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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------183号--2003.05.11------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「無農薬ネギ」「アルミ鍋・化学調味料(Q&A)」「無添加ハム」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 こんなニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 新潟県頚城村の農事組合法人「アグリセンター久比岐野」が農薬
を使用して栽培したネギを「無農薬」と偽装表示していたとして、
ネギの販売元のJAえちご上越(同県上越市)は9日までに、今月
1、2日に出荷した約180キロのうち3分の1の約60キロを回
収した。栽培中のネギも含め廃棄する。

 アグリセンター久比岐野は農薬取締法でネギへの使用が登録され
ていない農薬「オルトラン水和剤」を2000年から栽培に使用し
ていたが、無農薬と表示。ネギは同県上越市内を中心に年間約13
トン出荷されていた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030509-00000095-kyodo-soci
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「無農薬野菜」にはインチキが多い、とは以前から言ってきまし
たが、とうとうこんなニュースが出てしまいました。この生産者団
体のホームページでは、こう書かれていました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 先般の精米表示違反に引き続き、弊社が生産しております「こね
ぎ」についても表示義務違反がありました。お客様の皆様はもちろ
んのこと、生産・流通はじめ食に携わるすべての方々に大変なご迷
惑とご心配をおかけしました。本当に申し訳ございません。重ねて
お詫び申し上げます。

 二度にも渡り皆様の信頼を裏切ったことにつきましては、弁解の
言葉もございません。ひとえに、生産者としての認識と責任感の甘
さを痛感するばかりです。現在、関係者一同、綿密に話し合いを重
ね、再び同じ過ちを繰り返すことのない様、旧来の体質を一掃し、
倫理観に基づいた行動規範の策定と、環境の変化に迅速に対応でき
る柔軟な組織作りに向けて改革を進めている次第でございます。も
う一度皆様より信頼をいただける日まで、懸命に努力いたす所存で
ございますので、なにとぞご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。

http://www.plaza255.com/aguri/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 知らなかったのですが、米でも同じような事件を起こしていたよ
うです。「無農薬」などと書いておけばよく売れる、という程度の
認識だったかも知れません。

 「無農薬」といいながら農薬を使用したのは事故でも偶然でもあ
るはずがありません。雪印などよりはるかに悪質です。この先、こ
の団体がやっていけるとは思えないのですが…。

 ここに限らず、認証も受けずに「無農薬」という表示をつけて売
っている野菜は信用できないと思います。厳密に調べれば、同じよ
うにひっかかるところは多いのではないでしょうか。

 生協などでも、用心深いところは「無農薬」とはいわず、「産直
野菜」などという呼び方をしていました。

 「無農薬」は信用できないし、「減農薬」はたいていの場合、通
常と同じ栽培です。だから私はJAS法の「有機栽培」の認定にの
ぞみをかけていましたが、これもときどきインチキがあることは先
日お知らせしたとおりです。日本農業の先行きはますます暗いです
ね。

 「オルトラン水和剤」はホームセンターなどではおなじみの農薬
です。効果などについては以下のページが詳しいです。
http://www.agrofrontier.com/guide/t_101a.htm

 家庭菜園なんかでは普通に使われる殺虫剤です。生協の雑貨カタ
ログにもときどき掲載されていたりします。

 いつも思うのですが、家庭菜園では虫や病気の防除はどうしてい
るのでしょうか?完全に無農薬で作物を収穫するのは非常に難しい
と思います。みなさんどうされているのでしょうか?やはりオルト
ランなどを使っている人も多いと思います。

 農家に「無農薬」でなければならない、などといわなければ、使
うこと自体は別に悪くないのですけれどね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.食品とは直接関係はありませんが、アルミ鍋から溶け出すアル
ミとアルツハイマー病との関連についてご意見をお聞かせ下さい。

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A.アルミとアルツハイマーの因果関係は明らかになっているわけ
ではありません。アルミがアルツハイマーの原因だという説に根拠
はないと思います。

 また、アルミは非常に大量に存在する元素です。野菜などにも普
通に含まれています。アルミ鍋から溶けだす分を気にすることはな
いと思います。

 そもそもこの話はステンレスの高価な鍋セットをホームパーティ
ーを開いて販売している人たちが言い出したことです。

 デマ宣伝の一種だと思いますよ。

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Q.商品のパッケージの中で 化学調味料不使用といった表現は法
律的に問題はないのでしょうか?

