安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>144号


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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------144号--2002.08.11------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「ソース・水(Q&A)」「リモネン」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 中国野菜の件について、情報をいただきました。ネタが新聞記事
なので、著作権法違反の疑いがありますが、私の責任で載せてしま
います。(訴えないでね)

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 中国野菜関連で本日8月4日の中日新聞朝刊に以下のような記事
が出ておりましたので、参考までにご連絡いたします。

 中国の農薬に詳しい上海市農薬研究所に中国内での農薬使用の実
状について聞いた記事。

 ───中国ではまだ毒性の強い農薬が使われていると聞く。

 「(日本で使用禁止の)パラチオンなどは上海、北京、山東、浙
江など沿岸部の都市や省で既に禁止されている。内陸部ではまだ生
産しているところもあるが、徐々に減産し、二〇〇六年までに全廃
する。」

 ───中国産ホウレンソウや枝豆から基準を超える濃度が検出さ
れた「クロルピリホス」という農薬は?

 「中国名は『毒死<虫卑>(漢字注:<虫>へんに<卑>)』。果物
や野菜に使われており、毒性はさほど強くない。全世界で毎年四億
ドル売れているという」

 ───高い残留濃度が検出される理由は。

 「農家の知識、品質管理の問題だろう。野菜の種類によって収穫
の一〜二週間前は農薬を使ってはいけない。だがそれを守らず、見
かけがいいというだけで早く市場に出してしまう。」

 ───山東省産ホウレンソウからは日本で禁止されている農薬も
検出された。

 「毒性の強いエンドリンやディルドリンは現在、中国でも生産や
使用を禁止。だが二十年以上も土壌に残るため、以前に使われたも
のが検出されたのかもしれない」

 ───農家への指導は。

 「各村の指導員が担当する。野菜に対する正しい農薬の使い方を
徹底する必要がある。野菜作りの経験の浅い農家が、誤って小麦や
コメと同じように使っているケースも考えられる」

  ───日本向け野菜の生産が盛んになっている。

 「上海にも輸出用にブロッコリーやトマトを作る『野菜基地』が
あり、農薬使用も日本の基準に合わせている。長期的に買い入れて
らう場合は日本側の要望にあったやり方で対応できる」

  ───農薬問題が貿易摩擦に発展する可能性も出てきた。

 「日本側と中国側が残留農薬の濃度や安全性についてきちんと話
し合うべきだ。お互い基準を明確にして、順守すれば問題は解決で
きる」

…以上、記事より転載………

 以下この記事を読んだ感想ですが、クロルピリホスについてはイ
ンタビューに答えている技師の方の言うとおり、両国の技術者、行
政担当、ブローカー同士が揃ってきちんと話し合えば解決できるの
かもしれません。

 しかしエンドリンやディルドリンが、

>以前に使われたものが検出されたのかもしれない

と、この話のとおりならば、以前ご紹介されていた「農薬の話」の
ページの話にもありましたが、そんな呑気な事を言っていていいの
か?と率直に疑問に思いました。

 日本がどうのこうの以前の問題で、中国国内で土壌残留農薬の実
態調査や然るべき対策をもしも取らないままならば、結局は中国農
家の健康を害するだけでは無いかと。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 感想も書いていただきました。私もおおむね同意です。

 次は中国・日本の農家の意見に対してのコメントです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 最近のテレビや雑誌等の報道には、非常に疑問を持っております。
農薬を使った化学農法が悪で、有機栽培や無農薬農法がすばらしい
というような報道についてです。

 これでは、従来の化学農法で生産している農家の方がかわいそう
です。農薬や化学肥料も適正な使い方をすれば、問題がないことを
確認してから使用されています。安全性が確認されているからこそ、
使用が許可され実際に使用されているわけです。

 化学物質と天然物質の言葉のイメージにだまされているように思
います。化学合成であろうが、天然に合成されたものであろうが、
本質的には同じものです。この間に差を見いだしていたのは、もう
数百年以上前の概念です。科学的に合成されたものだから危険だと
言うような発言が、どれほどナンセンスなものであるかわかるでし
ょう。

 それから、環境に対する影響についても考える必要があるでしょ
う。化学農法では、作物の成長段階毎に適切な肥料を与えます。一
方有機栽培では、過剰に肥料が与えられる傾向があります。

 これは、有機肥料に含まれる窒素化合物がゆっくりと熟成される
事に関係があります。作物に窒素化合物が必要なくなった後も供給
され続け、その過剰な肥料は水に溶けだし河川に流れ込んでいます。
放射性同位体を用いた実験でも、化学肥料よりも有機肥料に含まれ
る窒素化合物の方が、多く河川に流れ込んでいるという結果が出て
います。もちろん、化学肥料や農薬の環境への影響がゼロだといっ
ているわけではありません。

