安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>246号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review----------------------------
-------------------------------------246号--2004.07.25------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「古米・牛乳・しょうが(Q&A)」「塩」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 今回もたくさんメールをいただきました。まずは農薬検査の話か
ら。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつもメールを興味深く拝見しています。厚生労働省による残留
農薬分析について、検査点数について質疑がありました。ご存じの
ように残留農薬分析は一回の分析(ガスクロマトグラフへの資料液
注入操作)でかなりの農薬が分析できるいわゆるマルチ分析が行わ
れています。したがって例えばダイコンの残留分析を行う際に、ダ
イコンという資料は一点ですが、分析対象の農薬数は相当数になり
ます。これを試料数1点と表現するか、分析対象とした農薬数とし
て表現するかの違いになります。分析結果は調査試料数X対象農薬
数となるわけで、通常はこの数を使っているわけです。試料数○○
点、対象農薬数○○点、したがって分析件数jはその積となるとい
う説明を付けた方が分かりやすいでしょうね。

 当方は農水省で農薬、病害虫防除の試験研究に携わったものです。
農薬は使う必要がなければ使わない方がいいわけですが、食料生産
を確保するためには農薬を使わざるを得ない場合があるわけです。

 これまで農薬を擁護?する立場の本は、いわゆる農薬を仕事をし
ている立場の人が書かれたものがほとんどでした。書店で貴著「食
の安全心配ご無用」を見て、早速購入し読みましたが、ようやく農
薬を職業としない方からこのような見解が示されるようになったか
と納得したものでした。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 つぎはお医者さんの話。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

> 伝統食の復権 栄養素信仰の呪縛を解く
>  【宮崎大学教授・医学博士】島田彰夫著 東洋経済新報社
...
> --〔↑引用おわり〕------------------------------------------
>
>  この一節を読めばわかりますが、アホとしかいいようがないです
> ね。科学的な思考力のない人が医者をやっているというのはこわい
> です。

 毎度毎度、重箱の隅つつきですいません。

 医学博士だからといって医者とは限りませんよ :-)

 医師免許は医博の前提条件ではないので、どこかで修士号をとっ
て、そのあと大学院の医学研究科で博士号を取れば、医師免許なし
で医博になります。

 私の知っている人で2人そういう人がいます。ひとりは心理学科
から脳科学に転じ、今は古巣の心理学科に戻って教授。もうひとり
は蛋白質の解析をやった人で今は化学系の助教授。さらにもうひと
り、私の後輩で、医学を全く知らずに医博を目指している人(この
人は統計学が専門で、医学研究科所属の統計学の先生のところで勉
強している)を知っています。

 それはさておいても、

> 相手が医者や大学教授でも、いうことを頭から信用してはい
> けない、というのがこの件の教訓です。

 これはその通りですね。健康食品業者の宣伝屋をやっている医者
や大学教授の何と多いことか。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 つぎは「引用」について。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 引用のお話について、感じたことを書かせていただきます。

 引用の量にもよりますが、引用については著者に断らなくていい
点など、基本的には渡辺さんのご意見に賛成です。でも、表現され
たことだけに関していえば、渡辺さんのご意見には、誤解を招きか
ねないような、少し危険な大ざっぱさがあるように感じます。学生
さんやお子さんなどの読者もおられるので、引用や著作権について、
都合の良い方向に誤解されることを心配しています。

 インターネットの普及で著作権法が改革されている現状では、世
界的な基準を理解した上で、それとは異なるご意見の主張をなされ
るのはよいと思います。でもそうではない読者への配慮も必要だと
思います。影響力の強いメールマガジンですので、自信を持って、
独断的に書かれることがもたらす悪影響を考えてしまいました。

 個人的、私的利用ならコピーなども大丈夫ですが、公にする文章
に引用した場合は細かく出典を書き添えることが重要でしょう。そ
れは、読者が原典に当たる可能性を補償するためです。そのために、
消えることも多いホームページなどの引用では、参照した日時まで
明示することが国際的にも取り決めになってきているようです。引
用された文は、埋め込まれた文の文脈によって、原典の著者の意図
とは異なった意味づけがされますから、原典の著者の尊重が大事だ
とおもいます。自分は良くても他人は嫌だと思うこともあるわけだ
からこそ、取り決めが必要になるのだと思います。

