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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------193号--2003.07.20------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「新潮45の記事」「歯磨・梅干・鶏肉(Q&A)」「牛乳」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 以前からときどき報告していましたが、「新潮45」という雑誌
に送っておいた原稿が、来月あたり掲載されることになりそうです。

 もう一つ、「国文学 解釈と鑑賞」という雑誌の増刊号にも掲載
される予定ですが、これは宮沢賢治の関連です。

 宮沢賢治の方は、「ビヂテリアン大祭」という童話を題材にした
もので、いわば宮沢賢治と菜食主義についてですから、まあ食べ物
と少しは関係あるかもしれません。

 「新潮45」の方は、前から気になっていた、「自然食と怪しい
ビジネス」について書きました。自然食に限らず、食べ物の関心の
ある消費者の考えが科学的な根拠を持たないでいると、疑似科学を
ネタに商売をしている人たちにひっかかりやすくなるよ、というよ
うな内容です。

 疑似科学的な話として、いくつか例をあげましたが、「牛乳は身
体に悪い」説をとりあげたところ、残念ながら削除ということにな
りました。

 事情を説明されて、納得して削除してもらっていますので、その
ことは別に問題はありません。でも、その後、農林水産省のホーム
ページで取り上げられている事件の記事を見つけました。非常に具
体的に事情がわかって、私としてはおおいに納得しています。

 どうして載らなかったかというと、こういう理由があったのです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

平成13年5月23日 
 
 株式会社新潮社
 編集兼発行者 早川 清 殿
 
 
農林水産省大臣官房広報室長
佐 藤 憲 雄
農林水産省生産局畜産部牛乳乳製品課長
五十嵐 太乙
 
 
「牛乳はこんなに身体に悪い」(新潮45 6月号)に対する農林
水産省の申し入れについて
 
 標記記事については、下記の事項について記事の誤りがあり、記
事全体の論旨についてもこれら多くの誤りに基づいて消費者に対し
て不安をあおるものとなっているので、記事の訂正を求めるととも
に、このことにつき文書による回答を求めます。また、本通知の内
容については、著者である外山利通氏にも確実にお伝えいただきま
すようお願いいたします。

http://www.maff.go.jp/www/houdo/houdo/130523gyu.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 私はこの問題の記事を読んだことがあり、ちょっとひどいなと覚
えていたのです。しかし読んだ雑誌の名前まで覚えていませんでし
た。まさかその記事を掲載した当の雑誌に書いていたとは!

 この抗議のあと、生産者団体の人たちでしょうか、新潮社に押し
かけて行ったりして、結構騒ぎになったんだそうです。

 農林水産省のサイトでは、問題の記事を画像にして公開していま
す。
http://www.maff.go.jp/www/houdo/houdo/sincho45.pdf

 雑誌のページを画像にして、そのまま掲載しています。こういう
のは著作権にふれそうな気がしますが、新潮社は抗議しなかったの
でしょか。おかげで改めて記事の全文を読むことができました。

 農林水産省の抗議の内容については、下の方で続けます。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.今は色々な薬用歯磨が発売され、効能がテレビで宣伝されてい
ますが、この間、「どんな歯磨が私に向いていますか?」と歯医者
に聞いたら、「何でもいいです。関係ないですよ。歯磨ペーストよ
りも、歯の磨き方。あんな効能実際に効き目ないですよ」と言われ
ました。そんなもんなんですかね。

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A.私は論評する立場ではありませんが、そういう歯医者さんは多
いですね。

