安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>17号


-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------17号--2000.02.27------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

     「天然水」
     「Q&A ハム」
     「酢」

------------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--〔話題〕--------------------------------------------------

 例によっておたよりから。(改行は変更しています。)

-------〔↓引用はじめ〕-------------------------------------

SPF豚については、「Specific Pathogen Free」 : 直訳で「特定の
病原体を持っていない」という事で、住友化学の頭文字ではありま
せん。また、この意味からすると、無菌状態と言うのも、正確では
無いように思います。

-------〔↑引用おわり〕-------------------------------------
-------〔↓引用はじめ〕-------------------------------------

SPF は specific pathogen free 特定病原なし という意味らし
いっすよ.耐性菌を増やさないために、動物に抗菌剤をなるべく使
わないという点でSPFは優れていると思えます.

-------〔↑引用おわり〕-------------------------------------

 ということで、最近はそう説明されているようです。おわびして
訂正します。また、「無菌」ということについての説明を忘れてい
ました。

 完全な意味での「無菌」というのは、実現不可能ですので、言葉
の意味のうえでは、「無菌」というのは誤りです。

 有害な微生物をできるだけ排除した、という状態を「無菌」とい
う言葉で表現しているようです。ちょっと説明不足でした。

------------------------------------------------------------
------------------------------------------------------------

 新聞などで、「天然水使用」のビールの宣伝を派手にやっていま
す。

 天然水でなかったら、何を使っていたのか、というと、「水道水」
なのでした。ビール工場はどこでも、その町で一番の水道局のお得
意様です。

 それでは「天然水」というのは、どんなものか、というと、「井
戸水」です。

 ビール工場は大規模なので、井戸水の管理などもきちんとできる
のでしょうが、町工場で「井戸水」を「天然水」といって使ったら、
はっきり言って、これは危険です。

 工場を移転して、井戸水を使えるようになったので、使いたい、
と言われたことがありますが、冷却用などへの使用だけにしてもら
い、食品に入れるのは水道水を使用するよう、頼みました。日常的
に水質管理ができる体制をとらないで、「天然水」を使うのは、極
めて危険なことです。

 その点、水道水なら、市民が日常的にモニターしていますので、
万一の事故の場合も、すぐに発覚する、という利点があります。

 食品の製造に、水道水が良いか、天然水が良いかは、一概には言
えないでしょうね。どちらでも同じ、とも言いますが。

 大手メーカーがこんな宣伝(天然水うんぬん)をしているようで
は、消費者の食品に対する不信がつのるばかりでしょう。何をして
も売れれば勝ち、と思っているのでしょうね。

 食べ物にまつわるいろんなデマがはびこる原因は、こんなメーカ
ーの姿勢にもあると思います。

 「深海水」なる深い海の水を使った、というものもありました。
海の水がなぜ塩辛くないのか、と不思議に思っていたのですが、逆
浸透膜などで、塩分を取り除いているようです。

 そんな加工をしてまで、「深海水」を使って、何か良いことがあ
るのか、見当がつきません。ご存知の人がいたら、教えてください。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

------------------------------------------------------------

Q. ハム、ベーコン、ソーセージは妊婦は取るべきでないと聞き
ますが、保存料がいけないのでしょうか?最近売られている無添加
無着色のものなら大丈夫なのでしょうか?

------------------------------------------------------------

A.たぶん、発色剤として使われている「亜硝酸塩」のことをいっ
ているのだと思います。私もハム類は無添加のものをおすすめしま
すが、別に食べてすぐにどうこういうものではありませんので、そ
れほど心配なさる必要はないと思います。

 ドイツあたりではハム類は伝統食として、たくさん食べます。も
ちろん、亜硝酸塩も入っています。でも、食べていけない、という
ことはいわないと思います。

 塩分は多いですから、そのことをいうのかもしれません。加工食
品には全般にそういう傾向がありますから、ハム類に限らず、取り
過ぎないほうがよいのでしょうね。

 (ここまで、返事のメールに書きました。)

 ハム類は食品添加物の話には必ず登場します。ハムは基本的には
豚肉を塩漬けしたものです。保存のため、その後「燻製」にします。
「生ハム」や「ベーコン」はそのまま食べますが、普通のハム・ソ
ーセージは加熱処理されています。

