安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>150号


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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------150号--2002.09.22------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「精米・アルカリイオン水(Q&A)」
「石けん」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 ひきつづき「木酢」に関してのおたよりをいただきました。反響
が大きいですね。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 木酢液に関するお話、驚きました。

 が、そう言えば、うちのハーブに濃度を間違えて与えてしまった
ら、一発で全部枯れてしまいました。

 後から再生用の土を混ぜましたが、種を播いてもろくに発芽もし
ないので、捨てるしかないのかもしれません。

 木酢液をはじめ、毒性が確認・規定されていないものがやたらと
使われているとしたら、いわゆる「有機栽培」や「無農薬栽培」も
のは、むしろ避けるのが賢明、なのでしょうか。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 以下は私の返信。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 作物の安全性については、私にはよくわかりません。

 「無農薬だから危険」とはいいませんが、「無農薬だから安全」
とはいいきれないとは思っています。

 無農薬信仰もいろんな怪しげな要素が入り込んで、ちょっと困っ
た状態になっているのではないか、と思います。公共の研究機関で、
「木酢で減農薬」などという実験をやっているのにいたっては、ア
ホではないかと思っています。

 わけのからないものを安易に使用するのはやめた方がにいと思う
のですがね。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「有機栽培」と「無農薬栽培」を同列に論じるのは違うと思いま
す。有機栽培は基準が示され、それに準拠しているか認証をうけて
います。それに対して無農薬や減農薬表示は信用できる根拠があり
ません。

 「あまり農薬を使わないように努力していた」農家が無登録農薬
を使っていた事件がまだまだ拡大しています。木酢などの正体不明
の資材を使っているところも多いと思います。

 安全性を求めるのなら、実は普通栽培のもので問題はないのです。
それ以上の精神的なものを求めるときはぜひ「有機栽培」の認証の
あるものを選んでください。「無農薬」や「減農薬」はあまり信用
できません。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.精米について。近所の精米機には八分、標準、上白と加減があ
りますが、これって炊くときに上白は研がなくてもいいってことで
しょうか。

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A.精米機の精白度合いの選択は、単に時間を設定するだけではな
いでしょうか。長く精米すると出来上がりの白米はだんだんと削れ
て外側がとれ、小さくなっていきます。

 日本酒の原料では玄米の7割くらい、大吟醸酒では4割などとい
う精米をします。ごはんにする米は9割以上の歩留りです。

 歩留りを下げると当然、ヌカの成分は減ります。しかし表面には
ヌカの粉がついていますので、やはり米をとぐ必要はあると思いま
す。

 「無洗米」というのは、特殊な工程を採用して、表面についてい
るヌカをとりのぞく工夫をしたものです。普通の精米機にはそのよ
うな能力はありません。

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Q.たまたま、本屋で、アルカリイオン水が体に良い、という本を
見かけ読みました。私の地域では水道水は地下水です。その為、余
り水については無頓着です。しかし、子供が川崎の高校に通ってい
るのですが、「まずくて飲めたものじゃない、うちの水は本当にお
いしい。」と、言います。

 アルカリイオン水についての情報があったら教えてください。水
道水をアルカリイオンに変えるような機器も市販されているようで、
中には容器に石(?)が入っていて水を入れればアルカリイオン水
になるような表示のあるものも売っています。どういったものが、
良いのでしょうか。

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A.アルカリイオン水といってもいろいろあります。石や磁石を使
っているものははっきりいってインチキ商品です。アルカリ性にも
なりませんし、何の効果もないと思います。

 電気で分解してアルカリ性の水と酸性の水を作るタイプではたし
かにアルカリ性の水ができます。これは塩(塩化ナトリウム)を分
解するので、酸性側には塩素イオン(−)、アルカリ性側にはナト
リウムイオン(+)が増えていると思います。

 ナトリウムなどの金属イオンの多い水をとったときの効果につい
ては、よくわかりません。一般に宣伝されているような効果はあま
り期待できないと思います。

 地域によって水の味が違い、特に都会の水はまずく感じると思い
ます。改善策としてはアルカリイオン水などではなく、普通の浄水
器の方が有害物質も除去できますし、味の改善効果もあると思いま
す。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「石けん」
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 このメールマガジンは食べ物に関しての情報ということで、洗剤
などの話題は意識的に避けてきました。

 今回、書く気になったのは、「石鹸安全信仰の幻」という本を読
んだからです。著者は横浜国立大学の大矢勝さんです。

 大矢さんのホームページの掲示板が大荒れに荒れたのはもう一昨
年のことだったと思います。いまは掲示板はなくなっているようで
すが、ホームページはこちらにあります。
http://liv.edhs.ynu.ac.jp/

