安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>149号


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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------149号--2002.09.15------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「菓子パン・風味原料・木酢液(Q&A)」
「そうめん」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 農業改良普及員の方からメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 木酢にしろ、何にしろ、防除の目的で使用すること自体は農薬取
締法違反ではありません。農薬取締法はあくまで、「日本国内での
農薬の製造・販売などを規制している法律」であって、使用を規制
するものではありません。

 「決められたとおりに使いなさい」とはうたっていますが、使用
者に対する罰則規定はありません。「義務づけられている」という
程ではありません。(気持ち的にはそうかもしれませんが)

 したがって、例えば、木酢を作物の病気や害虫に効く、と表示し
て、あるいは宣伝している場合に、取締法で販売業者に罰則を与え
られる、という法律です。

 今回の報道をよく見れば、逮捕されたのは販売業者で、その理由
は「失効した農薬を販売したから」です。

※「失効」とは「農薬取締法上、登録外になった」ということです。
売れなくなったから登録を(実際は「更新を」)やめた、という場
合もあり。

 農水省が「使用者に対する罰則を検討中」という報道もあったと
は思いますが。

 私たち普及員などが正しい使用方法を指導・普及するように、と
いう規定もありますし、しつこいくらいに農家に言い続けているの
ですが最終的には使用者である農家などの良心に委ねられるのです。
そういった意味では「農薬取締法」を過信してはいけません。

 「JAS有機」などのいわゆる有機農産物も「表示の適正化」と
いう点は期待するところもありますが安全かどうかは残留農薬など
の検査を行って初めてわかることで、使用したかと、それに残って
いるかいないかは別問題です。

> 農業普及員などがこのような違法行為をすすめたりしているよう
>ですが、

 とありましたが、普及員は基本的には木酢のような教科書にない
ものは勧めないと思います。(そういう普及員が農家に優秀と思わ
れるかどうかは別ですが)しかし、絶対いない、とは言いません。

 某・農家向け雑誌にはよく載ってますので「いいんだろう」と
思わないとは言い切れませんので。農家の要望に応えようという
想いが強いほどその危険性があります。

 自分たちの使っている農薬をきちんと開示できる農家は別にして、
一般に農家は農薬を使う際、効果を一番に考えています。今度の件
が一般の農家の意識改革となることを望みます。

 ちなみに、農薬取締法の全文はこちら↓にありました。

http://sizai.agriworld.or.jp/nouyaku/hou/torisimari.html

 ついでに、「有機農産物」で使える農薬・肥料など資材について
はこちら↓です。

http://plaza26.mbn.or.jp/~Consumer_Service/org-8.htm

「有機農産物の日本農林規格」
(平成12年1月20日 農林水産省告示第59号)
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 どうも話がすれ違っているところがありますが、現場からの意見
はこういうところのようですね。

 私も「無登録農薬を使っても、使用した農家は処罰の対象ではな
い」ことは承知していますが、罰則がないからといって、法を無視
して何を使ってもよいというわけではないでしょう。

 農薬検査の費用を行政に負担してもらおうという動きがあります
が、あれは本来、無登録農薬を使用した農家に損害賠償の一部とし
て請求するべきだと思います。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.先日菓子パンを買ったときに”乳化剤”と原材料名に書いてあ
ったので、その製造元に問い合わせると、植物性のものと動物性の
ものがあると聞きました。植物性のもの、動物性のものそれぞれに
ついて、何からできているのか(豚、牛、鶏、大豆等)教えてくだ
さい。

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A.パンに使う乳化剤はグリセリン脂肪酸エステルとか、蔗糖脂肪
酸エステルが普通だと思います。高価ですがレシチンなどもありま
す。レシチンが大豆由来のものなら植物性、卵黄由来なら動物性で
すね。でもグリセリン脂肪酸エステルなどはそういう表現はしない
と思います。

 問い合わせに対してそういう返答はあまり正直な態度とはいえな
いと思います。本当のことは言わずにごまかそうとしているよう…。

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Q.「風味原料」という表記について

 週間金曜日に「『ほんだし』は工場廃液から作られている。」と
掲載されたことがあります。とは言っても、煮干しや鰹節の製造工
場ですが。つまり、煮干しや鰹節を造る行程で出される大量の煮汁
を、原料に使っていると言うことです。

 そこで、一つ気になったことがあります。めんつゆやポン酢など
に書かれている原材料の表記ですが、「鰹節、昆布」などと書かれ
た場合と、「風味原料(かつお、いわし)」と書かれた場合で、違
いはあるのでしょうか?

