安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>167号


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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------167号--2003.01.19------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「マグロ」「アイガモ農法・小麦・殺菌剤(Q&A)」
「アイガモ農法」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 このようなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

「アエラ」誌で、アメリカのFDAが鮪などの魚を有機水銀の汚染
の危険性が高いと警告を出しているのに、日本政府は無視している、
という記事を読みました。

 魚の種類による危険度のリストが出ていて、ツナ缶も月に一度に
しろ、妊娠の可能性がある女性と子供(全女性の1/2くらいにな
るのでは?)は特に気を付けるようにといった内容でした。

 海底にへばりついてるような貝類やカレイはPCBの危険度が高
いとも言いますが、鮪やイカや鰹なんかはいいのかと思っていまし
た。とすると、何を食べたらいいんでしょう。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 以下は私の返信です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 アメリカでは魚の汚染がいろいろと問題になっているようですね。
五大湖あたりの水質汚染は結構深刻なようです。日本の川や湖とち
がって、なかなか水が入れ替わらないことも影響しているそうです。

 また、食生活のちがいもあります。ちょっと考えるとヘンですが、
たくさん食べているものほど、規制しにくいということがあります。

 米のカドミウム汚染は事実としてありますが、カドミウム汚染の
心配があるから米を食べるな、とはいいにくいのです。

 マグロも同様だと思います。マグロの水銀汚染は以前から知られ
ていましたが、規制はしにくいのですね。

 米とちがって、毎日食べるわけではありませんので、実際問題と
してはそれほど心配はないと思います。妊娠中にはあまり食べない
ほうがよいでしょうね。

 近海産の魚も、いろんな汚染が心配です。だから私は魚もあまり
食べすぎないほうがよいと思っています。

 ただ、絶対に食べてはいけないというほどではありませんので、
あくまで個人の判断でよいのではないでしょうか。

 アエラの記事は毎度おなじみの煽り記事ですね。こんなことを言
っていたら、規制だらけになってしまいます。どうもすべてをお上
が決めるのがよいと思っている人がいるようですね。私はそういう
考えには反対です。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 マグロに関する元ネタはつぎのような記事だと思います。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

ロイター  2002年07月26日(金)
米FDAの諮問機関、妊婦のマグロ摂取量制限を勧告

 米食品医薬品局(FDA)の諮問機関は、妊娠中の女性はマグロ
の摂取量を制限すべきとする勧告を発表した。

 水銀中毒への懸念が浮上する一方、健康的な食生活の必要性を考
慮して、摂取を止めるよう求めるには至らなかった。

 FDAは、胎児の発育に有害なレベルのメチル水銀を含んでいる
との懸念から、メカジキ、サメ、アマダイなどを摂取しないよう勧
告している。

 妊婦に対する望ましい摂取量は、まだ明らかにされていない。諮
問機関が暫定的な使用をFDAに推奨したウィスコンシン州発行の
冊子は、1週間当たり170グラム入りの缶2個以内に留めるべき
としている。

http://www.safetyfirst.gr.jp/newspaper/reuters2002jul26.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 FDAも悩んでいるようですね。マグロに水銀が多いのは周知の
事実です。ダブルスタンダードにならないためには、この程度の勧
告を出さざるを得ない、といったところのようです。

 マグロだけでなく、クジラなども問題があるようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 厚労省の研究班が7種について筋肉や皮下脂肪、内臓での濃度を
調べたところ、三陸沖やオホーツク海で捕獲されたツチクジラ5頭
の脂肪で5.0〜11ppmのPCB、筋肉で0.37〜1.3p
pmのメチル水銀が検出されるなど、魚などをえさにするハクジラ
類5種ではほとんどの検体で規制値を上回った。オキアミなどをえ
さにするミンククジラでは、市場に出回る大半を占める南極海産は
規制値を下回った。

 市場で正確な種名表示がされていたのは977件中284件で、
全体の約6割は表示がなかった。表示の種名が実際と異なっていた
不当表示は90件だった。

http://www.safetyfirst.gr.jp/newspaper/asahi2003jan17.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 海の生物で、食物連鎖の上位にあるものに濃縮されているという
ことだと思っていたら、そうでもない話がこちらにありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 環境科学の教科書には、必ずと言っていいほど生物濃縮(重金属
やPCBなどが、生物に濃縮する現象)の話が書いてある。

