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2006/10/15
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食べ物情報(10)その他の話題

放射性照射


2006/10/15

 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 こんにちは、いつも楽しく読ませていただいています。さて、件名にも書いたように、放射線照射について、婦人の友社から出ている、「婦人の友10月号」で136p「不必要な進歩にブレーキを」のページをよみ初めて知ったものです。

 なんだかレントゲンの回数だって、気にしている人も多いだろうに食品に当てて果たしてなんか得するんでしょうねー不気味だなというのが、一番の印象です。

 そこへ、10月4日の読売新聞で、食品照射 適応拡大をと言う記事が、二面にのり、???っと思ってしまいました。

 これも、婦人の友と同じく、香辛料消毒を想定とかいています。原子力委員会が、厚生労働省へ、要望という記事なんですが。。。

 いつも分かりやすく食品について教えていただいていますので、この放射線の照射についても、お教えいただきたいとメールしました。

 ちなみに婦人の友は、毎月不必要な進歩にブレーキをがあり、面白くそして勉強になっています。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「不必要な進歩」というのは一見もっともらしい言葉ですが、何を「不必要」とするかというのは案外微妙なものです。「誰にとって」不必要かということが隠されているのですね。

 昔の話ですが、「石けん運動」の会合で、東京から地方に集まった奥様方の中から、こんな発言がありました。「私たちのところでは下水道が完全に普及しているから問題ないのだけれど、下水道も普及していない漁村では必ず石けんを使うようにしてほしい。」

 私は何だか厭な気がしました。放射線照射の話を聞いて、やはり同じような感想を持つのです。「婦人の友」を読むような、恵まれた環境にある日本人の主婦には不必要であっても、世界中でそうとは限らないのではないか?ということを考えてみてほしいと思います。

 「不必要な進歩」を問題にする姿勢そのものは正しいと思います。しかし問題にすべきなのは恵まれた環境にある自分たちの生き方そのものであって、自分たちの生活スタイルはそのままで、自分たちには必要がない技術のことを問題にするというのは情けないことです。

 確かに、放射線照射は彼女たちには不必要な技術です。それはわかります。賞味期限が過ぎればまだ食べられる食品を捨ててしまうような生活にとっては、本当に意味はないですから。

 また、ニンニクの話のときに出てきましたように、中国産は放射線照射を使っていても、国産のニンニクはそれ以外の方法で、いろいろと芽が出ない努力をして出荷されています。そういう努力を、誰かが知らないうちにしてくれているわけですから、「不必要な」と思われることもたくさんできてくるわけです。

 本題に入って、放射線照射についてのニュースです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 放射線:香辛料への照射検討を 原子力委が報告書

 政府の原子力委員会は3日、殺菌などのため、香辛料への放射線照射を検討すべきだと主張する報告書を正式にまとめた。実際に照射が認められる前には、食品衛生法などに基づき、厚生労働省が食品安全委員会の意見を聞いて、照射された食品の安全性を調べることになる。

 報告書は、食品への放射線照射を「食品衛生の確保などに有効な技術」と位置づけた。その上で特に香辛料への照射について「諸外国で実績があり、わが国で(実施の)要請がある」とし、「実用化の意義は高く検討・評価が行われることが妥当だ」と主張している。

 この問題では、業界団体「全日本スパイス協会」(東京都千代田区)が照射の実現を要望。一方で消費者団体からは反対の声が出ている。

毎日新聞 2006年10月3日 11時53分

http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20061003k0000e040059000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 香辛料に放射線照射を使うというのは、以下のような理由のようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 食品照射は、わが国ばかりでなく世界各国で盛んに実用化研究が行われ、1980年代に入ってから開始する国が急に増え、現在食品照射を許可している国は35ヶ国以上となっています。そして20ヶ国でなんらかの食品照射が実用化されており、照射食品は年間約60万トンになるとされています。

 食品照射の対象となる食品については、実に様々なものがありますが、その主たるものについてみると次のような利用例があります。

●香辛料

 一般にペッパーやカレー粉は細菌胞子による汚染がはげしく、加熱しても死滅されにくく、添加した食品の腐敗を招きやすいのです。放射線照射による殺菌は、加熱やガス殺菌法などに比べて品質に及ぼす影響が小さいので、香辛料の殺菌法として最も優れているといわれています。

http://www.wellba.com/wellness/food/contents/991115/index.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 香辛料は普通乾燥した状態で流通しています。このため細菌の胞子を含んでいても、そのままでは問題になりません。しかしこの胞子を含む香辛料を食品に使用したとき、食品を加熱殺菌しても胞子が生き残って、腐敗や食中毒の原因になる可能性があります。