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A. 事実に反した記述(実は使っていたとか)であれば問題ですが、
そうでないなら、いけないという法律はなかったと思います。

 商品によっては、表示事項に特別の規則があることがあります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

不当景品類及び不当表示防止法

 公正取引委員会の所管する法律で「商品の取引に関連する不当景
品類及び表示による顧客の誘因を防止する(第1条)」ことを目的
としており、業界の自主規制である公正競争規約に関する規定を設
けている。畜産物に関しては9つの業界の公正取引協議会(飲用乳、
はっ酵乳・乳酸菌飲料、殺菌乳酸菌飲料、ナチュラルチーズ・プロ
セスチーズ及びチーズフード、アイスクリーム類及び氷菓、はちみ
つ類、ローヤルゼリー、ハム・ソーセージ類、食肉)がそれぞれ公
正競争規約を定め、表示に関して詳細なルールを設定している。規
約の改正等に関しては公正取引委員会の認定が必要である。また、
罰則は会員について適用され、会員以外には、公正取引委員会が警
告を与えることができることとなっている。

http://lin.lin.go.jp/alic/month/dome/2000/aug/tayori-1.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「公正競争規約」が設けられているのは、食品では次のようなも
のです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

飲用乳/はっ酵乳・乳酸菌飲料/殺菌乳酸菌飲料/チーズ/アイス
クリーム類及び氷菓/はちみつ類/ローヤルゼリー/うに食品/辛
子めんたいこ食品/削りぶし/食品のり/食品かん詰/トマト加工
品/粉わさび/生めん類/ビスケット類/チョコレート類/チョコ
レート利用食品/チューインガム/凍豆腐/食酢/果実飲料等/コ
ーヒー飲料等/合成レモン/豆乳類/マーガリン類/観光土産品/
レギュラーコーヒー等/ハム・ソーセージ類/食肉/包装食パン/
即席めん類等/ビール/輸入ビール/ウイスキー/輸入ウイスキー
/しょうちゅう乙類/泡盛/酒類小売業

http://www.jftc.go.jp/kyousou/kyousoukiyaku_list.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 たとえば、ハム類で「不使用」の表示についてはこうなっていま
す。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

(5)無添加、不使用の表示

 基本的には、無添加表示や不使用表示は禁止されていますが、施
行規則第3条第6号に定めるような特殊な場合は認められています。

 例えば、卵アレルギー体質の人に提供する製品に「卵、卵製品は
含まれておりません」などと表示することは認められています。

 また、ある種の添加物を使用していないために、製品の品質や安
全性について重大な誤解を受ける恐れがある場合、その消費者の誤
解を避けるために説明文を書くことは認められますが、単に売らん
がための表示は認められません。

http://group.lin.go.jp/hamukumi/keiji/kiyaku.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 実際に「発色剤・化学調味料不使用」という表示のハムが売って
います。これは見た目に色がちがうし、味も違いますので、「重大
な誤解を受ける恐れ」にあたるのでしょう。

 このへんは表現や表示のサイズなどにもよりますので、具体的に
は規約を管理している団体に問い合わさないとわかりませんね。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「無添加ハム」
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 生協を退職してから、遠ざかっていた「無添加ハム」を久しぶり
にスーパーで見つけて、買ってきました。

 別に隠してもしかたないので、言ってしまういますが、次のペー
ジにあるような商品です。
http://www.shinshuham.co.jp/syouhin-m5.html#syouhin2

