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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------197号--2003.08.17------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「はちみつ・カビ・サラダ油・化学肥料・脱
酸素剤・表示義務(Q&A)」「豆腐」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 今週もいただいたメールを紹介します。酪農家の方からです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 実に素晴らしい「牛乳」の話をありがとうございます。特に、理
にかなっていない話について、はっきり否定してくれているのが、
何より大切なことで、ほんとうにありがたい意見を書いてくれたと、
感謝します。

 ・・・チーズ作るとき低温殺菌した後、「乳酸菌が残っている」
のではなくて、殺菌後、特定の乳酸菌を入れます。味付けの大切な
部分で、お気に入りの乳酸菌(例えば「カマンベルティー736」
など)多種の中から選んで使います。

 低温殺菌のこだわりは、「風味」です。75度以上に温度を上げ
ると、鍋の底で「おこげ」状態になりやすく、香りが損なわれるの
で、きちんと温度管理します。

 細菌数の多い牛乳を生産する農家は淘汰されるべし。・・・当然
です。顕微鏡で一つ見つけると「5万」の表示になります。(1c
c当たりに換算する)我が組合では 0か5がほとんどです。それ
以上は無限大と同じ事で、問題を見つけて対応します。それをやら
ない農家は少数で、もうすぐ止めるでしょう。真面目に頑張ってる
農家の足を引っ張る農家は生き残って欲しくないと、はっきり言う
時代になってきました。

 出来れば、加工乳の話も書いていただけないでしょうか。お願い
します。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 加工乳の話はまたの機会に…。私もこの意見には同感します。日
本農業を守るためには、農業自身の中に淘汰を持ち込む以外にはな
いのではないか、と私も思います。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.はちみつについてお伺いさせていただきます。以前、はちみつ
屋さんに農薬の心配はないかを聞いた時、蜂はそういうものに敏感
だから農薬のかかった花には行かないと言っていたのですが、自然
食品店などでオーガニックはちみつというものが高値で売られてい
ます。最近は農薬を使うせいで蜂がいなくなったという話も聞きま
す。実際のところはどうなのでしょう。はちみつに農薬が残留して
いるということがあるのでしょうか。

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A.確かに、農薬を撒布している最中にミツバチを放したりしない
でしょうね。果樹園などでミツバチを使うのは、受粉させるための
大切なお客様です。同時に農薬を使ったりはしないでしょう。そう
いう意味で農薬の心配はあまりしないでよいと私も思います。

 ただ、すべてにわたって保証できるものではないことも事実です。
オーガニックというのはその辺を客観的に保証できる体制をとって
いこう、という趣旨ですので、別に矛盾はないと思います。

 買う側から見れば、オーガニックというのは一つのブランドです。
機能や品質に差がなくても、ブランド名がついているだけで高く売
れるのと同じ心理が農産物を買うときも働いてほしい、という願望
ですね。

 私は高いのが負担にならなければ、オーガニック製品を買うのは
悪くないと思っています。(でも自分ではなかなか買わない…。)

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Q.細菌とカビについて教えてください。食品中に一般細菌が100
万個/g以上いると腐敗していると聞いたことがありますが、カビ
も何個以上で腐敗とか不可食という基準はあるのでしょうか。また、
台所や、食卓、まな板など食品を調理したり食べたりする場所の、
表面付着細菌数や付着カビ数でこれ以上いると不衛生というような
基準はあるのでしょうか?