 「石けんハミガキ」のメーカーが「歯磨き剤の有効性について」
という研究論文を持ってきたことがあります。それをみると全く効
果がない、というわけではないようです。

 でも磨き方の方が大切だ、というのも本当でしょうね。人によっ
ては歯磨き剤の味のせいで、すぐに磨き終わってしまう傾向もあり
ます。

 使うのが悪いということではなく、使っても使わなくてもよいか
ら、自分にとって一番よい磨き方を身につければよいと思います。

 フッ素入りの歯磨き剤の普及が虫歯の発生率を下げている、とい
う話もありますが、それはまた別のことでしょう。

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Q.はじめまして。今妊娠初期でつわりの真っ最中です。気分が悪
いためおやつ感覚で売っている乾燥した梅干がありますよね。あれ
をよく食べているのですが裏をみたら甘味料でステビアとアスパル
テームと書いてあり気になって調べてみたところあまりよくないら
しく心配になってメールしました。妊娠中に食べるとなにか問題が
おこるのでしょうか?食べないほうがいいのでしょうか?もう8粒
入りのものを1回でたべてしまったのですが・・・。

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A.甘味料入りの梅干というのもヘンなものですね。やっぱり酸っ
ぱい梅干の方が美味しいように思います。

 ステビアやアスパルテームが身体に悪いとかいうのはあまり気に
しない方がよいと思います。

 妊娠中の注意として、ある種の魚を食べすぎないようにという警
告が出ています。こちらは少し気にした方がよいのですが、添加物
の方の話はだいたい何か意図があって流されたデマです。

 いずれにせよ、偏った食事さえしなければ、問題はないと思いま
す。もちろん気になれば食べるのをやめればよいのです。食べてし
まったものについては、全く心配することはありません。

 心配するのが一番よくないですよ。

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Q.近年、鶏肉に関する食中毒が多く発生しておりますが、原因と
しては色々なことが考えられます、そこで、乳製品などでは、HACCP
システムを経て流通している物がありますが、鶏肉関しては、その
ような物は、流通しておりませんでしょうか、お伺いします。

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A.鶏肉の製造に関しては、食鳥検査制度ができてから、かなり改
善されています。ほとんどの処理場で、解体前に鶏の検査をして、
異常なものは処分するようになっています。

 でもHACCPまでおこなっているところはあまりないと思います。
ハム類などの食肉加工品では多くの工場が取り組んでいますが、生
の肉を解体するところは厚生労働省も基準を設けていないようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

総合衛生管理製造過程による食品の製造又は加工の承認状況

施設数 件数
乳 160  274
乳製品 192  275
食肉製品  84  158
魚肉練り製品  23   30
容器包装詰加圧
加熱殺菌食品  38   45
清涼飲料水  48   79
合計 545  861

(平成15年6月30日現在)
 注1) 承認施設として現在稼働している施設及び品目。
 注2) 複数の承認を取得している施設は、1施設として計上している。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/07/h0707-2.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ここで食肉製品というのは、ハムなどのように、食肉を原料とし
て、加熱殺菌、包装をした食品を作る工場のようです。

 厚生労働省が認めなくても HACCPはできますが、実際にはあま
り普及していないとみてよいのではないでしょうか。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「牛乳」
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 農林水産省の抗議の内容を紹介します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

1 「牛乳にはカルシウムが少ないからです」(242頁中段3、
4行目)の記載について
 
(事実)
 前後の記述で、「牛乳にカルシウムが少ないため、日本人の骨が
弱くなった」旨の記載があるが、これは事実と異なり、牛乳は他の
食品と比較してもカルシウムに富み、その吸収率も高いということ
が事実である。

 なお、御書において干エビやかぶなど牛乳よりカルシウム含有量
が多い食品を紹介し、これら食品に比べて牛乳がカルシウム供給源
として劣っている旨の記載があるが、普通の食生活では、これらの
食品はダシとしての利用であったり、少量しか消費できない性格の
ものであるなど実際の供給力には限界があり、この点の比較からみ
ても牛乳はカルシウムの供給源として優れた食品であり、何ら劣る
ものではない。
 
○牛乳1杯(200g)と同等のカルシウム量を摂取するためには、小
魚の場合440g、野菜の場合977gを摂食しなければならない。

(表は略) 
 
