安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>133号


-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------133号--2002.05.26------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「農薬(Q&A)」「TBHQ」

------------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--〔話題〕--------------------------------------------------

 「農薬アレルギー」の話で、たくさんのメールをいただきました。
そこで特集として、全部掲載して発行しようと思ったのですが、よ
く考えると、お互いに重複する部分が多く、全部載せても読むのが
大変なだけかも知れませんので、論点を整理して、それぞれに一番
典型的なご意見を紹介していく、というスタイルをとりました。

 いつもはできるだけ原文そのままでの掲載、という方針なんです
が、今回はそういう事情ですので、ご了承をお願いします。

 原文そのままの掲載を希望される方は、その旨、ご連絡をお願い
します。(できるだけ短く書いてくださいね)

「農薬アレルギーは実在するか?」

>  主人は昨年はひどい花粉症に悩まされていましたが1年間無農
> 薬玄米と自宅の野菜主体のおかずのお弁当を持っていきましたら、
> 今年は花粉症になりませんでした

というような話はありましたが、今のところ症状として農薬アレル
ギーがある、という情報はないようです。

>  アレルギー体質と付き合う場合、IgEなどの医学的検査だけ
> が全てではなく、食物日誌・行動日誌などによる「経験則」での
> 原因追求も非常に大事になっています。(「行動」は例えば「砂
> 場で遊んだ後症状が悪化した」等をつかむためのものです)13
> 1号でメールされていた「農薬アレルギーの為、無農薬のものし
> か食べられません」という親御さんは、おそらく「通常の○○を
> 食べたら反応が出たが、たまたま無農薬○○なら症状が出なかっ
> た」という事例が何度かあった結果、そのように判断されたので
> はないかと推測します。

というのが重要な指摘のようです。あとはこれをどう評価するか、
なのですが…。

「アレルギーの原因はたんぱく質だけか?」

>  確かに、アレルギーはタンパク質による抗原抗体反応でしょう。
> しかし、医学的知識の乏しい人達がアレルギー反応とよく似た症
> 状のために「農薬アレルギー」と呼んでいるのだと思います。だ
> からといって、他に原因が無いと言い切れるのでしょうか。たと
> えば、化学物質過敏症などです。このあたりについて、現在どの
> ような研究がなされているのでしょうか。

>  「農薬アレルギーは存在しない」「アレルギーはタンパク質が
> 原因」とありました。確かに食物アレルギーは食物に含まれるタ
> ンパク質が原因でしょうが、アレルギーは多種多様です。
> よく知られたところでは、ダニやペットの毛、化粧品、金属、シ
> ックハウス症候群でのホルムアルデヒド等。食べるものでは(食
> 物ではありませんが)合成着色料の黄色4号などもアレルギーを
> 引き起こすことが確認されています。したがって、アレルギーの
> 原因はタンパク質だけではないと思います。

 こういうご意見が最も多かったです。他にもたくさんいただいて
いますが、重複をさけるため、ここでは紹介しません。

 私が「自信がなかった」と先週言っていたのは、このあたりのこ
となんです。「異種たんぱくへの免疫反応」だというアレルギーの
定義が、どうも当てはまらないようになってきているような気がす
るのです。

 古典的な意味ではたんぱく質がアレルギーの原因でしたが、それ
以外のものでも、アレルギーと同様の反応がおこる、ということは
あると思います。

 私は金属アレルギーというのがあって、腕時計が苦手なんです。
これも一見、金属に反応しているというように思いますが、実は身
につけた金属から、イオンが溶けだして、自分の身体のたんぱく質
と結合したものが抗原になる、ということだそうです。

 くわしく見ていくと、こういうふうに、たんぱく質以外のものが
原因でおこるアレルギーのメカニズムもわかってくるのでしょうか
ね。

「農薬アレルギーは精神的なものか」

 いただいたメールでは、このあたりを強調するために、わざとき
つい言い方をされていたように思います。ここではいちいち紹介し
ませんが、気を悪くされた方もいらっしゃるようです。

