

 「茶臼」というのはこの石臼の最終バージョンで、お茶の葉をそ
のまま飲んでしまえる程の微細な粉末にすることができます。この
茶臼が中国から伝来したことがきっかけで、安土桃山時代に花ひら
く茶道文化が生まれたのでした。

 石臼で粉をひくのは、能率が悪いのですが、粉にするときにどう
しても発生する熱による影響を、最低限に抑えることができるとい
う利点があります。それで、今でも、本当に良質な粉を得るために
は、石臼が使われる、というわけです。もちろん今では石臼を手で
回すわけではないでしょうが。

 その国産そば粉使用のそばですが、私はどうせなら小麦粉も国産
のものにしたらどうか、と云ったのですが、なぜか実現しませんで
した。今はどうなっているのでしょうか。

 そばの色は白いのから茶色いのまで、いろいろあります。関東や
信州の方では、白いそばの方が多くなってきているようです。茶色
いのはそばの外側の部分がひきこまれているためで、ちょっと安物、
というイメージがあります。

 関西では、今でも茶色くないとそばとは認識されないので、わざ
わざ茶色い粉を使って、色を付けている、ということです。また、
出雲そばというのは、高級品でもなぜか色の黒いものです。

 食べ比べると、やはり白いそばの方が美味しいと私は思います。

 そばというと栄養価が高い、とか身体によい、とかいうイメージ
があります。そば屋さんでそば湯まで出てくるとうれしいものです。

 生めんで売っているそばの添加物については、基本的にうどんと
同様と思います。(原料にそば粉を混ぜ、細い麺にすればそばにな
ります。)

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「コーヒー」
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 コーヒーの話になると、昔安下宿で、ネルの袋でドリップしてい
た時代を思い出します。今はコーヒーメーカーという、ペーパーフ
ィルターをセットしておけば勝手にできてしまう、便利なものがで
きました。

 また、子供の頃、発売されたばかりのネスカフェをおそるおそる
飲んだこともあります。もちろんそのころはインスタントで、喫茶
店に行けばレギュラーコーヒーも飲めたのでしょうが、子供には別
世界の話でした。

 だいたい、本物とそれをインスタント化したものがあって、本物
の方に「レギュラー」などという注釈がつく、というのは変なもの
です。これは日本ではまず、インスタントコーヒーが普及してから、
レギュラーコーヒーも知られるようになった、ということを現して
います。

 小学校の時には、コカコーラの宣伝車が来て、無料で飲ませてく
れたことがあります。とても飲み物とは思えない、薬くささにびっ
くりしたものです。当時は外国から新しい食べ物がどんどん入って
きた時代でした。今では世界中、どんな辺鄙なところに行っても、
コカコーラはあるのだそうです。40年前の日本がどんなに遅れて
いたか、ということではあります。

 コーヒーというのは産地によっていろんな種類があり、味も違う
のですが、その辺の話はおいておいて、「無農薬コーヒー」につい
て・・。

 コーヒーというのは、バナナ・砂糖と並んで代表的な熱帯のプラ
ンテーション作物です。寒暖の差の大きいところが良いので、熱帯
の山地を開いて大規模な農場が作られています。

 プランテーション経営は、地下資源に恵まれない植民地から収益
を得るには手っとり早い方法なので、広まりましたが、今もかつて
植民地であった諸国の経済に深刻な影響を与えています。

 「無農薬コーヒー」というのは、基本的にこのプランテーション
経済に対して、自立した農民自身の経営を生み出していこう、とい
う運動です。日本側では、「フェアトレード」の精神にのっとって、
こういう農民の自立活動を支援していこうという団体が組織されて
います。

 ただし、「フェアトレード」というのは、純然たる商取引です。
決して援助や慈善ではありません。こうした行為は相手側の自立の
足を引っ張るものとして考えられています。

 コーヒーの樹を密植せず、他の木と混ぜて植える、風通しをよく
する、などが無農薬で栽培する秘訣だそうです。(「無農薬」とい
うことばの意味は25号に書いたとおりです。)

 産地はペルーあたりが主ですが、世界中に広がっているようでし
た。量をまとめて輸入し、注文を受けてから焙煎して、出荷しても
らっていました。粉になってしまば、普通のコーヒーです。私のと
ころで扱っていたのは、少し深煎りの、本格的なものでした。こう
したコーヒーの場合、どうしても品種・産地が限られてくるので、
ブレンドするのに苦労することになります。そこで少し深煎りにし
てパンチを出して、ストレートのまま飲むことになります。

 このブレンドと焙煎を担当していた人が、日本で初めて「無漂白」
のペーパーフィルターを開発したんだ、といばっていました。今で
は無漂白のものが普通になっていますが、10年前には、無漂白紙は
なかなかくっつかないので、成形には苦労したのだ、ということで
す。

 今、コーヒー用のペーパーフィルターは、無漂白の茶色いものと、
酸素漂白の白いものがあります。どちらも塩素は使用していないの
で、ダイオキシンなどの問題はありません。どちらが好きか、とい
うことになりますが、我が家では別に決まっていませんので、買う
たびに違うものになります。

 昔の塩素漂白のものがどれほど害があったか、というと、疑問な
のですが、今や塩素を使ったものと捜しても見つからなくなってい
ます。市場の狭い商品ほど、こういった問題には敏感になるようで
す。というのは、無漂白の製造ラインがいくつかできると、それだ
けで需要がまかなえてしまい、漂白の製品を駆逐してしまからです。

 コーヒーにはいろんな成分が含まれていて、有害な成分もあるそ
うです。また有益な成分もあるということですが、嗜好品です。あ
まり気にせず、毎日一杯ずつ、楽しんでいます。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 「正しい農薬の知識を身につけるマガジン」 

http://member.nifty.ne.jp/TATEKI/PESTIC/KANKYOU.html

で、このメールマガジンの宣伝をしてくれています。おかげで、こ
ところ読者数が増えてきています。このマガジンは私とは違って、
農薬の専門家の方が書いていますので、科学的に確かな情報源にな
ると思います。私からも講読をおすすめします。

 「菜食」についての話をメルマガ「宮沢賢治 Kenji Review」

http://why.kenji.ne.jp/

にて書いています。 今回が初回ということで、賢治の手紙で食べ
物について書いているものを紹介しました。上記サイトのトップに
ある、「今週のKenji Review」というボタンをクリックすると、す
ぐに読めますので、ごらんください。これから、何回かにわけて書
いていく予定です。ベジタリアンの方のご意見をおまちしていま
すので、よろしくお願いします。

 その中で、菜食についてのサイト「満菜(まんさい)」

http://www14.big.or.jp/~mansai/

の紹介もしています。このサイトは通販をしている会社のもののよ
うですが、記事に偏りがなく、きちんとした知識を掲載されている
ので、好感をもちました。野菜料理のレシピなどが満載されていま
す。

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--31号--------------- e-mail why@kenji.ne.jp -----------
--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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