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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------174号--2003.03.09------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「鶏・塩蔵人参(Q&A)」「農薬」

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--〔話題〕--------------------------------------------------
 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつも、勉強になるお話をありがとうございます。肉を食べるこ
とが農業振興につながる、という話は目からウロコでした。なるほ
どなあ、と感心してしまいました。

 ところで、調味料に関してお知らせ致します。

>  食品添加物としての調味料には、
>
> 1.天然物からだしをとったもの、
> 2.たんぱく質などを酵素で分解したもの、
> 3.同じく塩酸などで分解したもの、
> 4.単一の物質まで精製して結晶にしたもの
>
>  などがあります。いちばん最後のものがいわゆる「化学調味料」
> です。

1.天然物からだしをとったもの→

これは食品原材料で昆布エキス、肉エキスなどがあります。

2.たんぱく質などを酵素で分解したもの→ 
3.同じく塩酸などで分解したもの   →  

「たんぱく加水分解物」と呼ばれています。食品添加物みたいな名
ですが、食品原材料です。

4.単一の物質まで精製して結晶にしたもの →

グルタミン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、グアニル酸ナトリ
ウムなどです。これらは食品添加物です。

 その他に、酵母エキスや発酵調味料がありますが、これらは食品
原材料で酵母エキスはビール酵母の廃物(?)利用です。発酵調味
料は「みりん」とほぼ同様ですが、みりんだと酒税がかかるので塩
を加えたりして節税(?)しています。

>  ご質問の商品は「アミノ酸等」が使われていますので、上の2〜
> 4の分類のものを使っているはずです。

 グルタミン酸ナトリウムに加えて4の分類を複数使用している、
というのが「等」の意味合いです。

> また「昆布エキス」も実態はグルタミン酸ソーダの濃縮溶液です。

 昆布エキスの作り方を知らないのですが、普通はエキスというと
濃縮するだけですので、「グルタミン酸」の濃縮溶液が正しいと思
います。(グルタミン酸に水酸化ナトリウムを加えるとグルタミン
酸ナトリウムになります。)

>  これで「天然だし」というのはウソではないにしても、ちょっと
> あつかましいな、というのが私の印象です。

 そのとおりですね。正確には「天然だしも使用」というべきです。
食品偽装とまでは言いませんが…。( ̄^ ̄)

 尚、「化学調味料」という呼び名はNHKの料理番組で「味の素」
という商品名を出せないためにそう呼んだことで、一般に定着した
そうです。

 渡辺さんの言われるとおり、科学万能の時代にはかっこいい名前
だったんでしょうね。今は逆に化学物質は嫌われものですから、化
学調味料は「うまみ調味料」と名前を変えています。

 安全性はけっこう高いのに消費者受けは良くないですね。

「私は味の素は嫌いなので、本だしやコンソメ(ブイヨン)を使っ
てます。」という笑い話もあります。(^^ゞ

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 最後の「笑い話」は私のところへの質問でも経験したことがあり
ます。食品添加物の実態はほんとうに知られていないですね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.私は廃鶏を数羽、家庭の残飯で飼育して、タマゴを得たいと計
画中です。なぜ残飯の類をエサにするのはやめたほうがいいのか、
教えてください。

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A.残飯をエサにするのに反対しているのは、いくつか理由があり
ます。

(1)残飯の栄養は人間用の食べ物ですから、家畜にはかたよりが
あります。結果として、美味しい肉や卵をつくることは難しくなり
ます。

 美味しい肉や卵をつくるためには、飼料の設計からしていかねば
なりません。残飯をエサにすると,そういう栄養面での設計を放棄
せざるを得ません。

(2)残飯には危険な物質がまじる可能性があります。

 農作物を直接エサにせず、いったん人間が食べる形にして、回収
されたものはその過程で予期せぬ毒がまじる可能性があります。

 安全性を考えるなら、どのような物質がまじってくるかわからな
いエサのやり方はまずいでしょう。

 犬などでも、人間と同じものを与えるのは避けたほうがよいそう
です。鶏や豚はましてそうだと思っています。

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Q.先生の「心配御無用」を読ませていただき、とても共感やら、
納得やら、感心やらと、本当に勉強させていただきました。そこで、
一つ教えてください。

 中国から輸入した、塩蔵人参の色が抜けてしまい、白カビでもは
えたのか、と思うような白色になってしまう現象が起こってます。

 中国の工場にこのことを伝えた回答が、これまでは出荷時に添加
していた「酸」の使用量が減ったために、色落ちが起こった、とい
うことでした。これって変じゃあないですか?

 着色したものの色止めに「酸」を使用することは理解できますが、
中国の人参は着色されているのでしょうか?加工原料としては、赤
味のある物(品種)をメーカー側が要求されることはありますが...

