安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>27号


-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------27号--2000.05.07------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

     「調味料」
     「たんぱく質」

------------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--〔話題〕--------------------------------------------------

【めんつゆ】

 暖かくなってきました。昔、めんつゆの業者の人から聞いた話で
すが、そろそろ「そば」が売れだす頃なのだそうです。梅雨明けの
ころから、本当に暑くなってくると、そばは減ってきて、そうめん
が売れるようになるそうです。

 その業者とのつきあいで、初めて「そうめんつゆ」を扱ったとき
は、いろんな批判が出て、たいへんでした。(10年以上昔の、小
さな生協での話です。)批判というのは、もちろん、「つゆ」など
というのは、自分で作るべきで、商品として扱うのはおかしい、と
いうものでした。

 こういう意見は常にでてきます。いなければ買わずにおけばよさ
そうなものですが、そこはそれ、生協に対する思い入れがあるから
で、私たちにとっては逆にありがたいことです。でも、今考えると、
やはり少し偏狭な態度ではあると思います。

 その時は試験的にとか言って、何とか認めてもらったのですが、
時間がたってみると、批判は自然に影をひそめ、いろんな「つゆ」
を扱うようになっていきました。

【グルタミン酸が多すぎる】

 最初に扱った業者のは、缶入りで、なかなかおいしいものでした
が、最終的には、化学調味料の問題で、扱いを中止しました。化学
調味料は使用していない、という触れ込みだったのに、どうも使用
していたらしかったのです。

 アミノ酸スコアといって、食べ物の中のアミノ酸の組成を調べる
ことができます。グラフにすると、グルタミン酸の所に鋭いピーク
があるので、グルタミン酸を添加しているだろう、ということがわ
かります。

 もちろん、自然にも、グルタミン酸はたくさんあるアミノ酸です。
また、昆布などでだしを取るのも、昆布からグルタミン酸を抽出し
ているわけですから、当然、美味しい食べ物では、アミノ酸スコア
をとると、グルタミン酸は多くて当たり前です。

 ただ、ピークの鋭さで、自然のものと化学調味料を添加したもの
とを見分けられる、と思います。ところが、化学調味料無添加、と
いっているものを調べると、グルタミン酸の不自然なピークを示す
ものがたくさんあるのです。

 件の業者もそうなのですが、それでもあくまで化学調味料は使用
していない、と言うのです。どうもこれは、使用している調味料に
問題があるようでした。

【食品添加物としての調味料】

 ここまで、「化学調味料」というのは「グルタミン酸ナトリウム」
の結晶として販売されているものを指して言っていました。これは
主にサトウキビから砂糖を取ったあとに残る糖蜜に、グルタミン酸
生成菌を繁殖させて製造しているものです。

 しかし化学調味料だけが調味料なわけではありません。世の中に
は非常にたくさんの調味料が、食品添加物として販売されています。
これらにはいくつかのタイプがあります。

(1)イノシン酸、グアニル酸などの化学名が確認できる形で販売
されているもの(多くは結晶している)

(2)たんぱく加水分解物などのとして、各種アミノ酸の混合物と
して販売されているもの

(3)酵母エキス・チキンエキスなどの名前で、天然物として販売
されているもの

 もちろん、これらの境界はあいまいなものです。この1〜3のど
れを使用しても、食品添加物の表示は、調味料(「アミノ酸」また
は「アミノ酸等」)という表示になります。「等」がつくのはイノ
シン酸などの非アミノ酸を使用した場合です。

【化学調味料】

 上記(1)は、「化学調味料」の範疇に入るものです。化学調味
料とは何か、という定義ですが、「アミノ酸などの呈味力のある物
質を意識的に製造し、純度の高い状態で販売しているもの」として
おきます。

【たんぱく分解物】

 (2)に入るものには、数えきれないほどの製品があります。た
んぱく質をアミノ酸の状態まで分解する方法で、「塩酸分解物」と
「酵素分解物」とがあります。このうち、「塩酸分解物」では、有
機塩素化合物が生成しますので、あまり安全とはいえないものです。
酵素分解なら、心配はないのですが、コストの問題があって、塩酸
分解物の方がたくさん使われていると思います。

 この塩酸分解物は、一応天然物を分解しただけですので、これを
使っていても「化学調味料無添加」というのは嘘ではありません。
でもはっきり言って、「化学調味料」よりも安全面で心配なもので
す。

【エキス類】

 (3)にもさまざまなものがあります。ただの混合物か抽出物で
すので、食品の製造現場でだしを取る代わりに、添加物メーカーの
工場でだしをとり、それを濃縮または粉末にして販売している、と
考えることもできます。とすれば、これは安心かというと、どうも
そうではないのです。

 実際に調べてみると、(3)としか思えない名前で販売されてい
る調味料(○○エキスとかいうもの)から、グルタミン酸のするど
いピークが確認されたり、前述の有機塩素化合物が検出されたりす
るのです。

