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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------23号--2000.04.09------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

     プラスチック容器について
     「味醂」その1

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 「容器リサイクル法」という法律があります。この4月から完全
施行され、今まで猶予されていた、紙とプラスチック類の容器回収
がはじまることになります。

 この法律は複雑怪奇なもので、ちょっと一口では説明できないの
ですが、回収の主体が自治体になっているのが特徴です。

 ペットボトルの回収はすでに始めている自治体が多いのですが、
どこも大量の回収品をかかえて、苦労しているようです。

 そもそも、リサイクルすればすべて良し、というわけでもないの
に、回収を自己目的化したことが間違いと思うのですが、これから
はどうなっていくのでしょうか。

 そこで今回は「容器」について。

【ポリエチレン】

 食べ物の容器は、プラスチックがほとんどになっています。多い
のは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、などです。

 ポリエチレンは、やや温かみのある柔らかいプラスチックです。
マーガリンやみその容器をはじめ、中身が柔らかいものを入れるの
によく使われています。ポリエチレンはエチレン(C2H4)が重
合したもので、エチレンモノマーはきわめて安全性の高いものです。

 したがって、添加物が問題になることはありますが、ポリエチレ
ン容器はまず安全なもの、考えられます。外側から見て、紙容器に
見えるものでも、中身が液体の場合、内側にはポリエチレンが張ら
れていることがほとんどです。

 紙、というのは雑多な化学合成物質が大量に含まれていますので、
食品に直接触れることは避けたいものです。巷には、食品用の紙容
器も出回っていますが、そのイメージとは逆に、私は安全面で不安
を持っています。

 ヨーロッパでは、ポリエチレンコーティングなしの紙容器入りの
牛乳からダイオキシンが検出され、原因が紙容器だった、というこ
とがありました。塩素漂白しない紙からは、ダイオキシンは出ませ
んが、それでも安全面では不安ありです。

【ポリプロピレン】

 ポリプロピレンは、ポリエチレンよりはすこし冷たい感じのきれ
いなプラスチックです。フィルムにして、引っ張ってやると、硬く
なるので、「2軸延伸」(縦横に引っ張ったもの)のポリプロピレ
ンフィルムは、お菓子の外袋の定番です。あのパリパリした袋は、
みなさんにもおなじみのものです。

 エチレンより炭素が一つ多い、プロピレンが原料です。安全性な
ども、ポリエチレンに次ぐ、と考えられます。ポリプロピレンとタ
ルク(粘土)を混ぜて成形した、食肉などに使うトレーは、高級感
があって、最近よく見かけます。

 これは単位あたりの熱量が少ないので、炎をあげて、きれいに燃
えるのが特徴です。でも、重量自体が多いので、全体としての熱量
が少ないというわけではありません。

 東京で話題になった、「炭酸カルシウム入りのゴミ袋」と同じよ
うなものです。あれも、重量単位あたりの熱量が少ないので、焼却
炉にいい、ということでしたが、1枚あたりの熱量はかえって多く
なります。何を考えているんだか、というお役人の発想です。

【焼却について】

 ついでに、焼却炉について。東京では、焼却炉の能力が低くて、
プラスチック類は「不燃ゴミ」になっているらしいのですが、全国
のほとんどの都市では、プラスチックは「可燃ゴミ」です。生ゴミ
類が多くなって、重油をかけて燃やしている実態では、プラスチッ
クの熱量もばかになりません。

 ところがこの実情を無視して、東京のローカルな特殊事情だけが
マスコミに流れるのは困ったことです。

【ポリスチレン】

 ポリスチレンは「発泡スチロール」でおなじみです。ポリスチレ
ン自体は、ちょっとガラスのような、硬いプラスチックです。スー
パーなどで売られている、お惣菜の容器で、硬くてきれいなものが
あったら、このポリスチレンが多いです。(ABS樹脂などはもっ
ときれいですが、これはかなり高価です。)

 ポリスチレンを空気で発泡させたものが、発泡スチロールです。
フロンガスを使っている、とか、燃やすとダイオキシンが発生する、
などという人もいますが、事実ではありません。

 スチレンはいわゆる「亀の甲」(ベンゼン環)を含むので、炭素
の割合が多く、普通に火をつけると、不完全燃焼して、黒い煤が出
ます。それで気持ち悪く思われるのですが、家庭用の焼却炉でも、
空気の供給さえ十分なら、問題なく燃えます。

