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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------113号--2002.01.06------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「中国産野菜」「たんぱく加水分解物(Q&A)」「日本酒」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

あけましておめでとうございます。新年ももう6日になってしまい
ました。

 今回は以下のようなメールをいただいています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 久しぶりに投稿します。12月23日の農業新聞からです。

 今中国産野菜の農薬問題が深刻だそうです。残留農薬の濃度など
で食品衛生法に違反する件数が年々増えてきているそうです。

 1999年は11件 2000年は87件 2001年(11月
29日まで)96件。中国の農薬問題は深刻化しておりメタミドホ
スなどの日本国内では使用禁止されている農薬による健康被害が起
きていると報じています。

 このメタミドホスはどんなものですか。出来たら商品名も。

 今このメタドホスの違反例はないようですが、食品衛生法に違反
する野菜が年々増えているそうです。議員の間から「何故中国産野
菜を全量検査しないのか」「腰を入れて取り組まなければならない」
など意見続出、まさにその通りだと思います。

 去年も韓国産のトマトで農薬の問題があった様に聞いています。
野菜の輸入も時代の流れと思いますが、検査は厳しくですね。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 メタミドホスというのはアセフェートと同じような殺虫剤らしい
です。残留基準が設定されているので、禁止されているわけではな
いようですね。(詳しいことはわかりません。)

 アセフェートというと「オルトラン」が有名です。有機リン系の
殺虫剤としてはポピュラーなもので、生協なんかでも園芸用として
販売していました。(今は知りませんが)

 輸入の農産物の検査結果については、公表されているものをみて
も、結構ひっかかっています。中には「魚の中に鉛が入っていた」
などという悪質なものもあります。(これは重量を増やすためです
ね。)

 また、輸入品の検査といっても、全量検査はできていないような
ので、やっぱり心配はあると思います。

 ただ、こうした情報を流しているのは、国産農産物をすすめる立
場の人がほとんどですが、国産農産物の実態については触れずに、
輸入品だけを非難しているのが特徴です。

 輸入品については、まがりなりにも検査というのがあるのですが、
国産品には検査ということはありません。使用の実態から考えても、
国産なら安心などということはできないと私は思うのですが…。

 輸入品を批判すると、国産なら安心、というイメージができてく
るのですが、それは単なる心理的トリックだと思います。

 輸入品にちょっと悪質なものもあり、注意しなければならないの
は事実です。だからといって、排斥キャンペーンなんかをしている
のは、農業者にとってはともかく、消費者としては間違った行動だ
と思います。

 今、悪質な農産物を持ち込んでいるのは、生産者も流通業者も、
一攫千金的な、ベンチャー的要素の強い人たちです。これらをきび
しく管理し、悪質なものは排斥していかなければなりませんが、同
時に、安定して良質なものを生産できるルートについては、育成し
ていくべきだと思います。

 輸入品すべてがダメ、と排斥していたのでは、いつまでたったも
海賊的なものしかやってきません。

 輸入国の規制は国ごとに違います。ある国から、いろんな国への
輸出が産業として自立してくれば、自然とその多様な規制に適合す
るようになり、結果として安全性の高いものが入ってくると思いま
す。

 タイの鶏肉産業なんかはそうした好例です。

 輸入商社の人には,どうせ輸入してくるのなら、こうした産業の
育成といった視点で、長期的にとりくんでほしいものだと思ってい
ます。

 中国人もいつまでも不安定な海賊をやっていて良いと思っている
わけではないと信じたいですね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.たんぱく加水分解物の事ですが、発ガン性はともかくあまり好
ましくないものとありました。けれど、生協や、自然食品の店など
にある、だしの素やカレー、シチューのルーには必ずといっていい
ほど使われてます。私は、比較的安全なものと思ってました。妊娠
中も、子供が小さい頃もずっと食べてました。どのくらいの毒性が
あるものなのか、どうして体に良くないのか、教えて頂ければと思
います。よろしくお願いします。

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A.たんぱく質には味がないんですが、それを構成しているアミノ
酸は、それぞれ固有の味を持っています。化学調味料として有名な
グルタミン酸ソーダも、アミノ酸であるグルタミン酸の味が基本で
す。

 そこで、たんぱく質を何らかの方法で分解して、構成しているア
ミノ酸の混合物にしてやると、調味料として使える、ということに
なります。

 今、問題になっているのは、この分解に塩酸を使うと、MCPと
呼ばれる有機塩素化合物です。この物質の毒性については、変異原
性があるとか、その他動物実験でよくない効果があるとか、いくつ
か聞きましたが、それほど重大なものではなかったと思います。

