安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>273号


-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------273号--2005.01.30------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「化粧品・数の子・茶の葉・にんにく・漂白
剤(Q&A)」「醤油」

-PR---------------------------------------------------------
浄化槽・排水処理のことなら、「環境デザイン.COM」に

浄化槽の設計・管理を通じてきれいな水環境つくりに貢献します。
きれいな排水が出て、維持管理費の安い浄化槽が設置できます。
ディスポーザー(生ゴミ粉砕処理機)もOKです。
-PR---------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--〔話題〕--------------------------------------------------

 前回のお酢の話で、醤油にふれた部分に関して、メールをいただ
きました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 残念ながら,先生のこの説に賛同することはできません。中国の
醤油は,20世紀に至るまで日本のたまり醤油のようなものしか無
く,日本で行われているような「ばら麹」を仕込んだ醤油は存在し
ていませんでした。このばら麹を作る技術は,日本で独自に発達し
たものであり,中国にそのルーツを求めることはできません。先生
が上海で口にされた醤油は,外資資本・技術を導入して上海等で製
造された製品であると考えますが,いかがでしょうか。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これは私の書き方が悪かったです。軽く触れただけなので、ちょ
っと誤解されるような書き方をしてしまいました。

 以下は私からの返信です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 日本の醤油が技術的には日本で独自に発達したものであることは
事実ですね。また中国で日本風の醤油が作られているということも
あると思います。そういう意味ではおっしゃるとおりです。

 ただ、中国ではそれ以外の「醤油」に相当するものもたくさんあ
り、それがすべてというわけではありません。また醤油が味噌とと
もに元々は中国からもたらされたものであるということも事実です。

 多くの他の文化と同じく、古くは中国から日本へという文化の伝
播があったこと、日本にもたらされたのが中国文化の一端にすぎな
いこと、日本で独自に進化をとげていったこと、近代になって日本
から中国に持ち込まれた文化も数多いこと、醤油に関してもそうい
うことは言えると思います。

 ご指摘ありがとうございました。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ということで、今回は「醤油」について書きます。「食べ物情報」
の欄をごらんください。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

------------------------------------------------------------

Q.最近新しい化粧品を使い始めたところ、大変効果があったので、
後からですが成分をしらべたら、プロピレングリコールとアスコル
ビン酸と書いてありました。 プロピレングリコールは危ないと書
いてありましたので、顔に塗り使い続けていいのか? 続けるとど
んな危険性が高まるのか教えていただきたいのです。

------------------------------------------------------------

A.アスコルビン酸はビタミンCのことです。プロピレングリコー
ルはギョウザの皮などによく使われる食品添加物ですが、化粧品に
も使われています。

 わりと低分子なので皮膚への刺激は結構あるみたいで、過敏な人
もいるようです。でも、効果があったというくらいですから、あな
たにはその心配は少ないと思います。

 プロピレングリコールは食品添加物として許可されています。食
べてもどうということはないものですから、肌につけるくらいは大
丈夫だと思うのが常識的な対応です。

 別に毒ではありませんので、気にすることはないでしょう。しか
し化粧品とそれに使われる原料については、摩訶不思議というか、
いろんなものがありますね。

------------------------------------------------------------

Q.お正月の数の子がまだ冷蔵庫に塩抜きもできて、アジもしゅん
でる状態で1週間以上たってたんで、もう、腐ってるだろうなって
思いつつ臭いもそんな腐ったような臭いもしないでんすが、日にち
がたってるから捨ててしまいました。でも、なんかあれでよかった
んかなってもったいないなーって思ってます。数の子は味付けした
状態でどれだけもちますか?

------------------------------------------------------------

A.これはわからないですね。塩漬した状態だとまず腐りません。
塩抜きして味付けした状態で、塩分や糖分がどれくらいあるか、ま
た温度や環境など、他の要因も多く、一概にはいえません。

 いちばん頼りになるのは、実は人間の感覚です。見かけやニオイ
に別状がなければ、たぶん食べられたと思います。

 でも無理して食べるほどのこともないので、今回はそう間違った
判断でもないと思います。食べたければ食べる、食べたくなければ
食べない、そんな贅沢を言っても、罰が当たるほどのことはないと
思います。

------------------------------------------------------------

Q.お茶を入れる急須についてですが、金属製の茶こしがついてお
り、構造上お茶の葉が挟まって取れない部分があるのです。どんな
に洗っても取れず、約2センチ四方のお茶の葉の塊がついたままで
す。この急須を使用し続ける事で、人体に何か影響があると考えら
れますか?

