安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>215号


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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------215号--2003.12.21------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「生肉・米油・有機JAS法(Q&A)」
「牛肉トレーサビリティー」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

>>このごろ,マスコミで食べ物に関する煽りネタが減ったような気
>>がします。

 毎日のように無農薬・有機野菜とひたすら煽りつづけてると思い
ます。少なくとも聞かない日はありません。

 マスコミ・消費者が無農薬・有機野菜を評価するのはわかります。
では、農薬を使わないことによる収穫減は相対的にみれば危険なの
ではないでしょうか?全て日本国内の農業が全て有機農法・無農薬
農法に変わった場合のリスクはどうなんでしょう。たいていの場合
収穫量が減る無農薬栽培・有機農法で享受できる安全とはごく一部
の人間だけのものではないのでしょうか?

 それこそ奇麗事ですしそれが民主主義なのはわかりますが、一部
の人間だけが享受できる安全と全体で享受できる安全なら後者を取
りたいです。が、昨今のマスコミ・有機農法グループの煽りの惨さ
を見ていると心配になります。(デメリットまで報道しているのは
NHK以外では見たことないです)

 このような考えになるのも現状からの減農薬は消費者のためでな
く農業従事者のための物だと思ってるせいかもしれません。その面
を中心にメリットデメリットを考えて無理のない範囲で行われるな
らあまり文句はないんですけど。

 余談です。マスコミにしろ誰にしろ煙草の害はうるさいですけど
暖炉や薪ストーブ・囲炉裏に対しては大抵憧れですよね。煙草の煙
も暖炉からの煙(日常生活に密着している場合)は同じぐらいのリ
スクがあると思います。郷愁や現在ほとんどないからこそありがた
るんですかね

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 先日、珍しく遅く帰ったら「北の国から」というドラマの再放送
をやってました。畑に「疫病」が出て、トラクターで農薬をまく場
面があり、その畑の農民が「土が死んだ」などと言ってました。

 まるで魔法の薬か悪魔の薬のような扱いですね。

 「疫病」というのは要するに植物の病気の総称でして、そんな病
気があるわけではありません。リアルな病名を調べる手間をはぶい
てはいけませんね。

 ドラマの設定から、適切な病名を調べ、適合する農薬を調べ、そ
の農薬の効果と毒性を調べるという基本的な努力をしていないので、
結局農薬が魔法の薬になってしまうのです。

 こういう粗雑な考えの人は「農薬=悪、有機農業=善」という実
に簡単な図式で納得しているようです。私はそれでは小学生なみだ
と思います。

 いわゆる有機農業というのは、その無知につけ込んで、一儲けを
企むものです。これは非難すべきではないのですが、行き過ぎると
自分の首を締めることになるところもあります。

 私は有機農業推進派でして、無知な都会人はおおいにだまして儲
けるべきだと考えています。しかし、事実関係までウソをつくと、
いずれバレるときがきます。

 こんな記事がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 琉球食糧が販売した鹿児島県産コシヒカリ100%表示の商品に
別品種のコメが混入していた問題で、田代社長は二十日、本社で記
者会見し、仕入れ先の生産農家一戸の玄米に別品種がまざっていた
ことを明らかにした。田代社長は、消費者に陳謝しつつ、「自社工
場の混入ではなく、ほっとしている。今後は定期的に玄米をDNA
鑑定するなど、再発防止に取り組みたい」と話している。

 同社によると、鹿児島県の一農家が出荷した九トンのうち、二・
一―二・四トンの別品種が混入していた。玄米に52%、商品三点
には24―28%の別品種混入が認められた。別の農家の玄米に混
入は見られなかったという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200310211300.html#no_1
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 農家が純朴で、ウソをつかないというのは単なる思い込みです。
実際は農家のウソがやっかいで…。

 まだまだこういうことは出てくると思います。

 つぎはこんにゃく屋さんからです。こんにゃくは普通黒っぽい色
をしていますが、あれは海藻で着色しています。本当のこんにゃく
の色は糸こんにゃくのように、ほとんど無色なんです。

 どうしてこんにゃくを着色するようになったのか?という疑問に
答えてくれました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 初めまして。有機栽培のこんにゃく芋を探し求めている、岐阜の
小さなこんにゃく屋です。食べ物情報読ませていただき、大変、勉
強になりました。現在、有機栽培のこんにゃくを扱っていきたいと
がんばっているところです。現実はキビシイですが。なにせ、小さ
な店ですので、人手がない、時間がない、知識も、金もない...。
でも、がんばります!