 発泡スチロールはかさばるので、回収が難しかったのですが、こ
のごろでは、「減容」して、かさを減らすことが主流になっていま
す。みかんの皮から取れる「リモネン」に触れると、おもしろいほ
ど簡単に、溶けてしまいます。このリモネンは繰り返し使えるそう
で、これを発見した人は、どういう発想でリモネンと発泡スチロー
ルを結びつけたのか、興味がひかれます。

【塩ビラップ】

 あと、トレーとラップの包装ということになると、発泡スチロー
ルと塩ビラップ、というのが、今でも定番です。

 ダイオキシン問題がうるさくなって、塩ビ追放、などという運動
もあるようですが、私は20年以上前から、塩ビラップから、ポリ
エチレンラップへの変更を要請してきたので、これはちょっと自慢
です。

 塩化ビニールは、塩素を含むプラスチックです。燃焼したとき、
その塩素から、有機塩素化合物ができることは、実は以前から、知
られていました。ダイオキシンは、その中では、生成量は多くない
のですが、毒性が強い、ということで、微量まで分析され、問題と
なっています。

 実は、人間への影響では、ダイオキシンより毒性は少なくても、
はるかに多量でできている、他の有機塩素化合物の方が、大きいと
私は思うのですが、いかがなものでしょうか。

 塩化ビニールの使用量としては、ラップは重量が軽いので、農業
用(ビニールハウス用など)と電気製品、建築関係などに、大量に
使われています。ラップは全廃しても、実は大勢には影響ないのに、
身近なものなので、これだけが取り上げられています。

 つい最近まで、塩ビラップを平気で売っていたのに、このごろ急
に、「塩ビNO!」などといっている生協などには、私はあきれて
います。

 塩ビラップを追放することは、私も賛成なのですが、生協のチラ
シで売っている、電器製品のコードなどに使われている塩ビについ
ては、知らないのか、知らんふりをしているのか、実に恣意的です。

 要するにキャンペーンの材料として使っているだけだと思うので、
真に受けるのはばかみたいです。

 容器のリサイクルやダイオキシンの問題については、以下のサイ
トを推薦しますので、ごらん下さい。

http://plaza13.mbn.or.jp/~yasui_it/

(東京大学生産技術研究所教授の安井至氏のサイトです。)


--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今週はおやすみです。
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--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「みりん」その1
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 味醂(みりん)はお酒の一種です。原料は焼酎ともち米なので、
梅酒などと同じで、リキュールの仲間ということになります。

 もち米に麹をつけて、焼酎の中に仕込みますと、でんぷんが分解
される過程は進みますが、すでにアルコール発酵が進行しないだけ
のアルコール濃度になっていますので、アルコール発酵はおこりま
せん。それで、原料のでんぷんは糖分になって、味醂中に残ります。
これが味醂の甘さの元になります。

 味醂に使う焼酎は、基本的に「米焼酎」です。したがって、焼酎
の醸造というのは、日本酒の醸造と、その蒸留によって作られます。

 味醂のメーカーでは、焼酎の醸造と、その焼酎を使用した、味醂
の醸造との2回、醸造を行うことになります。しかし、この焼酎を
自家生産しているメーカーは、あまりなくて、たいていは韓国など
から、焼酎を輸入しているそうです。

 味醂はお酒ですので、酒税がかかっています。ところが、実態と
しては調味料ですので、他の調味料と価格面で比較されるのが、つ
らいところです。

 味醂を酒として飲む人は、私は見たことがありません。ものの本
では、上等の味醂を「本直し」と称して、好んで飲む人がいる、と
いうことですが、はたして今でもいるのでしょうか?

