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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------132号--2002.05.19------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「缶詰・オレンジジュース・酢酸菌(Q&A)」
「BSE」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 前回の「卵殻カルシウム」について、さらに情報をいただきまし
た。こんどは食品メーカーにお勤めの方のようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

「『卵』という文字が入っているから」即免除、というのは必ずし
も妥当ではないです。焼成カルシウムでアレルギーは起きない(と
いうことになっている)ので、「焼成卵殻カルシウム」と表示して
あっても、アレルゲンとしての卵を含む旨を表示したことにはなり
ません。したがって、他に卵由来の原料が入っている場合は、その
旨の表示が必要だと思います。

 これに関しては、長文ですが厚生労働省通知の原文
http://www.mhlw.go.jp/topics/0103/tp0329-2b.html
の Q&A 集「D-8」にある乳糖の例が参考になると思います。

 あと、細かいことですが卵殻カルシウム(焼成・未焼成とも)は
食品添加物ですので、5%以下であっても原則として「焼成カルシウ
ム」等の表示が必要です。

 ちなみに余談ですが、私の会社の場合、卵殻焼成カルシウムの場
合は単に「焼成カルシウム」としか表示していません。というのは、
記入スペースが限られているので字数を節約したいという理由が大
きいのですが、もうひとつ、仕入れ元から万一「今まで卵カルシウ
ムを使っていたけど、次回納品分から貝カルシウムに変更させてく
ださい」などと言われるかもしれないからです。
(卵殻焼成カルシウムと書いてしまうと、貝焼成カルシウムに変更
になったら原材料表示を書き換える必要が出てきますが、単に焼成
カルシウムとしておけば変更の必要がありませんので。)

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 何だか難しそうですが、現場の人の情報だけに説得力があります
ね。これで決定版、ということでよろしいでしょうか。

 次は前回の「農薬アレルギー」の話について、このようなメール
をいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 まずはっきり言えることは、「農薬アレルギー」なんてこの世に
存在しないと言うことです。アレルギーというのはタンパク質が原
因でおこるものです。タンパク質というのは私たちの身体も含めて
動物や植物の体を作る成分です。ですから食品の中には必ず入って
います。そのタンパク質は私たちのからだの中で消化されて吸収さ
れ、栄養になります。しかし、その消化が不十分であったり、ある
いは消化されて小さくなったある種のタンパク質を身体が異物だと
認識してしまうことが原因です。

 農薬はタンパク質ではないので根本的にアレルギーの原因にはな
りえません。また無農薬野菜でなら発症しないというのが矛盾して
います。農薬というのは特定の物質を指すものではなく、数百種類
あります。それら全てに反応して、それら以外には反応しないなど
あり得ないことです。また、無農薬野菜なら残留農薬が無いという
わけでもありませんし、逆に普通の野菜だから残留農薬があるとい
うわけでもありません。

 では、その症状は何かというと、おそらく精神的なものです。嫌
いな物、たとえばゲジゲジを見ただけでジンマシンが出るとかと同
じ図式です。普通の野菜を疑ってかかる、これは食べて良いんだろ
うかと迷ってる親から迷ってる食べ物を与えられる子供・・・そん
な子供の苦しみを少しは考えてあげてください。なんでも食べられ
る元気な子供こそが理想ではないんでしょうか。それなのに、親の
浅はかな知識で食べる権利を奪われ、精神的な病にさいなまれる子
供が後を絶たないのは不幸なことです。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 私も基本的にはこのように思っていたのですが、こう言い切る自
信はありませんでした。どうもアレルギーというのがよくわからな
いもので…。

 この件に関して、ご意見をお願いします。

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--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.焼き肉などの缶詰の蓋を取り缶のまま加熱して食べた時、缶の
成分が溶け出し人体に悪い影響を与えると思いますが。

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A.缶詰の缶は「内面塗装」されているものと、ブリキが裸のまま
使われているものがあります。ブリキのものは、缶のまま加熱する
のはいけない、とされています。

ブリキの中のスズが出てくるからとか。これは有害です。

内面塗装したものは、プラスチックの皮膜で覆われていますから、
心配は少ないはずです。

でも、どちらかといえば、缶から出して加熱した方が良いのでは
ないでしょうか。

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Q.輸入柑橘類には、ポストハーベスト(OPPなど)の心配があると
のことですが、市販のオレンジジュースなどは、大丈夫でしょうか?
(農薬ごとしぼっていないでしょうか?)

