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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------21号--2000.03.26------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

     「牛」
     「ヘキサン」
     「そうめん」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 牛を買いにいったときの話です。

 牛というのは、もちろん牛からしか生まれてきませんので、お母
さんも牛です。

 母牛には2種類あって、子を産むためだけに飼われている、専業
の牛と、牛乳を出すために飼われている、職をもった、牛がありま
す。

 専業の母牛はどのような品種でも良いのですが、乳牛には、その
ために改良された品種を用いますので、ホルスタイン種という、例
の白黒模様の牛が主になります。

 「和牛」というのは、日本の在来種を外来種で品種改良した牛で、
「黒毛」「褐毛」「短角種」などがあります。

 和牛などの、肉専用種の話は別の機会にして、今回は「乳用種雄
の若年肥育」というものについてです。

 乳牛というのは、あたりまえの話ですが、子を産んだあと、乳を
だします。そこで、毎年、種付けをして、連続して子を産ませるよ
うにします。見学に行くと、たくさんの乳牛がいますが、ほとんど
が実は妊娠中で、次のシーズンには、また子を産むのです。

 産まれてきた子は、雌であれば、乳牛として育てられます。関西
では、乳牛になるまで、北海道の育成牧場に預けて、育ててもらう
ことも多いようです。

 雄の子牛は、かつてはすぐに処分されていました。北海道の開拓
時代、生まれてくるのが雌ばかりだと、順調に経営できるが、雄が
続くと、やっていけなくなる、などという話もありました。

 最近では、この乳用種の雄を肉用に肥育するようになり、牛肉の
価格安定に貢献してきました。産まれてすぐ、育成農家に渡され、
約半年、子ども時代を過ごします。半年たって、体重が300〜400kg
くらいになったところで、セリに出荷されます。

 肥育農家は、このセリで、素牛を購入します。私の行ったところ
は、電子式で、ボタンを押しつづけていると、どんどん値が上がっ
ていく、という油断ならないシステムでした。

 1頭ずつ、引き出されてきますが、見る人が見ると分かるらしく、
値段はかなり差がつくものです。もちろん、素質がよい、と判断さ
れたものが、高くなるわけです。

 この時点では、まだ雄のままです。このあたりまでは、去勢しな
い方が、健康に、大きく育つということです。

 セリで落とした牛はそのままトラックに載せてつれて帰ります。
子どもといっても、 400kgもあれば、そばに寄ると怖いほど大きい
のですが、牛というのはとてもおとなしい動物で、文句もいわずに
荷台に乗って行きます。

 同行した専門家の話では、ときたま、暴れることもあるようで、
暴れ出したら、人間の力では取り押さえることは不可能だというこ
とでした。

 関係ない話ですが、競馬界に女性騎手が登場したとき、「女に馬
が押さえられるか」という偏見があったそうです。武豊騎手は、
「馬とけんかして勝てるやつはどこにもいないよ。」といって笑っ
ていましたが。

 で、どうしたかというと、猟銃を持っている人を呼んできて、射
殺するのだそうです。なにげなく見学していると、彼らが実はそん
な危険なものでもある、ということは忘れそうになりますが、油断
大敵です。

 購入してきて、最初にするのが、「鼻輪」をつけることですが、
落ち着くとすぐに「去勢」します。牛に限らず、肉用にするには、
雄ではまずいのです。鶏のように生後数十日で肉にするもの以外で
は、去勢は必須のことです。

 大人の雄の肉はとても食べられないそうです。極上の牛肉は実は
雌の牛のものです。若い雌、とくに満3、4歳の「処女牛」の肉が
再高級で、いわゆる「松阪牛」の極上品などというのは、こういう
ものです。

 牛は一生に5〜6頭しか子を産まず、そのことが牛肉の価格を高
くしているのですが、最も血統のいい牛を、子を産まさずに、食べ
てしまうのは、いかにも罰あたりなことです。

 去勢といっても、ペンチのようなもので、睾丸からの輸精管をつ
ぶすだけで、簡単なもの、と聞きましたが、私はなんだか怖かった
ので、見ていません。

 肥育農家では、約1年、700kgくらいになったところで、出荷され
ます。よく考えると、1日に1kgずつ体重が増えていくわけです。
何を食べてそんなに太るのかというと、やはりトウモロコシなどの
穀物が中心のようです。

