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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------171号--2003.02.16------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「賞味期限・乳化剤・レシチン(Q&A)」
「かんすい」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 前回の記事について、こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 こんにちは、いつも興味深く拝見させていただいております。

「菜食=金持ちの道楽、という気がします。」

というご意見ですが、

 ただ単に、日本のスーパーの食品を手に取り、その価格差だけで
言われたらそうかも知れませんが、

 地球規模の、マクロな目で見たら、肉牛1頭を育てるには相当な
量の穀物がいるわけですから、大量の穀物を消費している肉牛を食
らうという行為も、道楽か否かと考えると、あながち菜食だけが道
楽だとは言えないとは思いますが。

 肉食=先進国の道楽ということではありませんかね。

 という私も、菜食ではありませんが、(笑
気になりましたので、メールさせていただきました。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 なるほど、というご意見です。私はちょっと違う意見なので以下
に書いてみます。

 畜産物はエサを農産物として使いますので、二次的な生産になり、
一次的な生産物である穀物などに比べて効率が悪いことは事実です。

 それで畜産をやめれば世界の食糧問題は解決する…というような
言い方がよくされています。

 抽象的なレベルの議論では、間違いではないでしょうが、現実的
にはほとんど意味のない議論だと私は思っています。

 まず、今の時点で世界中の食糧が不足しているわけではありませ
ん。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 平成14年度世界の穀物等の需給・価格の見通し

 需要面では、開発途上国を中心とした人口の増加に加え、畜産物
消費の増加に伴う飼料需要が増大していること等から、消費量は着
実に増加している。

 供給面では、96/97年度以降、先進国における生産調整の縮小、
中国における生産刺激策がとられたこと等から生産が拡大したが、
ここ数年は天候等の要因から生産量は減少し、2000/01年度より、
生産量が消費量を下回っている。

 価格については、近年、生産量が消費量を下回り、在庫量が減少
しているが、主要輸出国の在庫量が高水準にあること等から、価格
は低迷を続けている。
http://www.maff.go.jp/www/press/cont/20020607press_4.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

トウモロコシの価格変動

年度 セント/ブッシェル 前年比
1996   370      129.9%
1997   274       74.1%
1998   232       84.7%
1999   208       89.7%
2000   208      100.0%
2001   205       98.6%
2002  194-247

http://www.ndic.jp/data_pickup/rjjvqh000000sbu6.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 現在は生産調整によってなんとか価格を支えている状態なのです。
それにもかかわらず、饑えている人は世界中に大勢いるわけですが、
これは食糧生産の問題ではなく、貧困と政治の問題です。

 現状で肉類の生産をやめれば、価格の崩壊がおこり、世界中の農
業は壊滅してしまいます。

 また、農地にもいろいろな適性があり、畜産でしか充分な生産性
を発揮できない土地もあります。

 現実を見れば、肉類の生産が浪費を意味しているわけではないだ
ろう、というのが私の意見です。

 農業を経済的行為だとみなさない立場の人は「肉食=先進国の道
楽」ということで納得すると思います。こういうあまりに単純すぎ
る考えでは、食糧問題は解決しないと私は思っています。

 農業に携わる人口の比率が小さい社会ほど、飢饉に強いことは明
らかな事実です。農業を経済的行為とみなさない、という人の中に
は国民のほとんどが農業に従事している農村社会などが理想だと思
っている人もいるでしょうが、そういう社会で飢饉が集中的に発生
してきたことを忘れてはいけません。

 日本は国策として、都市と農村の生活レベルの差を少なくしよう
と努力してきました。この政策は汚職や利権の構造はつくりました
が、成果としてはすばらしい成功をおさめたと思います。

 でも、その結果、「農村社会」が農業以外の収入をもとに生き残
ってしまい、農業の自立を妨げているのではないか、と思っていま
す。ここでも「構造改革」が必要なのです。

 そのためには「農本主義」的な農業礼賛の風潮を克服しなければ
いけません。農業を礼賛しているものが農業の足をひっぱっている
ものです。

 日本の農業の前近代性が不当表示やニセモノ横行の温床です。ク
ールに利益を追求する農業経営者は消費者からの信用が利益の最大
の源泉だということを理解しています。そういう人たちが信用でき
る生産者になるのだ、と思います。

 話が違う方向にいってしまいました。m(_ _)m

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.加工食品には総じて「開封後はお早めに」と記載されています
が、どのくらいの期間を目処にすればよいのでしょうか。昔は無頓
着にも賞味期限までOKだと思っていましたが、(開封前だって!)
「お早めに」なんて曖昧な表現だとすごく迷います。実際に菌が増
えてしまって食べられなくなるのはいつ頃なのでしょうか?