 著作権法の一般的な理解には次のサイトが役立ちます。

社団法人著作権情報センター
http://www.cric.or.jp/

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 こちらも「引用」についてですね。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 こんにちは。今回のメールの無断引用に関してです。

 私も、無断引用という言い方こそおかしい、引用は無断でするも
のという解釈が正しいと思います。著作権法の第32条にも抵触し
ない方法で引用しているのだし、それで問題ないのでは、ないでし
ょうか。

 また、法律とは関係なしに、礼儀の問題として、無断引用されて
礼儀がないと、怒る著者がいるとしたら、その時々で対処するとい
うスタンスでよいのではないでしょうか。

 ところで、中西先生は、ホームページで、情報やご意見を公開さ
れている方なので、引用、転載等に関しては渡辺さんと近い意見を
もっていらっしゃって、わざわざ許可を求めてほしいなどとお考え
になるとは、考えられません。

 ところで、独行法人 国立健康・栄養研究所のサイトを本日見ま
したら、メルマガにあった「データの無断転用,引用、商用目的の
利用は厳禁」とはちょっと違って、

「このページで提供している内容(記事、図、データなど)の一部
または全部を、無断で転用することは禁止します。」となっていま
した。私が解釈するに、引用はいいけど、転用、転載、複写はダメ
ということかなあ、と思いました。しかし、引用と転用に明確な線
引きなどありませんね。また、会員で公的な団体による正しい情報
提供活動のためなら利用してよい、というようなことが、書いてあ
ります。税金が投入されたり、優遇控除されている独立行政法人が、
こんなことをいうのは、いったい妥当な権利なのでしょうか。と疑
問に思います。

 著作権は、特にインターネット上のものはcopy leftの共有財産と
いう方向に向かっていると思います。コピーフリーの精神で、ネッ
ト上でものを書いていると宣言している渡辺さんのような人々は、
一言そういうだけでよくて、あーのこーのとその背景について説明
しなくても世の中にわかってもらえるという段階にすでに入ってい
ると思います。しかし、著作権を固く守りたいというスタンスの人
のそれは、尊重されなくてはならないでしょう。今は、著作権に対
する考え方は、その著作権を行使できる人が、それをどう運用する
か決め、恩恵に預かる人はそれを尊重するという段階にあるのかな
と思っています。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 みなさん、どうもありがとうございました。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.ちょっと古いけど、と古米(古々米か?)を山形の方から頂き
ました。玄米の状態で保存されていたものだそうです。

 お酒を入れたりして炊けば、食べられないことはないのですが、
胚芽のあったところが黒ずんでいる箇所がある気がします。

 これがカビだとすると、身体への影響はどうでしょう。捨ててし
まうにも、日本人としては大罪を犯している気がして、考えてしま
います。

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A.私は実際的な知識があまりなくて、的確な答えかどうかわかり
ませんが、どうもカビのようですね。調べてみると、こんなページ
がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

米(玄米)を常温貯蔵した場合、以下の品質劣化が考えられる。

カビ

商品価値の低下。最悪時には全滅。また、カビの中には発ガン.
性物質(アフラトキシン)を生産するものがあるため注意が必要。.

貯蔵害虫.

商品価値の低下。最悪時には全滅。.

古米臭.

貯蔵中に異臭(古米臭)発生。このため、商品価値消失。.
炊飯後も古米臭は残る。.

乾燥.

乾燥により、吸水時にひび割れが生じる。食味の低下。.

成分変化.