 つまり、鰹節や昆布を直接使用した場合と、その二次生成物とで、
表記方法に何らかの区別がなされているかと言うことです。「風味
原料」と表記されている場合は、「鰹が含まれていればその正体は
何でもいい」というような表記に見えてしまいいますが、それは誤
解なのでしょうか?

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A.原料に「果実・野菜(りんご、トマト)」などと書くのと同じ
だと思います。配合などが不安定な材料を使うときによくやる方法
ですから、別に意味はないと思います。

 風味原料でまとめると、合計の配合割合が増えるので、材料表示
で前の方に書けるのです。(量の多い順に書くのが普通です。)

「『ほんだし』は工場廃液から作られている。」のは事実と違うわ
けではないでしょうが、なんだか悪意のある言い方ですね。

 こういう副生物を有効利用するのは、リサイクルの考え方からす
れば大切なことのはずです。「週間金曜日」はいつからリサイクル
反対派になったのか、不思議に思います。

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Q.「木酢液」も無登録、ダイホルタンより危険...というのは本当
ですか、花粉アレルギーに吸引すると効くので使ってますが...医学
的データ−(有害の)が有って言われるんでしょうが...。

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A.木酢を吸引するというのは危なそうですね。医者の指示なので
しょうか?

 木酢は製法上、危険な物質が含まれていることは充分予想できま
す。しかも成分も解明されていないことはメールマガジンで書いた
とおりです。

 農薬としての登録があって失効したダイホルタンより、農薬とし
て登録できない木酢の方が危険性は高いと思います。

 木酢は農薬としても登録されていませんが、医薬品としてももち
ろん登録されていません。

 医薬品でないものを医療に使うのは、いわゆる民間薬より危険そ
うです。

 木酢が危険だというデータの有無より、木酢が安全だというデー
タの有無が問題です。

 木酢の安全性を保証するデータはどこにもありませんので、使わ
ないほうがよいと思っています。(おそらく発ガン性があります!)

 医者の指示でないのなら、医者に相談されることをおすすめしま
す。(もし医者の指示でしたら、他の医者にも見てもらったほうが…)

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「そうめん」
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 ちょっと遅くなってしまいましたが、こんなニュースがありまし
た。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 農水省は24日、三輪そうめんの産地表示に違反があり、指示を行
ったとして、立ち入り調査を実施した桜井市の製めん業者三社を公
表した。違反のあった製めん業者は、桜井市芝の池利、同市箸中の
三輪そうめん山本、同市河西の森井食品。7月4日の農林物資の規格
化および品質表示の適正化に関する法律(JAS法)の改正を受けて、
指示処分が公表されたのは初めて。

 3社とも、JAS法で県外産のそうめんに義務付けられた「製めん地」
の表記を行わずに、長崎県や熊本県で生産されたそうめんにも、産
地の誤解を招く「三輪そうめん」の表示しかしていなかった。

http://www.nara-shimbun.com/n_all/all2440.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この三社は三輪そうめんでは最も大きなメーカーです。「三輪」
は「大三輪神社」で有名な奈良県桜井市の地名です。もともとはこ
のあたりの産業だったのですが、今では奈良県内でつくったものは
「三輪そうめん」と表示してよいことになっています。

 私の見学した三輪そうめんのメーカーも、実際に作っているのは
桜井から半時間ほど車で山を登っていったところでした。いかにも
環境のよさそうなところでした。

 しかし三輪そうめんに表示違反が多いのは周知の事実です。この
メールマガジン21号(2000.03.26)で、次のように書いていました。 

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 手延べそうめんは関西では、「三輪そうめん」といって、大和の
三輪山のふもと(桜井市)あたりのものが有名ですが、実際は手延
べの産地は島原などの九州地方になっています。

 九州で作ったそうめんを、奈良県のもってきて、「三輪そうめん」
というブランドで売られているのです。

http://food.kenji.ne.jp/food11/food1111.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 表示違反だろう、と書いていないのは、みんなが知っていること
なので別に違反ではないのだろうと誤解していたのです。

