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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------164号--2002.12.29------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「コウジ酸」「自然食品(Q&A)」「自然食品」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 こんなお便りをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 12月19日厚生労働省によってコウジ酸の食品添加物としての使用
が禁止される方向に向かうようです。

 コウジ酸は既存添加物としてカニなどの黒変防止に使われている
ようですが、普及率とかはどの程度なのでしょうか。

 コウジ酸とだけでなく、製品名も多々あるのでかぎりなさそうで
す。

 私は食品メーカーに勤めており調べた限りでは、直接の影響はな
さそうですが、原料メーカーや問屋に問い合わせをしなければなり
ませんし、お客様への対応に追われそうなので準備しなければなり
ません。

 麹菌を培養して得られるものとありますので、その周辺食材メー
カーは大変な影響を受けることが予想されます。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 コウジ酸というと、化粧品のコマーシャルでおなじみです。「コ
ウジ酸の美白力」というやつですね。資生堂のホームページに次の
ような記載がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 コウジ酸は、お酒や味噌、醤油などの発酵食品に欠かせないコウ
ジ菌から発見されました。お酒、味噌、醤油などの色や風味をきめ
る重要な物質ですが、メラニン生成のキー酵素であるチロシナーゼ
の活性を抑制する美白剤としても、注目をあびている物質です。

コウジ酸は、

 ●メラニンの生成を抑制する効果  

を持っています。

http://www.shiseido.co.jp/s9809bhk/html/bhk03032.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 コウジ菌というと耳慣れないですが、麹カビ(アスペルギルス属)
ですから、カビの一種です。菌というと細菌のことと思いがちです
が、カビは真菌類と呼ばれますので、カビを菌というのは間違いで
はないのでしょう。でもちょっと作為的な呼び方だと思います。

 ニュースでは次のように報じられています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

コウジ酸に発がん性、使用禁止へ 厚労省

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の部会は19日、カニやエビ
など甲殻類の黒ずみ防止に使われる添加物のコウジ酸に発がんの可
能性があるとして、食品添加物としての使用を禁止することを決め
た。

 厚労省によると、現在コウジ酸は国内、輸入のいずれの食品でも
使用されていないという。

 コウジ酸はみそやしょうゆの製造に使われるコウジ菌を培養して
得られる抗菌作用のある物質。天然由来の食品添加物として使用が
認められている。

 同審議会の食品衛生分科会に諮り、来春から正式に禁止措置を取
る方針。

 同審議会の毒性・添加物合同部会が安全性などを調べた結果、マ
ウスで肝細胞腫瘍(しゅよう)の発生が認められ、ラットでも肝臓
がん発生の可能性が示唆された。染色体異常などの遺伝毒性につい
ても可能性が否定できないとしている。

 みそやしょうゆの製造過程でコウジ酸が作られ、製品に含まれる
ことがあるが、みその抗がん作用や濃度の低さなどから、食品への
特別な措置はとらない方針。

http://www.sankei.co.jp/news/021219/1219sei111.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このニュースのネタ元は厚生労働省からのつぎのような発表です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会
毒性・添加物合同部会の審議結果概要等について

平成14年12月19日に薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒
性・添加物合同部会が開催され、食品添加物「コウジ酸」に関する
基準の設定等について審議が行われた。審議結果の概要及び今後の
予定は以下のとおりである。

1.審議結果の概要
(1) 食品添加物「コウジ酸」に関する基準の設定について

(ア) 既存添加物の安全性確認作業の一環として平成8年から実施
されてきた「コウジ酸」の安全性試験の結果等に関する取纏めが報
告され、報告内容に基づき審議が行われた。

(イ) その結果、
1. マウス及びラットにおいて肝臓に対する発がん性が示唆され、
その遺伝毒性を否定できないこと、
2. 食品添加物としての「コウジ酸」は、意図的に添加するもので
あること、
3. 食品添加物としての「コウジ酸」は、国内外とも現在使用され
ておらず、食品添加物として使用する必要性は低いと考えられるこ
と、などから、食品添加物としての「コウジ酸」については、今後
とも使用しないよう食品衛生法第7条に基づく必要な基準を策定す
べきとの結論となった。