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A.「開封後の賞味期限」についてですが、これはあくまで自己責
任です。今夜つくったおかずの残りをいつまで食べられるか、とい
うのと同じことです。

 おかずと同等の日持ちしないものは明けたら全部食べてしまうし
かないと思います。缶詰やレトルト食品なんかは基本的にそうです。

 あとは食品自体の保存性の問題です。乾燥食品は開封後もほとん
ど変わりなく保存できます。冷凍食品は日持ちしそうですが、開封
後は乾燥しがちになりますので、あまり長期間保存しないほうがよ
いでしょう。

 塩分や糖分の多い食品は意外と長持ちします。こういう食品はま
ずカビが生えてくるのが普通ですから、外見が変りなければ、大丈
夫でしょう。

 ハムやかまぼこなどが一番悩むところです。これらもまず外側か
ら腐敗の徴候が現れてきます。表面がねとっとしてきたら、もうあ
きらめたほうがよいと思います。

 保存料としてはソルビン酸などがありますが、いくら保存料が使
われていても、開封後まで効果を期待してはいけません。

 保存できる期間は環境によってかなり違います。真空パックして
極低温で保存する、などの手を使えば結構保存することもできます
し、実際そういう効能をうたった冷蔵庫も市販されています。

 だからメーカーとしては「お早めに」くらいしか書けないのです。
いままで気にせずに食べていたのなら、逆にそれくらいは大丈夫だ、
と思ってもよいでしょね。

 気になりだすとちょっと神経質になりがちですが、食べられるか
どうかは人間の舌や鼻で判断できるものです。

 実際、賞味期限を設定するときに、決めてになるのはそういう官
能検査です。もちろん、菌数を調べたりしますが、菌数が少なくて
も、おいしくなくなっていればアウトなのです。

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Q.ずっと以前になりますが、工業用の油に一滴の乳化剤を落とし
て、クリームが出来る実験を見たことがあり、乳化剤は劇薬である
と聞きました。それ以来、乳化剤の表示のある食品を極力避けてき
ました。 しかし、今ではほとんどの加工食品に入っています。本
当は乳化剤ってどの位の危険性があるのでしょうか?

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A.乳化剤という表示のものにはいろいろな物質があります。主に
界面活性剤ですが、海藻抽出物などのようにそうでないものもあり
ます。

 ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、大豆レシチ
ンなどが代表的なものです。

 加工食品を安定した状態に保つには必要性の高い添加物です。あ
まりいい気がしませんが、実はあまり毒性の強くないものです。

 界面活性剤は石けんなどのように、本来混ざらない水と油を混ぜ
る力があります。魚などにはこの力自身が毒性を発揮しますので、
他の添加物より、見かけの毒性が強く感じられます。

 だからよく取り上げられるのですが、界面活性力を発揮するため
にはある程度の濃度になる必要があります。

 添加された食品中ではその濃度になっていても、食べたあと体内
でそういう濃度になることはまず考えられません。

 それ以外の毒性はほとんど心配ないと思います。ショ糖脂肪酸エ
ステルのADI(一日許容摂取量)は一日あたり30mg/kg 体重50kg
の人は一日1.5gまで影響がない、ということになります。

 実際の使用量から考えて、使用量を制限する必要がないというこ
とになっています。

 ヨーグルトなどでは乳化剤を使わないとどうしても離水します。
そのため、乳化剤を使うことが多いのですが、上等なものは乳化剤
なしで市販されています。少し離水はあるのですが、やっぱりこう
したもののほうがおいしいと思います。乳化剤入りはどうしても食
感が少し落ちるようです。

 そういう意味で、あまり使いすぎてよいとは思いませんが、健康
面で心配することはありません。

 乳化剤を使わずにがんばっている商品を見つけたら、ぜひ応援し
てやってください。

 でも、表示がウソだったら…というのは考えるのもイヤですね。
なんとかその辺を確認できる方法がないか、と思っています。

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Q.アレルギー用マーガリンの中に入っているレシチンは乳化剤の
役割として使用されているのですか?このレシチンは、大豆成分で
しょうか?

 また、パソコンで検索して調べていたんですが、アレルギー用マ
ーガリンは、乳化剤が腸管粘膜から未消化のたんぱく質の吸収を増
やし、アレルギーを悪化させるため、牛乳アレルギーの子供には使
用しない方がいいとかかれてあったのですが、本当でしょうか?

