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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------152号--2002.10.06------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「こんにゃく・大豆・サラダ油(Q&A)」
「情報の評価」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 今回もいただいたメールを紹介します。相変わらず長文ですが、
今回は2件でしたので、全文を紹介します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 はじめまして。さすがに石鹸・洗剤論争は反響が大きいですね。

 私も大矢先生の本は読みましたが、まず、bP50での表現が誤
解を招く物だったと思います。大矢先生は石鹸に批判的なのではな
く、「石鹸ファシズム」に批判的なだけですよね。

 発芽実験に関してですが、石鹸水でも十分に溶解していれば発芽
を阻害します。ですから、bP51の貝われの実験の場合、石鹸水
と合成洗剤との界面活性剤としての効力を同一にしているかどうか
が問題です。同じ分量を使用したつもりでも、溶解性が全然違いま
すから。逆に言えば、条件次第で結果を操作できると言う事になり
ます。生態系への影響を見るならば、標準的な家庭において標準と
される使用量で使った場合の、家庭排水中における濃度を基に比較
しないといけないのですが、そこまで厳密に条件設定しているとは
思えません。

 また、生理食塩水や紅茶は洗剤以上に発芽を阻害するそうです。
これらは「毒」でしょうか?そんな事は無いですよね。

 そもそも、家庭排水が直接河川に流れ、その水をくみ上げて植物
を育てると言う限定された条件しか、この実験は反映しません。多
くの家庭排水が汚物と一緒に下水処理場で処理され、環境に影響を
与えないレベルにまで十分に分解されてから放流されている現状で
は殆ど意味がありません。

 問題は、このような実験を学校で行ってしまう事にもあると思い
ます。「どういう物質がこういう作用をさせたのでしょうか」と言
っておられるところを見ると、その実験によって何が判るのか、結
果からどのように考察するのか、と言った事が検討されておらず、
「だから合成洗剤は良くない」と安易に結論付けて終わっているよ
うです。はっきり言えば、最初から結論ありきの「デモンストレー
ション」です。教師の側に問題ありですね。

 分解性については、両者を比較すれば確かに差がありますが、そ
の差が環境にどれだけ影響があるかが問題ではないでしょうか。

 野球の投手に例えれば、球の速さ(分解速度)は良い投手の一つ
の条件ではありますが、それだけで判断できる物でもありません。
コントロールやスタミナ等、投手成績(環境)に影響を与える条件
はいくつもあります。洗剤で言えば、原材料の使用量、製造過程に
おける消費エネルギー等も環境に影響します。評価する場合はそれ
らを複合して判断しなければ意味がありません。合成洗剤の分解速
度が石鹸より遅いから否定すると言うのは、150km/hの球が投げ
られないから、149km/hしか出ない投手はクビだ、と言うような
物だと思います。

 なお、石鹸の分解速度が速いというのは、あくまで石鹸の溶解し
た上澄み液についての話です。水中のカルシウムと結合して下水管
等に付着する石鹸カスの分解速度については考慮されていません。
このあたりも根拠として不適切なところです。

 また、大矢先生の別の本によると、「POEP」や「POER」という学
術レベルでは用いない略称を使っている事自体、その主張における
「科学的根拠」の情報源が否定派側に偏っている事を表しているそ
うです。

 「合成洗剤を擁護する」との表現もおかしいです。どちらを擁護
するとか言うレベルの話ではありません。主張が論理的であるかど
うかが問われているのだと思います。

 石鹸派はよく「子供達の未来のために」とか言う表現を使います
が、論理的な考え方のできない大人から誤った認識を植え付けられ
る事が、子供達にとって一番「有害」なのではないでしょうか。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 なかなかの論理派ですね。論理という点では私も同意です。こう
いうまっとうな論理が消費者に受け入れられにくいのはどうしてな
のでしょうか。そこが問題です。

 つぎは非常に個人的なお話です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 もう30年も前になるでしょうか。

