安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>104号


-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------104号--2001.11.04------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「ウコン・ホット用ペットボトル(Q&A)」
「有機農業」

------------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--〔話題〕--------------------------------------------------

 有機農業について、現役の農家の人からのメールをいただきまし
た。私の返信を掲載します。「> 」がついている行がいただいたメ
ールからの引用です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

> HPの有機農業を見ています。私は農業ですが有機農業の定義は
> 知りませんでした有機農業が3年以上農薬化学肥料を使用しない
> となっていますが、有機農業に農薬が付くのは変じゃないでしょ
> うか。
> 有機農業と言うのは、有機質で作った作物。農薬は、無農薬とか
> 減農薬とかで作った作物は有機 無農薬又は減農薬と表記する方
> が正しいいとおもいますがどうでしょうか。



 有機農業というのは、確かに変な言葉ですが、これは「オーガニ
ック」という、ヨーロッパの言葉をそのまま訳したものです。

 農産物につける、特定の付加価値で、何となく環境や健康に良さ
そう、というイメージを持たせた言葉ですね。

 日本では「有機化学」の有機という意味しかなかったと思います
が、最近では上記のイメージを持ってきているので、厳密に考えな
ければそれほど違和感はないようです。

 「無農薬」や「減農薬」という、割と単純なそのままの意味の言
葉とは範疇が違うのだろうと思います。

 「無農薬」と「有機」との一番大きな違いは、「無農薬」が言葉
の意味どおりのもので、別に基準があるわけではないのに対して、
「有機」にはちゃんとした基準がある、ということです。

 この基準どおりに作られたかどうか、ということだけが問題にな
ります。

 したがって、農薬を使っていても、有機農業の基準にあっていれ
ば、それでいいのです。有機=無農薬、というのは消費者の側の思
い込み、ということになります。



> 3年以上使っていないとありますがこんなケースはどうでしょう
> か。日本は耕地面積が小さいです。そこで自分の耕地では、化学
> 肥料農薬は使っていなくても、隣りの耕地から入って来ることは
> 充分に考えられます。そこらの区別ですがどうしているのでしょ
> うか。



 一応、他の畑と隣接している場合は、緩衝地域が必要なはずです。
それ以外(空から降ってくるもの)なんかは無視されると思います。

 これは、「有機農業」が結果としての安全を保証するものではな
く、栽培の過程が基準にあっていることを保証するものだからです。

 たとえ有害な物質を使っていても、その物質が基準で使用を認め
られていれば、別にかまわない、というのが基本的な考え方です。

 どうも日本では、そこのところが誤解されていると思います。



> 次に有機物で作った作物が有機農業ですがこの有機物にもそれこ
> そピンからキリまであります。人糞から家畜の糞 残飯 草 魚
> 粉 肉骨粉等等何でも肥料になります。
> またその質が問題です。そのままでも有機質肥料ですし、発酵さ
> せても堆肥にしても有機質肥料です。ここらの違いはどうするの
> でしょうか。それに渡辺さんも書いておられますが、植物自体は
> 肥料は無機質で吸収します。アミノ酸(窒素)の一部はそのまま
> 吸収すると聞いた事はありますが 間違っていたらごめんなさい
> でも確かに充分に発酵した肥料とか堆肥を使った作物は美味しい
> です。
> でも今のハウス農家は、私の回りではこのぐらいの事は大方の人
> が常識でしています。



 肥料に関しても、考え方は同じです。有機肥料にもいろいろあり
ますし、有機肥料でなければならない根拠は別にありません。

 「有機」と名乗るからには、肥料は有機質のものを主体にしよう、
ということなのでしょう。現実に、無機肥料であっても、必要なも
のは認められています。

 有機肥料にはそれなりの使用法の難しさがありますし、無機肥料
でも当然、同じことが言えます。近代農法が発展してくる途中で、
無機肥料の使いすぎなどによる弊害が起ったことが、有機肥料が良
い、ということの根拠の一つになっています。

 確かに、現状では、有機肥料を投入するような努力をしている栽
培の方が、美味しいものができると思います。しかしそれは、有機
だから良い、のではなく、美味しいものを作るよう、努力している
から良い、のだと思います。