2 「今や牛乳の本家のアメリカでさえ、「牛乳1Lでベーコン5
枚の脂肪、0.12gのコレステロール!」というキャンペーンを行い、
心臓病や糖尿病の予防を訴えている時代なのです。」(248頁上
段18〜22行目)の記載について
 
(事実)
 米国農務省が米国保健社会福祉省とともに2000年5月に見直
した「国民のための食生活ガイドライン」では「牛乳・乳製品は毎
日2〜3回摂取すること」としており、むしろ摂取を奨励している。
 
3 「薬漬けのミルクマシンにされている乳牛の実態など、牛乳に
ついてはまだまだたくさんのリスクがある」(248頁中段21〜
23行目)の記載について
 
(事実)
 出荷される生乳を搾る乳牛については、抗生物質の投与が禁止さ
れており、記述のような事実はない。実際に生乳については、集乳
時の検査や乳業工場での生乳受入時の検査を通じて厳密な検査が実
施されており、生乳及び牛乳・乳製品に抗生物質が残留することは
ない。
 
4 「ヨーグルトを与えたラットのすべてに白内障がみられたこと
を報告」(247頁下段17、18行目)の記載について
 
(事実)
 本実験は、ラットに対するヨーグルト摂取量を、体重60kgの人間
に換算して一日当たり21.6kg〜24kgとするなど極端な条件を設定し
たものである。このような日常生活では想定できない摂取量による
実験結果を根拠としてヨーグルトの摂取と白内障との因果関係を結
びつけた記載は不正確で誤解を与えるものである。
 
5 「牛は胃の中に繁殖している微生物を栄養にしてカルシウム不
足を補うこともできます」(245頁上段14〜16行目)の記載
について
 
(事実)
 牛の胃の中に繁殖している微生物が牛のカルシウム源として活用
されていることはなく、記事の内容は誤っている。
 
6 標題「牛乳はこんなに身体に悪い 牛乳を飲むと骨が丈夫にな
る、健康になる−そんな常識はすべてウソだった。」の記載につい

 
(事実)
 本文中においても、「牛乳の消費量の増加に伴っていま、中高年
から大人、老人までもが骨折や骨粗鬆症、アレルギー疾患、生活習
慣病(成人病)など多くの病気に冒されている」(242頁下段2
2行目〜243頁上段2行目)等牛乳が有害であるとの記載や「牛
乳など質の悪い食品」(245頁上段18行目)という旨の記載が
あるが、栄養学上、一般的には、牛乳・乳製品についてカルシウム
やビタミン等の供給源として役割を評価するものが主流である。ま
た、前述のように米国等においても牛乳・乳製品の適正な摂取は推
進されている。
 
7 「100g中に93mg(母乳の6倍強)も含まれいてるリンがカルシ
ウムの吸収率を悪くしてしまう」(243頁中段12〜16行目)
の記載について
 
(事実)
 リンは、間接的にカルシウムの吸収に影響するとされているが、
通常の食品中ではそれほど問題となることはなく、Ca/P=0.5〜2
の範囲であればカルシウムの吸収に支障はないとされている。また、
カルシウムの吸収に当たっては適量のリンの存在が不可欠とされて
おり、リンの存在が直ちにカルシウムの吸収を悪くするとの記載は
不正確で誤解を与えるものである。

 なお、牛乳のCa/P=1.18であり、カルシウムの吸収に支障がない
範囲内となっている。
 
8 「牛乳を飲みすぎることが、逆に骨をもろくし、骨折を招いて
いるのです。それが証拠に、世界中で最も牛乳を飲んでいるノルウ
ェー人の骨折率は日本人の5倍」(244頁中段5〜10行目)の
記載について
 