【こんぶエキス】

 食品工場は添加物については、消費者の立場ですので、自分が使
っている添加物の製造工程や分析した中身まで、いちいち知ってい
るわけではありません。コストと効果で適当なものを選んでいるだ
けです。最初の話に戻って、「化学調味料無添加」なのに、グルタ
ミン酸が多すぎるものは、どうも使用している「こんぶエキス」に
問題があったと私は解釈しています。

 こんぶエキスといってもいろいろです。こんぶのエキスなのです
から、グルタミン酸が多いのは当たり前なのですが、どうも必要以
上にグルタミン酸の濃度を上げて、化学調味料の代役として使える
ものがあるようなのです。

 グルタミン酸の濃度を上げる手段として、濃縮しているからか、
グルタミン酸を添加しているかはわりません。製造方法は違っても
グルタミン酸には違いありませんから、分析しても見分けることは
不可能です。

 化学調味料はダメ、と思って、化学調味料無添加のつゆを買って
きても,じつは同じくらいグルタミン酸が入っていた、ということ
はよくあることで、「知らぬが仏」とはこのことです。

【無添加のだし】

 私のところでは、その後、一切の「調味料」を使用しないものを
開発していきました。これは昆布・鰹節・・・といった風味原料を
自分の工場で使用し、だしをとる工程からスタートするのです。

 食べて見ると、実に美味しいものです。欠点としては、食べてい
るうちに、つゆが薄まってくると、急激に味がなくなるということ
があります。これはグルタミン酸の濃度が不足しているからです。

 グルタミン酸はあらゆる呈味物質のなかで、飛び抜けて低濃度で
も味を感じる物質です。グルタミン酸を多く使用すると、いわゆる
「のび」が良く、薄まっても美味しく感じられます。つい「こんぶ
エキス」なとを使いたくなるのも、わかる気がします。

 「化学調味料使用」なら危険で、「化学調味料無添加」なら安心、
と単純に考えられるほど、ことは簡単ではない、ということをあら
ためて感じた事件でした。

(以上の中で「グルタミン酸」は「グルタミン酸ソーダ(MSG)」
のことです。)
------------------------------------------------------------
--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

------------------------------------------------------------

 今回は休みます。メールをお待ちしています。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「たんぱく質」その1
------------------------------------------------------------

【アミノ酸=調味料?】

 「アミノ酸は良くない。」という意見をときどき聞きます。上記
の調味料の表示が「調味料(アミノ酸)」に変更されてから、そう
いうイメージを持たれてしまっているようです。

 アミノ酸というものはたんぱく質の構成物質であることはご存じ
のとおりです。たんぱく質はアミノ酸がお互いにつながって巨大な
分子になったものです。たんぱく質自体にはにはあまり味がなく、
分解してアミノ酸になると、強く味を感じるようになります。

 味のある物質は他にもいろいろとありますが、醤油文化の根強い
日本では、他の国よりアミノ酸系の味を喜ぶ傾向があるようです。

 食卓で何にでも醤油をかけて食べたり、市販の食品では化学調味
料入りが人気があったりするのも、こういった傾向です。

 味の話は置いておいて、栄養面から見たたんぱく質の話です。

【必須アミノ酸】

 アミノ酸にはたんぱく質を構成するものとしないものがあります。
私たちは自分の体を作るたんぱく質の材料となるアミノ酸を自分で
つくることができませんので、このたんぱく質を構成するアミノ酸
を食べ物から摂取する必要があります。

 一部のアミノ酸は、他のアミノ酸から体内で変化させることがで
きますので、すべてアミノ酸を食べ物からとる必要はありません。
どうしても必要なのは、体内では作ることのできない、基本的なも
ので、これを「必須アミノ酸」と言います。

 私たちが必要とする必須アミノ酸の量は決まっているわけですが、
食べ物の種類によって、この必須アミノ酸を含む割合がいろいろと
違ってきます。必要なアミノ酸をバランスよく含んでいるたんぱく
質が、質の良いたんぱく質です。

【たんぱく質の質の評価】

 当然のことですが、人間の体と同じようなたんぱく質には、人間
の体を作るのに必要なアミノ酸が含まれています。肉類、ついで魚
類などは一般に、質の良いたんぱく質ということになります。

 中でも、「卵」は最高のたんぱく質です。卵のアミノ酸組成を理
想として、それからどれくらい劣っているかがたんぱく質の質を決
める指標として使われたこともあります。

 たんぱく質の価値を決めるのは、最終的には動物実験によります。
動物実験の結果と、アミノ酸組成の表から算出したものとはそれほ
ど違わないので、普通にはアミノ酸のバランスを知ればほぼたんぱ
く質の価値を評価できると思います。