籾(モミ)と玄米の呼吸により、米の主成分である澱粉の分解や、.
グルタミン酸、ビタミンB1が減少し、その結果食味が低下する。

http://www.sanyo.co.jp/cmg/SSP/pdf/ssp.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 湿度60%以上、温度10℃以上でカビが発生するそうです。食
べられないことはないでしょうが、あきらめた方がよいと思います。

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Q.現在妊娠7週目です。6週目に入ったころ、急に吐き気がひど
くなりしょうました。しょうがが吐き気に効くということで、市販
のチューブの生しょうがを1週間、1日に大さじ1杯程度、飲み物
に混ぜて飲んでいます。胎児に対して、食品添加物の影響があるの
ではないか、とても心配になりました。今度からは、ちゃんとした
しょうがを、スライスして食べようと思うのですが、これまでに食
べたものは大丈夫でしょうか。

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A.その生しょうがにどんな食品添加物が使われていましたか?
ネット上には情報がないようで、具体的にわかりません。

 この手のものには着色剤は使われていると思います。ものによっ
ては保存料もありるもしれませんが、使われていないことも多いで
す。酸味料として、お酢や有機酸の類も使われているかもしれせま
ん。このあたりの、何が問題なのでしょうか。

 さて、この食べ物の中で、たぶん毒性が一番あるのはしょうがで
す。しょうがは漢方薬にも使われるもので、かなりの薬効成分を含
んでいます。薬になるということは、食べすぎれば毒になるという
ことです。

 しょうがが妊娠中にとってはいけないものだという話は聞かない
ですね。チューブ入りのものより、生のしょうがをおろして食べた
方がおいしいと思いますが、いずれにせよ普通の食べ方だったら、
毒性を気にする必要はないと思います。

 ただし、しょうがは必ずしも安全な食べ物ではありませんから、
あまり食べすぎないようにした方がよいと思いますよ。

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Q.保育園の集まりで大変衝撃的な情報を得ました。「牛乳は危険
極まりないので子供に絶対飲ませてはいけない」というものです。
お母さま方の中にはお医者様にそうはっきり言われた方もいました。
我が家の子供は産まれてから今まで少食で、人並みに摂取している
のは牛乳だけ、と言って過言でないのに、「じゃ、一体何を食べれ
ばよいの?」と悩んでしまいました。早速インターネットでいろい
ろ調べたところ、確かに「百害あって一理無し」のようなのですが
・・・・・

 これから徐々に豆乳に切り替えていこうかと考えましたが、乳製
品大好きな我が子にはとても厳しい情報です。本当にそこまで危険
なら何らかの運動をするべきなのかもしれません。お役所はまるで
当てにならない、どころか下手すると殺されちゃうし・・・何か判
りましたら詳しい情報をお知らせください。

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A.困った話ですね。何かについて悪く言っていないと気が済まな
い人たちがいて、このごろは牛乳の悪口を言っているようです。

 少し前は殺菌温度のことで、超高温殺菌牛乳はいけない、とか言
っていたのですが、このごろは宗旨を変えて、牛乳そのものがいけ
ないという話になっているようです。

 この話に根拠はありません。牛乳が有害だという証拠はどこにも
ありません。ただのデマですのでご安心ください。

 先週も書きましたように、医者が言ったからといって、正しいと
は限りません。私の見るところ、栄養学の方面で正しい知識を持っ
ている医者は少ないです。結構いい加減なことを平気で言いますか
ら、頭から信じてはいけません。

 片方に、牛乳万能説みたいなものもあります。しかし何事も行き
過ぎはよくありませんので、牛乳も数ある食べ物の一つとして考え
てください。子供が牛乳を好きなのは結構なことですが、他のもの
を食べないのはよくありません。もちろん、わかっていても子供の
好みもあり、難しいところでしょうが。

 食の細い子供というのは本当に心配ですね。私のところにも一人、
そういうのがいまして、心配させられました。うちのは偏食はなか
ったのですが、量がとても少ししか食べられませんでした。小学校
にあがるときなんか、ランドセルを持たせるのがかわいそうなほど
小さかったのです。でも、今は身体も人並みになり、サッカーやア
メリカンフットボールなどをやっています。まあ、何とかなるもの
です。

 何か症状が出ているのなら別ですが、何もないのに怪しい情報に
まどわされていてはいけません。つまらないデマにひっかかってい
ると、そのうち悪徳業者のエジキにされてしまいますよ。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「塩」
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 塩について、こんなニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 「伯方(はかた)の塩」などと国内の塩産地の名を冠した商品の
一部に、外国産の塩を原料にしたことを明記していない商品があり、
公正取引委員会は21日、「伯方塩業」(愛媛県伯方町)など計9
社に対し、景品表示法違反の恐れがあると警告した。