------------------------------------------------------------

A.細いもので突いてもとれませんか?茶の葉も有機物ですから、
そのうち細菌が繁殖してきそうですね。でもそれが害になるという
こともないのではないでしょうか。

 そもそも細菌など、どこにでもいるものです。お茶はお湯を入れ
て飲むのですから、あまり気にすることはないと思います。でもそ
の葉、なんとか取りたいですね。これはやっぱり感情の問題です。
気に入らなかったら他の急須に変えてもよいのではないかと思いま
す。

------------------------------------------------------------

Q.先日、中国産「水豊」と表示のあるにんにくを酢につけて置き
ましたら、にんにくが根元の方から真っ青に染まってきています。
銅イオンの色に似ています。ボルドー液の影響でしょうか?食べて
も差し支えありませんか?また、原因は?

------------------------------------------------------------

A.これはよくある話ですね。以下のページに回答がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 にんにくを酢につけると酸性になり、にんにくの臭いや辛味成分
であるアルキルサルファイド化合物がゆっくり分解して、ふだんは
無色で存在している鉄分と反応して緑色になることがあります。し
かし、にんにくによる個体差も大きく、すべてのにんにくが変色す
るわけではありません。変色の原因には次のようなことが考えられ
ます。

(1) 鉄分量が多い場合

鉄分が多い土壌で栽培されたにんにくには鉄分の含有量が多く、
反応しやすい。

(2) 収穫後の保存状態による

収穫直後や、日光にあたって発芽しかかっている場合など、酵素
活性が強いので変色しやすい。

 なお、この色素には害はないので、食べても差し支えありません。

 この緑変の現象は、しょう油などに含まれる有機物の影響で起こ
ることもあります。また、にんにくに限らず、同じ仲間の玉葱やら
っきょうなどにも起こることがあります。

http://home.tokyo-gas.co.jp/shoku110/shokuzai/417.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ということで別に心配はありません。気になるようなら無理に食
べることはありませんし、気にならないならそのまま食べても大丈
夫のようです。

------------------------------------------------------------

Q.ドライフルーツに入っている漂白剤について教えてください。
具体的に言いますとしょうが糖(乾燥させたしょうがにお砂糖をま
ぶしたもの)を購入しようと探したのですが、どれもこれも原材料
にしょうが・砂糖・漂白剤と明記してありました。

 家庭で使う漂白剤は猛毒のイメージが強く、私はあまり使わない
ようにしています。食べ物に使う漂白剤はこの類とは別物で安全な
のでしょうか?カットしたごぼうとかレンコンとかなどにも時々、
使われているような覚えがあるのですが...乾燥させたしょうがは
漂白剤を使わないと変色して売り物にならないのでしょうか?

------------------------------------------------------------

A.家庭で使う漂白剤は塩素系または酸素系です。食品添加物とし
ては亜硫酸塩がよく使われています。これは家庭用漂白剤とは全く
違う物質で、それほど心配することはありません。

 有名なところでは、ワインには必ず使われています。(このごろ
は無添加のものもありますが)ワインの本場では昔から、醸造の際
にイオウを燃やし、できた二酸化硫黄をワインに溶け込ませること
で醸造を助けてきました。名前は怖そうですが、それほど毒性の強
いものではありません。

 原料のショウガを乾燥させるときに使っているようです。本当に
必要かどうかは疑問なのですが、ドランフルーツなどには一般によ
く使われるようです。昔栗の甘露煮を企画したとき、漂白していな
い栗が手に入らなかったことがあります。漂白剤使用と書いていな
いものでも、原料段階では使われていることも多いようです。