 もっと、大きな視点で見ると世界の作物の約3分の1は、化学肥
料によりつくられています。化学肥料をやめると確実に3分の1の
人が飢えることになります。

 私は、農家が企業努力として有機農法を行うことを否定するわけ
ではありません。化学農法は、もっと研究して質を高めていく必要
があるのにマスコミなどによって否定され、廻りの人間がそれに踊
らされているのが残念なだけです。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 それから、生協の肉について、実際に生協の運営にかかわってい
る方からのお便りです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 生協にも、大きいところから小さなところまで、いろいろありま
して、大きな生協では、おっしゃるように一般からも仕入れをしな
いと間に合わないことが大いにあると思います。

 ただ、小規模生協では、加工品以外については、特定の産地のも
のだけを扱っているところもあります。「生協」というと皆同じ、
ではないと、思っております。組織が大きくなればなるほど、本来
のあり方から離れてしまいがちです。ほんの小さな生協で理事とし
て運営にかかわっていますが、日々そんな矛盾との戦いをしていま
す。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 以下は私の返信です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 私も小さな生協でやっていましたので、お気持ちはよくわかりま
す。あくまで一般論として、生協だからといって特別のことはでき
ないよ、という意味で書いてみたものです。

 産地指定などの努力はしてみても、肉の場合はなかなか難しいで
すね。全体に供給するには、産地の出荷能力が生協の需要を上回っ
ていなければなりません。大きな生協ではこの時点で不可能ですの
で、あとはどうごまかすかだけになります。

 小さなところでは不可能ではないのですが、業者の方が規模が大
きいというのはいろいろな問題が生じます。要するに管理しきれな
いのですね。

 本当に管理しきれていなかったことはこの間の偽装食肉事件でよ
くわかりました。ニュースになっているのは大手生協ばかりですが、
小さなところでも同様の危険性があると思います。

 大手生協では需要を満たすために業者まかせになる部分があるの
ですが、小さな生協でも需要と供給のギャップを埋めるために業者
が介在しているはずです。余ったときのことも考えればそうせざる
を得ないのです。

 ここに業者にキャスティングボードを握られるという問題が発生
します。信頼関係とか、つきあいとかのレベルでは努力するのです
が、どうしても完全には管理できない部分を残してしまいます。

 私の知っている範囲では、生協で自前の食肉処理工場を持ってい
るところがありました。そこでの肉の調達は、さる経済連の処理場
から、解体して部分肉になったものを直送で手配していました。

 その経済連の配下の農家との交流などもあり、かなりのレベルで
素性の知れた肉を手配しているのですが、経済連の普通に出荷して
いる肉には違いありません。

 これなどは一番良心的な管理をしているところだと思います。

 私のところでは農場で出荷した牛の肉をそのまま全部仕入れたた
め、冷凍庫が肉で埋まってしまったことがあります。

 結果としては消費者に品質の悪い肉を届けてしまい、また生協と
しても損失を出してしまいました。理事会の決定だったのですが、
ばかなことをしたもんだと思っています。

 欠品の連続だったり、このように冷凍庫に不良在庫がたまってい
たりしたら、本当の産直でしょうが、業者にその辺の調整をさせて
いる分には、やはり不透明な部分が残ってしまいます。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 思わず個人的な話になっています。(^_^; 細かいことは忘れてく
ださい。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.中濃ソースなどのソースの表示方法ですが、使用原料の多さに
関係なく、野菜・果実を原材料名の始めに記載すると聞きました。
普通は、配合量の多い順に記載するんですよね? ホントですか。

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A.配合量の多い順に記載するのは変わりないと思います。野菜や
果物は普通複数使いますから、一つ一つの配合量は多くなくて、順
位が下がってしまいます。まとめて野菜・果物として、配合量が一
番多ければ最初に記載するのだと思います。

 ちょっとインチキくさいですが、実際的な記載方法だと思います。
あちこちに野菜や果物名が別々に出てきても、読みにくいだけです
し。

 もちろん、まとめても一番最初に記載できないような配合もある
と思います。昔はそういうのが多かったのですが、このごろではほ
とんどないでしょう。

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Q.最近とても気になるのですが、ペットボトルに入って売られて
いるお水って、どうしてあんなに賞味期限が長いのでしょうか?薬
品など何も入ってないはずですよね?普通家で水を入れて同じ期間
置いていたら、カビなどがしてくるはずなのですが…。

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A.市販のミネラルウォーター類はほとんど加熱殺菌しています。
しかもボトルに充填するとき、70℃以上の高温をたもった状態で
充填され、そのまま密封されます。