 そして、「有機農業」というのは、そういう努力を保証する、販
売政策として成立してきた、と私は思っています。

 だから、有機農業を成立させる要件は、

(1)公表されている栽培基準
(2)その栽培方法が基準に合っていることを証明できる制度
(3)その認証を有効に利用する販売努力

の3つだと思います。

 有機認証をとったのに、売れない、などという声を聞きますが、
あれはそもそも、「有機農業」というものを理解していないからだ
と、私は思っています。

 実際、有機栽培する前に、販売努力の方を先にすべきなのです。
(作れば売れる、と思っているのがおかしい)



> 農薬は無農薬と減農薬があります。無農薬は分かりますが、減農
> 薬とはどのくらいの使い方を減農薬と言うのでしょうか。私の米
> を例にしますと、田植えの時に苗に殺虫剤と病気の薬を振ります
> (粒剤)後、田植えが済んで1週間後に除草剤を振って終わりで
> す。
> 殺虫剤と病気は2ヶ月ほど薬効があります。除草剤は1ヶ月くら
> いです。私たちの辺りでは米作りはこの位の農薬の使い方です。



 減農薬、というのは、その地域の普通栽培の半分程度にしたら、
言ってもいいそうなんですが、これは実にいい加減です。

 まず、おっしゃるような作り方を、みんながすれば、みんなは減
農薬ではないことになります。(矛盾1)

 それから、3回、残留性の弱い農薬を使う栽培をしているところ
で、1回だけ、強力で残留性の強い農薬をやれば、これは立派な
「減農薬」です。(矛盾2)

 したがって、私「減農薬」表示は相手にしないのが正しいと思っ
ています。



> 農薬への私の考え方ですが、今の農業では、全くの無農薬では自
> 家栽培はできますが農業経営するとなると経営は成り立たないと
> 思います。農薬も自分たちが飲む薬と同じで、処方を誤らずに使
> えばそう健康に害は無いと信じています。



 じつは私もそう思っています。ただ、農業というのは、今までず
っと、人に作らされてきた、という面を持っていると思うのです。

 これからの農業は、自分で、作物も栽培方法も決め、それを消費
者にアピールして、責任を持って売る、という、自立した姿勢が必
要だ、と思います。

 そのためには、「有機農業」という運動(外国の運動ですが)の
意義は大きい、と思います。自立した農業家の登場、というのが、
有機農業運動の背景にあるのです。

 私はつきあいのある農家には、「消費者をだましてでも、自分の
作物を売っていく根性が必要なんだ。」といつも言っていました。
(嘘をつけ、ということではなく)

 だから、有機農業は、基準自体、矛盾が一杯なんですが、私は支
持したいと思っています。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 今、まじめに作っているところは、このメールにもありましたよ
うに、「一発除草」で農薬もほとんど使用しないような作り方にな
っています。

 ところが、みんなでこれをやっている地域では、「減農薬」では
ないのですね。中には厚かましく、特別なことのように吹聴してい
る人もいるようですが。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

------------------------------------------------------------

Q.ウコンについて教えてください。ウコンとはターメリックのこ
とでしょうか?でしたら私は二年間ほどバングラデシュで毎日食べ
ていました。これといって、健康になったわけでもなく効果のほど
もいかがなものかと。畑にありますけど手間を掛けて食するほどか
らだにいいものなのでしょうか?

------------------------------------------------------------

A.ウコンとターメリックは同じものです。カレー粉には大量に使
われていて、カレーのあの黄色は、だいたいウコンの色なんですね。

 ウコンは漢方の方では薬草になっていると思いますので、効果は
あるのだと思います。まあ、それを言えば、カレー粉の原料になる
香辛料はほとんどそうなんですけれど。

 ウコンは沖縄あたりでは栽培が可能でして、実際作られています。
健康食品なんかでよく見かけるのは、そのためと思います。

 産業として育ってくれれば、地元のためになると思いますので、
応援しているのですが、効果のほどはどうなのでしょうか。ないこ
とはないと思いますが、劇的な効果がある、というものではないと
思います。

 あとは個人の趣味というか、体質というか、いろいろありますの
で、一概には言えないです。酒飲みには良い、などという話も聞き
ます。

------------------------------------------------------------

Q.ホット用ペットボトルについて調べています。ホット用って、
ホント大丈夫なんですか??材質は今までと違うんですか??また、
オレンジキャップって決まりなんですか?あと、ホットの場合、缶
と比べて、味とか、賞味期限とか違うんですか??

