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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
-------------------------------------102号--2001.10.21------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「放射線」「アルミ・キトサン・食物繊維(Q&A)」「狂牛病」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 最近、読んだ本で、放射線に関する情報がありましたので、紹介
します。ネタ本は

「放射線と健康」舘野之男 著 岩波新書

です。ここに、妊娠中の放射線の危険性についての記述があります。
今までの常識?とはかけはなれた内容なので、ちょっとびっくりし
ました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 しかし、まもなく、奇形児が生まれるには、被爆する時期が大き
く関係すること。しかも、胎児の成長段階を、着床前期0〜8日、
主要器官形成期9〜60日、胎児期60日〜 270日に分けると、奇形に
なるのは主要器官形成期の被爆であることがわかった。ベルゴニー
−トリボンドーの法則から「理論的に」考えたのと全く違って、10
日規則がもっとも保護しようとした着床前期には奇形にならないの
である。現在の知識でいえば、胚をつくっているこの時期の細胞は
万能細胞ともいわれるようにきわめて融通性が高い。(略)したが
って胚は障害をもったま育つということはない。

(略)

 つまり、従来いわれてきた着床前期はもちろんのこと、主要器官
形成期に入ってもはじめの頃は奇形にならない。第4週から第7週
までの被爆で問題になるのは奇形、8〜15週の間なら精神発達遅れ
である。

(略)

 しきい値についてはICRP1990年勧告は、次の数字を採用している。
奇形で 100ミリグレイ、精神発達遅れで100〜200ミリグレイ。これ
は国連の数字の2.5分の1に当たる。それだけ安全を見込んだのだろ
う。

 このことを念頭に置いて、もう一度、(略)各種X線検査時の胎
児線量を見ていただきたい。胃のバリウム検査でも、0.1から2.3ミ
リグレイ、平均 1.5ミリグレイ、答はいわずもがなであろう。(略)

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この本は1974年に同じ岩波新書で発行された「放射線と人間」と
いう本を書き直したものですが、内容は全然違ってしまっています。

 この30年ほどの間の研究の成果では、こういうことになっている
のです。私も古い情報を信用していたくちなので、何だか騙されて
いたような気分です。

 最新とは言いませんが、現在、国際的に合意されている放射線の
リスクは、このようなもののようです。この本には他に、「少量の
放射線被爆は寿命を伸ばす効果がある」という話もあります。

 これも、「理論的な」話ではなく、実際の調査でそういう結果が
出ている、というのです。「理論的な」話が巷にあふれていますが、
実際に調査してみると…ということは、よくあるのですね。

 今回のQ&Aに出てくる「食物繊維と大腸ガン」という話も、そ
んな一つです。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.アルミのお鍋、パン型などを使い続けるとよくない(痴呆症の
原因になる事があるなど等)と聞きましたが本当でしょうか。

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A.これはステンレスの鍋(うんと高いもの)を売っている人がよ
く言うものですね。

 だからというわけではありませんが、それほど信用できる話では
ないと思います。

 こういう話が出てくるのは、アルツハイマー症の患者の脳を解剖
してみると、アルミニウムの蓄積が認められる、ということがあり
ます。

 これは本当の話のようですが、だからといって、アルミニウムが
アルツハイマー症の原因、と決まるわけではありません。

 どちらかというと、これは原因ではなく、結果だと思われていま
す。世界中でアルツハイマーの原因を研究している人がたくさんい
ますが、アルミニウムを疑っている人はほとんどいないようです。

 この件に関して、詳しい情報は、以下のページにありますので、
ごらんください。

「アルミニウムマニア」
http://www.ne.jp/asahi/aluminium/mania/

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Q.健康食品「キトサン」の効用についてお聞きしたいです。免疫
力を高めたり、体内の有害物質を吸着排泄するなどの機能性食品と
聞きましが・・・。

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A.日本食品機能研究会
http://www.jafra.gr.jp/index1.htm

のページに情報があります。それによると、
--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

キチン・キトサンはカニやエビの甲羅などから抽出される成分です。
甲殻にはキチン、炭酸カルシウム、タンパク質などの成分が含まれ
ますが、キトサンについては、一般的に希塩酸でカルシウムを除去
し、苛性ソーダでタンパク質を除去し、さらに脱アセチル化を行な
うといった化学的処理で造り出されます。

キチン・キトサンの有用性については、
1)血圧、コレステロールの調整、
2)免疫力の向上、
3)食物繊維としての働きで、腸内有用菌を増殖、
4)自律神経の調節-などがこれまでに確認されています。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