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A.オレンジジュースは、輸入品が多くなりました。これは産地で
搾って濃縮果汁という形で輸入されてきて、国内で薄めてパックさ
れる、というスタイルです。

 ブラジルから来るものはジュース用タンカーがある、ということ
ですから、じつに大規模に製造・輸送されています。

 原産国で搾る場合、ポストハーベストを使用することはありませ
ん。あれはあくまで、生の状態で船で輸送するためのものですから、
すぐに搾ってしまう果実にポストハーベスト処理しても、意味はな
いのです。

 搾る機械も、まるごとつぶすのではなく、中の果汁だけを搾る方
法だと思いますので、農薬に関してはそれほど心配はないと思いま
す。(栽培過程での農薬については、よくわかりません。)

 国産果実から作るものでも、濃縮果汁にして保存して、薄める方
法と、搾った果汁そのままで保存する方法とがあります。

 もちろん、濃縮しないものが美味しいのですが、冷凍保存するた
め、コストがかかるのが問題です。

 一方、濃縮果汁では、どうしても香りなどの成分が失われるため、
香料を添加するのが普通です。

 もう一つの問題として、日本では果汁は生で出荷できない規格外
の果実から作られている、ということもあります。

 生で出荷するみかんから作ったジュースはとても美味しいのです
けれど、まず入手できないでしょうね。

 このあたりがオレンジジュースを選ぶにあたっての情報といった
ところです。

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Q.お酒を造る過程で、酢酸菌はどのような役割をはたしているの
でしょうか?

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A.日本酒では麹カビがでんぷんを糖に変え、酵母が糖からアルコ
ールを作ります。

 酢酸菌はアルコールを酢酸に変えるのですから、酒づくり中には
でてきてもらってはこまる菌です。

 といっても、全くいないわけではなく、こうした菌が作った有機
酸は酒の味を作っている物質には違いありません。

 ただ、あくまで副次的なものと思います。

 一般に、「辛口」という酒は酸が多く、要するに酸っぱいんです。
「甘口」は発酵しのこりの糖分が多い、ということです。もちろん、
糖類を添加したものもありますが。

 明治以前の酒では、微生物の制御が困難だったため、いまよりも
ずっと辛い酒だったという話です。

 こういう場合、酢酸菌も活躍していたのかもしれませんね。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「BSE」
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 先週、久しぶりにBSEの話題を書いたら、発信の日の朝刊に4
頭目のBSE感染牛が発見された、という記事が載っていました。

 このメールマガジンは毎週日曜日の朝(6時頃)に発信するよう
に、まぐまぐに予約しています。予約するのは前日の夜のこともあ
りますが、たいていその日の早朝です。

 その日の朝刊が来るころに予約していましたので、見事に入れ違
いになってしまいました。

 今回のBSE感染牛の発見については、今までの中では一番騒ぎ
が小さかったように思います。ちょっとは冷静になってきたかな、
という感じですが、マスコミが今年になってから、政治ネタばかり
やっていますので、大臣が変なことを言ったりしないかぎり、あま
りネタにはならないようですね。

 厚生労働省のホームページでは、つぎのような報告になっていま
す。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

平成14年5月13日

牛海綿状脳症(BSE)確定診断の結果について

 平成14年5月13日に開催した「牛海綿状脳症の検査に係る専
門家会議」において検討した結果、下記の牛はBSEであるとの結
論を得ましたので、お知らせします。

 なお、この牛の食肉、内臓等、当該牛に由来するものは、すべて
焼却処分とするため、市場には流通しませんので、念のため申し添
えます。

       記

〔検体を採取した牛〕

処理年月日: 平成14年5月10日
性別: 雌
品種: ホルスタイン
月齢: 73ヶ月
飼育地: 北海道白糠郡音別町
スクリーニング検査実施機関: 釧路保健所
確認検査実施機関: 帯広畜産大学

【注】当該牛の地元に対する取材には、十分御配慮をお願いします。

照会先:厚生労働省医薬局
    食品保健部監視安全課
    高谷 課長
 担当:道野(内線2474)

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/05/h0513-3.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 1996年4月に生まれた牛だったようです。最初の牛が同年3月、
2頭目と3頭目は同年5月、ということです。

 今までの四頭は、見事に同じ時期に生まれた牛です。この頃に生
まれた牛は乳牛以外はもう生きていません。

 乳牛は搾乳を続ける限り、毎年子牛を生みます。人間だと母乳が
出ている間は妊娠しないものですが、牧場で乳を搾っている牛はた
いてい妊娠中なんですね。

 生まれた子はメス牛だと基本的に乳牛として育てられます。オス
牛は昔は育てなかったそうですが、今では去勢されて肉牛として飼
育されます。

 肉牛になった牛の飼育期間は、だいたい18ヶ月前後、2年は超
えないので、1998年中にはみんな牛肉になってしまっています。

 乳牛の方は3〜4歳くらいから搾乳をはじめ、5〜6産くらいは
とる、と昔教えてもらいましたが、乳量の増加にともない、だんだ
んと短くなっている、ということです。

 同じ時期に生まれて、まだ現役の乳牛もいるわけです。そして、
これから順次、淘汰されていきます。

 牛にも個体差があって、乳量の少ない牛は1〜2産でもう乳牛と
してはクビになります。この場合は乳を搾らなくなってからしばら
く、肉牛用のエサを与えて、肥育しなおし、肉牛として出荷します。