 ほかに警告を受けたのは、いずれも沖縄県のコーラルバイオテッ
ク(那覇市)▽海洋創健(宜野湾市)▽青い海(糸満市)▽津梁
(具志川市)▽ヨネマース(豊見城市)の5社と、赤穂あらなみ塩
(兵庫県赤穂市)▽鎌商(神奈川県藤沢市)▽ローストビーフ鎌倉
山食品(同)の3社。

 公取委によると、伯方塩業は01年から04年3月まで、80グ
ラムの瓶詰塩「HAKATA焼塩」を約132万個販売したが、メ
キシコ産塩を瀬戸内海の海水に溶かして製品化したのに、ラベルに
は「ニガリをほどよく残した伯方の塩を焼いた」と表記していた。
ほかの社もオーストラリア産などの塩を使用したのに、「沖縄の特
産海塩」「古くからの塩の産地で製造された」などと表記した。
「昔ながらの薪(たきぎ)炊き仕込み」と表記しながら、重油を燃
料にしていた社もあった。

 公取委は「消費者が特徴ある方法で製造された塩と誤認する恐れ
がある」と判断した。【神戸金史】

 ◇伯方塩業の話

 焼き塩の500グラム入りなどほかの商品では輸入塩と明記して
いたが、80グラムはラベルの表記面積が小さいので欠落した。真
摯(しんし)に受け止め改善する。

http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/07/22/20040722ddm041020193000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「伯方の塩」の原料がメキシコ産なのは天下周知の事実と思って
いました。ネット上でも、このような記事があります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 フジテレビ「トリビアの泉」(9月24日放映)の中で「伯方の塩」
が「伯方の塩はメキシコ産」というタイトルで取り上げられました。

(略)

 「伯方の塩」の袋の裏面(業務用の大袋と焼塩80g瓶は除く)
には「海水を自然の風と太陽熱で蒸発結晶させた輸入塩を日本の海
水で溶かして原料とし」と表示をしています。

 この「輸入塩を原料とし」の表示は26年前から伯方の塩の袋の
裏面に表示をしておりました。

(略)

 そのために、「伯方の塩は伯方島で造っていないの?」という誤
解を受けたことも度々ありましたが、正しい情報を発信するのが消
費者運動から生まれた当社の使命と考え、あえて現在まで表示して
おります。

 「伯方の塩」と同じ時期に発売をされた「赤穂の天塩」や「シマ
マース」、番組に出演していた日本塩工業会(旧・専売公社の製塩
メーカーの団体)の尾方氏が深く関わっている現・センター塩の
「精製塩」や「食卓塩」「クッキングソルト」も同じ輸入原塩を原
料にしていますが、そのことを包装には表示していません。

http://www.hakatanoshio.co.jp/newsrelease3.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「伯方の塩」がメキシコ産と表示しているから、それを使った焼
塩に「伯方の塩を焼いたもの」と表示しても、別に問題ないという
気はしますが、焼塩だけを見たら誤解する、ということなのでしょ
う。

 「シママース」などの沖縄の塩は沖縄で海水から作っていると思
っている人も多いようです。赤穂の塩も同様です。赤穂の塩はメキ
シコ産の塩に中国産のニガリを添加しているのでしたか。

 一部、国内で海水から直接作っているものもあります。これは値
段が全く違うので区別がつきます。塩は1キログラムあたり、高く
ても200円程度ですが、こういうものは千円近くしたりします。

 日本の近海の海水から作ったものがよいとは私には思えないです。
また、海水中の塩分をそのまま残した、というのもウソで、海水の
塩分と食べ物としての「塩」は全く違います。ニガリなどの不純物
をある程度取り除かないと食用にはなりません。

 日本近海の海水からは膜交換法で塩をつくり、天日でつくった塩
を輸入する、というのが現在の日本の塩の基本的な調達方法です。

 そして「自然塩」とよばれる塩は、輸入の天日塩にニガリを添加
したものです。いまさら、という気もしますが、案外知らない人も
いるかもしれませんので、以下に紹介します。

