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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------180号--2003.04.20------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「ステビア(Q&A)」「クローン牛」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 「イソプロパノール」について、おたよりをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

>  有機化学の命名法からいうと「イソプロパノール」のほうが正式
> だと思います。「エチルアルコール」ではなく、「エタノール」が
> 正式名称ですので。

 重箱の隅つつきですが、これは誤りです。高校や大学で有機化学
命名法を勉強するとしつこく指摘されるのですが、「イソプロパノ
ール」という名前を使ってはいけない、なぜなら、「イソプロパン」
という物質は存在しないから、ということになっています。エタノ
ールの場合は、「エタン」(都市ガスに含まれている気体ですね)
という物質があるので、「エタノール」が正式名称になります。

 一方で、「イソプロピルアルコール」は使ってよい名前です
(「イソプロピル基」というのは正式に認められた名前です)が、
が正式名称かというとそうでもなくて、正式名称は「2-プロパノー
ル」といいます。

 もっとも、
http://chemfinder.cambridgesoft.com/
のデータベースでは、たとえ誤用であっても使用例があれば採録す
るというポリシーなのか、 「isopropanol」の名前でも出てくるよ
うになっています。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ということで、前回の記事の訂正をお願いします。

 ちょっと古いニュースなんですが、見落としていたため、改めて
掲載します。健康食品として売られている「やせるお茶」の話です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 東京都は20日、健康食品の試買調査で79品目のうち5品目か
ら医薬品成分のセンナを検出したと発表した。薬事法違反(医薬品
の無許可製造・販売など)に当たるとして製造販売業者の所在地の
府県に通報し、各府県は販売中止や回収を指示したという。

 都によると、5品目は健康食品売り場やスポーツ用品店、インタ
ーネットによる通信販売で扱われていた。

 センナはマメ科の植物で、小葉や果実が下剤などに使われる。副
作用としては、腹痛、下痢などがあり、妊婦、乳幼児への安全性は
確認されていないという。

 5品目はハーブ減肥茶(CSCジェーピー、名古屋市)▽ソウ草
茶(薬膳総合コンサルティング、広島市)▽NEW貴好茶(体脂肪)
(ヴェントゥーノ、福岡市)▽減脂茶(第三薬品、福岡県久留米市)
▽世楽歩之茶(セラフ・インターナショナル・コーポレーション、
長崎市)。(共同通信)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030320-00000187-kyodo-soci

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 しばらく前に、中国製のやせるお茶が問題になっていましたが、
日本製も似たようなものだということです。

 薬効成分が入っていれば、効果はあるかもしれませんが、これは
危険ですね。薬効成分を知らずにとるというのは間違いのもとです。

 こんな状況でも、こういうものに手を出す人が多いのでしょうが、
不自然な効用をうたった健康食品はすべて怪しいと思って、警戒し
てほしいと思います。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.ステビアは南米パラグアイ原産のキク科の植物で、砂糖の 300
倍の甘味が有るとして食品添加物として使われていますが、今年3
月22日中国、香港政庁はステビアを含む食品14品目の販売を禁止す
る処置を取りました。(人民網3月22日付け、ヤフーの検索で見つ
けました)

 理由は発ガン性が有るからとのことですが、本当に発ガン性が有
るのでしょうか。日本では広く使われていますし、ステビアの濃縮
したジュースもあるくらいで副作用が有るという話は聞いたことが
有りませんのでお教えください。

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A.このニュースでは2002年3月になっています。
http://members.tripod.co.jp/philoso/page035.html

 ステビアはまあハーブの一種ですから、単独で使う場合は問題な
いと思います。甘味料として使用するときは食品添加物の範疇に入
ります。

 食品添加物の許可はたいていの国ではポジティブリスト方式です
ので、許可されているものしか使えません。

 安全性の如何にかかわらず、許可されていない食品添加物を使え
ば問題になります。昨年来、日本でも、日本で許可されていない食
品添加物が輸入食品から見つかって問題になりました。それと同じ
ことです。