 私の見学したところでは、初期には草中心の餌なのですが、それ
まで、草を食べたことのない牛が多く、牛のくせに草を見ると、し
りごみする、という冗談みたいなやつがよくいるそうです。

 でも、牛は本来、草が好きですから、すぐになれて、腹いっぱい
食べるようになるそうです。牛の健康のためには、草だけで充分な
のですが、さすがにそれでは、体重の面でも、品質の面でも、商売
になりませんので、後期になるほど、穀物の比重が上がってくるの
は、おいしい肉をたべたい当方としては、やむを得ない話ではあり
ます。

 牛は大きな動物ですし、頭数も少ないので、薬品などのお世話に
ならなくても、健康に育てることができる、ということです。

 いま、アメリカとEUの間で「ホルモン剤」をめぐって、もめて
います。アメリカでは許可されている牛用のホルモン剤をEUで認
めない、というものです。

 ことは貿易戦争なのですが、気になる話ではあります。アメリカ
も輸出国なのですから、消費国の意向を尊重して、折れるのが商売
というものと思います。

 実際に飼っているところに行くと、管理状態の良いところでは、
牛が大騒ぎして寄ってきます。カメラを構えると、ポーズをとるひ
ょうきんものとか、仲間の後ろにかくれてしまう、恥ずかしがりと
か、なかなか個性ゆたかで、案外すぐに見分けがつくようになりま
す。

 汚い牛舎、牛がいじけているところ、など、ちゃんと育てていな
いところでは、当然、あまりよい肉は生産できないのですが、そう
いうところも、今でもまだあるようです。

 牛肉の生産はこのような図式でわかるように、牛乳の生産と相関
しています。関西では、乳牛の飼育頭数は減少を続けていますので、
いずれ素牛の不足が心配になるはずでした。実際は肉牛の飼育頭数
も減っていて、問題になっていないというのは、何だかさびしい話
です。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.サラダオイルの抽出にノルマルヘキサンを使用しているのは少
し驚きでした。うろおぼえですが、かなり毒性の高い有機溶媒だっ
たような・・・気がします。加熱すれば全部とぶといわれればそれ
までですが・・・
一般に食用のものを扱う時、使用して良い有機溶媒・だめな溶媒は
あるのでしょうか?

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A.フジテレビのサイトで調べてみました。

http://fcg.japan-site.com/additive/index.html

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和名:ヘキサン
英名:Hexane
許可状況:日本での使用が許可されており、使用基準がある
使用基準:へキサンは、食用油脂製造の際の油脂を抽出する目的以
     外に使用してはならない。また使用したへキサンは、最
     終食品の完成前にこれを除去しなければならない。
主な用途:製造用剤
基原・本質・製法:石油成分中、n-ヘキサンの沸点付近の留分である。
EU統一番号:-
JECFA安全基準:リストA1:安全性の評価が行われ、一日摂取許容量
        が定められているもの
        または一日摂取許容量を定める必要がないと考え
        られているもの
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 ヘキサンというのは、炭素数6の炭化水素で、n-というのは、枝
分かれしていない、直鎖型だという意味です。(Hex=6、ane=二重
結合を持たない炭化水素)毒性については、どうなのでしょうか、
ちょっと今わかりません。

 上の表の「A1」というのは、あまり心配のいらないもの、という
意味ですが。

 一番の問題は、原料が石油だということです。ご存知のように、
同じエタノールでも、石油由来のものは工業用で、食品には生物由
来のものしか使用してはいけないことになっています。これは主成
分が同じでも、バックグラウンドに石油由来物質が混じる、という
可能性があるためです。

 「最終製品での除去」という条件は、このためと思います。もと
もと、沸点によって分けられたものですから、もう一度その温度以
上にすれば、除去可能ということでしょうが、やはり気持ちのいい
ものではありません。

 ヘキサンを使用しない油は、原料の脂肪分の多いものに限られま
す。ゴマ、オリーブ、コーン胚芽、などはほぼ使用しないものばか
りです。大豆はまず、ヘキサンを使用しています。

 ヒマワリ、紅花、ナタネ、などは、最初に搾ったあと、ヘキサン
で抽出し、「一番搾り」「二番搾り」と称しているようです。

高級品→一番搾りのみ
中級品→価格に応じてブレンド
低級品→二番搾りのみ

と分けて出荷していると、私の訪問した工場では言っていました。

安くて、あまり儲からないので、ヘキサン抽出をやめたいのだが、
田舎の方では、そうもいかない、とも言っていました。

ナタネ粕は肥料として売られています。ヘキサン抽出前のナタネが、
抽出後のものより、少し高く売れるようになれば、ヘキサン使用を
やめて、高級ナタネ粕として出したい、ということです。