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A.詳しいことはわからないのですが、「酸」と「色」とは案外関
係があります。植物の色素の色はPH(酸・アルカリ度)によって
変ることが多いのです。

 子供のとき、アサガオの花を酸性液やアルカリ性液につける実験
をしました。これで同じ花でも見事に色が変るのです。

 問題のにんじんの色素も、酸性でないと発色しないのではないで
しょうか。それでつける液を酸性にしておくのですが、その量が不
足して、酸性が弱くなると色がなくなってしまう、ということだと
思います。

 酢につけてみたら、色が出てきたりするかもしれません。試して
みられてはいかがでしょう。

 もちろん、着色している色素がそうなのかも知れませんし、もと
もとにんじんの盛っている色素なのかもしれません。

 添加物全体のことはわかりませんが、色と酸に関してはそういう
こともあるのではないかと思いました。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「農薬」
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 農薬について、質問がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 3月10日に、「農薬取締法」が改正されるそうですね。これで、
木酢液(やHB101)は使われなくなると思っていいんでしょうか。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 おっと、そうだったと思って調べてみました。まず、農水省のペ
ージ
http://www.maff.go.jp/nouyaku/
から引用します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 昨年、無登録農薬が全国的に流通し、使用されている実態が明ら
かとなり、国民の「食」に対する信頼を損なう大きな問題となりま
した。これまでに、44都道府県で約270の業者が無登録農薬を
販売し、約4千農家が使用していたことが判明しています。農薬は、
安全性の確認された登録農薬を適正に使用することが必要です。

 このため、昨年12月に農薬取締法が改正され、(1)無登録農
薬の製造、輸入、使用の禁止(販売は従来から禁止)、(2)農薬
使用基準に違反する農薬使用の禁止、(3)罰則の強化などが定め
られました。3月10日からこの改正法が施行されます。家庭菜園
も含め、すべての国民に関係する内容ですので、十分に内容を知っ
ていただきたいと思います。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「製造、輸入、使用の禁止」で「罰則の強化」がポイントのよう
です。無登録農薬を使用すると、以下のような罰があるそうです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

使用に係る義務違反   3年以下の懲役または100万円以下の罰金

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 家庭菜園でもダメみたいですので、充分ご注意ください。怪しげ
な資材は使わないようにしたいですね。使用禁止農薬のリストは以
下のとおりです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

(表1)現在の販売禁止農薬リスト(3月10日から使用も禁止)

農 薬        用 途       備 考 

ガンマBHC     殺虫剤       残留性 
DDT        殺虫剤       POPs物質(注) 
エンドリン      殺虫剤       POPs物質 
ディルドリン     殺虫剤       POPs物質 
アルドリン      殺虫剤       POPs物質 
クロルデン      殺虫剤       POPs物質 
ヘプタクロル     殺虫剤       POPs物質 
ヘキサクロロベンゼン 殺菌剤       POPs物質 
マイレックス     殺虫剤       POPs物質 
トキサフェン     殺虫剤       POPs物質 
  (注)POPs物質とは、「残留性有機汚染物質に関するストックホル
ム条約」(通称POPs条約、 2001年5月採択)で製造・使用が
原則禁止された化学物質で、人や環境への毒性、難分解性、生物濃
縮性、長距離移動性の性質を有している。
 
(表2)販売禁止追加農薬リスト(3月10日から販売・使用禁止)

農 薬       用 途       備 考 

パラチオン     殺虫剤  急性毒性が強く使用者の事故
メチルパラチオン  殺虫剤  急性毒性が強く使用者の事故多発        
TEPP      殺虫剤  急性毒性が強く使用者の事故多発        
水銀剤        殺菌剤  人体への毒性 
砒酸鉛       殺虫剤   作物残留性 
2,4,5−T   除草剤   催奇形性等の疑い 
CNP       除草剤   ダイオキシン含有 
PCP   除草剤・殺菌剤  ダイオキシン含有
PCNB      殺菌剤  ダイオキシン含有 
ダイホルタン    殺菌剤  食品規格でADI(注)設定不可
               (発ガン性の疑い) 
プリクトラン    殺虫剤  食品規格でADI設定不可
               (催奇形性の疑い)
 (注)ADIとは、acceptable daily intake(1日摂取許容量)
の略で、健康を害することなく、一生涯にわたり毎日摂取可能な化
学物質の量をいう。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 さて、今回「特定農薬」というのが登場してきています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

1 特定農薬の目的は?

 改正農薬取締法では、新たに無登録農薬の製造や使用を禁止した
ため、農作物の防除に使う薬剤や天敵で、安全性が明らかなものに
まで農薬登録を義務付ける過剰規制とならないように、特定農薬と
いう仕組みを作りました。無登録農薬を禁止するために必要な制度
上の仕組みであり、新たな規制を持ち込むものではありません。

2 どのようなものが特定農薬になるのですか?