 日本の食品添加物の許可は天然物に甘いというところに特徴があ
ります。天然のものなら、安全性の証明が充分でなくても、許可さ
れています。

 世界的には合成、天然の区別なく、(たとえ食品として用いられ
ているものでも)安全性の証明が充分でないものは許可しないとこ
ろの方が多いようです。

 今回はそうした理由でステビアを許可していない香港に、ステビ
ア入りの食品を日本から輸出してしまったようですね。

 中国からの輸入で問題になったことが、逆の方向でおこった、と
いうわけです。これは輸出側に責任があると思います。日本では許
可されている、とか、安全性に問題はない、とかいう言い訳は通ら
ないでしょう。

 発ガン性の件についてはよくわかりません。特に問題はないと思
いますが。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「クローン牛」
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 クローンなどというとSFじみていますが、同じ遺伝子を持つ固
体をふやす、という意味では挿し木によって増える木などもクロー
ンの一種です。

 バナナの木(正確にはバナナは草なんだそうですが)は花が咲か
ず、収穫後に葉をさしておくと、半年後にはまた成長して、実がな
るそうです。

 私たちの身の回りでは、桜(ソメイヨシノ)が有名です。この木
は江戸時代の末にできてから、もう150年以上も同じ遺伝子を持
った固体で増殖しつづけています。

 動物ではさすがにこんなわけにはいかないのですが、一卵性双生
児はクローンにあたります。一卵性というのは一つの受精卵が何か
の原因で分割され、それぞれが成長していったものです。

 同じ双子でも、二卵性だと同時に受精卵が2個できてしまったも
ので、遺伝的にはきょうだいと一諸ですね。これは排卵誘発剤の使
用で、双子どころかたくさんの受精卵が同時にできてしまうという
ことで問題になっています。

 さて、人工的に動物のクローンをつくる技術としては、受精卵ク
ローンと体細胞クローンがあります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 受精卵クローン牛は16〜32細胞期の受精卵をバラバラにして、
ひとつひとつの割球から育てた牛で、基本的には一卵性の双子と同
じものと考えられます。ただし16〜32細胞期の割球は小さく、
そのままでは成長しないので、遺伝子を取り除いた別の未受精卵に
割球を挿入し、電気的に細胞融合を行った後,他の牛の腹を借りて
目的の牛を産ませます。

 体細胞クローン牛は、受精卵の割球の代わりに牛の乳腺細胞や皮
膚細胞などを使って受精卵クローン牛と同じ操作をしたものです。

http://www.cfqlcs.go.jp/technical_information/question_and_answer_of_food/qa46.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このページには図解もありますから、ごらん下さい。

 受精卵クローンについては、すでにある程度実用化されているよ
うです。これは好ましい遺伝的形質を持った子をつくろうという技
術です。

 乳牛を遺伝的に改良する場合、まず優秀な種牛の子を増やします。
しかし、乳牛の能力は雌牛でしか判定できませんから、優秀な乳牛
の種牛というのはなかなか存在しないのです。また、これだけでは
母系は在来のものですから、半分ずつしか改良できません。それに
普通の受精では雌牛だけが生れてくるわけにはいきません。

 非常に高い能力を持った雌牛(スーパーカウ)の受精卵を使って、
受精卵クローンをつくり、その受精卵を在来の牛に受胎させると、
生れてきた子牛はスーパーカウの能力を高い率で引き継ぐようにな
ります。このとき、雌牛になる受精卵だけを使うのはもちろんです。

 一度、アメリカから導入したスーパーカウを牧場で見せてもらっ
たことがありますが、体系からしてホルスタインとは思えない、大
きな牛でした。こんなスーパーカウの例がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

365日乳量 22,224Kg  乳脂肪率4.0%
http://www.les.metro.tokyo.jp/ouyou/jyusei.htm

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 単純計算でも一日60リットル、実際は変動がありますから、ピ
ーク時にはもっと乳を出すわけです。すごいですね。