「化学物質過敏症に類することではないのか」

> 確かに、アレルギーはタンパク質による抗原抗体反応でしょう。
> しかし、医学的知識の乏しい人達がアレルギー反応とよく似た症
> 状のために「農薬アレルギー」と呼んでいるのだと思います。だ
> からといって、他に原因が無いと言い切れるのでしょうか。たと
> えば、化学物質過敏症などです。このあたりについて、現在どの
> ような研究がなされているのでしょうか。

> 私の勤め先では、プラスチックの袋を作っていますが、その袋を
> ダンボールに詰める作業をしている人の中に、手、指の肌荒れを
> 生じる人が1%くらい居ます。どなたもが毎日スーパーで購入し
> てくる食品を入れてある袋です。
> 従いまして、農薬に対しての化学物質過敏症の人が居ても不思議
> ではないと思いますし、化学物質過敏症とアレルギーの区別を出
> 来る人が少ないとしても不思議には思いません。それを精神的な
> ものにすることは間違いだと思います。言葉の定義にこだわらず
> に検証してくださることを願います。

 だいたいこのあたりが前回の農薬アレルギーの話に対する反応で
す。「化学物質過敏症」というのは、まだもう一つ理解しがたいと
ころはありますが、現実にそういうことは起こっている、と私も理
解しています。

 これについては、ちょっと難しいので、とりあえずこのメールマ
ガジンでは取り上げません。いずれ新しい情報があれば、お知らせ
することもあるかも知れませんが、本(新書)を一冊読んだだけな
もので、今のところはお伝えすべき情報がない、ということでかん
べんしてください。

 さて、前回の「農薬アレルギーについて」のメールをいただいた
方には、いろいろと失礼をいたしましたが、読者の声をできるだけ
伝えていく、という編集方針なので、ご了承お願いします。

 ということで、いろいろ考えた結果、私の意見を書きます。

 私は「農薬アレルギー」というのはやっぱりあり得ない、と思っ
ています。「農薬によるアレルギー」というのは、可能性としては
否定しませんが、「農薬」という物質がない以上、「農薬アレルギ
ー」もない、というのは自然な理解ではないでしょうか。

 アスピリンにアレルギーを起こすから、すべての医薬品がダメ、
と言っているように思うのです。

 したがって、「農薬アレルギーは精神的なものである。」という
意見に私は賛成です。(農薬によってアレルギーを引き起こす可能
性が全くない、といっているのではありません。)

> 「農薬には種類がたくさんあるのに」と言うことですが、種類は
> たくさんあっても、農薬の大部分はリン酸エステルのため、構造
> は似ています。農薬が共通して持っている構造に反応してしまう
> 人の場合、気の毒なことに、多くの農薬にアレルギー反応を示す
> ことになります。

 というご意見もありましたが、仮にたくさんの種類の農薬に反応
するとしても、「概念としての農薬」に反応するのとは違います。

 はっきり言って、農薬によるアレルギーも可能性は極めて低い、
と思うのですが、それについてはここでは主張しません。農薬とい
う概念全体に対して、何かの反応が起こる、という想定自体が幻想
だ、という主張です。

 これは食品添加物でも同じで、「添加物入りの食品でアレルギー
をおこす」などということが信じられていたりします。どういう添
加物であるかを問わずにです。

 私は農薬というものに対して、一般市民がなじみがない、という
ことがその原因なんだと思います。ふだんから農薬を使っている人
なら、個別の○○という薬剤、として把握するはずで、「農薬」と
いう概念で把握しないでしょう。

 私も実は同じでして、農薬というものはほとんどさわったことが
ないのです。(農家で農薬のビンを見せてもらったりはしましたが)
それで偉そうにいうのも気が引けるんですが、つくづく農薬って不
幸なんだなあ、と思ったものでした。

------------------------------------------------------------
--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

------------------------------------------------------------

Q.以前友人が「人参は特に危ない」ということをテレビでやって
るのを見た、というのです。農薬に汚染されているということらし
いのですが、この辺の本当のことを知りたいのです。

 現在スーパーで売ってるものはほとんど農薬を使っています。果
たしてそれらは本当に身体に害を及ぼすのでしょうか。野菜中心の
食生活にしたいのですが、ちょっと心配なのです。