 本当に三輪で作られている手延べそうめんはほとんどありません。
奈良県下で作られたものが全体の2割程度、残りは九州産です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 「三輪そうめん」の生産地表示にJAS(日本農林規格)法違反
(品質表示基準違反)があったとして、県三輪素麺(そうめん)工
業協同組合を昨年脱会した大手製めん業者三社に農水省の指示処分
が下された問題で、同組合の植田一隆理事長は25日、本紙の取材に
対して「三輪そうめんの本物は2割しか出回っていない」と明らか
にした。

 植田理事長の話では、三輪素麺の生産量は18キロ入り箱で約15万
箱あるが、それに対して、「三輪そうめん」として流通している商
品は60〜80万箱あるという。

http://www.nara-shimbun.com/n_all/all2443.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 そうめんは中元用の商品として人気があります。もともと地域の
産業として規模の小さいメーカーばかりだったのですが、販売量の
拡大につれ、生産量が追いつかなくなってきました。

 そこで九州(島原)での生産がはじまったのです。最初は三輪そ
うめんのメーカーが島原に進出したのですが、その後、島原のメー
カーもそだってきています。今は自社でも販売している島原のメー
カーから、製品を購入することが多くなっていると思います。

 こういう動きは1960年代から始まっています。今までずっとそれ
で通ってきたのに、今更違反だと言われたメーカーには、ちょっと
気の毒だと思います。

 実際問題として、奈良県での生産が拡大していく可能性はほとん
どありません。三輪そうめんの販売量を維持するためには、他地域
からの導入は必要です。早くから「三輪そうめん(島原産)」とか
「三輪そうめん(生産地:島原)」とか表示しておけばよかったの
ですが、建前としての「三輪そうめん」表示で通してきてしまった
のが今になってたたっているわけです。

 奈良県下の生産量が2割ほどしかないのを知っていながら、「奈
良県産のものは三輪そうめんの表示を認める」ということにした奈
良県の責任もあります。こうすれば県下での生産が増えると思った
のでしょうが、ちょっと見通しが甘かったようです。

 実態がすでに生産=九州、販売=奈良になっているのに、無理な
建前を主張するのはやっぱり間違っていたと思います。

 隣の三重県では、「松阪牛」ブランドでもめています。松阪牛の
定義をめぐってです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 松阪牛の定義はこれまで松阪肉牛協会、松阪肉牛共進会、松阪肉
牛生産者の会の三団体が、生産区域や飼育期間などによって、それ
ぞれ異なる定義をしていた。が、生産者や流通業者らの話し合いで、
肥育地域を「雲出川と宮川を挟む地域と、南北流域の伊勢市など二
十二市町村」と決めた。

http://www.isenp.co.jp/news/_2002/0730/top.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これに対して肥育地域を三重県下全体に広げるよう、要求が出て
いるそうです。松阪牛の実態からして、よほどうまくやらないと三
輪そうめんの二の舞になりそうですね。

 定義をきちんとすることがブランドの力を高めるのですが、それ
では生産量が確保できないのです。万事に保守的なヨーロッパ諸国
ではそれでよしとするのですが、日本では目の前にぶら下がってい
る儲けのチャンスを見逃すことはないと考えてしまいます。

 今年になって表示違反が相次いでいるのは、このごろ悪徳業者が
増えたわけではありません。長年の慣行で建前と実際が違っていて、
それで通ってきたのが通らなくなってきたのです。

 時代は変わったのだ、という認識をメーカーには持ってもらいた
いのですが、人は同じですのでなかなか難しい問題だと思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 山形産の牛肉を「松阪牛」として販売していたという事件もあり
ました。一部の超高級品を除いて、山形の米沢牛の方が松阪牛より
よいように思うのですが、やはりブランドの力は強いようです。

 島原産のそうめんを「三輪そうめん」ブランドで売っていたので
すが、表示違反ではあっても、品質に問題はありません。いまでは
奈良産より島原産の方が生産者の技術は高いと思います。原料も同
じ輸入の小麦粉です。島原産で何の問題もないのです。

 なんだか島原産が安物のように思われると思いますが、決してそ
んなことはありません。誤解されないよう、あらためて強調してお
きます。

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