 こういう牛の肉は普通の肉として通用するそうですが、同時期の
牛ではそうした出荷も終わっています。

 5〜6産もした牛は、もう肥育してもまともな肉はとれませんの
で、搾乳を終わった段階で出荷されて、一番安物の牛肉になります。
こうした牛の枝肉を見せてもらったことがありますが、本当にやせ
ていて、普通のものとは感じが違いました。

 こういう肉は店頭に並ぶことはなく、全部加工用にまわる、とい
うことです。

 今、BSEの影響で、この廃用牛の出荷が滞っている、というニ
ュースもありますが、同時期の牛はそろそろ廃用の時期にきている
のでしょうね。

 今回の牛は異常が発見されてと畜場に持ち込まれています。死ん
だ牛は肉にはできませんので、症状が重くて回復しない、と判断さ
れた牛は、そのままと畜場に持ち込まれます。

 こうした牛は別の受け入れ場所があって、獣医が診察してからと
畜されます。今回の件ではこの診断にあたった獣医師が自殺すると
いう、いたましい事件が起こっています。

 牛が立てなくなる、という病気は珍しくもありませんし、BSE
が普通の診断で判断できるのなら、特別の検査体制をしく必要もな
いのですから、責任を感じることなんかない、と私が言ってもはじ
まりませんが、まことにお気の毒なことでした。

 まだ、もう少しBSE感染牛は発見されると思います。その結果
次第で、特定に時期におこったものなのか、その後も継続して感染
が続いているのか、ということがわかります。前者であってほしい、
とは思いますが、どうなるのでしょうか。

 人への感染の可能性ですが、イギリスでのvCJD(BSEからの
感染ではないかと疑われている変異型ヤコブ病)の感染者数は2002
年3月末の時点で、117人とのことです。今後の予想では最大14万人
という予想がありましたが、下方修正の必要が出てきたようです。

 新しい予想はいくつもあって、どれも信用できる、というほどで
はないのですが、最大5万人、最小で 200人、ということが出てい
ます。
http://square.umin.ac.jp/massie-tmd/bsecjd.html

 現実はこの間の値になるのですが、最小の方に寄った数字になる
と思います。理由は上記のサイトの意見を見てください。

 18万頭以上の感染牛を出したイギリスでの数字です。日本に単純
にあてはめると、最大1人、最小0人、おそらく0人に近い数字、
ということになります。こんな予想は別にあてにはなりませんが、
当初言われていたよりも影響は少なく見積もれそうなので、私とし
ては良かったかな、と思います。

 イギリスでも30ヶ月齢以下の牛については、検査せずに流通させ
ているそうです。まだまだBSE感染牛が出ているイギリスでもそ
んなことですから、日本で全頭検査を続けるのは無駄なような気が
します。

 全頭検査を取りやめて30ヶ以上の牛だけの検査に切り換え、余っ
た費用で廃用牛の買い取りと検査を実行する方が良い、と私は思い
ます。

 本当は廃用牛は買い取るのではなく、普通に出荷させて検査する
べきなのですが、現状を見ると、農家の方でそういう判断はできか
ねるようです。ひたすら風評被害を恐れているようなので、この際
札束で顔をひっぱたいてやる必要があるという考えです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 偉そうに書きましたが、このメールマガジンも風評被害に一役買
っていたとしたら、申し訳ないです。こういう情報を扱うのは本当
に難しいと思います。

 このメールマガジンでは、一昨年のヨーロッパ(フランスやドイ
ツ)でのBSEパニックの頃から、報告してきましたが、当初はか
なりの危険性がある、という認識でした。

 パニックの頃は本当にすごかったので、そのように思っていまし
た。人間の患者も爆発的に増えそうな気配でしたし。

 ところが、その直後から、人間の患者は減りだしているのです。
今年、さらに少なくなるようなら、ちょっと一安心、という気もし
てきました。

 幸い、テレビなどは政治ネタに走っています。政治家のスキャン
ダルを追いかけたりしている方が視聴率を稼げる、というのは良か
ったですね。

 生産や流通での問題点も多く出てきましたし、消費者の行動もこ
れで良いのか?ということもあります。その辺は今後の課題として
いきたいと思います。

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