【本味醂以外の「みりん」】

 酒税を逃れる方法として、「塩味醂」というやり方があります。
塩を入れることで、酒としては飲めないので、酒税の対象からはず
れる、というわけです。あとから塩を添加するのではなく、仕込み
の段階で、税務署に承認をもらうのだそうです。

 塩分はなめるとかすかにわかる程度で、料理の塩加減を左右する
ほどのものではありません。

 みりん風調味料、というものもあります。これは味醂に似せた味
を作ったもので、糖分が主体の甘い調味料です。

 味醂という調味料の特徴は、独特の照りを出すのと、魚などの臭
みをカバーする、というところです。

 そういった意味で、みりん風調味料は全般に調味料としては、力
不足だと思っています。

【味醂の使い方】

 味醂は基本的に焼酎なので、かなりのアルコール分を含みます。
料理に使って、酔っぱらう人が出ないのは、アルコール(エタノー
ル)は70度くらいが沸点ですので、水が沸騰する温度では、みん
な蒸発してしまうからです。最初に味醂だけを火にかけて、使用す
るのを、「煮切り味醂」と称します。

 味醂といえば、照り焼き、かば焼きなどに欠かせないものです。
あの独特の色と香りは、味醂と醤油の合作になるものです。味醂中
の糖分と、醤油中のアミノ酸とが結合する反応が起こって、あの独
特の風味が出る、と考えられます。

 この反応は、一般的によく見られる反応です。味噌や醤油が時間
とともに黒くなっていくのも、自然にこの反応が進んでいくからで
す。

 そばつゆには、味醂と醤油をほぼ等量混ぜて、瓶に入れ、1年以
上寝かせた、「かえし」と呼ばれるものを基本に使います。そばは
麺自体の風味が強いので、つゆもそれに負けない力がいるのだ、と
メーカーの人は言っていました。

 市販のものでも、「そばつゆ」は「そうめんつゆ」などとは味が
違いますが、こんな「かえし」を使ったそばつゆというのは、あま
りないと思います。

【三河味醂】

 「三河味醂」といって、愛知県の三河地方が味醂の産地になって
います。ところが、一般名詞の「三河味醂」と、固有名詞の「三河
味醂」とがあって、話がややこしいのです。

 三河のさるメーカーが、「三河味醂」という商標登録をしている
のですが、本来、一般名詞であるものを商標登録してしまっている
のはたいへん珍しく、他では聞いたことがありません。

 「鳴門わかめ」とか、「稲庭うどん」とかの名前が、特定のメー
カーの商標になっているようなものです。

 さらにその上、このメーカーが自然食品系の販路を広げていった
ので、自然食関係の業界では、「三河味醂」は特別のもの、という
ことになっています。

 非常に高価な値段で売られている、この「三河味醂」は、原料の
焼酎も自家製の、確かな品質のものではあるのですが、あの価格は
ブランド代というものです。中身が値段ほど特別のものであるわけ
ではないと私は思います。

 「三河味醂使用」とか、「和三盆糖使用」とか、とかく付加価値
をつけたがる、自然食業界では、こういったブランド品は、名前が
売れているということ自体が価値を持つのです。

【まとめ】

 味醂は人によって、使用量がたいへん違います。私なども面倒な
ので、あまり使わない方ですが、料理の腕と味醂の使用量には相関
関係がある、という説もあります。

 いろんな場面で、醤油や砂糖がけでなく、味醂を少し使うと、味
のグレードが上がるのは確かなようです。あまり使っていない人も、
ぜひお試しください。

 「本みりん」がおすすめですが、「塩味醂」でも良いものもあり
ます。「みりん風調味料」というのは、かつての貧しかった時代の
産物であると思いますので、おすすめしません。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 ここのところ、メールが少なかったので、今回はQ&Aはおやす
みしました。

 プラスチックや包装関係の話はいままで避けてきましたが、時節
柄、取り上げてみました。いかがでしたでしょうか?

 前回、四国八十八所の話をちょっと書いたら、徳島の方からメー
ルをいただきました。第五番の札所の近くだそうです。八十八所は
淡路から四国に入り、徳島、高知、愛媛、香川の順に四国を一周し
ます。四国の、ほぼ海岸沿いに、八十八もあるので、平野部ではか
なり密集しています。第五番のあるあたりも、そんなところです。

 父が昨年末に死んだので、今でもときどきお経をあげています。
(テープがあって、それについて練習しています。)これで私も、
仏教徒だ、と答えられるようになったので、ちょっとうれしいです。

 でも、巡礼はちょっときびしい。なにしろ最近は一日中家でパソ
コンのお守りをしているようなもので、体力には自身がありません。
大峰山の修験に誘ってくれる人もいるのですが、しり込みしている
ところです。

 ということて、メールお待ちしています。

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