 ところが、これがすべて食物連鎖によると書いてある。だから学
生たちは、生物濃縮のメカニズムは?と聞くと、100%食物連鎖
と答える。しかし、この寄与が大きくないことも多々ある。

 それ以外には何か?呼吸である。エラ呼吸と言ってもいいだろう。
水中の酸素はエラを介して吸収するが、その時、メチル水銀が溶け
ていると一緒に吸収されるのである。

(略) 

 動物プランクトン中のメチル水銀:水中のメチル水銀=0.1ppm
(プランクトンの量)×105:1=100:1となり、動物プランクト
ンからのメチル水銀吸収は、エラ呼吸からの吸収に比べ無視できる
ほど小さい。
 
http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak151_155.html#zakkan152
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 マグロは他の魚より長生きで、高速で泳いで大量の水を取り込む
ので、水銀濃度が高くなる、ということのようですね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.小麦粉の国内価格と国際価格の原価を教えてください、

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A.具体的な数字は以下のようです。

主要農産物の内外価格比較(平成8年)
                    (単位:千円/トン)
         輸 入 品      国 内 産 品   
      CIF価格 実需者価格 生産者売渡 実需者価格
  米      69   226   273   302 
 小 麦     32    52   152    41 

http://www.maff.go.jp/soshiki/kambou/kikaku/chousakai/nougyoubukai/3kaisiryou/3-9.html

 1トンあたりで輸入品で2万円儲け、国産品で11万円損してい
ますね。

 実需者というのは小麦の場合、製粉メーカーです。

 米とちがって小麦では、価格が逆転しているのがよくわかります。

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Q.食品添加物の中に殺菌料というものがあるのですが、これは具
体的にどのような物なのでしょうか?また、この殺菌料にはなぜADI
が設定されていないのでしょうか?

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A. http://www.fcg-r.co.jp/additive/
というサイトで「殺菌剤」で検索すると、次のようなリストがあり
ました。

1.次亜塩素酸水
http://www.fcg-r.co.jp/additive/data/1837.htm
2. ギ酸エチル
http://www.fcg-r.co.jp/additive/data/1250.htm
3. 次亜塩素酸ナトリウム
http://www.fcg-r.co.jp/additive/data/0148.htm
4. 高度サラシ粉
http://www.fcg-r.co.jp/additive/data/0117.htm
5. 過酸化水素
http://www.fcg-r.co.jp/additive/data/0066.htm

だいたいこんなものだと思います。

 保存料は食品に添加されて、長い期間微生物の繁殖をおさえる役
目です。殺菌剤は瞬間的に食品中の微生物を殺しますが、食品中に
長く含まれているものではありません。

 人間でいうと飲む薬と傷につける消毒薬のようなものかな。もち
ろん、殺菌剤が消毒薬にあたります。(「オキシフル」は過酸化水
素水ですしね。)

 こういうものを使用するのはあまりほめられたことではありませ
んが、場合によっては有効だし、食品の危険性を減らすこともでき
るわけです。

 でも、殺菌剤を使用せずにすむ衛生管理レベルの向上が本筋だと
私は思います。

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Q.先般新聞に「アイガモも農薬!?」という記事があってムスメ
と二人で爆笑しました。

 やはり農薬というからには、「合鴨米」は無農薬有機質栽培に認
定してもらえなくなる、ということなのでしょうね。

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A.無登録農薬の問題が思わぬ方面に波紋を投げています。農薬と
して登録されていない農薬を使用してはいけないのですから、その
他にも勝手に農薬として使っている資材はどうなんだ、というツッ
コミがはいったのですね。

 一番やり玉にあげられているのは私も常々批判している、「木酢
液」です。これはかなり危険な物質ですが、「無農薬」野菜に実際
に使われていたりします。

 無登録の資材を農薬として使用しているのに、登録農薬を使用し
ていないから「無農薬」だというのでは、これはインチキとしかい
いようがありません。

 食品添加物として認可されていない物質を使用して、「無添加」
と称しているようなものです。(こういうものも多いのですが…)

 農薬のなかに「生物農薬」という範疇があります。「天敵」を利
用する方法ですね。天敵のハチなども実は農薬として登録されてい
ます。天敵をばらまいた結果、その天敵が作物や環境に被害を与え
たのではいけませんから、その辺を審査してから登録するのだと思
ってください。