(ウ) なお、麹菌を用いて製造される、みそ、しょう油等の食品に
ついては、

1. 我が国の伝統食品として長い歴史を有するものであること、

2. 食品中のコウジ酸は微生物、酵素等によって分解されると報告
されていること、

3. 動物試験で腫瘍が見られた濃度に比べ、食品中の濃度はごく微
量で限られたものであること、

4. みそにより、肝がんを含めがんの発生が抑制されるという動物
試験結果があるなど、みそ、しょう油等のリスクは食品全体として
評価する必要があること

などから、これらの食品については直ちに何らかの措置を講じる必
要はないと考えられることとされた。

参考 

コウジ酸について (審議会資料の抜粋)
 コウジ酸(Kojic acid)は、味噌、しょう油等の製造に用いられる
麹菌(Aspergillus属等)を培養して得られる抗菌作用を持った物質
である。コウジ酸は、メラニン生合成関連酵素「チロシナーゼ」を
阻害する作用により、力ニやエビなど甲穀類の黒変防止、抗菌作用
等の用途で、甲穀類、生麺、鮫子の皮、加工用原料野菜等に添加物
として使われていた実績がある。

 コウジ酸は、平成7年の食品衛生法改正に伴う既存添加物として
現在食品添加物としての使用が認められている。

なお、コウジ酸については、食品衛生法上の食品添加物としての使
用基準が設定されておらず、対象食品等の制限は規定されていない。


注)既存添加物とは、いわゆる天然添加物の使用を原則として禁止
した平成7年の食品衛生法改正に伴い、改正時に使用されていた天
然添加物を個別に列記し、特例的にその使用を認めたもの。

http://www.ffcr.or.jp/zaidan/MHWinfo.nsf/98a5d7b766af9bfb492565a10020c601/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 エビ、カニ類は生のまま冷凍して流通しています。解凍すると黒
く変色する性質があり、この変色を防止するために普通は亜硫酸塩
が使われています。ビタミンC(アスコルビン酸)を使うこともあ
りますが、この目的でコウジ酸が使われていた、というのです。

 ニュースを見るかぎり、使用の実績はないようで、ほとんど影響
はないようです。これで食品添加物のリストからコウジ酸は削除さ
れることになると思います。

 このニュースからつぎの二つのことがわかります。

(1)「既存添加物」は本来禁止すべきものを実績があるという理
由で暫定的に食品添加物として許可されているものです。審査を終
えて安全性に問題がなければ一般の食品添加物として認可されます
が、中には安全性に問題があるものもあるようです。

 天然食品添加物のほとんどが「既存添加物」に含まれています。
合成着色料より天然着色料のほうが安全だという意識があり、私も
かつては商品開発にあたってそうしてきましたが、どうもこの思い
込みは間違いだったようです。天然添加物=既存添加物のぼうがど
うも安全性の面では警戒しなければならないようですね。


(2)発ガン性の報告があり、それが否定できない確かな情報のと
きはこのように食品添加物としての許可を取り消されます。よく、
「食品添加物○○には発ガン性があります」などという話を聞きま
すが、こういう情報は基本的にデマの類だということです。発ガン
性が確認され、なおかつ食品添加物として許可されているというこ
とは絶対にありません。

 かつて食品添加物として許可されていて、その後発ガン性がみつ
かって取消になったことはあります。また、現在知られていない発
ガン性が今後見つかる食品添加物が出てくる可能性はもちろんあり
ます。しかし、現在、ある食品添加物に発ガン性があることがわか
っているかのような情報は基本的にすべてウソと断定してよいと思
います。


 化粧品は食べるものではありせんから、コウジ酸を使っていても
別に害にはならないと思います。しかし昨今の風潮からすると、化
粧品会社は何らかの対策をとるのでしょうね。少なくとも伝染性が
あるかどうかよくわからない牛由来の原料を追放しようとしたこと
から考えると、コウジ酸も化粧品から追放されてしまうような気が
します。

 私は過剰反応だと思うのですが、いかがでしょうか?