 当時、玄米菜食を始めて、洗剤にも疑問を持ち始めていました。

 定山渓のとある温泉に浸かって、何気なく入浴客を眺めていたと
ころ、一人の老人に眼が行きました。

 彼は、タオルでしきりに体を磨いていました。当地では、この動
作を”あかすり”とか言います。さらに彼の体をよく見ると、その
皮膚がなんともいえないくらいきれいだったのです。もちろんしわ
だらけですが、しわとしわの間の皮膚がなんともきれいだったので
す。私は、思わず見とれていました。

 私が先に上がって、脱衣所にいると、彼がやったきたので、思い
切って、美肌の秘訣を聞きました。「子供の頃から石鹸と言うもの
を使ったことがないのだ」と、その老人は答えたのでした。

 以来30年近く、私も石鹸を使わないことにしています。65歳
になりましたが、私の肌は、きれいです。

 炊事や洗濯にも石鹸を含めて、洗剤なるものは使わん主義で、や
ってきています。私が台所も仕切っています。時々女房がヒステリ
ーを起こして、洗剤で茶碗類を洗ったりしていますがね、、、、。

 肉類を食べないので、洗剤はいりませんよ。少々”ぬらぬら”し
ていたって、健康上は何も問題ありませんからね。それより残留薬
品や使用水量のほうが有害でしょう。

 洗濯は、毎日します。水洗いだけです。たしかに、顔を拭いたタ
オルなどは、黒ずんでくる。これが目立ってきたら、雑巾におろし
ます。ズボンもセーターもすべて水洗いだけ。何も問題はありませ
んよ。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 どうもありがとうございました。ご意見・ご感想など、お待ちし
ています。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.こんにゃく玉から粉末にする方法を教えて頂きたく宜しくお願
い申し上げます。赤いこんにゃくにするには、何を混ぜればいいの
か教えてください。

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A.こんにゃく粉の作り方は以下のサイトにありました。
http://www.konnyaku.com/info_konjac/kon31.html
素人には難しいものだと思います。

 こんにゃく芋を保存するのなら、そのまま冷凍してしまった方
が簡単だそうです。

 赤い色をつけるのでしたら、パブリカ色素が普通だと思います。
唐辛子の辛くないやつですね。粉末のパブリカが売られていますの
で、それを利用するのが簡単ではないでしょうか?

 辛いのが好きなら赤唐辛子という手もありそうですが、あまりお
すすめできません。

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Q.大豆は、大変約90%輸入量が多いはずなのに、スーパーで見る
納豆や豆腐などはほとんど国産大豆とかかれてあります。輸入され
た大豆はどこにいったの?

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A.大豆の用途で一番多いのは油脂の原料です。搾ったあとの大豆
は醤油の原料に使われています。アメリカの大豆は大粒で脂肪が多
いものです。

 納豆は生産量も少ないですし、輸入の大豆はあまり使われていな
いと思います。

 豆腐には輸入大豆が普通に使われています。国産大豆でつくった
ものもありますが、全体としては輸入大豆が普通です。先日、「国
産大豆使用」と書いた豆腐から、遺伝子組み換えしたものが見つか
ったそうです。

 遺伝子組み換えの大豆は当然輸入されてきたものでしょうから、
これは表示にインチキがあったということです。

 豆腐に関してはこういうこともあり、「国産大豆」の表示は少し
疑っておいた方がよいような気がします。

 あとは生産者がどれだけ信用できるかですね。

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Q.疑問なのですが、サラダ油とてんぷら油の違いは、温度による
濁りなどの違いということはわかりましたが、具体的にどのような
物質が不純物物として取り除かれ、サラダ油になるのですか。もし
よろしければお願いします。

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A.油脂原料から油脂を搾ると、原料中のたんぱく質や炭水化物な
ども少し油脂にまじっています。

 また油脂の成分でも、遊離した脂肪酸などもあります。その他に
いろいろな色や臭いの元になる成分も含まれています。
(食品として食べたときに味や香りの元になるものですね。)