 そういう意味ではアイガモも立派な「無登録農薬」です。虫など
とちがって大きい動物です。もし日本中の水田がアイガモ農法に切
り替えたとき、かなり大きな自然破壊がおこるでしょう。

 だからやっぱり「農薬」として、きちんと管理する方向に向うべ
きだと思いますよ。

 そうした上で「有機栽培」に使用することは問題ないと思います。
生物由来、または生物そのものの農薬はほぼ無条件で有機栽培でも
使ってよいとされているからです。

 「有機栽培」であって、「有機無農薬栽培」ではありませんので、
ご注意ください。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「アイガモ農法」
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 アイガモ農法は水田でアイガモを飼育して、雑草や害虫を防除し
ようというものです。

 最近、鴨鍋用に販売されているのもアイガモの肉です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 アイガモとは、小型のアヒルとマガモを交配して作り出した家禽
です。大きさはアヒルとマガモの中間で、常に集団行動すること、
メスがよく鳴くこと、歩き方がアヒルに似ていることなどが特徴で
す。

 近年、無農薬で安全な米を志向する消費者の要求が高まり、水稲
栽培において「アイガモ農法」が注目されています。これは、アイ
ガモのヒナを水田に放飼して、その旺盛な食欲と雑食性で、水田の
雑草や害虫などを食べて除去するため、農薬を使わずにイネを育て
ることができる無農薬農法です。そのうえ、アイガモのふんや水田
内のかくはん効果でイネの生育が促進され、最終的にはアイガモを
食肉にできるため、ムダのない利用法です。

 アヒルと同様、古くからアイガモは食肉用として飼育されてきま
したが、安土・桃山時代に豊臣秀吉がこのアイガモ農法を推奨し、
それが関西地方を中心に戦後までひきつがれてきたともいい伝えら
れています。

 アイガモの羽毛は、羽布団や魚釣り用の毛バリなどに利用されて
います。

http://group.lin.go.jp/data/zookan/kototen/spacial/s001.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 アイガモ農法の実践をしている人の報告があります。
http://www.santyoku.net/aigamo1.htm

・水田に囲いをしてアイガモが逃げないよう、また外的に襲われな
いようにする。

・田植え後、1週間たった水田に生後2週間めのアイガモのヒナを
はなす。

・毎日エサをやって、70日ほど飼育する。

・稲の穂も食べてしまうので、出穂前に田から出す。

 といった手順だそうです。生後80〜90日くらいの若鳥として
出荷することになります。肉にするにもちょうどよいくらいのとこ
ろなのでしょうね。

 無農薬で稲を栽培する、よい方法ですが、手間もコストもかかり
ます。アイガモをうまく販売できれば足しになるのですが、数量が
まとまらないため、鴨肉を売って儲けるのも難しいようです。

 アイガモ農法で育てた鴨肉を扱ったこともあります。値段は高か
ったと思いますが、美味しかったですよ。米と鴨肉をセットで消費
者に直接販売する方法などが軌道に乗れば、やっていける農家も多
くなるかもしれません。

 インターネットによる直接販売などの方法もあるでしょうね。

 Q&Aに「日本中の水田がアイガモ農法になれば……」と書きま
したが、実際のところ、一部の篤農家だけで実行可能な特種な手法
だと思います。

 産直と簡単に言いますが、一番難しいのは生産と消費の規模の問
題です。農業の生産力は意外に大きいので、単独の農家でも数家族
程度の消費量では支えきれません。どうしても消費者の集団化が必
要なのです。

 消費者の集団も、規模が大きくなってしまうとこんどは生産量が
間に合いません。生産者の集団化がこんどは要請されてきます。

 ところが生産者の集団がみんなこのような農法をおこなえるレベ
ルにあるというのはとても難しいことなのです。

 数万人以上の規模の消費者団体で、無農薬とか有機栽培とかいう
農作物を扱っていたら、どのような規模でものを確保しているのか、
疑ってかかったほうがよいと思います。

 こうした流通のミスマッチを避ける意味でも、直接販売は有望だ
と思っています。生産者も消費者もずぶとく、詐欺にあってもくじ
けないでいってほしいものです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 1月15日に「『食の安全』心配御無用!」が発売になりました。
プレゼントの当選者の方にも届いたと思います。

 東京の大型書店では平積みされていた、という話も聞きました。
一度見に行きたいのですが、なにしろ田舎に住んでいますので、書
店にもあまり縁がありません。

 お読みになりましたら、ご感想など、ぜひお寄せください。

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