 掲示板の一件というのはもちろん「石けん」に関してです。石け
んに対して批判的な大矢先生にからんでいった人がいたのです。

 今回、一般市民向けに文春新書から石けんに関する本として出版
されています。私はここに書かれていることは基本的に正しいと思
いました。以下、少し引用します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 1975年には人気作家の有吉佐和子氏が「複合汚染」を出し、その
中で柳沢兄弟等の合成洗剤反対派の研究者の主張を平易に解説して、
一般市民に広く合成洗剤の有害性を伝えました。

 このような状況下、一般消費者の間に、リベラル派の先進的市民
は合成洗剤に反対して石鹸を推進するものだ、というような一種の
流行が形成された、と考えることができるでしょう。

 しかし、非常に盛り上がった合成洗剤追放運動も、1970年代半ば
から80年にかけて、大きな転機にさしかかります。合成洗剤をめぐ
る問題は、環境問題と人体への毒性問題とに分けて考えることがで
きますが、環境問題を扱う運動と人体への毒性問題を扱う運動は大
きく異なる展開になってくるのです。すなわち、環境問題に関して
は、市民レベルの運動がみのってある程度の成果が得られましたが、
人体への毒性問題は、合成洗剤擁護派から強烈な反撃を受け、苦境
に陥ることになったのです。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 生協でも、一部のところはその後も合成洗剤追放運動をつづけま
した。「協同組合石けん運動連絡会」略して「協石連」という組織
があり、そういう生協の連絡組織になっていました。

 私もこの組織の会合にはたびたび参加しています。私の所属して
いたところが加入していたからです。

 当初の合成洗剤に対する批判は事実に基づくものでした。しかし
川が泡立つようになってしまった原因のABSがソフト化されてL
ASにかわり、湖の富栄養化の原因とされたリン酸塩が使われなく
なって、当初の目的は果たしてしまったのです。

 合成洗剤追放は当時の生協にとって、無添加食品や産直農産物と
ならんで、大きな力の源泉でした。動きだした運動はなかなか止め
られないものです。

 その後は科学的には立証されていない合成洗剤の害を主観的に訴
えるスタイルになってしまいました。

 後にある生協の研究室に入ることになる大学の研究者の話を聞い
たときのことです。2枚の写真を見せてもらいました。一枚は石け
んシャンプーを使った人のものというきれいな髪の顕微鏡写真、も
う一枚は合成洗剤を使っていたという細くて荒れたものでした。

 この2枚の写真を比べて、だから石けんシャンプーを使おう、と
いう話でした。

 しかしその話では実験の計画や結果などは一切話されませんでし
た。こういう実験は一人ずつ比べても意味はありません。個人差な
のか、洗剤が原因なのかわからないからです。

 たくさんの人を石けんと合成洗剤にわけて、できるだけ個人差を
出ないようにして、一定期間の後に全員を調べてその変化の平均を
見るのが普通です。

 もちろん、この研究者自身はそういう実験をしていたのかも知れ
ません。しかし話には出てきませんし、聞く方もそういう科学的な
レベルの話には興味がなかったのです。

 私もその中にいましたので、同類なのですが、このころから科学
的には問題だなあ、と感じていました。

 石けんシャンプーについては次のような事件もありました。

 ある髪の毛の長い女性が、夫の勤める大学の生協で買ったシャン
プーを使っていたところ、髪の毛がもつれてフェルト状になってし
まい、根元から切らねばならなくなったのです。

 損害賠償の請求が出され、メーカーと生協は賠償に応じています。
しかしこの事件は公表されていませんし、運動にかかわってた人で
もほとんど知らないと思います。

 調べてみて驚いたのですが、羊毛からフェルトを作るとき、石け
んを使うのです。羊毛のたんぱく質がアルカリで変性することを利
用するのだそうですが、そのアルカリ剤として石けんを使うのです。

 もちろんこの石けんと石けんシャンプーの石けんとでは違うもの
です。しかし石けんシャンプーで髪の毛がフェルト状になるのは、
あり得ることでしょう。

 石けんの抱えている問題を、石けん運動をしている当事者が隠蔽
したのです。私も同罪ですが、やはりよくなかったと思います。東
京電力を笑えませんね。

 本の方ではこの後、次のようなことがかかれています。

・石けんは魚毒性が低い。
・環境への負荷は石けんが軽いとはいえない。
・人体への毒性は通常使われている洗剤(石けんを含む)について
は問題はない。

 このあたりの議論はまだまだ尽きませんが、科学的なデータに基
づく議論はこれからも発展していってほしいものです。

 ただ、運動の本体はかなり以前から科学的な情報を離れ、主観的
な意見の羅列に過ぎなくなっています。

 石けん運動が科学的な根拠を離れてしまったことから、次のよう
な問題もおこっています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 (「アトピービジネス」を紹介して)

