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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------219号--2004.01.18------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「卵」「どぶろく・紅花油・合成着色料(Q&A)」
「遺伝子組換え作物」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 卵について、こんなニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 京都府城陽市の山城養鶏生産組合(西田詔子代表理事)が、昨年
6月に採れた冷蔵保存の鶏卵約5万個を「12月2日採卵、11日
賞味期限」のラベルを付けて京都、大阪両府のスーパーや生協など
に出荷していたことが京都府の調べで分かった。腹痛などを訴えた
消費者もいたが、因果関係は不明という。

 同府によると、6月19日に採れた約10万個のうち約5万個が
売れ残り、業者の冷蔵庫(2度前後)を借りて保管。組合は賞味期
限を採卵後10日としているが、保管料がかさんだため、外見上、
異状がないとして12月2日に出荷した。

 消費者から「味がおかしい」との苦情を受けた小売店などが同8
日、府宇治保健所に届け、府が同日、回収を指示。組合によると、
これまでに1万個余りを回収したという。組合は出荷を判断した女
性責任者を今月1日付で懲戒解雇した。

 保健所の調査で22人に腹痛や下痢などの症状が見られたが、ほ
とんどが既に回復。食中毒菌も検出されなかった。府は組合に品質
管理徹底を文書指導したが、「卵と腹痛などとの因果関係は不明」
としている。

 京都府生活衛生課によると、卵は調理する場合なら、チルド状態
(0〜氷点下2度での冷蔵)で5、6カ月は保存できるとされる。
10度での保存なら約2カ月は品質に問題がないという。食品衛生
法では卵は賞味期限表示が義務付けられているが、日数は業界の判
断に任されている。採卵日表示の法的規定はない。

 組合の西田敏農場長は「低価格と売れ行き不振が続き、担当者が
判断を誤った。消費者や取引先におわびしたい。他に同様のケース
はない」と話している。【梅崎亮】(毎日新聞)

[1月12日1時28分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040112-00000038-mai-soci
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 悪名高い京都生協の「さくらたまご」がとうとう馬脚を現した、
という感じですね。さくらたまごというのは卵殻が薄い茶色をした
卵で、今では珍しくなくなりましたが、市販の卵が白いものばかり
だったころにゴトウという国内の種鶏メーカーが売っていた鶏の卵
です。

 京都生協ではこれを白い卵より高い値段で売っていたのです。殻
の色だけで商売をするなんて、生協としては最低だと私は思ってい
ました。

 卵の殻の色は鶏の品種で決まります。白い卵は卵専用種、茶色い
ものは肉卵兼用種出悪ことが多いのですが、卵専用種でも茶色い卵
を産むものもあります。栄養的にはどちらも変りません。

 市販の卵が白いものが圧倒的なのは、改良された鶏の品種が白い
卵を産むものが主流だったこと、茶色い卵は肉斑が出ることが多く、
市場できらわれていたこと、卵殻を利用するとき、白一色の方が使
いやすいことなどが理由としてあります。

 そういう市場に、色の違う卵を持ち込んだのは一つのアイデアで
した。茶色い卵が一定の消費者の支持をうけるのは間違いないです
から。しかし生協が「さくらたまご」として売り出したときには私
は彼らの良心を疑ったものです。生協が売れば何かこの卵が良いも
のであるかのような誤解をされることを期待した、ほとんど詐欺の
ようなものです。

 閑話休題。実は卵を半年くらい保管してから売り出すことは珍し
いことではありません。賞味期限を義務づけられてからはあまりや
らなくなったと思いますが、以前は夏の卵価が安いときに大量に仕
入れ、年末に売り出すなどということはどこの大手スーパーでもや
っていました。

 それで別に品質で問題をおこしたりはしなかったのです。今回の
養鶏場でも、たぶん卵の生産調整でいつもこのようなことをやって
いたのではないかと思います。

 ところが今回は卵が悪かったのでばれてしまったわけです。これ
は保管方法に問題があったのでしょう。冷蔵倉庫に入れていた、と
ニュースにありますが、本当に冷蔵していたらこんなことにはなら
ないと思います。冷蔵庫に入れていなかったか、冷蔵庫の温度管理
ができていなかったかでしょう。

 常温で半年おけば、今回のような騒ぎになることは当然です。冷
蔵するコストがかけられないなら、安くても叩き売りするしかない
のですが、生協が高く買ってくれるので、それもしたくなかったと
いうことだと思います。

 出荷した養鶏場の責任はもちろんですが、私は「さくらたまご」
を売っていた生協の責任が重大だと思います。別に何色の卵を売っ
てもいいんですが、「さくらたまご」を別枠で扱うなどというあざ
とい商法は養鶏場のためにもなりませんから、やめてほしいもので
す。