------------------------------------------------------------

A.ホット用のペットボトルは今年新登場なんですね。こんなこと
が書いてありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

<ホット用ペットボトル商品の販売時のお願い
オレンジキャップは加温器販売が出来る製品の目印です。>

(1) 飲料専用の加温器を使用してください。
(過剰な加温による品質変化を抑えるため、湯せん等での加温はお
やめください)

(2) 温度設定を55〜60℃で加温してください。
(過剰な加温による品質変化を抑えるため、加温機材の温度設定を
してください)

(3) 先入れ先だしを励行してください。
(加温時間を短縮し、品質の変化を抑えます)

(4) 1週間以内にご販売ください。
(加温販売期間を2週間とさせていただいておりますが、1週間以
内がおいしく販売していただく目安です)

(5) 一度冷めた商品の再加温はおやめください。
(品質の変化を極端に早める場合がございます)

(6) 容器の横倒し加温をしないでください。
(シュリンクラベルの破損、変色や過剰な加温を避けるため横だお
しはしないでください)

http://www.beverage.co.jp/company/news/news/010928.html より
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ここに書いてあることはなかなか信用できそうです。(4)加熱
状態での賞味期限は1週間、(5)再加熱は不可。というのは覚え
ておいてよいですね。

ということは、自動販売機の「ホット」に入れられているペットボ
トル飲料は避けた方が賢明かと思います。(4)の1週間以内、と
いうのが守られている可能性は低いと思うからです。

 家庭での加熱もやめた方が良いですね。50度程度に加温できる
装置なんか、家庭ではないと思います。

 オレンジキャップは業界の申し合わせか何かがあるんでしょうね。
ホットタイプの印だと思います。

 材質は同じPETですが、肉厚で酸素を通しにくい材質にして、
高温でも中身の変質が少ない、ということのようです。

 PETそのものはこの程度の温度で問題はないのですが、今まで
は中身がもたなかった、ということでしょう。

 それでも、上記のような状態ですので、私としてはお勧めできま
せん。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「有機農業」
------------------------------------------------------------

 「有機農業」と「無農薬」とは違う、と何度も書きましたが、具
体的には紹介していなかったと思いますので、以下に、「有機JA
S法」で使用が認められている資材の一覧表を紹介します。

 品名だけをあげておきます。くわしくは、
http://www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/heya/yuuki-nousannbutukikaku.pdf
を見てください。(最悪なことに、PDFファイルです。コピーす
るのに苦労しました。)

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

肥料及び土壌改良資材

農産物及びその残さに由来する堆肥
家畜及び家禽排泄物に由来する堆肥
食品製造業等に由来する堆肥
生ゴミに由来する堆肥
バーク堆肥

魚かす粉末
なたね油かす及びその粉末
米ぬか油かす及びその粉末
大豆油かす及びその粉末

蒸製骨粉
窒素質グアノ
乾燥藻及びその粉末
草木灰
炭酸カルシウム肥料
貝化石肥料
塩化加里
硫酸加里
硫酸加里苦土
天然りん鉱石
硫酸苦土肥料
水酸化苦土肥料
石こう(硫酸カルシウム)
硫黄

微量要素(マンガン、ほう素等)
木炭
泥炭
ベントナイト
パーライト
ゼオライト
バーミキュライト
けいそう土焼成粒
塩基性スラグ
鉱さいけい酸質肥料
熔せいりん肥
塩化ナトリウム
リン酸アルミニウムカルシウム
さらし粉
その他の肥料及び土壌改良資材

農薬基準

除虫菊乳剤(除虫菊から抽出したものであること。)
デリス乳剤
デリス粉
デリス粉剤

なたね油乳剤
マシン油エアゾル
マシン油乳剤

硫黄くん煙剤
硫黄粉剤
硫黄・銅水和剤
水和硫黄剤

シイタケ菌糸体抽出物液剤
炭酸水素ナトリウム水溶剤
炭酸水素ナトリウム・銅水和剤
銅水和剤
銅粉剤
硫酸銅(ボルドー剤調製用に使用する場合に限ること。)
生石灰(ボルドー剤調製用に使用する場合に限ること。)
液化窒素剤