ということです。機能性食品として認められているもののようです
ね。化学物質としては、「キトサンは、D-グルコサミンが、5000以
上 1-4結合した物質であり、かにやえびの甲羅に含まれるキチンを
アルカリ処理して得られたものである。」

 有効性については、いろいろと報告があるようです。薬品ではあ
りませんので、あまり効果を期待してはいけないのでしょうが、全
く効かない、というわけでもないと思います。

 ただ、どのような症状の人が、どのように取ればよいのか、など
ということに関しては難しいところがあるかも知れません。

 あとは趣味の話になりますが、試してみて、気に入ったら使って
みる分には問題ないと思います。(値段にもよるのでしょうが)

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Q.Q.103に対して「食物繊維は大腸ガンを防ぐ、とよくいわれて
いましたが、最近、大規模な実験をおこなった結果、有効だという
結果は出なかった、ということです。」とのお答えがあったのです
が、大規模な実験について、どう言う団体がどのような調査をした
のか、詳しく教えてください。よろしくお願いします。

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A.大分前に新聞で読んだニュースです。改めて検索してみると、
以下のところに情報がありました。たぶんニュースソースとしては
英語のサイトがあるのでしょうが、そちらは理解不可能ということ
で…。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 大腸がんを予防する効果があると考えられていた食物繊維につい
て、実際にはまったく予防効果がないことを示す研究が、二十日付
の米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに
掲載された。研究をまとめたのは米ウェークフォレスト大など二グ
ループ。同大のロバート・クーパー教授は「大腸がんの予防戦略を
見直す必要がある」と指摘している。

 同大のグループは、大腸がんの前兆といえるポリープを切除した
患者を対象に、果物など食物繊維をたくさんとる食事療法を行い再
発防止を試みた。ところが、四年後に効果を調べたところ、食物繊
維を多くとった患者九百五十八人の三九・七%にポリープが再発。
比較のために通常の食事を続けてもらった患者の再発率(三九・五
%)と差がなかった。

 別に調査を実施したアリゾナがんセンターのグループも患者千三
百三人を対象に、同様の食事療法を行い、やはり「予防効果なし」
との結論をまとめた。食物繊維の大腸がん予防効果は昨年、約八万
九千人を対象に食事内容を調べた疫学調査でも否定されており、今
回の研究も含め予防効果がないことがほぼはっきりした。

ホスピスを考える横浜市民の会
http://www5.airnet.ne.jp/shimin/sub121-2000.htm
(共同通信健康ニュース 2000-4-20)
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 私の記憶では、この実験は食物繊維が大腸ガンを予防する、とい
うことを立証するために行われたのですが、逆の結果が出てしまい、
落胆している、とのコメントでした。

 この結果は、食物繊維の効果全体を否定しているのではなく、あ
くまで、「大腸ガンを予防する」ということが単なる思い込みであ
った、ということを示しています。けれどもインターネットの中で
は、相変わらず「食物繊維は大腸ガンを予防する」情報ばかりがあ
ふれています。

 だまされて食物繊維をとるようになれば、それはそれで良いこと
なので、別に害はないんでしょうが、事実に関する情報が広まらな
いのはやっぱり問題かと思います。

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--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「狂牛病」
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 先週は時間がなくて、1日早く発信してしまいました。それで今
回は続報ということになります。

 東京での狂牛病騒ぎですが、その検査方法についての違いをまと
めてみました。

エライザ法:最初に陽性が出たやり方。一般にこの方法は抗体を使
用して、その反応を見ます。一番の問題は、プリオンというたんぱ
く質はとの動物でも持っていますので、そのまま試験すれば、すべ
て陽性になってしまう、ということです。

 そこで、正常プリオンは分解し、異常プリオンだけがのこった状
態を作り、異常プリオンを検出する、ということになります。この
正常プリオンをきちんと分解できないと、狂牛病ではない牛も陽性
反応がでてしまうわけです。

 高感度な方法、と一部で報道されましたが、感度が高いわけでは
なく、間違いが多く発生する方法だと思ってください。

 私は鶏のサルモネラ検査のとき、このエライザ法の検査を見せて
もらいましたが、この時も問題のサルモネラ・エンティリティディ
ス(S.E.)だけではなく、他のサルモネラ属(無害なものも多い)
の細菌にも反応するので、ときどき陽性反応が出てしまうようでし
た。

 スクリーニングの方法としては、悪くはないのですが、これで陽
性になって、はじめて本当の検査がはじまる、と思った方がよいと
思います。この段階で騒いでも仕方ない、ということです。