 発ガン物質である、という情報もあるようですが、詳しくはよく
わかりません。

 ただ、原因が明らかで、たんぱく質を塩酸で分解すると、必ずで
きるものだから、できればこの塩酸分解物は避けよう、と話し合っ
たことがあります。

 たんぱく質を分解したものとしては、他に酵素分解物というのが
あります。これは酵素によって分解するので、MCPは出来ません
が、コスト高になります。

 「加水分解物」という記載の場合は、たぶん塩酸分解物だと思い
ます。

 狂牛病の発生以来、酵素分解物や化学調味料より、塩酸分解物の
方が安全だ、などという考え方もあります。

 ネット上を検索しても、あまり詳しい毒性データは出てきません
でした。こんな情報があったくらいです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 英食品基準局は20日までに、英国内の中華街やアジア系スーパー
で販売されているタイや中国、台湾などから輸入されたしょうゆ1
00種のうち22種に、肝臓がんなどを起こす可能性のある発がん物
質が国際基準を上回って含まれていたとし、回収を命じた。含まれ
ていたのは「モノクロロプロパンジオール(3MCPD)」と、さらに
危険とされる「ジクロロプロパン(3DCP)」という発がん物質。毎
日茶さじ2杯分で、女性で欧州安全基準の20倍、男性で同10倍の発
がん物質を摂取することになるという

http://www.matino-akari.com/linksyu/log/news/01234.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この記事の信憑性については、よく判りません。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「日本酒」
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 お正月ということで、久し振りに日本酒を飲みました。最近はど
こでも「吟醸酒」「大吟醸酒」「純米酒」などが手に入るようにな
ってきています。

 今回は日本酒の歴史のような話です。

 神話の時代から、酒というものはあったようですが、このときは
乙女が噛んで作る、という表現になっています。これは唾液の酵素
で米のでんぷんを分解し、できた糖でアルコール発酵する、という
ものだったようです。

 今の日本酒の原型(米麹を利用するもの)は平安時代にはすでに
存在していた、といいます。麹カビが出す酵素を利用するようにな
ったわけです。この麹カビの利用、というのが日本酒の一番大きな
特徴になっています。

 そのころの酒は僧坊酒と呼ばれ、主に寺院で作られていた、とい
います。まだ今の清酒とはほど遠い品質だったでしょうし、庶民が
普通に飲むものではなかったと思います。祭礼の時などには、どの
ような酒が飲まれていたのでしょうか。

 室町時代になると、酒造業がおこってきます。奈良、京都などで
は造り酒屋もでき、現在の日本酒の原型が徐々に整ってきたようで
す。「麹米」「掛米」の2回にわけて仕込むようになったのも、こ
のころで、古くは玄米を使いましたが、双方ともに白米で仕込むよ
うになってきたのが、「南都諸白」と呼ばれる酒です。

 麹を玄米で仕込むのが「片白」、麹も白米になったのが「諸白」
です。

 このころ実用化された技術には、2段仕込み(酒母と掛け米を分
けてつくる)、酒母仕込みでの乳酸発酵の利用(最初に米を乳酸発
酵させ、乳酸によって雑菌の繁殖を抑える技術)木炭の利用(不純
物の吸着)などがあるそうです。
http://www.sakejapan.com/sake-info/sake-info13.html

 その後、江戸時代初期には酒造業の主流は伊丹に移ります。この
ころに開発された技術としては「柱焼酎」というものがあります。
これは蒸留によってあらかじめアルコール度の高い酒(米焼酎)を
造り、醸造時に添加することで、しっかりとした味と腐敗を防ぐ効
果を持たせたものです。今日の「本醸造」という、アルコールを添
加した酒の先祖といえるものです。

 江戸が開けてくると、今度は灘に大きな酒造業が起こってきます。
これは海運の便、大量に使用できる六甲の伏流水、また急流を利用
した水車による精米などに加え、背後に控えた丹波などの酒造好適
米の産地、「杜氏」と呼ばれる酒造技術を持った季節労働者の登場、
吉野杉による大樽の大量製造などの背景があり、まさに当時の一大
コンビナートといったところだったと思います。

 この酒造用の樽は今でも古い酒倉ではときどき見かけます。杉の
香りも日本酒の重要な要素といって良いと思います。

 日本酒の技術はこうして確立してきたのですが、パスツール以前
に火入れ法などの微生物制御法を開発し、麹カビによるでんぷんの
糖化と酵母によるアルコール発酵を並行してすすめる、「並行複発
酵」技術、そして何より、大量生産・大量流通・大量消費の一大産
業として発展してきたことなど、前近代の産業としては出色のもの
があったと云われています。

 また、その酒造技術が「杜氏」という季節労働者によって担われ
てきた、というのも一つの特色になっています。このことは経営と
酒造りの分化、というちょっといびつな構造を作ってしまいました
が、歴史的には大きな役割を果たしたと思います。

