安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>2号


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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
---------------------------------------2号---1999.12.9------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

    養鶏場の話
    日本酒の話(Q&A)
    グルタミン酸ソーダ(その1)

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 今回は養鶏場へ行った話です。養鶏場といっても「卵」と「肉」
では目的が違うので、設備そのものもずいぶん違います。

 規模が大きいのは採卵鶏を飼っている養鶏場です。平飼いのとこ
ろの話は別の機会にして、いわゆる「ケージ飼い」のところへ行っ
たときの話です。

 郊外というか、人里離れた山の上に作った、最新式の養鶏場では
まず、部外者は入れてくれません。「人間が一番危ない」そうです。

 ここで危ない、というのは、微生物の持ち込み、という意味です。

 訪問すると、まず風呂に入れられます。「逆性石けん」(要する
に殺菌剤です)で身体を洗って、出てくると、下着から全部とりあ
げられて、専用の作業着に着替えます。

 養鶏場の職員でも、場内でどこまで入ってよいか、決められてい
るそうで、実際に鶏のいる場所へ入るのはほんの数人です。特別に
入れてもらいましたが、ずいぶんと厳重な話です。

 どうしてこんなにうるさいのかというと、卵の「サルモネラ対策」
なのです。

 しばらく前にイギリスで大騒ぎになったことがありますが、サル
モネラ中毒による食中毒は毎年問題になっています。鶏はサルモネ
ラに感染しても平気なのですが、その鶏が産んだ卵で食中毒が起こ
ることがあります。(この話はまた別にします。)

 ケージ飼いというのは、鶏を数羽ずつ、金網でできたかごに入れ
て飼うやり方です。ケージは上下に配置されるので、鶏舎の面積に
比べて、たくさんの鶏を飼うことができます。糞は自然に下に落ち
るので、衛生管理もしやすいようです。このため、普通は階段状に
ケージを並べて、上のケージから落ちてくる糞が下のケージにかか
らないようにするのですが、垂直に配置する場合もあります。この
ときは、ケージの床下にベルトコンベアを入れて、糞を受けて、運
び出すようにします。

 エサ、水の供給や糞の始末などは専用の機械を設置しますが、こ
の機械の効率を上げるために、鶏舎は普通、100メートル以上も
ある長い建物になります。

 産まれた卵は自動的に収卵ベルトに落ちてきます。このベルトコ
ンベアは毎日、定期的に動いて、卵を集めて、「GPセンター」と
いうところに集められ、出荷されていきます。出荷担当の人は全く
鶏と接触しないようになっているのです。

 この養鶏場は最新鋭の設備ですが、普通のところではここまで徹
底していないこともあるかと思います。また、「平飼い」で飼って
いるところでは、全く違うやり方になります。(平飼いや「有精卵」
については別に書きます)

【鶏と卵】

●採卵鶏の品種は全てアメリカ・ヨーロッパで開発されたものが輸
入されています。

●産まれた雛は雌雄を選別され、雌だけが飼育されます。(雄は夜
店で売っていたりしますが・・・)

●半年ほどで卵を産みだしますが、安定して産卵するのは生後20
0日くらいからです。

●400〜500日くらいまで、産卵させます。この後はだんだん
産卵率が落ちて来たり、品質に問題が出て来たりするので、淘汰さ
れることが多いのですが、「強制換羽」というやり方を経て、70
0日くらいまで飼うこともあります。(卵の品質には問題ありです)

●傾向としては、加齢にともない、はじめ小さかった卵がだんだん
大きくなてくるようです。

●鶏は別に「受精」しなくても卵を産みつづけます。ほとんど毎朝
産みますが、卵ができるのに24時間以上かかるので、完全に毎日
産むというわけではありません。

●最近、特別大きな卵や黄身が2個ある卵を見なくなった、とよく
いわれますが、それは単に出荷時に選別しているからです。

●異常卵としては、血や肉片が混じることがあります。殻が割れて
いたり、形がおかしかったりするのは、すぐに選別できますが、中
味の異常は見逃すこともあります。(下から光を当てて、目で見て
検査します。)