 どうしてこんにゃくに着色するのか?それはですね、水酸化カル
シウムがなかった昔は草木灰を水に溶かしたものを凝固剤につかっ
ていました。そのためこんにゃくは黒っぽい色に。それで今でも、
黒っぽく作られているんですよ。ほんとは黒より灰色なんです。

 うちも一度草木灰を使ってこんにゃくを造ろうと目下のところ作
戦会議中です。また、こんにゃくの話、書いてください。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 なるほど、また一つ疑問が解決しました。どうもありがとうござ
いました。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.生肉を軟らかくする、調味料は何かないですか?ちなみに牛た
んなんですけど!!体にあんまり害のないものがあれば、教えてく
ださい!お願いします。

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A.添加物というのは家庭で使うものではないですよ。

 パインナップルなんかの持っているたんぱく分解酵素を使う、と
いうような話はあります。

 でも、普通はじっくり煮込むか、薄くスライスして焼くかでしょ
うね。塊のまま焼いたらやっぱり固すぎると思います。

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Q.タイ旅行のおみやげで現地の大型デパートの食品売り場で米油
を買いました。何日か経って開けようとして取り出したら、容器の
底の部分が白く沈殿していました。ちゃんと封を切らずに冷暗所に
保管していたのですが気になります。このことについて何かご存知
でしたら教えてください。

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A.これは実はよくあることなんです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 冬の寒い日、また冷蔵庫などで保存していた場合、油が白く濁る
ことがあります。これは油の中のろう分が低温で固まってしまう現
象で、室温で元に戻ります。品質には変わりありませんので、安心
してお使いください。

http://www.ajinomoto.co.jp/hiroba/qa/qa_oil07.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この現象がひどくなったものだと思います。「サラダ油」という
のはこういう濁りの成分をできるだけ取り除いたものです。

 問題の油はそういう処理をあまりしていないものなんでしょうね。

 油の品質としては問題ありなんですが、日本で売られている食用
油がいかに精製されているかということでもあります。

 気にせず使って大丈夫だと思いますよ。

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Q.汚泥コンポストや給食残渣、抗生物質を使用している蓄糞等を
使用した堆肥はJAS有機で使用できますか。

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A.有機JAS法では、このように書かれています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ほ場等における肥当該ほ場等(ほ場及び採取場をいう。以下同じ。)
において生産された農培管理産物の残さに由来する堆肥の施用その
他の当該ほ場等若しくはその周辺に生息若しくは生育する生物の機
能を活用した方法のみによって土壌の性質に由来する農地の生産力
の維持増進が図られていること(当該ほ場等若しくはその周辺に生
息若しくは生育する生物の機能を活用した方法のみによっては土壌
の性質に由来する農地の生産力の維持増進を図ることができない場
合にあっては、別表1に掲げる肥料及び土壌改良資材のみを使用し
ていること。)。

http://www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/heya/yuuki-nousannbutukikaku.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

それで、別表1ではこういうものが認められています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

農産物及びその残さに由来する堆肥(化学的に合成された物質を添
加していないものであること。)
家畜及び家禽排泄物に由来する堆肥(〃)
食品製造業等に由来する堆肥(〃)
生ゴミに由来する堆肥(〃)
バーク堆肥(〃)

http://www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/heya/yuuki-nousannbutukikaku.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 本当のところは認定機関に問い合わせないとわかりませんが、こ
の解釈ではOKのように思います。

 ただし、私は有機JAS法でOKであっても、農地以外からの有
機物の投入、とくに廃棄物由来の堆肥については、安全のうえから
はあまり好ましくないと考えています。

 法律はあくまで形式を規定しているだけでして、安全性を確保す
るという観点からは見ていません。

 法律に適合していればそれでよいというわけではないと思います。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「牛肉トレーサビリティー」
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 今、食品業界はトレーサビリティということにかなり真剣に取り
組んでいるようです。卵に番号がついていて、その番号でいつ、ど
こで生れたものかわかる、というシステムも作られています。
http://www.akitatamago.jp/

 青果については国が情報公開のデータベースを提供しています。
http://seica.info/

 この12月から、牛肉トレーサビリティー法というものが施行さ
れています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 牛肉トレーサビリティー法の目的・概要

 平成13年9月に国内で初めてBSE(牛海綿状脳症)が発生し
たことを契機に「消費者の信頼をとくに強く確保する必要」と「B
SEまん延防止のための基礎」とするため、すべての国内牛に義務
付け装着される『個体識別番号』を消費者に伝達することが目的で
す。

 トレーサビリティーとは、「トレース」(=追跡)と「アビリテ
ィー」(=可能・能力)の造語で、生産・流通履歴の追跡を可能に
する仕組みのことで、同法案は6月4日に成立し、同11日に公布
され、生産段階は今年12月1日・流通段階は来年(平成16年)
12月1日に施行されます。

 その概要は、

 生産者の義務

1.子牛が生まれた時に、出生年月日・雄雌・母牛の個体識別番号の
届け出

2.個体識別番号を記入した耳標の装着

3.牛を販売した時に、年月日・販売先などの届け出

4,耳標の取り外し、耳標のない牛の売買の禁止

 流通業者の義務

1.個体識別番号の伝達・表示(牛肉のパックや店舗の見やすいとこ
ろに表示)