ウェスタンブロット法:これも抗体反応を見るところでは、基本的
に同じ方法です。違いは、正常プリオンを分解した後、クロマトグ
ラフィーにかけて、異常プリオンと思われる部分に対して抗体反応
を見る、ということです。手順は複雑になりますが、正常プリオン
に反応してしまう可能性がうんと低くなります。

 東京での騒ぎは、この方法で狂牛病ではない、と確認されたわけ
です。ヨーロッパの検査でも、こちらを使うのが普通だということ
です。

 問題は、最初の千葉のとき、エライザ法で陽性になったのに、ウ
ェスタンブロット法では陽性にならなかった、ということです。最
も正確な病理診断で狂牛病と確定したわけですから、この方法に疑
問を持つのは当然、ということになります。

 この方法を開発した会社の意見では、どうもこのとき、やり方が
まずかった、ということが原因のようです。

 全頭検査では、投入する労力も膨大になり、専門的すぎる方法で
はうまく機能しないことが考えられますので、日本の全頭検査はエ
ライザ法を使うことになっています。

 信頼性の低い方法ですが、誤って狂牛病と判断することはあって
も、狂牛病を見逃してしまう可能性はほとんどないので、一次検査
としては理解できると思います。

 さて、この一次検査の結果を公表するべきかどうか、で揉めてい
ます。一部自治体は公表する、としていますが、政府からは公表し
ないよう、圧力がかかっている、という報道もあります。

 私はもちろん、情報は全部公開すべきだ、という意見です。ただ
し、この方法の問題点がちゃんと理解されていないようなので、し
ばらくは報道の方で問題が発生すると思います。

 まあ、現実には、日常的に一次検査でひっかかる牛は出てきます
ので、だんだんと扱いが小さくなり、だれも注目しないようになる
と思いますが、結果は同じであっても、隠されているか、公表され
ているが誰も注目しないか、では大違いです。

 そこから見えてくるものがあるかもしれないからです。

 18日から全頭検査がはじまりました。私はそれよりも全部の生
きている牛について、抜き取りで精密検査をした方が、よっぽど実
態がわかる、と思っていますが、とりあえず、対応策としてはこう
いう体制が作られてよかったと思っています。

 私の地元和歌山では、初日から、検査した牛全部が陽性になって
しまいました。あとで報道されたことによると、正常プリオンを分
解する作業で、保持する温度と時間を間違えた、ということです。

 37度で10分間、という条件ですが、検体を入れてからスイッチを
入れ、10分たって出した、というのです。これでは最初の数分は37
度に達していませんので、当然ながら陽性反応が出ます。

 まあ、しばらくはこうしたこともあるのでしょうが、全国のと畜
場で検査にあたっている人にはがんばってほしいものです。ご苦労
さま。

 また、首都圏の某病院で、新型ヤコブ病かもしれない患者が入院
中とか。ヤコブ病自体は珍しい病気ですが、まれに単独で発生しま
す。今年も数人の方がすでになくなっています。

 ヤコブ病には、家族性(遺伝するらしい)、孤発性(原因は不明)、
新型(狂牛病との関連が指摘されている)という種類があります。

 孤発性のものでも、その人の脳組織を食べたり、移植したりする
と、確実に他の人に移ります。そういう意味で、狂牛病と本質的に
は同じ病気なのですが、新型はその他のヤコブ病とは共通せず、狂
牛病と共通するいくつかの特徴を持っている、ということです。

 件の患者は、その症状から、単なるヤコブ病ではなく、この新型
ではないか、と疑われているらしいです。新型だとすると、当然で
すが、狂牛病との関連が問題になってきます。

 今のところ、これ以上のことはわかりません。私は以前から、食
べ物以外の感染ルートについても気になっているのですが、その辺
も含め、今後に注目、というとところです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 現在の牛の流通在庫は、政府が買い上げる方向になりそうです。
1万トンともいわれるこの牛肉を、どうするのでしょうか。案外、
ドイツと同じく、北朝鮮に送る、などということになったりして。

 農水省は一度、政府管理米破綻の危機を北朝鮮のあかげで免れて
います。今度もそうなる可能性はかなり高いです。「全頭検査・在
庫買上げ・北朝鮮行き」となれば、これはドイツと同じですね。

 環境問題に関心の高い人は、ドイツ好きが多いので、ご同慶の到
りですが、私は前にも書きましたが、あまりに上品さに欠ける、と
思います。

 ほって置けば、古米の民間在庫と同じで、徐々に新しいものに混
じって売られて行きそうなので、何らかの処置は必要なのでしょう
が、自国の恥を経済的に困っている他国に押しつける、というのは、
何度も言いますが私は感心しません。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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