天敵等生物農薬及び生物農薬製
剤性フェロモン剤
誘引剤
忌避剤
クロレラ抽出物液剤

混合生薬抽出物液剤カゼイン石灰(展着剤として使用する場合に限ること。)
パラフィン(展着剤として使用する場合に限ること。)
ワックス水和剤
二酸化炭素剤(保管施設で使用する場合に限ること。)
ケイソウ土剤(保管施設で使用する場合に限ること。)

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 たくさんの農薬がありますが、ボルドーや硫黄・銅水和剤など、
なんだか懐かしい名前がでてきます。私は昔、これらの古典的な農
薬を使用している、伝統的な果樹栽培農家にも、農薬の使用を抑え
るように頼んだりしてきましたが、何だか馬鹿みたいです。

 一番問題が多いのは、「デリス」で、そういう名の植物から取っ
た、昔からある殺虫剤です。しかしこれは魚毒性が強く、次のよう
に規制されているものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

散布された薬剤が河川・湖沼・海域及び養殖池に飛散または流入す
る恐れのある場所では使用せず,これらの場所以外で使用する場合
も,一時に広範囲に使用しない。散布に使用した器具及び容器を洗
浄した水,使用残りの薬液ならびに使用後の空きびん及び空袋は,
河川などに流さず,地下水を汚染する恐れのない場所を選び,土中
に埋没するなど安全な方法で処理する。

使用禁止地帯では使用しないこと。また,使用制限のとられている
地域では,その使用条件にしたがって使用すること。

http://www.keea.or.jp/qkan/water41.htm より
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 PCP除草剤、ベンゾエピン、デリスの3つだけが、このような
指定になっていますので、最も魚毒性の強い農薬の一つです。要す
るに、魚の住んでいるところでは、使用してはいけないようです。

 天然物なら何でも良い、ということなんでしょうが、これはちょ
っといただけません。また、除虫菊乳剤が良くて、ピレスロイドが
良くない、というのも、理解し難いところです。(有効成分は同じ
はずです。)

--〔後記〕--------------------------------------------------

 前回のアトピービジネスの話について、ある研究者の人から、メ
ールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 アトピーと言うと、とかく、ステロイドが悪者のように言われて、
使うにしても、非常に弱いステロイドを使うのが正しいように思わ
れてますが、実はその方が返って危険な可能性が高いです。ステロ
イドは、自分の体からも常に分泌されているものです。長期に渡っ
て使用することで、体からのステロイド分泌レベルを下げてしまう
可能性があるからです。

 弱いステロイドを使うと、症状の治まりが悪いので、どうしても
長期に渡って使いがちです。アトピーは、炎症系のサイトカインや
免疫系の細胞たちが、互いに刺激しあって炎症が続く悪循環に陥っ
ている面もあります。一旦、弱くないステロイドで、悪循環を断ち
切ってあげると言うのは、治療法として悪いものではないです。短
期間の使用ならば、体内の分泌レベルへの影響も少なくて済みます。
弱い故に、かゆみも収まらない、つまり、何の効果もないステロイ
ドを長期間塗り続けるのは愚かな事と思います。

 とは言え、とある有名大学の付属病院でも、弱いステロイドをず
っと・・・と言う方法を採っているところもありますので、この考
え方が専門家のコンセンサスと言う訳ではありません。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 いろいろと難しいようですが、こんなところにアトピービジネス
のつけ込む余地があるのでしょうね。

 今回はちょっと手抜きで、コピーが多かった(反省)。でも、最
近、お便りをたくさんいただいて、本当に助かっています。これか
らもよろしくお願いします。(私あてのメールは、差支えなければ
こうして公開させてもらっています。)

------------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
-104号--------------- e-mail why@kenji.ne.jp -------------
--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
------------------------------------------------------------
------------------------------------------------------------
 購読者数1483名です。ご購読ありがとうございます。
------------------------------------------------------------
私あてのメールのあて先は、
why@kenji.ne.jp
私のホームページ(「安心!?食べ物情報」)は
http://www.kenji.ne.jp/food/ です。
バックナンバーもすべて、このページで読めます。
【まぐまぐ】
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を
利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ )
マガジンIDは21668です。
このメールマガジンの登録や解除は
http://www.kenji.ne.jp/food/food2.html へ。
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/