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A.細菌は単細胞生物ですから何個と数えますが、カビは多細胞生
物です。だから何個というふうには数えません。

 カビの細胞自体、細菌よりもうんと大きなものです。だからカビ
が繁殖すると、細菌と違って目に見えてきます。

 醤油などに浮いてくるカビは実は産膜酵母といって酵母の仲間で
すが、カビと酵母はほぼ同じ生物だと考えてください。

 カビ自体は無害なことも多いのですが、やっぱり目に見えるほど
カビが繁殖した食品はもうたべないでください。

 チーズや本節などははじめからカビてますが、まあこんなのは例
外ということで。

 調理の環境の細菌数は実際問題としては数えても仕方ないので、
基準というのはなかったと思います。

 もちろん、少ないに越したことはないので、HACCPなどを実
施している工場では、環境中の細菌数をチェックしたりはしている
ようです。

 家庭や調理場では、できるだけ清潔にといった抽象的な表現にと
どまると思います。

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Q.揚げ物に使用したサラダ油を捨てずに、その後、炒め物や煮物
に使うことはいけませんか。使用可能な場合、目安はどのようにす
ればいいでしょうか。

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A.別に問題はないと思います。古くなってから使うのではなく、
新しいうちから炒めものにも使い、揚げ油をつぎたして使うと長持
ちするそうです。

 中華料理店の調理しているのを見ていると、炒めものの油はとな
りの揚げ油から取ってきて使っています。あんな感じでしょうか。

 油は一般に早く捨てすぎているという調査もありますが、古い油
も怖いですし、どれくらいまで使うか、ちょっと悩みますね。

 一応、色や臭いが目安になりますが、ちょっと言葉では言えませ
ん。

 私は面倒なので炒めものには新しい油を使い、揚げ物油は何回か
使って捨てる、というわりと鷹揚な使い方をしています。使用回数
がすくない場合はこんなものでしょうが、頻繁に使うときはいろい
ろと工夫が必要なようです。

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Q.新聞などで土壌汚染や有害物質の含有が問題という記事を目に
します。減農薬・減肥でオーガニック栽培された・・・など安全感
を訴える野菜類もブームのようですが、反面でNHKの園芸の先生
は、プランターでの野菜栽培などに「必ず化成肥料を加えて」など
と解説しています。幼児にも食べさせたい家庭菜園ですが、カイワ
レなど生食では害はないのでしょうか、心配です。日常食べる野菜
類は、農薬や化学肥料が繰り返し多量に使用された畑で、植物はど
の程度、どんな物質を根から吸収してしまうのでしょうか・・・。

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A.化学肥料を多用することは土を悪くする可能性があるので、有
機物を併用して土の性質の改善をはかることは農業では普通に行わ
れています。

 こういうことから、化学肥料だけを使う農業が批判されるのです
が、実は化学肥料そのものに毒性があるわけではありません。

 有機肥料も最終的には無機物に分解されてから植物に利用されま
す。その分、遅効性であり、分解のための環境も必要なため、プラ
ンターなどの小さな容器では化学肥料を使用するのがよい方法です。

 結局、植物が利用する物質は窒素、リン酸、カリなどであり、肥
料が有機肥料であっても、化学肥料であっても同じことです。

 適性に使えば化学肥料の使用そのものは安全性にとって問題あり
ません。批判されているのはあくまで「使いすぎによる地力の低下」
です。

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Q.家族のもの(大人)がうっかり和菓子の防腐剤を食べてしまっ
たらしいのですが、どうすればよいでしょう。多分脱酸素剤だと思
うのですが。とりあえず水を飲ましているのですが。極端な害はな
いのでしょうか?

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A.脱酸素剤は使い捨てカイロと同じで、主成分は鉄です。鉄が錆
びるときに空気中の酸素と結合することを利用しています。使用後
の脱酸素剤は要するに鉄がサビたものです。

 鉄ですから、たぶん下痢くらいはするでしょうが、健康被害が出
るというようなものではないと思います。何か症状があるようでし
たら、医者にみてもらってください。

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Q.食堂などで、食材の産地や品質についての表示義務があっても
良いと思のですが、いかがでしょうか。スーパーなどで売られてい
る食材の品質表示と同じ物を消費者は知る権利があると思うし、実
際、食材を買うより外食に頼る事が多いので、何を食べているか解
からない事に最近不安になっています。スーパーでは6割以上国産
だけど、本当は4割しかないはずだから、きっと表示義務の無いと
ころで使用されてると思います。レストランやってる友達に聞いた
ら、「できるだけ安い物、輸入物」との事でした。