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q. 自然食品店で売っているものと、スーパーマーケットで売ってる
もの違いでわからないものがあります。値段も自然食品店では高い
しどんなところが違うんでしょうか。作り方がどんなにか違うんで
しょうか。ひじき、切り干し大根、わかめ、ごま、昆布、鰹節、ち
りめんじゃこ、同じ国産?の魚でも値段が違ったりするのは、なん
でしょうか。小麦粉なんかもスーパーマーケットだと1キロ100えん
だったりしますよね。片栗粉とかも。

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A.これはなかなか難しい質問ですね。次回メールマガジンのテー
マにしたいので、ちょっと考えさせてください。

 思いつく要素としては、

(1)自然食品の業界では利益率を高くとる傾向がある。

(2)高価な商品のほうが売れる傾向がある。

(3)商品開発が希少価値を求める方向で動くので、高価なものが多くなる。

(4)素材、添加物などにこだわる結果、原価が高くなってしまう。

というくらいですね。

 私はこの順番に影響力が強いと思っています。ただ、これだけで
は納得しにくいと思いますので、自然食品業界の話をしなくけはい
けません。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「自然食品」
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 ということで、自然食品はなぜ高いのか?という問題です。

 まず利益率の問題です。消費者にはあまりなじみがない計算です
のでちょっと説明しておきます。商品の売価から仕入価を引いたも
のが「粗利(あらり)」または「粗利益」と呼ばれます。ここから
経費(人件費や店舗の物件費など)を差し引いた残りが純利益です。

 売価に対して粗利がどれくらいを占めるのかということを示すの
が「利益率(正確には粗利益率)」です。利益率=粗利益÷売価で
すから、(売価−仕入価)÷売価で算出されるわけです。

 「300円で仕入れた商品を利益率25%で値付けしなさい。」
というのがなつかしい私の生協への入社試験でした。これは400
円と即答できなくてはいけません。

 300×1.25=375円ではなく、300÷0.75=40
0というのが正しい計算式です。検算してみますと、

(375−300)÷375=0.2
(400−300)÷400=0.25

ですから、どちらが正しいかわかりますね。

 一般に、食品の小売り業では利益率は25〜30%くらいだと思
います。生協の共同購入ではかつてはもっと低かったのですが、今
では一般の小売業と同じくらいで、20%以下ではやっていけない
と思います。

 生鮮食品の場合は値付けをしても必ずしもその値段で全部売れる
わけではありませんので、話はもっと複雑になりますが、最終的に
どれくらいの利益率を確保するか、ということは商売をするうえで
非常に大切なことです。

 自然食品の店では顧客数、商品点数が限られるため、この利益率
を高くしないとやっていけない、という構造があります。だいたい
30〜40%くらいになるのではないでしょうか。手に入れにくい
商品を供給するためには、このことはやむを得ないことだと思いま
す。

 また仕入原価もどうしても高くなります。製造時点で材料費など
が高くつくこと、少量生産によるコスト高、少量仕入による取引条
件の厳しさなどが理由で、大量に出回っている商品よりはどうして
も高く仕入れることになります。

 高く仕入れた商品を高い利益率で販売するわけですから、自然食
品店の商品が高くなるのは当たり前、といえます。自然食品店の価
格が高いのは仕方ない面がたしかにあるのです。しかしそれだけで
はすまない要素があります。客のほうが単価の高い商品を求める傾
向があるのですね。

 自然食品店の顧客が金持ちばかりというのではないでしょうが、
まあ、食べ物というのはよく考えると安いものです。普通の二倍の
値段がしても、外食などと比べて、決して買えないものではないの
かもしれません。自然食品がよいものだ、という観点からみると、
どうしても高い値段がついているもののほうがよいものだと思える
のでしょう。