有機溶媒はどれでも使用できる、というわけではなく、許可された
ものに限りますが、上記サイトで「製造用剤」で検索すると、山ほ
ど出てきます。有機溶媒に分類されるものは少ないのでしょうが、
ちょっとびっくりします。一度、ごらんください。

中には何に使うのか、想像もつかないものもたくさんあります。

製造現場の人も大変だなあ、などと思ったりもします。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「そうめん」その1
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 まだそうめんには早い季節ですが、手のべそうめんはもう製造を
終わっています。

 そうめんはいちばん細い麺ですが、いろんな面で他の麺とは違っ
たものです。

 安い機械打ちのそうめんと、手延べのそうめんとがあります。機
械打ちのものは、要するにうどんの細いものです。「ひやむぎ」と
いうのは、そうめんよりは太いですが、やはり細いうどんと思って
ください。

 手延べそうめんは、その名のとおり、手でのばすわけです。ただ
延ばすのではなく、手に油をつけて、「より」をかけます。手で、
麺をこよりのようにねじっていきます。

 このことで、麺の表面がねじれて、独特の食感がでます。また、
そうめんは細い麺ですが、ゆでてから、「のびる」ということがあ
まりないのも、こういう工夫によるわけです。

 こうしてよりをかけて延ばしたそうめんは、専用の物干し台のよ
うなもので、天日乾燥させます。乾燥して寒い、冬の日が良いとさ
れ、上等のそうめんには、「寒製手延べ」と決まり文句が書いてあ
ります。

 油は綿実油、ナタネ油などを使いますが、私の知っているところ
では、ぜんたくにゴマ油を使っていました。油を使うため、できた
てのそうめんはちょっと油の匂いがして、あまり美味しくないので
す。「ヒネ」といって、しばらく置いたものが上等とされます。

 冬に作ったそうめんが夏になるころには、おちついてくるのです
が、「ヒネ」ものというのは普通、もう一年たった、次の年に食べ
るものです。元は一緒でも、確かに食べたときの感じは違います。

 手延べそうめんは関西では、「三輪そうめん」といって、大和の
三輪山のふもと(桜井市)あたりのものが有名ですが、実際は手延
べの産地は島原などの九州地方になっています。

 九州で作ったそうめんを、奈良県のもってきて、「三輪そうめん」
というブランドで売られているのです。

 そうめんの原料は前述の植物油のほかは、小麦粉と塩だけ、とい
うきわめてシンプルなものです。もともとが乾物なので、保存料な
ども必要としませんし、古くても美味しい、というありがたい食べ
物でもあります。

 そして、実は、麺のうちで、いちばん味の違いが際立つものでも
あります。ぜひ、美味しいそうめんを探してみてください。ブラン
ドよりも、能書きよりも、味そのものが、原料と製法の良さを語り
ます。

 ご多分にもれず、原料の小麦は輸入小麦がほとんどです。国産小
麦で作ったものは、味は良いのですが、コシ、なめらかさなどの点
では、輸入ものに及びません。どちらが美味しいかは、人によりま
すが、有力な国産小麦の利用方法ではあります。

 「国産小麦使用」というそうめんを見つけたら、ぜひ一度、試し
てみてください。くれぐれも、機械打ちの安物には手を出さないよ
うに、ご注意ください。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 七夕にそうめん、という話はありますが、あれはどうも、業界の
陰謀のようです。バレンタインのチョコレートほどは成功していま
せんが・・。

 牛はまあ、見ていると可愛いものです。でも、そばによると、ち
ょっとどころか、たいへん怖いです。なにしろ、大人の牛はずいぶ
んと大きいものです。

 人懐こいやつがいるところでは、うっかりしていると、べろっと
なめられたりしますので、そばに寄るのですが、とどかないところ
にいるようにしていました。

 我が家には犬がいて、そいつは平気で頭をどついたりできるので
すが、いまだによその犬は怖くてさわれません。

 生き物は苦手・・で良いわけはないのですが、この年ですし、も
うなおらないと思うので、あきらめています。(人間も苦手だった
りして・・)

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