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A.食堂に限らす、スーパーなどの店頭で量り売りしている惣菜や
漬物なども表示義務はないんですよね。

 食品というのはもともと、安全性の保証もないし、表示の義務も
ないものなのでしょう。包装して他の商品と同じように売るという
のがかえって特殊なことで、その場合だけ、原材料などの表示が義
務づけられているということなのだと思います。

 おっしゃるとおり、表示はあったほうがよいと思います。しかし
現実的には厨房で使うすべての食材の由来を調理者が把握すること
は難しいものがあります。表示してみても、実際は表示と中身が違
うのがあたりまえになってしまいそうです。

 食材の調達を本部でコントロールするチェーン店、とくにファス
トフード関連の店なら可能でしょうが、その結果、普通の食堂が不
利になりそうですね。

 食べ物は昔から、手に入るものを食べる方式でやってきました。
手に入ればよしの時代から、その由来までが問題になる時代に移行
しつつあるのは事実なんですが、流通や販売の現場ではまだまだ対
応できないことがたくさんあります。

 あまりせっかちになるとかえってウソやインチキが横行してしま
うと思いますので、もう少し、時間がかかるだろうということは受
け入れたほうがよいと私は思っています。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「豆腐」
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 豆腐の凝固剤のメーカーの方からのメールです。原文にはメーカ
ー名やお名前も書かれていましたが、とりあえず伏せておきます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 私は、豆腐用凝固剤グルコノデルタラクトンの某メーカーに勤め
ています。生協ではグルコノデルタラクトンの使用されていないよ
うですが、使用を検討している生協もあります。先日、生協ではな
ぜ過去からグルコノデルタラクトンを使用していないのか生協の方
から質問を受けました。

 過去に、なんらかの理由でグルコノデルタラクトンを使用しない
ようにということが生協内で決ったのだと思いますが、その理由を
ご存知ないでしょうか?もし、ご存知でしたら、教えていただけま
したら幸いです。現在では日本生協共同組合でも、使用を認めてい
るので問題ない物質となっているようですが、地域の生協で使用を
開始するにあたって過去のいきさつなども確認したいとのことのよ
うです。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 それに対する私の返信です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 私は共同購入型の生協で働いていました。昔は豆腐を生協で扱う
とき、グルコノデルタラクトンを使った充填豆腐が普通だったこと
もあるのです。

 当時の市販の豆腐では、日持ちが悪くて、生協では配達できなか
ったのです。工場の衛生状態の改善や加熱殺菌後温度を下げずに包
装できるようになって、普通のスタイルの豆腐も扱えるようになり
ました。

 そのとき、市販との差別化ということでニガリ(塩化マグネシウ
ム)を使った豆腐を売ろうとした生協が多かったのです。凝固剤の
説明をするとき、ニガリをよく言うために、硫酸カルシウムやグル
コノデルタラクトンをひとまとめによくないものであるかのように
宣伝するようなことが多かったと思います。

 もちろん、これらがよくないというのはデマです。本来はニガリ
で作った豆腐は美味しいですよ、という宣伝にどどめておくのが当
然なのに、そういう暴走というか、デマ宣伝があったのは事実です。

 生協自身がそういうデマに束縛されてしまっているところがあり
ます。ご質問の件はぞの名残りでしょうね。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 こんな話を聞くとちょっとびっくりされると思いますが、恥ずか
しながらこんなあたりが日本の消費者運動というものの実態なんで
すね。

 私も片棒を担いだわけですから、偉そうなことは言えませんが、
このような事実があったのは確かなことです。

 続いて、こういうお便りをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 先日、ある有名なお豆腐屋さんの社長と話する機会がありました
が、ある時期、「にがり豆腐の良さをアピールするために、グルコ
ノデルタラクトンを過剰に批判したことがる。それについてはグル
コノデルタラクトンメーカーに申し訳ないと思っている」と言って
いました。