 特定農薬とは、「その原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動
植物に害を及ぼすおそれがないことが明らかなものとして農林水産
大臣及び環境大臣が指定する農薬」(改正農薬取締法第2条第1項)
のことです。

 特定農薬の指定の検討に当たって、昨年11月から12月はじめ
にかけて、関連する資材の情報を求めたところ、2900件の情報
が寄せられました。重複を整理した740種類について、専門家に
よる会合で検討を行い、1月30日の農業資材審議会農薬分科会に
報告が出されました。

 寄せられた情報のうち、雑草抑制シ−トやアイガモ、アヒル、ウ
シ、コイなどはもともと農薬ではないので除外され、残ったものの
検討が行われた結果、とりあえず、殺菌効果がある重曹と食酢、そ
して地場で生息する天敵について特定農薬にしてもよいと報告され
て、農薬分科会で検討され、これが審議会としての答申となりまし
た。

 農薬とするからには、客観的な効果も確認すべきと多くの委員か
ら意見があり、他の多くのものは、農薬かどうかという点で結論が
保留されました。効果のないものを特定農薬としてしまえば、これ
を農薬として売る業者が現れて問題になるという認識です。

 したがって、農薬かどうか判断が保留されたものは、農薬効果を
謳って販売することは従来どおり取り締まりますが、効果は分から
ないものの、使用者が自分の判断と責任で使うことは可能です。

3 保留されたものは、今後どうするのですか?

 今後、客観的に効果を証明するデ−タを集め、安全性もチェック
しながら、特定農薬にしてよいものがあれば、農業資材審議会の意
見を聴いて指定していきます。

 また、こうした資材の安全性に問題があることが判明した場合、
情報提供と対策を講じて行きます。

 なお、この制度の趣旨を分かりやすくするために、特定農薬を
「特定防除資材」と呼ぶことを考えています。

 今回、特定農薬に指定することが妥当と考えられる薬剤等は以下
のとおり。

(1)重曹(食品であり、炭酸水素ナトリウムを主成分とする薬剤
は農薬登録により効果確認済み)

(2)食酢(食品であり、食酢の活性成分である酢酸は過去に農薬
登録により効果確認済み)

(3)使用される場所の周辺で採取された天敵
例)
ナナホシテントウ(日本在来種の天敵であり、人畜に害を及ぼさな
い)
寄生バチ類(日本在来種の天敵であり、人畜に害を及ぼさない)

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 なんだか大騒ぎしたのに、結果はこれだけなんですね。当初の農
水省の思惑とはずいぶん違った結果になりました。

 これは審議会などで広く意見を集めたため、結局常識が勝ったの
だと思います。重曹と食酢についてはこんなコメントがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 食酢を特定農薬とすることの問題は少ない。しかし,食酢を特定
農薬にできるのなら化学物質である氷酢酸(純粋な酢酸)を使えば
どうなるのか。酢酸の方が食酢より安全なことは自明だが,氷酢酸
だと無登録農薬になるのだろう。この例は,本当の安全性と一般人
の考える安全性を考察する上で興味深い。

 重曹では,すでに存在する農薬の有効成分としての登録がどうな
るのかが興味深い。私は,市販の重曹を個々の農家が農薬として使
った場合のみが特定農薬になり,「重曹を有効成分とする農薬」を
販売するには今まで通り農薬登録を要求するのが合理的だと考えて
いる。

http://members.tripod.co.jp/gregarina/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 結果として、木酢液などは特定農薬に指定されませんでした。農
薬の登録もありませんから、農薬として販売・使用することは違反
になります。

 ただし、一般的資材として販売・使用することは法にふれません
から、要するにいままでどおり野放しだということです。林野庁な
どは特定農薬に指定したがっていましたから、そうならなかっただ
けでもよかったですか。

 ところで木酢液といえば、こんな記事を見つけました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 木酢液

 製造用剤の一つで、サトウキビや木材などを乾留して発生したガ
ス成分を集め、油やタール分を除いた部分を生成して作られます。
で、目的は、スモーキング(薫蒸)せずにそのような香りを付ける
んだそうです。表示は木酢液、または、くん液。

http://homepage2.nifty.com/e-bi/food.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これには絶句してしまいました。恥ずかしながら「くん液=木酢
液」とは知りませんでした。この記事のつづきにも書かれています
が、木酢液の安全性は確認されていません。いったいどうしてこの
ようなものが食品添加物として許可されているのでしょうか。

 これは実は「既存添加物」なんですね。このくりには安全性の確
認されていないものが入りますが、ほとんどは昔から食べてきた食
品の成分なので、どちらかというと安全な添加物のように思われて
きたものです。(以前は「天然添加物」などといいました。)

 くん液は簡単にスモーク臭をつけるため、ハム類などに普通に使
われています。実は燻製にするとき、木を燃やした煙の中の有害物
質が食品について、防腐効果があるのです。くん液はその代用とい
うわけで、くん液を使っても使わなくても、実害としては変わらな
いのでしょうが、なんだか釈然としないですね。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 前回「上海滞在中はメールできない」と書きましたが、上海のホ
テルの部屋にはLANの回線があり、ノートパソコンでインターネ
ットに接続できました。進んでいるものですね。

 上海はなかなかおもしろかったです。食べ物は最高においしかっ
た。中国式乾杯というのがあって、食事の最初から最後まで、延々
と乾杯を繰り返すのには閉口しましたが。

 高層ビルの超近代的な上海、旧租界跡のコロニアルな上海、古い
家並が取り壊されつつある貧しい上海、それらがさほど大きくない
市内に渾然としていました。

 しばらく中国関係の仕事にかかるので、中国語を勉強しようかな、
と思っています。こんなことなら若いときにまじめに勉強しておく
のだった……。若い人は聞いておいてくださいね。
 
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