 いずれにせよ、毒性の面からは気にするほどでもないと思います。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「醤油」
------------------------------------------------------------

 紹介したメールにもありますように、日本の醤油の製法は「バラ
麹」を使った独特のものです。醤油の歴史では、13世紀に紀州由
良の興国寺の僧、法燈国師心地覚信が中国から持ち帰った「醤」が
そのルーツとされています。

 今も和歌山には「金山寺味噌」という味噌があります。野菜の塩
漬けなどをたくさん入れてあって、そのままおかずにする「嘗め味
噌」です。「金山寺」は実は「径山寺」のなまりで、中国にあった
寺の名前です。法燈国師が持ちかえったのはこの金山寺味噌に近い
ものだったと言われています。

 醸造中に液体の部分が分かれてきます。この液体の部分が醤油の
もとになったというわけです。元々は味噌と醤油は同じところから
出発していたのです。このころの醤油は「溜(たまり)」と呼ばれ
ていたと言います。

 ところがやがて醤油の製法は大きく変わります。バラ麹を塩水に
漬け込んで、初めから液体で醸造するようになったのです。これは
実は同じころ(15〜16世紀)に技術革新が進んだ日本酒の製法
を取り入れたのだろうと言われています。大阪近郊の伊丹あたりで、
新しい日本酒も醤油も生れてきたのです。

 江戸に日本の中心が移ってもしばらくは上方から醤油が送られて
いました。その後関東にも醤油産業が成立し、今に至っています。

 醤油の原料は大豆と小麦、それに塩です。大豆は蒸し、小麦は煎
って、混ぜ合わせて麹にします。麹ができると塩水に仕込み、醸造
していきます。

 大豆は普通は脱脂加工大豆といって、大豆から油脂をとった残り
を使います。最近では丸大豆と称していますが、大豆をそのまま使
う醤油もあります。

 この大豆の問題は私の経験でもいろいろありました。どうしても
聞こえがよいので、丸大豆を扱おうという話は何度もあったのです。
江戸時代まで溯れば当然全部丸大豆です。戦後の技術革新で脱脂加
工大豆を使うようになったのですが、これにはいろいろと理由があ
ります。

 一つは当然コストの問題です。もとの大豆の値段から、油脂原料
の価値をひいた残りですから、当然安くなります。それから、脱脂
していることで醤油作りがしやすくなります。大豆の油脂というの
は醸造中に浮いてきて空気を遮断してしまうので、丸大豆を使うと
どうしても醸造期間が長くなるのです。

 最後に廃棄物の問題があります。最終的には油脂は醤油から取り
除かれます。取り除いた油脂は色や匂いがついていて、残念ながら
食用にはなりません。昔はこれでボイラーを炊いたりしたという話
を聞きましたが、今は純然たる産業廃棄物の扱いです。

 大豆から油脂を先にとるか、後にとるかでずいぶん変ってきます。
コストも問題ですが、資源の無駄遣いという点からも、丸大豆醤油
はよいことばかりではないのです。

 醤油のうま味の指標として、「全窒素分」というのをよくはかり
ます。醤油のうま味は大豆のたんぱく質が分解したアミノ酸が主成
分です。このアミノ酸の量をはかっているのです。アミノ酸は必ず
「アミノ基」を含んでいて、アミノ基には必ず窒素原子があるので、
醤油の中の窒素分は結局アミノ酸の量に左右されます。

 この窒素を指標に見ると、脱脂加工大豆を使った醤油の方が優れ
ていることが多いです。これは油脂を取り除いている分、醸造がス
ムースに進むからだろうと思います。嘗めて比べても、うま味では
脱脂加工大豆製が勝つようです。

 丸大豆醤油のよいところは、油脂がもとになってできた香りの成
分が豊富だということです。どちらかというと、料理には脱脂加工
大豆製、食卓で使うなら丸大豆製という感じでしょうか。もちろん、
それぞれに高級品からそうでもないものもあり、好みの問題もある
ので、必ずそうだとは言えませんが、まあそんな感じです。