 これらは油の中でも、色や臭いの元になりますので、サラダ油を
つくるとき、取り除く必要があります。サラダ油はこのような不純
物をできるだけ取り除いた油と考えてよいと思います。

 (追記)
 取り除く方法としては、湯と混ぜて水溶性の成分を湯の中に移行
させ取り除く、蒸気を吹き込んで分解させる、活性白土を加えて吸
着・沈殿させる、などがあります。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「情報の評価」
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 つぎのようなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 以下のような文章がありますが、そのなかで、ストレスとなる食
べ物として、「全粒粉を含む食べ物」「乳製品」があがっています
が、なぜそうなるのでしょうか。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 という文につづいて、あるメールマガジンから引用されていまし
た。以下のようなものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

【 食物と気分の関係 】

 英国で行われた200人を対象とした研究で、健康的な食生活を
送ることで、気分も安定するということがわかりました。

 ある一定期間、ストレスとなる食物(下記参照)を減らし、気分
を安定させる食物を積極的に摂ったところ、88%の人が気分がよ
くなったと答えました。気分の浮き沈みがなくなった人が26%。
不安に襲われることがなくなったという人が26%。そして24%
の人が、あまりどっと落ち込まなくなったと答えました。

 研究に参加した人の3分の1が、食物と気分には「確かに」関係
があると答えています。朝食を抜かないことも、気分を安定させる
ためには大切なことです。

■ ストレスとなる食べ物
   砂糖
   カフェイン
   アルコール
   チョコレート
   全粒粉を含む食べ物
   添加物
   乳製品
   飽和脂肪酸

■ 気分を安定させる食べ物
   水
   野菜
   果物
   脂肪の多い魚(さんま、いわし等)
   繊維質
   たんぱく質
   オーガニック食品
   穀物類

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 オーガニックのチョコレートはどうなるんだ、とか突っ込みたく
なりますが、それはおいておいて、まずイギリスでの「研究」と下
の「ストレスとなる食べ物」「気分を安定させる食べ物」の関係が
もう一つ不明ですね。

 下の分類を上の実験によって確認できた、と主張しているようで
すが、下の分類はどうやってできたのでしょうか?食品を分類する
として、普通は実験によってわけるのですが、その実験はどうやっ
たのでしょうか、とにかくあらかじめ「気分を安定させる食べ物」
はわかっていたような書き方です。

 「ストレスとなる食べ物」を避けたとありますが、このやり方で
は「ストレスとなる食べ物」に関係のない食品がまじっていても、
区別できません。実験で確かめるなら、砂糖なら砂糖だけを取り除
いて実験しなければいけません。

 もし他の食べ物がストレスの原因であって、砂糖は関係なかった
としても、また砂糖が原因であって他は関係なかったとしても、こ
の実験では同じ結果がでます。つまり、この実験では、ある食べ物
が「ストレスとなる食べ物」であることは論証できません。

 それから、実験の方法ですが、どうも被験者は実験の内容も、結
論も、あらかじめ知っていたようです。これは実験ではなく、アン
ケートというべきものです。「消費者の何%に支持されています。」
という洗剤のコマーシャルと同じ方法です。

 人間を使って実験するとき、被験者があらかじめ結果を判断でき
る情報を持っていてはいけません。薬の実験をするとき、「よく効
く薬だ」というだけで、偽薬を飲ませてもかなりの効果があるよう
に見えるからです。

 また、実験者が情報を知っていても、知らないうちに被験者に表
情などで伝わってしまうため、医薬品の実験では試験する薬品と偽
薬を用意して、医者と患者の両方に、どちらの薬を与えたのかわか
らないようにします。これをダブルブラインド(二重盲検法)とい
います。

 日本だけでしか許可されていない医薬品が、このダブルブライン
ドによる実験を経ていないことがよくあるそうです。患者に「よく
効く薬ができたから、試してください。」といって、実験したら、
ほとんどの試薬が「効果あり」になってしまいます。