 本来、このような商法には、消費者団体から強烈な反発があって
しかるべきでしょう。そして、消費者運動の影響で、悪質民間療法
は割に合わないと感じさせる流れになることが望ましいのですが、
実際には消費者団体等は何ら抑止力になっていません。それはなぜ
なのか、しっかりと考えるべきです。要は、アトピービジネスに比
較的多く見られる「合成物質敵視」「自然志向」という方向性が、
多くの消費者団体の方針と一致している、ということなのです。当
該商法が実際に消費者被害をもたらしているのに、その商法の否定
は自らの方針の否定にも通じかねないので、手の打ちようがない、
というのが実情でしょう。

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 APEは主として工業用洗剤の成分である、と説明してきました
、実は、ごく一部の家庭用洗剤にも使われています。輸入品の固形
状の汎用洗剤として出回っているもので、通信販売されていたり、
一部のDIY店で販売されていたりします。(生協のチラシにも載
っていることがあります=渡辺)販売量はごくわずかでしょうから、
実質的な環境への影響はほとんどないでしょうが、環境ホルモンと
の関わりからAPEを排除する方向で進みつつある中、そういった
商品を販売するのは、やはりモラルに反することでしょう。

 特に問題視すべきは、他の界面活性剤に比べて生分解性が低く、
また環境ホルモンに関与するとされるAPEを主成分とした洗剤が、
「環境に優しい」という謳い文句で販売されていることです。実際、
その洗浄力は認めます。洗浄力の非常に強いAPEを高濃度で固め
た商品なのですから。しかし、環境に優しいという表現は、どう考
えても現状では嘘と判断せざるを得ません。

 本来は、このような商品に対して、消費者団体から反発があって
しかるべきです。しかし現実には、消費者団体はもっと広い「合成
洗剤反対」のスローガンを掲げているので、特にAPE配合の洗剤
類のみを非難する立場にありません。そのため結果的に、APE配
合の一部の洗剤は、どこからも特に厳しい批判を浴びることなく、
平然と販売を続けていくことができるのです。

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 99%といった非常に純度の高い石鹸が、1990年代初めから徐々に
シェアを拡大するようになりました。不純物の少ない石鹸は健康に
よく環境にもやさしい、純石鹸以外は人体に有害だ、と主張する内
容の書籍やパンフレットを発行し、それとリンクした形で共同購入
グループを育てていく商法が、大当たりをしたわけです。

 合成洗剤の有害性を論じるそうした書籍類は、きわめてレベルが
低いものです。また、石鹸の純分を必要以上に高めるのは、製造過
程で無駄にエネルギーを消費することを意味し、決して環境にやさ
しいとはいえませんし、純石鹸使用が健康によいというのにも、根
拠はありません。しかし、化学物質の毒性情報等に過剰反応するよ
うな消費者層には、不安をあおる商法が支持されるという側面があ
り、そうしたことからこの純石鹸商法は成功したのですが、その成
功がさらに、他の石鹸メーカー等のモラルに欠けた情報戦略を、誘
発することになりました。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 私が生協にいたころ、このままでは消費者運動は悪徳商法のえじ
きになってその使命を終えるだろう、と予言?したのですが、やは
りそのとおりになっているのではないかと思います。

 敵(科学的な情報)に対する防御反応が新たな敵(悪徳商法)を
呼び込んでしまうのです。新たな敵は悪意をもった確信犯です。身
ぐるみ剥がされる前に科学的な情報と和解した方がよいと私は思い
ます。

 少なくとも、「環境問題」と「健康問題」を別のものと考える必
要があります。洗剤や環境ホルモンの話はあくまで環境問題です。
遺伝子組み換え作物については環境問題よりも経済問題だと思いま
す。それらをすべて健康問題として考えるのはやはり無理があるの
ではないでしょうか。

 その無理が怪しげな商品を呼び寄せてしまうのですね。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 あかげさまで今回で150号に到達しました。とりあえず、目指
せ200号!で頑張りますのでよろしくお願いします。

 今回は特別に石けんについて書きましたが、このメールマガジン
はあくまで食べ物に関しての情報を扱っていきます。石けん・洗剤
についてはふさわしい場は他にあると思います。ここでは議論は発
展していかないと思いますので、あらかじめご了承ください。

 それにしてもインターネットではオカルトな世界が多すぎ…。

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