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A.レシチンは大豆か卵黄からとるのが普通です。卵黄レシチンは
非常に高価ですから、大豆レシチンと思ってまず間違いないと思い
ます。(卵黄レシチンならそう書くと思います。)

 アレルギーに関しては私のほうはそういう情報をもっていません。
正しいかもしれないし、間違っているかもしれないし…。

 ただ、ちゃんと実験した結果でそう言っているのではないような
気がしますね。

 本当にそういう実験をやったり、疫学的なデータをとったりした
場合、そういう記述があるはずです。

 データがある場合はそれが間違っているという根拠はありません
から、たぶんそうなのでしょう。

 データに関する記述がないなら、たぶん、

 乳化剤→吸収がよくなる→アレルギーが悪化する

という「連想ゲーム」ではないでしょうか。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「かんすい」
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 中華麺に使う「かんすい」についての質問があって、調べていま
した。

 「かんすい」というのはもう一つとらえどころがないのですが、

「中華麺類の製造に用いられるアルカリ剤で炭酸カリウム、炭酸ナ
トリウム、炭酸水素ナトリウム及びリン酸類のカリウム塩又はナト
リウム塩のうち1種類以上を含むもの」

ということになっています。要するにアルカリ剤で、小麦粉のたん
ぱく質がアルカリによって変質することを利用しています。中華麺
特有のコシとアクの強さは「かんすい」に由来しています。

 アルカリが強いので、麺自体もアルカリ性になります。中華麺が
お腹にこたえるのも、そのためです。無添加をうたう自然食品や生
協などでは「かんすい」を使わないタイプの麺を売っているところ
も多くあります。

 「かんすい」の代りに、卵かカルシウムを使って、コシを出して
いるものが多いです。味の面ではどちらももう一つですが、人気は
まずまずのようです。

ところで、こんな記事がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

焼成カルシウムの取り扱いについて

 かんすいの代わりにカルシウムを含有する天然物(卵殻・貝殻等)
を焼いて作られた焼成カルシウム(成分は水酸化カルシウム)が使
用される例があります。焼成カルシウムは強いアルカリ性を示し、
中華麺に使用した場合にはかんすいと同様の効果があります。焼成
カルシウムは天然物なので仕様基準がなく、中華麺に使用すること
が出来る。ただし食品衛生法の表示で一括名「かんすい」に焼成カ
ルシウムはないので、表示するときの用途名は「アルカリ剤」とす
ることが必要です。

無かんすい表示の是正がありました

 厚生労働省よりの事務連絡として、

中華麺の製造において使用されている焼成カルシウムは「かんすい」
と併用するとカルシウム強化剤とみなされるが、単独使用するとア
ルカリ剤であるから「かんすい」とみなされる。

 とされました。

 生協の中華麺では「焼成カルシウム」を使用したものに「無かん
すい」と表示をしていましたが、かんすいの代わりに使用をしてい
た卵殻や貝殻などの「焼成カルシウム」が単独で使用をした場合に
は、食品衛生法の解釈から焼成カルシウムを麺の製造時に単独で用
いる場合はアルカリ剤としての効果を期待するものと解されるので
「かんすい」に該当する。ということから、組合員の皆様に誤解を
与えかねない表現であり、景品表示法にも接触する可能性があると
いう考えから、「無かんすい」という表示を削除することにいたし
ました。

http://www.chibacoop.or.jp/info/kansui/kansui.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「かんすい」のかわりに「カルシウム」入りの麺は「無かんすい」
という表示でよく売られています。どこが違うねん!とツッコミが
はいった形です。

 カルシウム使用で「無かんすい」というのはまずいようですね。
そんな商品を見つけたら、注意してやってください。

 これなんかは「無添加」というセールスポイントをつくるために、
製造側が暴走した例です。私も片棒をかついた覚えがあるのでえら
そうに言えないのですが、「無添加」に類する表示にはこんな落と
し穴も多いのです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 「『食の安全』心配御無用!」発売以来、一ヶ月になりました。
売れ行きはボチボチ、というところのようですが、感想のメールな
ど、たくさんいただいています。

 以前はQ&Aにはほとんどのやりとりを掲載していたのですが、
最近はそうもいかなくなっています。重複しているものや回答が不
充分なものは省略しています。

 「かんすい」の記事も実は質問に答えようと調べてみたものです。
Q&Aは省略して、「かんすい」に関する部分だけ、掲載してみま
した。

 いずれにせよ、みなさんからのメールがネタでメールマガジンを
発行している状態は続いています。

 講演、というほどではありませんが、勉強会などのお誘いも受け
ています。日程さえあえば、出掛けるつもりでいますので、御希望
があればメールにて声をかけてください。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
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