安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>134号


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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------134号--2002.06.02------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「農薬(Q&A)」「発ガン性物質」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 ひきつづき農薬アレルギーの話で、メールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 「農薬アレルギーはこの世に存在しない」、「アレルギーの原因
はタンパク質だけ」とのメールが掲載されていましたが、これは全
くの間違いであります。どなたかが指摘してくれるであろうと思っ
ておりましたが、133号でもこの点に関して誤りを指摘する話が
載っておりませんでしたので、ご説明させていただきたいと思いま
す。

 アレルギーは生体の抗原抗体反応が過剰な反応を示すことにより
引き起こされます。抗原は体外から入ってくる異物であり、これに
対して生体内で抗体が作られます。抗原抗体反応は生体にとって必
要ですが、これが過剰に働くことでアレルギーが起きます。体内に
入ってくる物質の中で分子量の大きな物質だけが抗原として抗体を
作らせることができます。たんぱく質が代表的なものですが、多糖
類やDNAも抗原となりえますので、たんぱく質だけが原因、は既
に間違っています。

 さらに、分子量の小さい農薬のようなものは抗原にならないかと
言うと、そうではありません。タンパク質などが完全抗原と呼ばれ、
単独で抗体を作らせることが出来るのに対して、分子量の小さい物
質もタンパク質に結合することによって、抗体を作らせることがで
きるのです。これらは不完全抗原と呼ばれており、一度抗体を作ら
せてしまえば、以後はタンパク質に結合せずに単独で抗体と反応す
ることができるようになり、アレルギーの原因となります。

 「農薬」はもちろんたくさんの物質の総称でありますので(「農
薬の大部分はリン酸エステル」、と言うのも明らかに間違いです。
他のものもたくさんあります)、農薬アレルギーと言っても原因物
質は限られた物質ということになるでしょうが、農薬の中のある種
のものに対してアレルギーを起こす人は、むしろ必ずいる、と言っ
たほうが正しいのではないでしょうか。

 なお、詳しくは
http://home.highway.ne.jp/geki/homepage/memo11.html
を読んでいただけるのが良いかと思います。

 私は大学の研究室で化学の研究をしております。アレルギーや農
薬は専門ではありませんが、科学的に根拠のない感情論に流された
り、マイナスイオンや浄水器などの怪しい商品が流行する世の中を
何とかしなければと思っております。渡辺様のメルマガはそのよう
な風潮には乗らず、科学的な裏づけのある良く書かれたメルマガで、
多くの人に購読して考えてもらいたいと思っておりますが、今回の
件に関しては、明らかに科学的に間違いがありましたので、老婆心
ながらご指摘させていただいた次第です。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 農薬に使われている物質でアレルギーを引き起こす可能性はある、
ということですね。これは納得です。

 実際に農薬でアレルギーを起こすには、つぎのようなハードルが
あると思います。

(1)ある人にとって、どの物質がアレルギーの原因となりうるの
か。

(2)その物質が現実にどの野菜にどれくらい残留しているか。

(3)継続的に同じ残留農薬のある野菜を食べる可能性がどれだけ
あるのか。

 アレルギー反応はごく微量でもおこるらしいので、これらの条件
が重なってしまえば、農薬によるアレルギーというのは存在しうる、
ということだと思います。

 この件については、そばアレルギーの人はそば屋でうどんを食べ
ても危ないらしいので、農薬より先に疑うものがあるはずだと私は
思います。

 農薬アレルギーがあり得るということと、農薬をスケープゴート
にするということは違う次元のことですよね。

 ということで農薬の話題について、次のようなメールをいただい
ています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 アレルギーのことをはじめとして食品中の残留農薬のことなど気
になることはあると思います。それらの話題は「農薬ネット」とい
うサイトで話題になっています。そこの掲示板でも話題になってい
ますので、興味のある方はのぞいてみてください。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ちょっとネタバレ気味で、メールをくださった人の正体がわかっ
てしまいますね。(^o^)

 農薬ネットは以下のページです。ここの掲示板に農薬に関するた
くさんの話題があります。
http://nouyaku.net/

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--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.最近「低温殺菌ノンホモ牛乳」と言った表示の牛乳が多くなっ
て来ましたが、本当にそう言う作り方をしてるのでしょうか?昔バ
ター作りをした経験があって、搾乳後の牛乳をシェイクすると分離
するのを体験してるので、殺菌はともかくノンホモは納得できない
と思っていたのですが?

 その他のメーカーで特に紙パック品が輸送途中で分離しないのは
何故でしょうか?やっぱりホモを掛けているのか?乳化剤でももし
かして使っているの?