 最初の塩漬けの段階で、発色剤として、「亜硝酸塩」を添加しま
す。以前は亜硝酸塩を使用しないものは、「ハム」ではない、とい
って、「蓄肉製品」などと書いたのですが、今はどうなのでしょう
か。

 亜硝酸塩は食品添加物の中では、毒性の強いものです。市販のハ
ムは、独特のえぐみのある味がしますが、あれが亜硝酸の味ではな
いかと私は疑っています。

 亜硝酸の殺菌力を評価して、必要であるという意見もありますが、
殺菌効果のあるほどの濃度では、人間にも被害が出ると思いますの
で、これは眉唾ものと思います。

 ヨーロッパでは、ハム類による、「ボツリヌス菌中毒」の事例が
ときどきあります。ボツリヌス菌は非常に強い毒素を作る菌で、細
菌の毒性としては最強のものです。胞子を作るため、加熱にも強く、
缶詰などの殺菌温度はこのボツリヌス菌をターゲットにしています
が、ある程度の菌数があった場合、完全に殺菌するのは難しいよう
です。

 あるレトルト食品のメーカーでは、製造後、製品を細菌の繁殖し
やすい環境において、ボツリヌス菌が出てこないのを確認してから
しか、出荷しない、という方法をとっていました。

 このボツリヌス菌を亜硝酸が抑える、というのですが、どう考え
ても、亜硝酸だけの力では無理と思います。

 日本では、幸い、肉製品でのボツリヌス菌中毒は起きていません。
この菌は土壌中にいる菌で、日本のはヨーロッパとは少し種類が違
うという話です。

 ハム類に「加熱してお召し上がりください」と書いてあるのは、
実はこのためです。菌自体は加熱しても胞子を作って生き延びるの
ですが、毒素は熱に弱く、食べる直前に加熱することで、無毒化で
きるのです。冗談ではなく、ハム類は加熱して食べるようにしまし
ょう。(無添加でなくても)

 その他、ハムの話はいろいろとありますが、またの機会に・・。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「酢」その1
------------------------------------------------------------

 お酒をつくるとき、原料中の糖分が酵母の働きでエチルアルコー
ル(エタノール)に変る話は以前にしました。ある程度のエタノー
ル濃度になると、酵母も活動を停止し、いったん安定した状態にな
ります。

 エタノールは殺菌力があるので、普通の細菌は繁殖できないので
す。

 ところが、このエタノールを好んで食べる「酢酸菌」という細菌
があって、お酒はやがて酢になっていきます。エタノールが酸化さ
れて、酢酸になるのです。

 この過程は酸素を必要とします。エタノールを作るまでは、酸素
のない環境での有機物の分解ですが、最後の酢酸を作るのは、酸化
です。

 古式の酢の醸造では、容器に酒を入れて、酢酸菌を繁殖させます。
酢酸菌の活動は、原料の液体の表面の、空気に触れる部分だけで行
われます。できた酢酸は比重が重いので、下に沈み、かわりにエタ
ノールを多く含む部分が表面に上がってきて、醸造が継続されます。

 このような酢の醸造法を「静置発酵」といいますが、効率の悪い
やり方なので、現在はほとんど行われていません。

 その分、時間がかかるので、味はよくなる傾向があります。でも、
必ずよくなる、という保証はないので、「静置発酵」であれば何で
も良い、というわけにはいかないと思います。

 酢酸菌は酸素さえ供給してやれば、極めて効率よく、エタノール
を酢酸に変えます。酸素の供給方法としては、液中に空気を吹き込
む、とか、傾斜した流路に原料を流し、空気に触れやすくする、と
か、いろいろあるようです。短い場合はたった1日で、醸造過程は
終了してしまいます。

 エタノールが酢酸になるだけでは、おいしい酢にはなりませんの
で、この場合でも、「熟成」は必要です。ちょっと邪道ですが、超
音波をかける熟成方法なども研究されていました。テープで音楽を
流している蔵もありましたが、これはほほえましいですね。

 酢酸は強力な殺菌力を持っています。マヨネーズが常温で保存で
きるのも、このおかげです。同じPHだと、塩酸や硝酸などの無機
の酸より、酢酸やクエン酸などの有機酸の方が殺菌力は強いといい
ます。家庭でも、お酢の力を見直されてはいかがでしょう。