 味は以前とあまり変わっていなくて、懐かしく思いました。表示
なんですが、「化学合成添加物は使用していません」と大きく書か
れていて、発色剤・防腐剤・化学合成調味料不使用などと書いてい
ます。

 化学合成調味料などというものがあるというのは聞いたことはあ
りません。この表示はちょっといただけないですね。

 懐かしいので、無添加ハムについて、思い出話を書いてみます。

 私がはじめて無添加ハムを扱ったのは、今から25年以上前にな
ります。そのころはまだ本当に珍しいものだったんです。

 内容を調べてみて驚いたのは、原料の豚肉がカナダからの輸入だ
ったことです。これは製造上、どうしてもこれでないとできないの
だ、というのがメーカー側の説明でした。

 無添加ハムといっても、厳密にはすべての添加物を使用していな
いわけではありません。原料はたとえばロースハムでは、「ロース
肉、乳たん白、糖類(麦芽糖、砂糖)、食塩、たん白加水分解物、
酵母エキス、香辛料、卵殻カルシウム」などとなっています。

 糖類、食塩は添加物ではないのでしょうが、「たん白加水分解物」
以降は純然たる食品添加物です。

 「無添加」の意味は「発色剤・着色料・防腐剤・結着剤無添加」
という意味でした。このことは当時から説明していましたが、必ず
しも理解してもらってはいなかったかも知れません。

 結着剤というのは重合リン酸塩のことで、肉をつなぎ、保水性を
よくする働きがあります。結着剤を使わずにハムを作るには、非常
に新鮮な原料肉を使う必要があります。

 当時、日本のと畜場では冷蔵庫の設備も充分ではなく、枝肉は平
荷台のトラックで運ばれたりしていました。衛生状態も悪いところ
が多く、無添加ハムの原料にできるような品質のハムはなかなか手
に入らないのが実状だったそうです。

 そこで、カナダから状態のよい豚肉を、空輸してきて原料に使っ
たのですから、開発者の苦労が偲ばれます。

 豚肉はまず塩漬けされます。発色剤である亜硝酸塩は、このとき
塩といっしょに使われます。ヨーロッパでは昔、亜硝酸塩ではなく、
硝石を直接漬け込むのに使ったのだそうです。

 この工程を「塩漬」といいます。無添加ハムは「無塩漬ハム」と
いう区分になりますが、亜硝酸塩を使用せずに塩漬けしたものは、
普通の「塩漬」工程を経ていない、という解釈なのでしょう。

 私が扱いをはじめたころは、無添加ハムはハムの仲間にも入れて
もらえず、「食肉加工品」という扱いでした。

 ところで、この無添加ハムは共同購入などでは売れていますが、
店舗での販売は苦戦しているようです。何といっても、見かけがパ
ッとしないのが原因だと思います。値段も高いのですけれど、普通
のハムでも高級品もありますので、値段だけではないと思うのです。

 肉の色はミオグロビンという色素が主役です。名前から想像がつ
くように、赤血球の色素であるヘモグロビンの仲間です。

 ケガをして少し出血すると、最初に出てきた血は黒っぽい色をし
ていますが、すぐに鮮やかな赤色になってきます。これは静脈の中
ではヘモグロビンは酸素と結合していないので黒く、空気にふれて
酸素と結合することによって赤くなるからです。

 ミオグロビンも基本的に同じように変ります。肉のかたまりから
スライス肉を作るのを見ていると、スライスした瞬間は切り口の肉
の色は黒っぽいのです。その肉をトレーの上に一枚ずつ、きれいに
ならべておきますと、空気中の酸素と結合して、きれいな肉の色に
なってきます。

 最近はこの作業が面倒なので、スライスした肉をそのままトレー
に盛る「切り落とし」というスタイルも多くなりました。当然、こ
うした肉は発色はよくありません。

 高級肉は相変わらず、一枚ずつ手でひろげ、トレーに盛るときも
ていねいに畳んでいます。こんなことをするのは日本人だけなんだ
ろうなあ、といつも思いますが、外国ではどうなのでしょう?