------------------------------------------------------------

A.農薬の害、というのはなかなか難しい問題をはらんでいます。
それは現実的な害、というレベルの話と、潜在的な害、というレベ
ルの話があって、二つは直接関係ないのですが、そこをきちんと区
別するのが難しいのです。

 医薬品の場合、副作用のない薬はありません。医薬品の場合は必
要に応じて、医者または患者自身が選択し、判断した上で服用しま
すので、副作用が効果を上回ることは少ないでしょうし、もしそう
なったとしても、仕方ないということもできます。

 食品添加物の場合は、本人の意志でその添加物を避けることは不
可能ではありませんが、基本的には無差別に多くの人が摂取するこ
とになりますし、摂取量も食品を製造する側から決めることはでき
ません。したがって、食品添加物の害は医薬品とは桁違いに少ない
ことが求められます。

 だから抗生物質は医薬品としては使えても、食品添加物として使
えないのですね。

 農薬になると、更に問題は大きくなります。まず環境中に放出さ
れるわけですから、環境汚染が問題になります。また、残留して摂
取された場合、食品添加物よりも広範囲に、しかも食べる人が気づ
くことなく摂取されてしまいます。

 したがって、農薬というのは最も厳しい基準で審査されている、
ということができると思います。

 そうしないと、潜在的には非常に大きい危険性がある、というこ
となのです。これが農薬がなんとなく怖い、と思われている理由だ
と思います。

 原子力発電所で、別に日本で大事故が起こって人が死んでいるわ
けではないのに、やっぱり怖いと思うのは、滅多に事故はないだろ
うけれど、もしものときには破滅的な被害が出るだろう、というこ
とを予想しているからですよね。それと同じだと思います。

 その潜在的な脅威を、さも現実に被害を受けている、ないしは被
害を受ける恐れがある、と理解していると「農薬アレルギー」とい
うようなことも、現実にあるように思えてくるのだと思います。

 また、「人参が…」というのは、たぶん誰かが人参を栽培してみ
て、農薬がたくさん必要なことに驚いたからだと思います。

 栽培の過程で使った量ではなく、残留している量が問題なのでし
ょうが、やっぱり使うこと自体に恐怖感があるのでしょうね。

 農薬は潜在的な危険性ということを前提にして、より低毒性のも
のを開発してきた経緯があります。また、使用基準、残留基準など
をきちんと守れば、使うこと自体で消費者に被害を与える可能性は
ほとんどない、といえると思います。(使用している農業従事者の
方がうんと危険は大きいのです。)

 残念ながら、農薬の使用基準は100%守られているわけではあ
りません。「無農薬」という表示で売られている野菜からも、検出
されることは珍しくないのです。

 しかし、残留基準を上回っているものはまれですし、トータルで
見て、普通の食生活で農薬による被害を受ける可能性は現状ではほ
とんどない、と思います。

 それでも、感情的な問題は残るでしょうから、私はそういう人は、
「有機栽培」野菜を育てていくことに手を貸してやってほしい、と
思っています。

 「無農薬で作っています」などという宣伝文句には惑わされず、
きちんと実証可能な方法で有機栽培をしている農家の努力に報いる、
というのが一番建設的だと思います。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「TBHQ」
------------------------------------------------------------

 「ミスタードッナツ」で無許可添加物が入った肉まんを販売して
いた、という件で、掲示板にも書き込みをいただきましたので、簡
単に紹介します。

 まず、事件の情報として、最新のものは、次のように報道してい
ます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ダスキンは、金沢市内の食品卸会社に肉まん製造を発注し、この
会社が大阪市内の食品製造会社に製造委託して、中国・山東省の現
地工場で00年10月から肉まんを製造していた。

 関係者によると、両社には00年12月はじめ、ダスキン側から
食品衛生法で認められていない食品添加物t−ブチルハイドロキノ
ン(TBHQ)が、中国で製造された原材料の油に混入していると
いう連絡があり、別の油に切り替えるよう指示された。両社はダス
キンへの出荷を停止、中国の工場に残った在庫約56万個を自主的
に処分して、ダスキン側に報告したという。