 明治以降、近代的な知識が導入されるとともに、伝統的な技術が
近代化学の眼で見直されるようになっていきました。

 私たちの知っている日本酒は、この近代の酒で、それ以前の日本
酒は基本的には同じですが、酸味が強く、とても辛いものだったそ
うです。

 ここまではまだ、「米と米麹(米焼酎)」だけが原料だったので
すが、戦後の混乱期に「合成酒」というものが登場します。

 これはエタノール溶液に日本酒の味をつけたものです。私の子供
のころはまだどこの酒屋でも売っていたと記憶しています。一合入
りのとっくり型をしたガラス容器に入っていて、立ち呑みで1本50
円くらいでしたか…。

 戦後すぐの時代はこんなものでもまだ良い方で、「メチル」とい
う、メタノールを飲んでの健康被害などもよく起こっていたといい
ます。「眼が散る」からメチルだという冗談もありました。これは
冗談ではなく毒ですので、絶対やめましょう。

 また、純粋の合成酒でなくても、この技術を応用して、少しの米
で大量の日本酒を作る方法として、「三倍醸造」などと呼ばれる、
合成酒で水増しした酒が作られるようになりました。

 昔の「二級酒」などというのは、こうしたものばかりでしたが、
「特級」という酒でも実はアルコール添加の水増し酒が多かったの
です。

 今の「本醸造酒」もアルコール添加はしていますが、調味料を使
用しているという点で、また違ったものです。

 この背景としては「米不足」が考えられます。今からは信じられ
ない話ですが、1960年代まで、日本では常に米不足で、輸入に頼っ
ていました。輸入の黄変米などというものが騒ぎになったこともあ
ります。

 また、産業としても寡占化の進んだビールなどの洋酒業界と違い、
日本酒業界は前近代の造り酒屋を近代税制に組み込んできた関係で、
小さな蔵に少しずつ酒造量を割り当て、大手業者はその中小業者か
らできた酒を仕入れる「桶買い」と呼ばれる慣習があったことも、
こうした水増し酒がはびこった原因である、とも考えられます。

 安直な技術によって、製造コストを抑え、品質の均一化をはかる、
という意味です。

 また、保存料としてサリチル酸を添加する、など伝統的な米と米
麹から作った酒は実態としてはほぼ滅びた、という状況になってし
まいました。

 先程書きました、経営と酒造りの分化、ということが、ここでは
マイナスに作用したのではないか、と思っています。実際、酒の話
を何もできない経営者などという人も結構いるのです。

 1970年代以降の経済成長と消費者運動の拡大などの流れによって、
「純米酒」が見直され、またグルメブームによって「吟醸酒」も流
行するようになって、少しずつ日本酒も変ってきました。

 この流れは当然のことで、私としては早く「純米酒」という呼称
がなくなってほしい、と思っています。すべての日本酒が米と米麹
だけで作られるようになれば、日本酒=純米酒ですから、こんな呼
び方をする必要はないのです。

 米も今では余って困るようになってきています。この時代に米を
節約するような酒造りをする必要などはないわけですから、純米酒
以外の日本酒造りは禁止すべきだ、と私は思います。

 何でも法律で禁止するのはおかしい、とは思っているのですが、
酒に関しては酒税との関係もあるし、これくらいはしても良いかと
思うのですが、いかがでしょうか。

 ドイツではビールの原料に大麦以外を使うことは禁止されている
そうです。また、フランスではワインに砂糖を添加することはダメ
なんだそうです。(フランスのビールやドイツのワインにはそんな
規制はありません。)

 民族文化の誇り、というんでしょうか、日本でも、せめて日本酒
だけはそんな厳しさを持っていたいですね。もう目先の利益のこと
で頭が一杯の貧乏国ではないのですから。

 ということで、「日本酒純粋法」として、米と米麹(例外として
米焼酎=米から作ったアルコール)以外の原料を日本酒に使用する
ことを禁止する、という法律ができれば良い、と私は思います。

 米の消費拡大、日本酒のイメージアップ、税収の確保、と良いこ
とだらけだとおもうのですが。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 このところ日本酒はほとんど飲まなかったんですが、お正月とい
うことですこしいただきました。やっぱり吟醸酒は美味しいですね。

 私の家の近くのスーパーでは、720ミリリットル入りで540
円、というワイン並みの値段で売っていました。

 安いのしか飲んでいないのがばれそうですが、これくらいがちょ
うど良い値段ではないかと思います。

 「MCP」について、前回えらそうなことを書いて、ちょっと反
省しています。以前持っていたデータは退職時に職場においたまま
になっていて、引用できないんです。さっそく質問をいただいたの
ですが、ちゃんと答えられなくて申し訳ないです。

 詳しい情報をご存じの人からのご支援、よろしくお願いします。

 で、懲りずに「三倍醸造」の悪口をまた書いてしまった…。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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