 鶏はご難続きで、こんなニュースもありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 農林水産省と山口県は12日、同県阿東町の採卵鶏農場で病原性
の強い鳥インフルエンザが発生したと発表した。国内での発生は1
925年以来79年ぶり。発生農場は9日から鶏卵の出荷を自粛し
ている。山口県は12日、家畜伝染病予防法などに基づき発生農場
で飼育している鶏約3万羽すべての処分と、半径30キロ以内の1
1市町村の養鶏場30カ所に対して鶏や卵の移動制限を命じた。こ
の農場は03年12月28日以降、山口市を中心に県内の小売店約
100店に鶏卵約22トン(約35万個相当)を出荷しており、厚
生労働省と県は自主回収を指導した。

http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/895268/92b983C839383t838b83G839383U-0-11.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このところ韓国の家畜衛生状況は最悪で、鳥インフルエンザも猖
獗をきわめています。日本に飛び火する可能性は強かったのですが、
とうとう現実になってしまいました。

 中国や香港では人に感染して問題になっています。人と鶏の距離
が近すぎると、こうした心配は充分あります。今回も、この養鶏場
の職員はかなり危険な状況にあったと思います。

 ただ、養鶏場の近くにいない人にとってはほとんど危険はないよ
うです。肉から移ることもまず考えられないと思います。

 今後、韓国のように流行する可能性はありますから、養鶏業界に
とっては大問題です。他に飛び火せず、終結することを願いたいで
すね。

 この近県で役人がいっせいに立ち入り検査をしたそうですが、こ
れは危険です。だいたい、養鶏場の間を病気が伝染するのは、人が
行き来するからです。同じ役人が何か所も検査したら、病気を広め
に廻っているとしか思えないです。その辺はどうなっているのか、
情報がなくてわからないのですが、ちょっと心配です。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.初めましてインド在住のものです。「どぶろく」を作ろうと思
い酵母?麹菌?(間違っていたらすみません)を探しています。と
ころが販売所がわかりません。(現在日本に来ていますので買って
帰りたいと思っています)

 現地のウイスキーなどは混ぜ物が多く体によくありません。また
メチルを混入したものもあり危険です。

 お酒(どぶろく?)の作り方と発酵させる菌の入手方をご教授い
ただけませんか。どこでお尋ねしてよいかわかりません。貴HPで
拝見しましたので、失礼ながらメール遅らせて頂きました。よろし
くお願いします。

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A.どぶろくの原料は米ですよね。米のでんぶんを糖に変える麹カ
ビと、糖をアルコールに変える酵母があればできます。

 「どぶろく 作り方」でネットを検索すると、いろいろと作り方
を書いたサイトがあり、麹や酵母を売っているところもあります。

 ただし、どぶろく作りは日本では違法行為ですから、適法性に関
しては大いに疑問があります。

 インド在住ということで、インドでは問題ないのでしょうか。

 麹カビは味噌や醤油を作るのに使われるのと同じアスペルギルス
属のものです。また、酵母はパンを作るサッカロミセス属のもので
す。

 したがって、味噌用の麹とパン用の酵母で代用できます。どちら
も普通にスーパーで売っていると思いますので、探してみてくださ
い。

 酵母は生イースト、またはドライイーストという名で探します。
ドライイーストの方が乾燥したものなので、インドまで持っていく
のに便利でしょうね。

 麹も同じように乾燥したものがあると思います。

 インドの気候では難しいかも知れませんが、挑戦してみてくださ
い。

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Q.賞味期限が数年たったスチール缶入りの紅花油は使用すると体
にどんな害を及ぼすおそれがありますか?

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A.缶入りの油は変質しにくいものです。油の変質は酸素と光が大
きな働きをします。スチール缶なら両方をシャットアウトできます
から、かなり保存性はよいものです。

 また、油には変質しやすいものとしにくいものとがあります。こ
れは油の中の脂肪酸の成分と、ビタミンEなどの酸化防止物質の量
によります。

 紅花油はリノール酸が特に多く、悪くなりやすい油です。油が悪
くなるというとき、中に過酸化脂質ができていることが多いのです。
缶入りで酸素の供給がないので、それほどひどくないはずですが。

 結論としては、少しくらいの賞味期限超過なら平気ですが、数年
となるともうやめておいた方が無難でしょうね。

 たぶん食べても何ともないと思いますが、あえてそんな危険を犯
す必要はないと思います。

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Q.合成着色料には、発がん性の可能性になるほか、何か効果はあ
るのですか?

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A.よくこんなことを聞かれますが、わが国の政府は発ガン物質を
食品添加物に指定するほど悪辣なものではないですよ。

 合成着色料は食品添加物の中では比較的毒性の強いものです。し
かし使用料も少ないので、特に害があるとは思えません。

 着色という、あまり積極的に意味があるとは思えない使用目的や、
ちょっと毒々しい色のため、食品添加物を批判する人はよく目の敵
にします。

 それはそれでよいのですが、発ガン性があるとかまで言うのはち
ょっと言い過ぎでしょう。

 こういうウソではなく、着色された商品より、着色しない商品の
方が売れるようになれば、自然と解決する問題だと思います。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「遺伝子組換え作物」
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 前回にお知らせしました、「バイテクの支配者」という書籍を紹
介します。