2.伝達情報の記録・管理

3.対象は、国産牛肉を扱う卸・小売・焼肉店などの外食業者(焼肉
店などの外食業者については、事前に特定料理提供者として認定・
公表)

 国は、

1.牛個体識別台帳の作成・管理

2.DNA鑑定による確認

3.インターネットで情報を公表する

役割を担い、消費者に対して安全・安心の牛肉(ひき肉・小間切れ
(切落)等は法案から除外され、概ね国内で流通する国産牛の70
%が適用)を供給する仕組みです。

http://www.fs.zennoh.or.jp/fkr-dayori/200309/p4-5/p4-5.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 牛に耳標をつけた話は以前にありましたか、いよいよ本格的にそ
の情報を公開するシステムをつくるようです。あと一年で国産牛肉
を買ったり、焼き肉を食べたりしたとき、その牛の履歴がわかるよ
うになるということです。

 本当にできるのかな?などという疑問はありますが、このシステ
ムの特徴は

1.DNA鑑定を用いて情報の正しさを証明する。

2.焼き肉店などでも情報の公開を求める。

というあたりです。DNA鑑定までやるとはなかなかマニアックで
す。ここまでシステムを肥大させなくてもよいような気がします。
お役人が考えるシステムはどうしても大げさになりがちです。

 でも、業界の実態からすればこういう手段もとっておかなくては
いけないという判断なのでしょう。

 農水省のサイトにトレーサビリティについてのページがあります。
http://www.maff.go.jp/trace/top.htm

 情報は家畜改良センターというところのサイトで公開するようで
す。
http://www.nlbc.go.jp/

 焼き肉店の協会から、こんなパンフレットがでています。

国産牛肉トレーサビリティ導入手引書
http://www.yakiniku.or.jp/sei/trace/tebiki.pdf

 焼き肉を食べに行って、今日の肉は何番の牛を使っています、な
どという表示を目にすることになるわけです。輸入肉や内蔵肉は関
係ないので、一部だけになりますが、真面目に取り組む方向でキャ
ンペーンしているようです。

 内蔵肉(いわゆるホルモン)は輸入が多いのですが、国産牛の内
蔵肉ももちろんあります。ただ、屠畜場で枝肉になる前に取り分け
られ、別に流通するシステムですので、内蔵肉の履歴を明らかにす
るのは不可能だと思います。

 枝肉には腎臓だけはついています。何故そうなっているのかはよ
く知らないのですが、牛の健康状態を確認するためだ、という話を
聞いたことがあります。牛肉のおまけについている脂肪の塊は、こ
の腎臓のまわりの脂肪を切り取って作ります。

 内蔵肉以外も、当然輸入肉が多いはずです。だから、こうした表
示があるところが一流店ということになるのでしょうか。

 このシステムについて、農水省のお役人はこう言っています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

農林水産省・鈴木富男さん(総合食料局消費生活課課長補佐)に聞
く トレーサビリティ 3つのねらい

 トレーサビリティは、基本的な考え方として「農業者や食品事業
者の情報開示活動の推進」を目的として取り組んでいます。 狙い
は3点あります。

 まず「食中毒などの食品事故が発生した場合、原因の究明あるい
は問題となる食品の速やかな回収」といった危機管理面でのマネジ
メントツールとしての側面。

 2点目は、消費者の皆さんが外食中心の食生活にどんどん変わっ
てきている。しかも食品流通が広域化してきている。そうしますと、
食べ物を供給する側と食べる人との間が複雑になり距離も遠くなっ
てしまっている。つまり、食品がどういうふうに作られてどういう
供給ルートで来たのか分かりづらくなってきている。そういう「供
給プロセスの透明性の確保」としてのツールの側面。

 3点目として、消費者の人たちは食べることによって「より健康
にいい」とか「環境に優しい」といった「新しい価値のサービス」
を求めるようになってきました。そういう消費者に対して「では、
食品提供者は価値の提案活動ができているか」というと、加工食品
に比べ生の生鮮肉や野菜などの一次産品の場合、これまでのところ
なかなかできていないのが現状です。そういう「付加価値をつける」
ためのツールとしての役割。

 この3つの側面からトレーサビリティを推進したいと考えています。

http://www.yakiniku.or.jp/sho/trasa.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 耳標の利権で大儲けをしたウワサは聞きますが、その耳標を元に
こうしたシステムが動きだすことになりました。この「付加価値」
を消費者がどう評価するのか、もう一つ心配です。

 マスコミの報道もそんなになかったと思います。システムの本格
稼働は来年の12月からですから、今は生産者側で準備している段
階というところですね。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 いよいよ年末になってきました。みなさん忙しいせいか、今週は
いただいたメールがいつもより少なかったです。

 世界中ではいろいろと大変なことがありますが、日本国内は何と
なく平和な年末です。こんなことを言っていたら叱られそうですが。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
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