 実は酢酸も以前紹介した「脂肪酸」の一種です。炭素数が1の脂
肪酸は「蟻酸」炭素が2個になったものが「酢酸」です。このあた
りでは全然油という感じはなく、酸性もかなり強くなります。消化
の課程も、油脂を構成する脂肪酸と違い、速やかに利用できますし、
体内でいろいろと有効な働きもするようです。

 製法からもわかりますが、酒の数だけ、酢もある、といえます。
ワインが酢になれば、「ワインビネガー」ビールが酢になれば「モ
ルトビネガー」日本酒が酢になれば「米酢」といった具合です。

 安い酢は「アルコール酢」といって、販売されている「醸造用ア
ルコール」から作ります。これはただのアルコール溶液ですので、
できた酢も、単なる酢酸の水溶液で、とても美味しいといえたもの
ではありません。

 酒粕から作ったり、モルトやコーンを使用した「粕酢」「穀物酢」
くらいから、お酢らしい味になってきます。酢のものにするなら、
米酢が美味しい、と思いますが、ドレッシングにすると、味が強過
ぎて、かえって良くないような気もします。要は適材適所、という
ことでしょうか。

 販売者の立場からすると、酢というのはめったにクレームのない、
売りやすい商品なのですが、値段も安く、さっぱり量のはけない、
儲からない商品でもありました。特に最近は消費が落ちているよう
です。

------------------------------------------------------------

 いつもおせわになっています、三島さんの「游氣風信」というメ
―ルマガジン(?)の122号で、油脂がとりあげられていて、そ
こで、前に話題にした、「トランス酸」の話が出ています。ほとん
ど同じ時期に発行されていますが、全くの偶然です。

 三島さんは名古屋の今池というところで、「游氣の塾 三島治療
室(鍼灸・経絡指圧・在宅リハビリ・分子栄養学)」を開いている、
鍼灸・指圧師です。

 「游氣風信」は122号という号数ですが、1990年ころから、
ずっと発行されており、インターネットのメールマガジンの大先輩
になります。

「三島広志のページ」
http://member.nifty.ne.jp/hmishima/

「游氣風信」
http://member.nifty.ne.jp/hmishima/yuki/index.html

 ですので、一度ご訪問ください。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 SPF豚の話にはいくつかおたよりをいただきました。私が知っ
ているのは、ずいぶん昔に、まだ実験段階だったときのことなので、
いろいろと変っていることもあるようです。

 食べ物のことだけに限定しても、一人で全てを知っている、とい
うことは不可能な世の中になっています。私の書くことは私の経験
と知識によって限定されていますので、この件については、自分の
ほうが詳しい、ということもよくあると思います。

 そのような場合、ぜひ、お便りで教えてください。どんなことで
も結構ですので、よろしくお願いします。

 私の住んでいる和歌山では、梅が満開です。野菜も相変わらず安
いままで、スーパーなどで見ていても、安ければ売れる、というこ
ともなくなってきているようです。高くなると売れなくなって、安
くなっても、やはり売れない、というのは作っている方からすると、
悲惨な話です。

 かまぼこがそれで失敗したので、味噌業界は、米が高くなっても、
値上げを抑えたのですが、それでもやはり消費量は減りつづけてい
ます。

 いったい何を食べているんだ!と思いますが、自分の暮らしを考
えると、人のことは言えないようです。

 この3月で次男が高校を卒業、もし彼も家を出て行ったら、夫婦
二人になってしまいます。私はうれしいのですが、彼女は寂しがっ
ています。でも、食べ物は作っても食べ手がなくて困るでしょうね。

------------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--17号----------------- e-mail why@kenji.ne.jp -----------
--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
------------------------------------------------------------
------------------------------------------------------------
 購読者数877名です。ご購読ありがとうございます。
(まぐまぐ818名+Macky!59名)
------------------------------------------------------------
私あてのメールのあて先は、

why@kenji.ne.jp

私のホームページ(「安心!?食べ物情報」)は

http://www.kenji.ne.jp/food/ です。

バックナンバーもすべて、このページで読めます。

【まぐまぐ】
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を
利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ )
マガジンIDは21668です。

このメールマガジンの登録や解除は
http://www.kenji.ne.jp/food/food2.html へ。

【Macky!】
@niftyのメールマガジンサービス「Macky!」でも配信しています。
登録は
http://macky.nifty.ne.jp/servlet/FreeMailServlet/mem/mail_start?2000
解除は
http://macky.nifty.ne.jp/servlet/FreeMailServlet/mem/mail_stop?2000
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/