「バイテクの支配者」
LORDS of the HARVEST
−遺伝子組換えはなぜ悪者になったのか−

ダニエル・チャールズ著 脇山真木訳
東洋経済新聞社 発行

 著者はジャーナリストで、モンサントをはじめとする遺伝子組換
え技術の発展の当事者から、膨大な取材をして、どのようにして遺
伝子組換え技術が成立し、どのように市場に進出していったかを克
明に追っています。こういうのをジャーナリストの仕事というのだ
なあ、と改めて関心させられる内容です。

 日本語版の前書きで、著者はこう書いています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 「どちらも恥を知るべきだ」。この対立をずっと見守ってきた私
はこう思う。食品の安全についての公平さに欠ける恐怖の煽動も含
め、有効であればどんな戦術でもとってきたバイテク反対派は、恥
を知るべきである。また、植物の遺伝子を、資本主義と利益本位の
シンボルに変え、外国での反応や態度、規制にまったく敬意を払わ
ずに、新製品を市場に送り込んだモンサントも恥を知るべきである。

 いったいどうしてこんなことになってしまったのだろう。そのこ
とを書いたのが本書である。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 こうして語り始められる物語は、まず遺伝子組換え技術の出発と、
モンサントという企業が社運をかけてそれにのめり込んで行く、ス
リリングな物語ではじまります。

 第二幕はようやく遺伝子組換え技術による新品種の作出に成功し
たモンサントが、種子業界、そして農業の世界にどう切り込み、支
配しようとしたかを語ります。

 第三幕では主にヨーロッパでの反対派の巻き返し、遺伝子組換え
技術とは直接関係のない世界での戦いが待っていました。その結果、
モンサントはおおいに傷つき、結局スウェーデンの企業に買収され
る運命となったということです。

 モンサントというと世界の農業を支配する巨大企業だと私は思っ
ていましたが、実は売り上げ50億ドル程度の会社だったとは驚き
でした。この程度の会社が、農業界のマイクロソフトを夢見て奮戦
したのです。

 かなり善戦したのですが、結局、モンサントはマイクロソフトに
はなれなかった、という結末だったようです。一番の違いはその土
俵にあったでしょう。

 生まれたばかりのパソコンの世界と違い、農業の世界は数千年の
歴史と数十億の顧客を持つ、圧倒的に巨大で複雑な世界だったとい
うことです。

 私がかかわっていた時代、1996年〜1998年ころがモンサントの絶
頂でした。そのころ私は、遺伝子組換え技術そのものには反対では
ないけれど、一つの技術が世界を支配するような、この流れはここ
で押しとどめるべきだと考え、反対運動に加担していました。その
努力は無駄ではなかったということです。世界中の反対に押され、
結局一社による農業支配は夢となったと書かれています。これには
少し安心しました。

 ただ、この反対の声をあげていくなかで、多くの恥知らずたちが
紛れ込んできたのも事実です。モンサントと訴訟を争い、日本では
モンサントの犠牲者ないしは戦うヒーローのように言われている、
カナダのシュマイザー氏の畑のナタネは、実はモンサントから買っ
たもので、その証拠もあるそうです。花粉が風に乗って飛んできて、
自分の畑のナタネが知らないうちに除草剤耐性を持ってしまったと
いうのはやっぱりウソだったのです。

 「買ってはいけない」という本の第二弾は、内容の大半を遺伝子
組換え作物に対する批判が占めていました。他に書くことがなかっ
たというのが真相でしょうが、それもカラぶりに終ったようです。

 今こそ、心ある消費者と開発側とが、ウソいつわりでなく、目先
の利益目当てでなく、対話をはじめる時だと思います。そういう意
味で、昨年、モンサントやデュポンの日本事務所が、反対派の意見
を締め出す態度をとったことは大変残念なことです。

(昨年、私が出る予定だった会合の主催者(企業側の代表者で構成)
が、私が遺伝子組換え作物反対の立場であることを理由に、出席を
キャンセルしてきた事件のことを言っています。その後、言い訳の
文書を送ってきましたが、あまりに馬鹿馬鹿しい言い訳だったので、
無視しています。)

 もちろん、恥知らずの反対派にも責任の一端はあるのですが、農
業の未来を開くためにも、もっとオープンな心で対応してほしかっ
たと思います。

 読み物としても絶対面白いです。遺伝子組換え技術に関心のある
人は、ぜひ読んでほしいと思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 冬休みに帰って来ている息子がレポートを書いていて、その内容
が「遺伝子組換え実験のまとめ」だったのには驚きました。高度な
技術だと思っていた遺伝子組換えというのは、学部の授業でみんな
で実験するようなものになっていたのですね。

 もちろん、細菌に遺伝子を導入する実験から、実際に商用の作物
を作出するところまでははるかに隔たりがあえます。しかし、根本
に使われている技術は今やそんな簡単なものになってしまったわけ
です。

 いずれ中学校の理科の実験でも、こんな実験をする時代が来るの
かも知れません。モンサントがそれまで待つことができれば…、あ
るいは遺伝子組換え作物を無償で公開し、自分たちは除草剤の売上
増加だけで満足できる節度を持っていれば…。紹介した本を読んで、
私はそう思いました。

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