 したがって、開封まではほぼ無菌状態を保てるので、比較的長期
間保存に耐えます。

 開封してしまえば、水道水などより早く腐敗していくはずです。

 一部に日本では作っていませんが、「ナチュラルウォーター」と
いうものもあって、これは殺菌していないものです。

 非常にきれいな水を原料に使うのですが、殺菌したものと比べる
と菌数が多く、賞味期限も短くなります。

 「ミネラルウォーター」といっても、加熱殺菌の工程でミネラル
分は不溶性になって、ほとんどなくなってしまいます。

 これで原水の硬度が高くても、飲める水になるというはたらきも
あるようです。

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 「日本ではつくっていない」と書いてしまいましたが、その後、
国産の「ナチュラルミネラルウォーター」を発見しました。地元の
有名な湧き水をそのままポリ袋につめて売っていました。フィルタ
ーは通しているらしいですが、無殺菌です。

 ここへはよくポリタンクで水を汲みに行く人がいます。それと同
じことなので、とりたてて危険ではないのでしょうが、こんなもの
をホームセンターの店頭で売るなんて、全くよい根性をしています。

 ふだんから細菌の多いものを食べて、お腹を鍛えておくのがよい
という説もあります。安全性がどうの、などといっているのがむな
しく思える発見でした。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「リモネン」
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 リモネンはミカンの皮などに含まれる精油成分です。強力な有機
溶媒で、発泡スチロールを瞬間的に溶かします。発泡スチロールの
回収はリモネンに溶かしてカサを減らすのです。

 この力を利用して洗剤にも使われています。「オレンジオイル洗
剤」などというのはリモネンを使ったものです。口紅なんかが非常
によく落ちます。

 以前、「リモネンには発ガン性がある」と書いたことがあります。
Webでよく見かける話題なので、受け売りで書いたのですが、よ
く調べてみるとどうも違うようですので、報告します。

 調べたといっても別にたいしたことをしたわけではありません。
IARC(国際がん研究機関)が発ガン性物質のリストを公表しています
ので、それを見に行っただけです。

 このリストはよく話題になるのですが、リスト全部を日本語で読
めるサイトはどうもないようです。そこで英語のサイトを見るので
すが、残念ながら意味がわからない…。

 以下のところにありますので、英語に強い人は訳してみてくれま
せんか?

http://www-cie.iarc.fr/htdocs/monographs/vol73/73-11.html

 動物実験では発ガン性があったが、人間に対してはわからない、
という感じでしょうか。

 グループ3は「人に対する発がん性については分類できない」で
すので、どうもリモネンの発ガン性については問題なしとした方が
よさそうです。

 ちなみにグループ4は「人に対しておそらく発がん性がない」で
すが、このリストには1品目しか載っていないそうです。

 リスト自体が発ガン性を指摘されたことのあるものの集まりで、
そのうち完全に否定されたのが1つだけのようです。

 残りのうち、発ガン性を示す証拠はないとされたものがグループ
3に、発ガン性の可能性があるものがグループ2に、発ガン性が証
明されたものがグループ1になるわけです。

 グループ1=有罪確定、グループ2=起訴、裁判中、グループ3
=不起訴処分、グループ4=無罪というところでしょうね。

 リモネンは発ガン性が指摘されたが、検討の結果、証拠不十分だ
とされたわけです。私の記事も訂正が必要かも知れません。

 ここまで書いていたら、次のような情報をいただきました。たぶ
ん上記IARCの記事と同じことを言っているようです。一部だけ引用
します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 雄ラットに特異的に存在するα2U−グロブリンと結合することに
よって腎毒性や腎腫瘍を誘発する物質があり、この機構で生じる毒
性に関しては人へ外挿する必要はないと判断されており、その例の
一つがd-limoneneです。これは、この物質が人に対して安全である
と言っているのではありません。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 たしか酸化防止剤のBHAもラットの前胃にガンを発生させるが、
前胃をもたない他の動物には発ガン性がない、ということでした。

 動物実験では発ガン性があっても、その発生メカニズムが判明し、
人間ではおこらないことが確認できれば、発ガン性としては評価さ
れないようです。

 逆にいえば、発生メカニズムが判明しないものは、人間にも発ガ
ン性ありとするわけです。それが本当かどうかはわかりません。

 また、動物実験では発ガン性がなくても、人間に特異的にガンを
発生させる物質というのもあるのかも知れませんね。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 リモネンについては、前から気になっていました。質問をいただ
いてようやく調べてみる気になりました。英語も勉強しておくので
したね。

 インターネットの世界では、英語のサイトが読めると本当に世界
がひろがります。WHOあたりも英語のサイトしかありませんし。

 英語ができる人で、情報をみつけたら、ぜひ日本語に訳して、メ
ールしてください。よろしくお願いします。

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