 消費者のイメージとしては丸大豆が上等ということもあり、生協
などでも丸大豆醤油を扱うことがありました。その場合は伝統的な
製法を守っている小さな醸造元の醤油を扱うのです。ところが最大
手であるキッコーマンが丸大豆醤油を売り出したので、いろいろと
面倒なことになってきました。

 私が聞いた話では、キッコーマンの丸大豆醤油は伝統的な丸大豆
の仕込みとは少し違う、最新の技術が用いられているということで
したが、具体的にはよくわかりません。

 品質の向上は歓迎ですが、前述のように丸大豆醤油は資源の有効
利用という面からは問題のあるものです。一部で趣味的に作り、利
用されている分には伝統文化の保持ということから私は支持したい
ですが、全部の醤油が丸大豆仕込みになるのははっきり言って反対
という立場です。

 少し聞こえがよいことだけで、はっきりとした資源の無駄遣いを
容認してもよいとは私には思えませんでした。キッコーマンも時流
を読んでやったのでしょうが、やりすぎないことを望んでいます。

 逆に一時「新式醸造」として出てきたアミノ酸液などを使って製
法を簡略にした醤油は最近では廃れてきました。九州などでは甘い
醤油が好まれるので、糖分を加えた新式醸造が生き残っているとこ
ろもありますが、大勢は「本醸造」のみになりつつあります。

 私が生協を始めたころは、「本醸造の醤油がこの値段で買えます」
というのが結構効果のある宣伝文句でした。30年もたてばやはり
時代が変わるものです。微力ながら本醸造醤油全盛への後押しはで
きたと思っています。

 最後に醤油の色について。醤油は本来黒い色をしているものでは
ありません。醸造中にアミノ酸と糖分がむすびついて着色してきま
すが、まっ黒になるほどではないのです。出荷された直後の醤油は
赤褐色で透明感のある色をしています。

 ところがこの褐色は出荷してからもだんだんと濃くなってきます。
そこで色の変化を見せないように、最初からカラメルなどで着色し
ておくことがあります。昔の流通だとこれは仕方ない面がありまし
たが、今は生産から販売までごく短期間で流通できるようになって
います。

 薄口醤油というのは色を薄くするため、塩分を高めたりいろいろ
な工夫をして作られます。でもやはり醤油ですので、一年もすれば
まっ黒になってしまいます。味はそれほど変わるわけではないです
が、やはり醤油も鮮度が大切だと思います。そのためにも着色醤油
はいただけません。

 醤油はまっ黒になったものより、色の薄いものの方が風味が優れ
ています。そういう認識が広まれば、着色した醤油もなくなってい
くと思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 醤油の話を書いてから、もう5年以上たちました。私が生協をや
めてからも6年以上たっています。そういう意味で情報が古いかも
しれませんので、ツッコミ歓迎ということで、よろしくお願いしま
す。

 一年の予定ではじめた月刊「食生活」での連載ですが、延長が決
まりました。もう3月号の原稿は渡していて、4月号の原稿を書い
ています。今までは農畜産物の話題が多かったので、これからは加
工食品や調味料の話題になると思います。どんな食品をとりあげた
らよいかヒントはありませんか?このメールマガジンでも書いてい
きたいと考えています。

 しばらく忙しくしていましたが、今週は金曜日から休み。自主的
に三連休にしました。今は土曜日の深夜というより日曜日の夜明け
前ですが、まだもう一日休みだというので、ちょっと気持ちいいで
すね。

------------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
-273号----------------- e-mail why@kenji.ne.jp -------------
--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
------------------------------------------------------------
「宮沢賢治の童話と詩 森羅情報サービス」
http://why.kenji.ne.jp/
------------------------------------------------------------
 購読者数4429名です。ご購読ありがとうございます。
------------------------------------------------------------
私あてのメールのあて先は、
why@kenji.ne.jp
私のホームページ(「安心!?食べ物情報」)は
http://food.kenji.ne.jp/ です。
バックナンバーもすべて、このページで読めます。
【まぐまぐ】
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を
利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ )
マガジンIDは21668です。
このメールマガジンの登録や解除は
http://food.kenji.ne.jp/food2.html へ。
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/