 ところで、塩の輸入状況は以下のとおりです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 食用の大部分は国内生産で膜濃縮+真空式の組み合わせによる。

 日本は世界最大の塩輸入国で全消費量の85%は輸入。メキシコと
オーストラリアの2国に集中。

塩の需要量と供給量 (万トン)
         2003年度 構成割合(%)
要量 生活・業務用  201   22
   ソーダ工業用  707   78
     計     908  100
供給  国内産    126   14
    外国産    774   86
     計     901  100


国別輸入数量(2003年)大口4国 (単位千トン)
メキシコ    3,515
オーストラリア 3,318
中国       410
インド      384

http://www.siojoho.com/s01/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 国産もありますが輸入が多いことがわかります。加工用では輸入
塩をそのまま使いますが、一般に販売されているのは輸入塩を一度
溶解し、再結晶させたものです。このとき、ニガリなどの成分を補
ったものが俗に「自然塩」と呼ばれるものです。

 「自然塩」の方が「精製塩」より加工度が高いという、不思議な
現象がおこっているわけです。だから私は「自然塩」という名称は
やめた方がよいと思います。味は「自然塩」の方が文句なくよいの
ですから、消費者を誤解させてまで、「自然」のイメージをつくる
必要はないでしょう。

 「ニガリ」はもともと塩を作るときに塩から取り除かれる成分で
す。海水を煮詰めて塩をつくると、最初はニガリの多い塩ができま
すが、この成分は潮解性といって空気中の水分をとりこんで、融け
て流れだしてきます。こうして最後に残ったものが、ニガリの少な
い食塩になるわけです。

 ニガリの主成分は塩化マグネシウムで、マグネシウムとカルシウ
ムイオンを大量に含みます。これを水に溶かせば硬水が簡単にでき
ます。硬水というのはマグネシウムとカルシウシウムイオンの多い
水のことだからです。ヨーロッパや中国で、生水を飲まない方がよ
いというのは、大陸の水は硬水だからですね。こういう水をそのま
ま飲むと、硬水に慣れていない日本人はまず間違いなく下痢をしま
す。

 ニガリダイエットというのは、要するに硬水を飲んでおなかを壊
すということを自発的にやっているのだ、という話は先週紹介しま
した。

 「自然塩」に含まれるニガリはごくわずかですので、おなかを壊
す心配はありません。これは不純物を入れることで、味を複雑にし、
おいしくする効果があります。また、漬物などでは腐敗を防ぐ力も
強いように思います。

 基本的にはよい商品なんですが、誤った宣伝方法で、消費者の誤
解の上にあぐらをかいてしまったところがあるのが残念です。そん
な業界の中で、「伯方の塩」が一番まともと評価していたのですが、
今回他といっしょに警告を受けてしまったのは失敗でしたね。しか
も「焼塩」だけなのに、新聞記事では代表格になってしまいました。

 「赤穂の天塩」などはサイトを見ても赤穂の海水から作っている
としか思えない書き方なんですが、警告を受けていないのはどこか
に表示しているのでしょうか。
http://web.ako-kasei.co.jp/a_la_carte/index.html

 「シママース」の方は正直で、こう書いています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 青い海の塩には2種類ございます。シママ−スタイプと自然海塩
タイプです。

 シママ−スタイプは輸入天日塩(オ−ストラリア・メキシコ産)
を一度沖縄の海水に溶かして、それを煮詰めた塩です。
 該当商品:沖縄の塩シママ−ス・真塩・海の華

 自然海塩タイプは沖縄の海水100%を原料にした塩です。
 該当商品:自然海塩・あじま-す・青い海粗い塩
http://www.aoiumi.co.jp/topics/situmon.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 最終生産地が沖縄である、ということには違いありません。塩の
産地表示と原料とは、直接関係はないということです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 暑いですね。今年はわが家でもそうめんが大活躍です。

 たくさんメールをいただきました。そのせいで一部、紹介を次回
にさせていただきました。ご了承お願いします。

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