 こうなるとこのスーパーカウと同じ牛をもっとつくりたくなりま
す。それが「体細胞クローン」です。

 生殖細胞は減数分裂といって、通常2組持っている遺伝子が1組
ずつに分かれ、半分の遺伝子を持った卵子に同じく半分の遺伝子を
持つ精子が取り込まれて、新しい受精卵になります。こうして両親
の特徴を受け継いだ子が生れるわけです。

 せっかくのスーパーカウでも、その受精卵が親と同じ能力を持っ
ているとは限りません。そこで体細胞の遺伝子から、新しい個体を
つくろうというのが体細胞クローンです。(体細胞≠生殖細胞)

 体細胞クローンでは、肉牛も対象になっています。超高級な牛肉
になるのは、特定の遺伝形質を持った牛に限られていますから、そ
ういう牛をたくさんつくろうというのです。

 植物なら挿し木して増やす、という感じですが、体細胞のままで
は分裂して新しい個体になったりしません。分裂して新しい個体に
なる能力を持っているのは受精卵だけなのです。

 そこで、ちょっとインチキなんですが、受精卵そのものを使いま
す。受精卵が分裂をはじめる前に、まずその遺伝子(染色体)を取
り除きます。かわりに体細胞の遺伝子を入れてやると、その受精卵
は導入された体細胞の遺伝子の情報にもとづいて、たんぱく質をつ
くり、成長していきます。

 染色体以外はもともとの受精卵の情報が分裂によって伝わります。
受精卵の細胞質にはミトコンドリアなど、それぞれの遺伝情報をも
つものがあります。また、発生の秘密は細胞質に隠されているので
す。

 だから、体細胞クローン技術によってできた子が、もとの個体と
全く同じであるとはいえません。実際、生れてきた子の生育の成績
はとても悪く、どうも基本的に欠陥があるように思われます。

 細胞分裂の回数に限界があって、無限に分裂できるわけではない
ので、体細胞の遺伝子では、残りの分裂可能な回数が少ないのだ、
というちょっと怪しい説明もあります。私はこの説が案外有力だ、
などと思っています。

 以上が体細胞クローン技術についての説明です。技術開発の動機
はわかるのですが、ここまでくると「マッドサイエンティスト」と
いう言葉を思い出してしまいます。今はまだ、基本的な研究を進め
ていく段階だと思うのですが、研究に金を出すほうからいうと、と
にかく実用化、ということになってしまいます。

 さて、その体細胞クローン技術で生れた牛を、食べても大丈夫か、
という問題です。

 この牛のもとになった受精卵は普通のものですし、導入された遺
伝子も普通の遺伝子です。とくに遺伝子組み換えなどをしているわ
けではありません。したがって、できた子も、遺伝的な形質とかい
う微妙な差異はともかく、食べる分には普通の牛とみなして差支え
ないでしょう。

 創造主たる神を冒涜するものである、という意見があります。こ
れについては私は反対するものではありません。でも、食べると害
があるようにいうのは、百パーセント、根も葉もないデマです。

 それにもかかわらず、体細胞クローン技術はまだまだ未熟な技術
ですので、実験段階にとどめておいてほしいものだと思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 前回6件もあったQ&Aが今回は1件だけ。いつもは掲載する以
上にメールがきているのですが、今週は本当にQ&Aには一件だけ
しかきませんでした。こんなことは珍しいです。

 その代わり、雑誌の掲載依頼が2件、ありました。どんな雑誌に
どんな記事が掲載されるかは、まだ内緒にしておきます。お楽しみ
に。

 ということで、今週のメールマガジンは短めです。来週はまた上
海に行ってますので、どうなりますやら。インターネット環境は上
海も悪くありませんから、たぶんいつもどおりにお届けできると思
います。

 中国ではプロバイダに電話をかけ、公開されているID、パスワー
ドを入れると、すぐにつながります。手続きなし、接続料金は電話
代に上乗せされますが、たいへん安いので、ほとんど気にしなくて
よいくらいです。だいたい、電話番号、ID、パスワードがみんない
っしょで、「8888」とか「163」とかです。

 これは便利です。日本ではもうADSLや光ファイバーの常時接続が
主流になっていますから、今からは普及しないでしょうが、出張な
どのとき、あれば便利ですね。

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