 これに対し、ダスキンはすでに国内に納入されていた約300万
個について、食品卸会社に「自前で処理する」と連絡する一方で、
同12月6日、日本の検査機関で肉まんを調べたがTBHQが検出
されなかったとして、国内在庫の販売を続け、公表もしなかった。

(5月25日)
http://www.asahi.com/paper/national.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 検査で検出されなかったら、問題はないはずですが、このあたり
はどうなんでしょうね。

 この事件の原因は「使用している油によるキャリーオーバー」と
いうことのようです。

 次にこのTBHQに関する情報です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 油脂の酸化防止剤の TBHQ(tert-Buty1hydro-quinone)は、アメリ
カなど10数カ国で使用が許可されていますが、日本では許可されて
いません。急増する輸入食品にTBHQが誤って使用される可能性があ
り、兵庫県では平成3年度からTBHQの検査を実施しています。

 平成8年度の検査では、3試料からTBHQを検出しました。関係行政
機関を通じて生産国等に原因究明をした結果、TBHQの使用が許可さ
れているアメリカ、EU諸国向けの製品が誤って日本へ出荷されてし
まったものが1件と、残りの2件は、TBHQを使用した原料(食用油脂
等)を使用したために、これを用いて製造した食品に持ち込まれた
こと(キャリーオーバー)が判明しました。

http://www.iph.pref.hyogo.jp/users/info/report/report24.htm#bm5
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 少し前の報告ですが、まさに今回の事件を予告するような内容で
すね。

 TBHQ(第三ブチルヒドロキノン)は酸化防止剤のBHAの近縁の
化合物で、BHAが体内で代謝されてTBHQになるんだそうです。ア
メリカなどでは許可されているものなので、輸入食品から検出され
ることはかなり多いようです。

 はじめは中国のメーカーで、日本の法律を無視してこの添加物を
使ったのかと思いましたが、どうも油に使用されているのを見落と
した、ということのようです。原材料についても、輸出先の基準に
合わせてチェックすべきなのですが、そこまではできていなかった
のだと思います。

 毒性や含有量から考えて、食べてもそれほど危険だとは思いませ
んが、(販売している肉まんからTBHQが検出されたとして)食品衛
生法違反は明白です。

 その後のダスキンの対応は最悪のようで、まだまだいろんな情報
が出てくると思います。そちらの方は私にはくわかりませんので、
ニュースなどでご確認ください。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 今回はメールをたくさんいただきました。あらためてご意見をい
ただいた皆さんに感謝します。

 本来なら、全文を紹介すべきなのですが、どうもまとめて並べて
みると、わけがわからなくなりそうだったので、今回はスタイルを
変えてみました。ご了承お願いします。

 また、ご意見を紹介するだけでは、他人のふんどしというやつな
ので、私の意見というのもつけてみました。できるだけ短く書きま
したが、これについても、ご意見をお待ちしています。

 なんか掲示板でやった方が良いような話に思えてきました。ご意
見は掲示板の方へも、自由に書き込んでください。
http://food.kenji.ne.jp/
から「BBS」をクリックしてください。

 後半は掲示板の書き込みからネタをもらいました。事件自体は裏
社会のできごとのような話で、手に負えそうにないので、問題の添
加物についてだけ紹介しました。ご参考までに。

------------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
-133号--------------- e-mail why@kenji.ne.jp -------------
--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
------------------------------------------------------------
「宮沢賢治の童話と詩 森羅情報サービス」
http://why.kenji.ne.jp/
------------------------------------------------------------
 購読者数3405名です。ご購読ありがとうございます。
------------------------------------------------------------
私あてのメールのあて先は、
why@kenji.ne.jp
私のホームページ(「安心!?食べ物情報」)は
http://food.kenji.ne.jp/ です。
バックナンバーもすべて、このページで読めます。
【まぐまぐ】
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を
利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ )
マガジンIDは21668です。
このメールマガジンの登録や解除は
http://food.kenji.ne.jp/food2.html へ。
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/