 実際、同じ中身の商品でも、自然食品のブランドをつけたものは
高く納品できるという話はメーカーの人からよく聞きました。実例
がインターネットで紹介されていました。

http://www5.ocn.ne.jp/~right/newpage4.htm

 ここでは「てんさい糖」がとりあげられています。サトウキビか
ら作る砂糖が多いのですが、ヨーロッパなどでは甜菜(サトウダイ
コン)から作ることも多いのです。日本でも北海道で栽培されてい
て、ホクレンが製造、販売しています。

 同じホクレンのてんさい糖ですが、一般品と自然食品向けでは袋
がちがい、価格も自然食品むけが高くなっています。

自然食品店で購入したもの  スーパーで購入したもの
500g   350円   750g   300円
100g当たり 70円      100g当たり 40円

だそうです。じつはこの値段、スーパーでの価格も相当高いです。
確かな記憶ではないのですが、750グラムで200円〜250円
くらいではなかったかと思います。私は生協でホクレンの「てんさ
い糖」を販売していたことがあるのです。

 その当時から自然食品業界用に違う袋で販売されていました。も
ちろん、中身は同じです。袋にわける量のちがいなどもあり、通常
のホクレン商品よりは仕入価から高くなっていると思います。

 袋を変えるだけでもコストがかかります。中身が同じなら、ホク
レンの袋のままで販売すればよいと思い、私たちはそうしていまし
たが、自然食品業界ではなかなかそうもいかないようです。

 自然食品という言葉自信、定義があいまいです。流通サイドで自
然食品業界というものがあり、自然食品の店で売っているものが自
然食品ということなのでしょう。一般的には生協などで扱っている
無添加食品より、もっと伝統的な食品が中心になっているというイ
メージがあると思います。

 ひじき、切り干し大根、わかめ、ごま、昆布、鰹節、ちりめんじ
ゃこ、といったあたりを買うのがオーソドックスな自然食品の利用
法です。でも最近は時代の風潮からか、自然食品の店でもインスタ
ントラーメンを売っていたりします。自然食品の店で売っているイ
ンスタントラーメンは自然食品なのか?悩んでしまいますね。

 ここで自然食品業界独特の付加価値情報が活躍します。「無添加」
「無農薬」からはじまり、いろいろなキャッチフレーズがあります。
「国産」などというありふれた情報まで、有り難がられるようにな
ってきました。てんさい糖だってふつうの砂糖なのに、国産原料で
あること、含蜜糖(糖蜜を分離していない砂糖)であることから、
自然食品の仲間入りをしてしまったわけです。

 これなどは同じ商品であるのに自然食品業界では高く売られてい
るという例でした。もちろん、それなりの理由があって高くなって
いるものもあります。

 伝統的な食品の場合、伝統を守って作られるものと、近代化され
た工場で作られるもので価格は当然ちがいます。品質については伝
統的なものが必ずしもよいわけではありませんが、こうしたものを
求めるなら、少しくらい価格が高くても納得して買うべきでしょう。

 でも、実際のところは袋が違うだけだったり、うたい文句にだまさ
れていたりすることも多いでしょう。それをどう考えるかは個人の趣
味の問題だと思います。私は衛生面の問題などもあり、全面的にはお
すすめできないかな、と考えています。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 本のプレゼント企画にたくさんのご応募、ありがとうございまし
た。23日に抽選して、当選者にはメールでお知らせしています。
落選の人にもお知らせしましたが、一部抽選終了後に到着したメー
ルはそのままになっています。現時点で当選のお知らせが来ていな
い人は落選したものと思ってあきらめてください。

 抽選には「抽選くん」というソフトを使いました。いただいた応
募から、25名を厳正な抽選でえらんでいます。あとで5名だけ、
情実により追加しました。さらに個人的な知人あてに5冊追加し、
計35冊の発送を朝日新聞社に依頼しています。

 メールが錯綜していましたので、この間いただいたメールで返信
できていないものがあるかもしれません。申し訳ありませんが、そ
んなときはもう一度ご連絡をお願いします。

 朝日新聞社のサイトに私の本の案内が出ています。
http://se01.asahi.com/fcg/doors/shoseki/shoko.cgi?257814-9
いよいよ発売が近づいてきました。来年はよいことがありそうです
ね。

 皆様もよいお年をお迎えください。

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