●卵の殻の色は鶏の種類によって違います。白い鶏は白い卵を、茶
色の鶏は茶色の卵を産む、という単純な話です。

●黄身の色は食べ物に含まれる色素によって決まります。良質のと
うもろこしを食べていれば、その黄色になりますが、特に色素を含
むエサを与えることもあるようです。「パブリカ」や「オキアミ」
などをエサに混ぜるのです。殻の色や黄身の色は卵の品質の決め手
にならない、と思ってください。

●伝染病のワクチンは必ず投与します。最近はサルモネラ対策のワ
クチンもあるようです。これは必要なものですので、「抗生物質」
とは区別してください。

●抗生物質は検出されてはならないことになっています。まず普通
のところでは、大丈夫とは思います・・・。

●卵は案外長持ちします。冷蔵庫で貯蔵すれば、半年くらいは持つ
ので、以前は大手のスーパーなどで、夏の卵価のやすいころに買い
込んで、暮れの値上がりするころに特売したりすることが多かった
のですが、最近はどうでしょうか?よく知りません。

●卵は必ず冷蔵庫で保管します。一度割った卵はすみやかに調理し
ましょう。(サルモネラ対策については別に書きます)

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。
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 初めまして。私は大の「お酒」好きです。
日本酒にも何か問題があるのでしょうか?
少し心配になりました。(その心配よりも
飲み過ぎに注意しろ!と言われそうです
が)。


 日本酒のおいしい季節になりました。日本酒は米から作る酒です
ので、本来は秋にとれた米でその冬に仕込むものです。こうして仕
込んだ酒はいちばん早いものはそろそろ搾りの時期になります。

 最近は大手の酒倉では、四季醸造といって、醸造室の温度などを
管理して、常時仕込んでいるようです。品質に問題があるわけでは
ありませんが、季節感という点では、何だかなあ、という感じです。

 詳しい醸造方法などの話は別の機会にしますが、分類すると、

「純米酒」米から醸造した成分だけのもの。
「本醸造」醸造用アルコールを添加しているもの。
「それ以外」醸造用アルコール、醸造用糖類などを添加しているも
の。

 という分け方ができます。私としては、当然「純米酒」をお勧め
しますが、「本醸造」も別に悪いものではありません。味がいわゆ
る日本酒らしくなるので、今でも田舎の方の年配の人には、本醸造
でないとダメ、という人が多いと聞きました。実際、私の父(70
歳を越えています)に純米酒と本醸造酒を飲み比べさせたら、本醸
造の方がおいしい、といっていました。

 それ以外の酒は論外だと思います。

 あと、「吟醸酒」「大吟醸酒」というのもあります。純米酒のこ
とも、本醸造酒のこともありますので、別の分類になります。

 一般に酒用の米はごはんにするより、精米の度合いが高く、真っ
白に搗いて使用しますが、吟醸酒では60%くらい(40%が糠に
なります。)から50%くらいまで搗いて、まん丸の真珠のような
状態になった米で仕込みます。大吟醸では50%以下というとんで
もない贅沢をしています。

 米は中心部にいくほど、たんぱく質などの成分が少なくなり、で
んぷんばかりになっていきます。このため、精米を強くするほど、
雑味のないすっきりとした味になり、フルーティな香が出ることも
特徴です。

 私もこの手の酒は好きなのですが、何せ高価な酒です。日常的に
飲むものではないと思っています。(もちろん、お金持ちの人はそ
れでかまわないのです。)

 防腐剤として、サリチル酸が入っていたりすることがあります。
あまり見かけませんが、ラベルの表示を見てください。

 日本酒は冬に仕上がった酒でも、搾ったあと、貯蔵して、夏ごろ
にようやく出荷されます。今市販されているものは、昨年の冬の仕
込み、と思います。通常の火入れした酒では、ある程度たってから
飲むことは問題ありません。「生酒」「生貯蔵酒」というのは、ま
た別のジャンルのもので、夏に冷で飲むためのものです。

 日本酒は他のお酒に比べて、アルコール以外の成分も多い、リッ
チなお酒です。このため、飲みすぎると二日酔いしやすい、という
ことがあるような気がしていますが、私の個人的なことかも知れま
せん。

 ウイスキーなどの強い酒は胃にこたえるし、ビールは痛風に悪い
といわれているので、最近はワインと缶酎ハイという軟弱なお酒に
している私です。(関係ないか・・)