 確かに、にがりに比べてグルコノデルタラクトンを使用すると7
倍の豆腐ができるなんて紹介されていましたからね。

 最近、にがりの絹ごしを町の豆腐屋さんで作っているようですが、
豆乳濃度が濃くなってきたため、にがり100%でも絹ごしができるよ
うになってきているようです。豆乳濃度が濃いとグルコノデルタラ
クトン100%で豆腐を作ってもおいしい豆腐ができます。グルコノデ
ルタラクトンを使ったグルコン豆腐は、にがり豆腐のようにまった
りとした濃厚な豆腐ではありませんが、あっさり味で、滑らかな食
感ですので、夏場の冷奴に適しています。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 私自身はグルコノデルタラクトンで作った豆腐はつるっとしすぎ
だと思い、あまり好きではないのですが、確かに冷や奴にはむく豆
腐です。食感が非常になめらかな豆腐はグルコノデルタラクトンで
固めていることが多いと思います。

 豆腐と凝固剤の関係については、豆腐屋さんのサイトに詳しい説
明があります。これらを読んでみれば、結構納得できると思います。
同時に、世の添加物談義がいかに事実に基づかないものであるかも
わかるのではないでしょうか。

反面教師としての逆誇大宣伝
http://www.kamuro.com/sub_pages/propaganda/propaganda-index.htm

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 豆腐ばかりでなくどんな商品の世界でも同じことですが、あるも
のをひきたたせるために別のあるものの欠点ばかりを取り上げたり、
またはあるものの製造にきわめて重要なはたらきをするもので歴史
的にも長い間にわたって使われてきたものについて「それが持つ微
量な毒性」を誇大に喧伝し自分は使っていないということを強調し
て自分の商品の安全性を強調するのは世の常ですが、えてしてそう
いうことをやっているところに限って実際にはそれを使っていると
いうのが実態です。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

グルコノデルタラクトンをさぐる
http://www.kamuro.com/sub_pages/propaganda/GDL-CASO4/GDL.htm

ぐるこのでるたらくとん?んん??
http://www.saitamaya.net/gdl.htm

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 豆乳の凝固のしかたには、大きく分けて1)塩凝固と2)酸凝固の2
つのタイプがあります。

1)塩凝固

塩化マグネシウム(にがり)と硫酸カルシウム(すましこ)による凝固
です。凝固剤のプラスの電気を帯びたマグネシウムやカルシウムイ
オンが大豆タンパクのマイナスの電気を帯びた部分と結びつき凝固
する反応です。一般的に塩凝固と呼ばれています。

2)酸凝固

グルコノデルタラクトンによる凝固です。これは牛乳にレモン等の
酸を入れると固まりますが、それと同様に、豆乳にグルコノデルタ
ラクトンを入れるとそれが徐々にグルコン酸という酸に変化するこ
とによって凝固する反応です。豆乳にレモンを入れても固まります
が、凝固にムラができます。グルコノデルタラクトンはそれ自体は、
酸ではありませんが、水に溶かすと徐々に酸になりますので、ムラ
なく均一に凝固します。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

--〔後記〕--------------------------------------------------

 中国から帰ってきましたが日本はウソのように涼しいですね。今
年のコメの作柄が心配になってきました。

 17〜19日に妻と東北旅行にいきます。この前、家族で東北旅
行に行ったのがちょうど10年前、1993年の不作の年でした。あの
ときは子供たちも一諸だったのですが、実らぬ田をたくさん見たも
のです。

 奇しくも10年後、同じような夏に東北に行くことになりました。
この10年間の状況の変化がありますので、10年前のようなことには
ならないと思いますが、やはり心配なことです。

 このメールマガジンとはあまり関係がないのですが、「国文学 
解釈と鑑賞」という雑誌の9月号(発売中)に拙文が掲載されてい
ます。「宮沢賢治特集」の中で「ビヂテリアン大祭」について書き
ました。興味のある方はご覧ください。

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