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A.牛乳を殺菌する工程では、ホモゲナイジング以外にも、いろん
な処理を通ってきます。

 まず、ろ過やクラリファイヤーという、ゴミなどを取り除く工程
があり、その後に普通は均質化といって、ホモゲナイジングする装
置を通ります。その後、殺菌するのですが、ここでも牛乳は細いパ
イプを通って、加熱され、また急激に冷やされます。

 ノンホモ牛乳というのは、こういった過程で、ホモゲナイジング
を通さない、ということです。

 ノンホモのまま殺菌にかけると、どうしても殺菌効率が落ちるの
で、元の原乳の細菌数なんかが問題になるようです。

 ミルクラインは出ていますが、ビンならわかりますが、紙パック
だとわかりませんよね。

 牛乳に添加物を使うことは一切ありません。

 完全に分離しないのは、殺菌された牛乳では、ホモゲナイジング
を通さなくても、他の工程を通ったとき、一定のホモゲナイジング
効果はあるのだ、と解釈しています。

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Q.乳児に蜂蜜はいけないということですが、カステラはどうでし
ょうか?かすてらにもはちみつが入っているようなので、心配です。

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A.カステラなどは生ではなく、高温で焼いたものですので、危険
性は少なくなっていると思います。

 でも、一般的にいって、乳児にカステラはちょっと早いのでは…。
もう少し大きくなってからの方が無難だと思います。

(この質問の方、メールアドレスが違っていて、返信が届きません
でした。)
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Q.蜂蜜買いましたが結晶が多く瓶全体が結晶していました。ラベ
ルにはアカシヤ純粋と有り、純粋の物が固まるのでしょうか?

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A.混ぜ物をした蜂蜜はまず固まりませんから、以前は結晶するの
は純粋蜂蜜である証拠だ、などと言っていました。

 でも、純粋蜂蜜なら必ず固まるわけではなく、今では固まりにく
いものの方が多いと思います。

 結晶というのは何か異物があって、その周りに成長していきます。
結晶しやすい蜂蜜というのは、この異物が多いのだそうです。

 異物といっても花粉などですので、別に害はないと思います。

 ビンなどにつめるときに、ろ過が不十分だったりすると、こうい
う固まりやすいものができがちなのです。

 湯せんなどして温度をあげてやれば結晶はなくなります。(中身
は一緒ですので、また固まるでしょうが)

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「発ガン性物質」
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 以前のメールマガジンで、発ガン性について、

グループ1:ヒトに対して発ガン性を示す。
グループ2A:ヒトに対しておそらく発ガン性を示す。
グループ2B:ヒトに対して発ガン性を示す可能性がある。
グループ3:ヒトにたいする発ガン性について分類できない。
グループ4:ヒトに対しておそらく発ガン性を示さない。

という国際機関の分類を紹介しました。この分類が実際に適用され
ている物質を知りたかったのですが、この分類を発表しているIA
RC(International Agency for Research on Cancer。 フランス
に本部があるWHOの関連組織)のサイトには英文しかないのです。

 日本語の情報はなかなか見つかりませんでした。

 今回はこの内容をすべてではないですが、紹介してくれているサ
イトがあったので、それを紹介します。
http://plaza13.mbn.or.jp/~yasui_it/ChemCarcino.htm

グループ1(87種類)
・アフラトキシン
・アスベスト
・ヒ素
・ベンゼン
・カドミウム
・六価クロム
・ニッケル
・ベリリウム
・ヘリコバクター・ピロリ
・B型肝炎ウィルス
・C型肝炎ウィルス
・パピロマウィルス
・T細胞白血病ウィルス
・中性子線
・X線
・ガンマ線
・放射性物質
・塩化ビニルモノマー
・女性ホルモン
・ピル
・アルコール飲料
・フェナセチンを含む鎮痛剤
・コールタール
・鉱油類
・塩漬けの魚
・煤
・タバコの煙、噛みタバコ
・木のダスト
・太陽光
・ダイオキシン
・DES

 一部だけですが、少しずつ解説もついていますので、上記のとこ
ろでごらんください。

 女性ホルモンというのはいわゆる環境ホルモンのことではなくて、
普通の女性がつくる(男性もつくります)女性ホルモンです。こん
なものに発ガン性があるといわれても、困ってしまいますね。

 アルコール飲料が発ガン性物質に入っているというのもショック
です。毎日呑んでいる身ですので、アルコールよお前もか…。

 たくさんの人がガンになっているからには、たくさんの発ガン性
物質があってあたりまえなんですが、あまり身近なものまで発ガン
性ありといわれると、本当に困ってしまいます。

 やっぱり酒はやめるべきなんでしょうか。タバコは有害だから禁
止しよう、とか言っておいて、酒についてはこういう情報を無視す
るのは、ダブルスタンダードというやつですね。