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「化学調味料」その1
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 化学調味料とは何か、というと難しいので、とりあえずグルタミ
ン酸ソーダの話です。

 略して「グルソー」などという人がいますが、品がよろしくない
ので、英語でかっこよく、「MSG」という略語を使います。

 「モノ・ソディアム・グルタミネート」の略です。この名前から
わかるように、アミノ酸の一種である「グルタミン酸」の1ナトリ
ウム塩です。1ナトリウム塩というからには、2ナトリウム塩もあ
りますが、旨味のあるのは1ナトリウム塩だけのようです。

 グルタミン酸は脳で情報伝達の役割を持っているとされています。
「味の素」を食べると頭が良くなる、という話はこんなところから
出たようですが、もちろん、嘘です。

 小麦のたんぱく質は特にグルタミン酸を多く含みます。かつては
小麦からグルタミン酸を抽出していたのですが、この頃は高価なも
のでした。

 その後、石油からの合成にも成功しましたが、これは結果的に失
敗に終わりました。合成した有機物一般にある問題なのですが、有
機物の立体構造で、「鏡像」といって、全ての部品とその結合は同
じなのに、鏡に映ったもの同士のように、立体的に重ならない、と
いう関係にあるものがあります。ちょうど右手と左手のようなもの
です。

 不思議なことに、生物を構成するアミノ酸はこの2種類(D型と
L型)のうち、L型だけからできています。合成しますと、両者が
等分にできてくるので、味があるL型を選別するのがたいへんだっ
たようです。

 現在では、さとうきびの搾り汁から、砂糖をとったあとに残る、
「糖蜜」を、グルタミン酸生成菌によって醗酵させて、作っていま
す。味の素のコマーシャルで、「さとうきびから味の素」といって
いるのは、このことを指しています。

 私もMSGを目の敵にしてきましたが、MSGに関する毒性の報
告はありません。有名な「中華料理症候群」(MSG過多の中華料
理を食べると、めまいなどの症状が出るといわれました。)もどう
も実証できなかったようです。

 化学調味料(MSG)を使わず、たんぱく質の加水分解物(要す
るにアミノ酸の混合物)を使うこともありますが、塩酸で分解した
ものの場合、アミノ酸の塩素化合物ができてしまい、かえって良く
ない、ということもあります。

 それでは、何故MSGを批判するかというと、1に旨すぎること、
2に安すぎること、です。

 MSGは25キロ袋で小麦粉よりやすく売られています。さる工
場で、小麦粉とMSGの袋が同じくらい積み上げられているのを見
たことがあります。安易な増量剤といして、使われたり、また粗悪
な原料からでも、食べられるものができてしまう、ということは、
MSG自体の責任とは云い難いのですが、やはり問題だと思います。

 こういう意味で、メーカーには常にMSGを使用しない仕様を求
めてきました。良い原料を使って、手間をかけて納得できるものを
作れ、というわけです。

 MSGを使ったかどうかは、アミノ酸を分析してみると、グルタ
ミン酸の比率がうんと高くなることでわかります。無添加、とか、
化学調味料不使用とかうたっているものの中にも、分析してみると、
このグルタミン酸のピークがあるものがあって、油断ならないです。

 大量の昆布を使ったり、小麦グルテンの加水分解物を使ったり、
ということもあるのですが、私としては、インチキ商品も混じって
いるとにらんでいます。

 メーカーは「こんぶエキス」を使っているのですが、その「こん
ぶエキス」にMSGが入っていたり、ということもあります。まあ、
毒性の問題はとりあえずありませんので、いいようなことなのです
が、仕入担当としては、神経をとがらせたところです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 1号発行後、お便りをいくつかいただきました。とてもうれしい
です。

 「お酒」と「MSG」の話はそのメールへの回答です。

 食べ物全般というと、とても幅広く、何から手をつけようか、と
思っていたのですが、このような便りをいただくと、次の話題探し
が助かります。

 これからもどんどん、お便りをください。

 しばらくは、不定期で、どんどん発行していきます。1号の内容
は、12月6日にHPに書き込んでおきました。この号の内容も同
じようにしていきます。おつきあいください。

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--2号------------------ e-mail why@kenji.ne.jp -----------
--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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