 先の「研究」では、要するに200人(たった200人!)の人
に、「これから実験をはじめる」として、規則正しい生活ときちん
とした朝食を用意させたのでしょう。おそらく、どんなものを食べ
させても(その食べ物がきらいなものでない限り)たいていのの人
が気分がよくなった、と答えると思います。

 実験というのはそのデザインが大切です。貝割れ大根の実験で、
洗剤の濃度を調節しなければ意味がない、という指摘がありました
が、そういう最低限の科学的な論理性をもたないと、あらゆるイン
チキが「実験」の名のもとにまかり通っていきます。

 よく「○○学会で報告された」などという宣伝文句がありますが、
どんなインチキでも、学会の片隅で報告することはできるんだそう
です。

 まともな学者は相手にしませんから、「報告された」ことはウソ
ではありませんが、「学会で認められた」わけではありません。あ
まりひどいのである学会を追い出されると、違う学会に出て、また
やるんだそうです。どこからも相手にされないかわいそうな学者な
んですが、そういう人が自説を素人相手に講釈して悦に入っている
のが、健康問題で百家争鳴している原因だと私は思っています。

 次に「健康情報の信頼性を評価するためのフローチャート」とい
うのを引用しておきます。詳しくは下記のサイトで全文を読んでみ
てください。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

健康情報の信頼性を評価するためのフローチャート

ステップ1 具体的な研究にもとづいているか

いいえ → それ以上考慮しない(終わり)

はい↓

ステップ2 研究対象はヒトか

動物実験や培養細胞 → 「有害作用」についての研究は、それな
りの注意を払う。「利益」についての研究は、人間にあてはまると
は限らないので、話半分に聞いておく(終わり)

ヒト↓

ステップ3 学会発表か、論文報告か

学会発表 → 科学的評価の対象として不十分なので、話半分に聞
いておく(終わり)

論文報告↓

ステップ4 研究デザインは「無作為割付臨床試験」や「前向きコ
ホート研究」か

いいえ → 重視しない(終わり)

はい↓

ステップ5 複数の研究で支持されているか

いいえ → 判断を留保して、他の研究を待つ(終わり)

はい↓

結果をとりあえず受けいれる。ただし、将来結果がくつがえる可能
性を頭に入れておく。

http://www.metamedica.com/news2001/howto07.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 疑い深いものですね。この条件にあてはまる情報だけがとりあえ
ず信用してよいものだ、といっています。テレビで取り上げられる
情報も含め、今流布しているいろんな情報で、このレベルの検証に
耐えられるものは、はたしてどれくらいあるのでしょうか。

 さきほどのイギリスの「研究」は、ステップ4といいたいところ
ですが、実際はステップ1でアウトだと思います。あんなものは実
験のうちに入りません。

 「無作為割付臨床試験」「前向きコホート研究」などの用語も、
このサイトに解説があります。がん予防や栄養に関する、最新情報
が紹介されています。メールニュースも発行されていますので、紹
介しておきます。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 今週は他の原稿を書いていたため、日曜日の午前2時にまだ一行
も書いていなくて、あせりました。なんとか間に合った…。

 「ストレスとなる食べ物」の話は時間がなくて、メールへの返信
では具体的なことを書けませんでした。それで「メールマガジンで
扱うから、ちょっと待って」と言っておいて、今回のネタにさせて
いただきました。

 ちょうど貝割れの実験の話についてのメールも同時にいただいた
ので、前々から気になっていたのです。

 「健康情報の信頼性を評価するためのフローチャート」もいかが
でしたか?ここは見ておいて損はしませんから、ぜひのぞいてみて
ください。トップページは
http://www.metamedica.com/
です。

 なお、このサイトでは「専門家のサイト以外の情報は信用するな」
とも書かれています。痛いところをつかれてしまいました。(^^ゞ

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