(事実)
 主要国の中で、最も飲用等向けの生乳供給量の多い国はフィンラ
ンド(1998年)であり、記事の内容は誤っている。

 また、牛乳の飲用量と骨折率の関連については、全く関連性のな
い独立したデータを基に両者の相関関係を述べたものであるが、骨
折の発生については、人種、体格や骨の形態、生活様式など多くの
因子が背景に存在すると考えられていることから、牛乳の飲用量の
多いことが骨折の発生率の高い原因と結論付けた記載は不正確で誤
解を与えるものである。

http://www.maff.go.jp/www/houdo/houdo/130523gyu.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 新潮社からの回答もあるのですが、農林水産省が手抜きしたのか、
それとも意地悪なのか、文書が画像でアップされています。

 こういうとき、テキスト化しておいてくれると助かるのですけれ
どね。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 拝啓 貴「申し入れ書」確かに拝受いたしました。

 小誌2001年6月号に掲載された「牛乳はこんなに身体に悪い」
の記事に関し、「記事の誤りがあり、記事全体の論旨についてもこ
れら多くの誤りに基づいて消費者に対して不安をあおるものとなっ
ているので、記事も訂正を求めるとともに、このことにつき文書に
よる回答を求めます」とのことでしたので、回答させていただきま
す。

 当該記事は、「カルシウムやビタミン、たんぱく質など栄養の宝
庫で、飲むほど健康によい「完全栄養食品」だと、日本人に信じ込
まれている牛乳ですが、それは事実ではありません」と文中にあり
ますように、牛乳が必ずしも完全無欠な食品ではないことをレポー
トしたものです。牛乳はその摂取の仕方等によっては、むしろ人間
の健康を損ねる場合があるという専門家の学説や意見があることは、
紛れもない事実です。牛乳が優れた食品であることを全面的に否定
するつもりはありませんが、祖ような専門家の学説や意見あるとい
う情報を一般消費者に知らせることは、私たちマスコミの重要な仕
事のひとつであると認識しております。

 個々のご指摘につきましては、筆者の外山利通氏が反論を書いて
いますのでそちらをお読みいただけますようお願いいたします。ま
た、国民が食糧不足や栄養不足に悩まされていた時代ならともかく、
現在のような飽食の時代に農林水産省が牛乳の普及につとめ、酪農
家や乳業メーカーの代表のような形で抗議に来られたことには、奇
異の念を感じざるを得ないことも付記させていただきます。

 以上の通りですので、記事の訂正には応じかねます。   敬具

http://www.maff.go.jp/www/houdo/houdo/010531houdo-2.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 仕方ないので、私が入力しました。ご感想はいかがでしょうか?

 私はこんなトンデモ記事を掲載した「新潮45」が失敗したと思
います。でも、農林水産省がどうして牛乳だけ一生懸命になって抗
議するのか、というツッコミには同感しますね。

 何でもありのインターネットの世界では、こういった記事も野放
しです。雑誌だけに抗議するのも変なものですが、やっぱり情報の
価値としてはホームページと雑誌ではずいぶん違うという評価なの
でしょう。

 どうせなら世にはびこるデマ宣伝を一掃してもらいたいくらいで
すが、そんなことはほっておいて本来の仕事をしろ、という声も聞
こえてきそうです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 来週からいよいよ三週間にわたって中国出張です。今年の夏休み
の大半がつぶれてしまうので、我が家では顰蹙をかっています。そ
れで帰ってきてから、東北旅行に出かけることで許していただきま
した。

 基本的に中国でも同じようにインターネットに接続できるはずで
す。夜遊びなんかしない私は昼は仕事、夜はずっとホテルという生
活なので、別にメールマガジンの発行に支障はないはずです。でも、
いろいろと話題をメールなどでいただくと、大いに助かります。

 三週間も中国にいると、きっと肥ってしまうだろうなと、いまか
ら心配しています。ふだんはあまり食べないほうなのですが、中華
料理は食べた量がわからなくなるという欠点がありまして、ついつ
い食べすぎてしまいます。

 若いうちはともかく、歳をとると食べ過ぎはよくないですね。

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