 グループ2Bというのはちょっと疑いがあるという分類ですが、
そこにはコーヒーや漬物なんかも入っているそうです。

 この漬物というのは、日本の漬物のことを言っているのでしょう
か?欧米人の偏見が入っているのではないか、と疑ってみたいです
ね。

 でもコーヒーは彼らも飲むか。

 グループ3はほぼ問題なし。グループ4は1種類しかなく、疑い
を持たれてリストに入ったけれど、その後にランク落ちしたものだ
そうです。

 そしてこのリストに載っていないものは常識的には発ガン性物質
ではありませんが、厳密に言うと「調査されていない」ということ
になってしまいます。

 どなたか、このIARCのリストの日本語版をご存じの人がいま
したら、ぜひ教えてください。(英語のリストからの翻訳も歓迎!)
http://www.iarc.fr/

 少し前に報道があった「アクリルアミド」はこの分類では「グル
ープ2A:ヒトに対しておそらく発ガン性を示す。」ということで
すが、続報がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

スウェーデン、アクリルアミドの危険性評価を目指す

 スウェーデン食品局(NFA)は5月15日、いくつかの食品に高濃度
のアクリルアミドが含まれていたことを明らかにしたのに続いて、
人体への危険性を評価していくための計画について発表した(欧州
ニュース 2002年4月26日)。NFAのAke Bruce氏はEnvironment Daily
に対し、「国民が危険にさらされているのを座視してはおれない。
これは倫理上の問題であり、マウス実験からヒトの健康調査へと調
査範囲を拡大する必要がある」と語っている。最初の計画は、血液
検査によってヘモグロビンをチェックし、アクリルアミドの含有状
態を確認する。現在EUにこのための資金要請が行われているところ
である。

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食品にアクリルアミドが含まれるとの調査結果が裏付けられる

 英国食品基準局(FSA)は、高レベルの有毒化学物質アクリルアミ
ドが特定の食品に含まれていることを確認した。同局により5月17日
に発表された今回の調査結果は、スウェーデン食品局(NFA)が検出
し、4月に「警戒すべき」として発表した内容を裏付ける最初のデー
タとなった(欧州ニュース 2002年4月26日付)。

一方、EUの食品に関する科学委員会は17日、アクリルアミド問題に
ついて予備審議を開いた。同委員会は、アクリルアミドの食品にお
ける生成過程など、NFAとFSAによる調査結果の「違い」について、
さらなる情報収集を行うことで一致した。

http://unit.aist.go.jp/crm/newrisk.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 スウェーデンに続いてイギリスでも確認されたということで、食
品中にアクリルアミドができてしまうということはほぼ事実のよう
です。

 この記事を紹介している中西準子さんはこう書いています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 結論から言えば、ポテトチップスのような揚げ物に高い濃度でア
クリルアミドが検出された。これは、調理の過程で生成されるもの
であり、人はずっとアクリルアミドに暴露され続けてきたと思われ
るが(その意味では、新規物質ではない)、かなりのがんの原因が
アクリルアミドだとスウェーデンは報告している。食品中の分析結
果は同じようだが、英国はそれががんに直接結びつくとは発表して
いない。

http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak176_180.html#zakkan179
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 スウェーデンでは急性毒性などでは心配ないレベルだが、年間数
百人のガンの原因になっている、と推定しているようです。(スウ
ェーデンの人口は900万人)

 これはもし本当であっても、今まで原因不明だったガンのうち、
この程度がアクリルアミドが原因だった、といっているわけです。
これだけのガンが新しく発生すると言っているのではありませんの
で、ご注意ください。

 イギリスではスウェーデンと違ってそれほど高いリスクとは考え
ていないようです。

 上記中西先生のページによると、

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

○ new riskではない
○ 食べることは、常にリスクゼロではない。アクリルアミドは、た
くさんある食品中リスクの一つ。
○ 動物実験の結果から、発がん推定数を計算することには同意でき
ない。
○ 家庭で調理されても、同様に生成する。原料には含まれない。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ということです。これからの調査待ちというところです。

 でも、もし危険だということになっても、焼き物・揚げ物を全部
やめるなどということは考えられないなあ、というのが私の感想で
す。アルコールをやめる気がないのですから、当然ですね。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 毎週続けていると、いろいろと世の中の事件に追われて内容が変
わってくるものですね。

 とくにこのメールマガジンはたくさん読者からの反応をいただい
ています。編集方針はどうなったのだ、とお叱りをうけそうですが、
そこは読者本位ということで、お許しください。

 今回はふれませんでしたが、前回のTBHQの話は他の食品にも
飛び火して、異物混入や産地偽装事件と同様の展開になってきまし
た。

 熱しやすくさめやすいマスコミ報道に左右されるのは本意ではあ
りませんが、こういう内部告発ブームというのは決して悪いことで
はないと思います。会社のために黙ってしまう社員がいて、はじめ
て企業の悪事というのが成立するのだ、とあらためて感じています。

 さて、どこまで広がることでしょうか。

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