 さて、この酸素と結合したミオグロビンはやがて徐々に変色して、
くろずんできます。これは古くなった肉でおなじみですね。

 調理したときは熱によっても色が変ります。また冷凍やけといっ
て、家庭用の冷凍庫で長期に保管していても、色が変わってきます。
このあたりの色の変化には水の分子も関係するらしく、いろいろと
こまかいテクニックがあるのだそうです。

 色の変色をとめる添加物というのもあります。ニコチン酸などを
使っているものを見たことがありますが、その他にもいろいろあり
そうです。もちろん、生肉に添加物を使ってはいけませんので、も
し使っていれば食品衛生法違反です。

 前置きが長くなりましたが、ハムに亜硝酸塩を使うのも、あらか
じめ亜硝酸とミオグロビンを結合させて、発色させておくのが目的
です。この状態になると、ミオグロビンは古くなっても変色してき
ません。

 無添加ハムでは、発色させていないので、後の工程でボイルする
と、ミオグロビンが熱によって変色してしまうのです。これが無添
加ハムがあまり美味しくみえない原因なんですね。

 亜硝酸塩は食品添加物の中では毒性の強いものです。できれば避
けた方がよいものだと思っていましたが、野菜にはもっと大量の硝
酸塩が含まれていることは先日紹介したとおりです。

 ヨーロッパでは硝石を使用していた歴史的な背景もあり、発色剤
は必要なものだという認識のようです。ボツリヌス対策もある、と
よく説明されていますが、亜硝酸塩でボツリヌスが防げるのかどう
かは疑問ですね。

 塩漬けした肉は整形され、調味液につけられます。調味液はピッ
クルと呼ばれていますが、最近では針で直接、肉の内部に注射する
ことが多いようです。

 ここで、結着剤を使った肉はたくさんのピックルを含み、元の肉
より重くなる、という魔法のようなことがおこります。無添加ハム
ではこのようにはなりませんので、価格的にはこの辺もつらいとこ
ろです。

 その後、充填・熏煙・ボイルという工程を経てハムになります。
ソーセージは挽き肉にしてケーシングという袋のようなものに詰め
ますが、基本的にはハムと同じような工程で、無添加ソーセージも
同様です。

 ケーシングは細いもの(ウインナー)は羊の腸、太いもの(フラ
ンクフルト)は豚の腸、もっと太いもの(ボロニア)は牛の腸を使
うのが本来です。

 昔は無添加ソーセージのケーシングも天然ものを使えず、大豆た
んぱくや卵白から作った人工ケーシングを使っていました。なにし
ろ天然の腸ですから、衛生面でよいものが手に入らなかったのです。

 いろんな苦労をしながら作ってきた「無添加ハム」ですが、その
後だんだんとつくるメーカーも増えてきました。学校給食で選ばれ
るようになったことも大きかったと思います。全国的には少数派な
のでしょうが、都会では無添加ハムしか使わないという栄養士もた
くさいるのです。

 ただし、店頭での販売では相変わらず苦戦しているようです。味
の面では普通のハムより充分美味しいと思うのですが、人気はもう
一つのようです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 先週の連休は久しぶりに京都へ行ってきました。国立博物館で開
催中の「空海と高野山」展を見てきました。ものすごい人出で、ゆ
っくり見られなかったのが残念でした。

 好天にめぐまれ、銀閣寺や東寺にも行きました。バスの停留所ご
とに案内の人がいて、たくさんの人がバスで観光地をまわっていま
す。この辺のサービスはさすが観光都市です。

 ということで、この週末はやっと落ち着いたものになりました。
雑誌の原稿の締切りがあるので、本当はゆっくりしていてはいけな
いのですが、締切り間際にならないとまじめにやらないのはいつも
どおりです。メールマガジンを毎週出すのが一番優先事項なのがつ
らいところです。

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