 動物性のたんぱく質に比べると、植物性のものは質的に劣ります。
また量的にも多くありませんので、栄養的に見ると、動物性のたん
ぱく質を取ることは重要なことです。

 植物性のたんぱく質の中では、大豆が最も優れたたんぱく質を持
っています。「畑の肉」というのも、このことをいっています。ま
た、米も量は少ないのですが、比較的良質のたんぱく質を含みます。

 小麦のたんぱく質はリジンという必須アミノ酸が少なく、質的に
は劣るものです。学校給食のパンにリジンを添加しようという話が
かなり昔にありましたが、動機はこのへんにあったようです。

 その後、米飯給食が始まったり、主食よりも副食の方が多くなっ
ていったりと時代が変わって、今から考えると馬鹿な話ですが、近
視眼的に、良心的に考えると、このような発想が生まれてくるのだ
と思います。

【動物性たんぱく質】

 最近の風潮としては、動物性のものを悪く言う人が多く、動物性
たんぱく質が何か良くないもののように思っている人もありますが、
これは誤解です。

 医者にも、「動物性たんぱく質を避けるよう」に言う人もいます
が、「動物性脂肪」ならわかりますが、動物性たんぱく質を避ける
必要があるとは思えません。

 菜食主義というのも流行しています。これは別に悪いことではな
く、肉類などの食べ過ぎで健康を害することも多いのですから、結
構なことと思います。ただ、栄養的にはリスクがありますので、そ
のことは充分承知しておいてほしいのです。

 健康な壮年期の人には、菜食主義が栄養的に良くないということ
はまずないと思います。今の日本人にとって、おもな栄養的な問題
はすでに栄養の取り過ぎであると思いますので。

 ただ、もし家族に子供や老人がいた場合は、動物性のものも出し
てあげてください。子供は学校給食がありますが、高年齢での菜食
はいろいろと問題があると思います。

 五穀断ち、十穀断ちといって、菜食主義も真っ青な修行方法があ
ります。これは菜食どころか、すべての農産物を拒否し、文字どお
り木の根草の実だけしか食べない、という荒行です。このような修
行をおさめた人を「木喰上人」と呼んだりしますが、手彫りの仏像
で有名な木喰行道という人はそれでも九十歳以上まで生きたといい
ます。(ずっと完全な木喰というわけではないのでしょうが)

 ここまでいくと栄養学などとは別世界の話で、人間のというか自
然の奥深さを感じます。でも、みんなが木喰行に耐えられるわけで
はありません。良質のたんぱく質が不足することによって、血管が
弱くなることは、脳卒中が心配な世代では、とても重要なことです。

 たんぱく質の摂取量は、若いうちはたっぷりと、大人になったら
控えめに、年をとったらできるだけ多く、というのがおすすめです。
良質のたんぱく質を取る意味からは、卵と牛乳も忘れずに食べたい
ものです。 

--〔後記〕--------------------------------------------------

 最近は忙しくて、なかなかホームページを更新できません。なん
とかこのメールマガジンを発行していますので、少しずつは更新し
ているのですが、オープン後半年たったことですし、全面的なリニ
ーアルをしたいところです。

 もう一つのホームページ「森羅情報サービス」では、宮沢賢治の
詩を縦書きで表示するコーナーをもうけました。

http://why.kenji.ne.jp/index.html

 この作業に1週間ほどかかってしまい、そろそろこちらも、と思
っていた矢先に、仕事が忙しくなってしまったのです。家でやる仕
事ならそれでも何とかなるのですが、大阪まで通いになりますので、
通勤時間もあって、なかなかたいへんです。

 上記のページで、ベジタリアンの人からの書き込みをいただき、
「宮沢賢治とベジタリアン」ということを考えていこうと思ってい
ます。こちらにも関係ありそうですので、ぼちぼちと書かせてもら
います。

 私はベジタリアンではありませんし、菜食を押しつけるような意
見には賛成できませんが、個人の趣味というか、思想としての菜食
主義は、結構なことだと思っています。みなさんのご意見はいかが
ですか?

 メール、お待ちしています。

------------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--27号--------------- e-mail why@kenji.ne.jp -----------
--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
------------------------------------------------------------
------------------------------------------------------------
 購読者数893名です。ご購読ありがとうございます。
(まぐまぐ834名+Macky!59名)
------------------------------------------------------------
私あてのメールのあて先は、

why@kenji.ne.jp

私のホームページ(「安心!?食べ物情報」)は

http://www.kenji.ne.jp/food/ です。

バックナンバーもすべて、このページで読めます。

【まぐまぐ】
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を
利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ )
マガジンIDは21668です。

このメールマガジンの登録や解除は
http://www.kenji.ne.jp/food/food2.html へ。

【Macky!】
@niftyのメールマガジンサービス「Macky!」でも配信しています。
登録は
http://macky.nifty.ne.jp/servlet/FreeMailServlet/mem/mail_start?2000
解除は
http://macky.nifty.ne.jp/servlet/FreeMailServlet/mem/mail_stop?2000
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/