 このため、効率よく殺菌できる放射線照射を使用したいということのようです。

 放射線照射は安全な技術かというと、とても危険な技術だと思います。

 放射線はコバルト60という放射性同位元素を使って得るわけですが、これは極めて危険な物質です。ある程度の量を持って歩けば間違いなく死にます。

 だから当然、専門の施設が必要になり、手軽にどこでも使える食品添加物とは全く違った性質の技術です。業界団体や大企業だけがそういう施設をつくり、運用することが可能だからです。

 民主主義的な観点からは、誰でも使える食品添加物の方が、よりよいと考えることができます。独占にならざるを得ない放射性照射技術は、あくまで限定して使用されるべきもので、あまり無制限に広まってしまうのは公正な競争の観点からは望ましくないと思います。

 たとえば、ある大メーカーが放射性照射設備を作り、自社の製品にその技術を使ったとします。そのメーカーは他社に比べて、圧倒的に賞味期限が長く、保存性のよい食品を出荷することができます。しかしその他のメーカーは施設を作るコストを負担できないので、競争に負けてしまうことになります。これは相対的な資本力の差が絶対的な競争力の差になってしまうということですから、公正な競争ではなくなるということです。

 こういう放射性照射の使い方は禁止しておいてほしいものです。

 放射性照射を行うことは危険をともなう技術ですが、放射性照射を受けた食品が危険ということとは違います。

 ここで使われる放射線はガンマー線と呼ばれるものです。これはレントゲンに使われるX線より、さらに波長の短い電磁波です。あらゆる物質の内部まで浸透し、生物にとっては遺伝子を傷つけたりする、致命的なものです。

 しかし電磁波には違いありませんから、通りすぎたときに影響は被っても、食品内部に残留したりすることはありません。

 ごく大量の放射線を浴びせると、それを受けた物質が核変化をおこして、放射能を持つようになる可能性はないことはないのでしょうが、そんな大量に使うことはありません。

 放射性照射を受けた食品には、特有の分解生成物として、「2−アルキルシクロブタノン類」が含まれていて、放射性照射を受けたかどうかを見分けることは可能なのだそうです。安全性の評価に関しては問題となる量ではないということですが。

 全体としての放射性照射の安全性評価は以下のようなところです。長いですが、放射性照射の全体像をみるために引用しておきます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 食品照射とは電離性放射線により生鮮野菜などの発芽を抑制したり害虫や微生物を殺滅することにより、食品の貯蔵期間を延長したり衛生化する技術である。食品照射技術の特徴は、(1)照射による熱の発生が少なく、温度上昇がたかだか数℃である、(2)放射線、ことにガンマ線やX線は透過力が強く、冷凍食品や包装済みの食品でも内部まで均一に処理できる、(3)放射線は薬剤のように残留しない、(4)栄養成分の低減が少ない、(5)連続的に大量処理が可能である、などである。

1.食品照射の原理と生物効果

 食品照射に用いられる電離性放射線は電子線、X線、ガンマ線であり、放射能生成がないエネルギーに限られている。電離性放射線はイオン化作用により照射対象物中に活性種(フリーラジカルまたは遊離基ともいう)を生成する。活性種は化学反応を起こしやすいが、水が存在すると千分の1秒以内に消滅してしまう。食品や生物には水が含まれているため、主要な生物効果は水が分解して生じる活性酸素による遺伝子(DNA)の酸化切断反応によるものである。活性酸素は生体内の新陳代謝や脂質の酸化分解時にも生成するが、放射線では活性酸素発生量が著しく多いのが特徴であるが、その寿命は著しく短く照射後に残留することはあり得ない。放射線により生成した活性酸素はDNAに損傷を与え、これにより生鮮野菜の発芽を抑制したり、殺虫、殺菌効果をもたらす。しかし、DNAの損傷は紫外線や薬剤でも起こっており、放射線だけの特有の現象ではない。

2.食品照射の応用分野

 食品への応用分野は低線量、中線量、高線量処理に大きく分類することができる。低線量処理は0.02〜1kGyで、生鮮野菜などの発芽抑制とか果実や穀類の殺虫、肉類の寄生虫殺滅などを目的としており、照射コストも薬剤処理と同程度である。中線量処理は1〜10kGyで、主に畜産製品や魚介類、香辛料、乾燥野菜などの殺菌を目的としている。中線量ではサルモネラや病原大腸菌O−157など食中毒菌の殺菌とか腐敗菌の殺菌を主に考えている。高線量処理は20〜75kGyで、完全殺菌を目的としており、ハムやベーコン、宇宙食、免疫不全患者食の完全殺菌が有望とされている。

3.照射食品の健全性と栄養適性

 照射食品が人間の健康に及ぼす影響については、安全性よりも広い概念の健全性が検討されている。健全性とは毒性学的安全性、微生物学的安全性、栄養適性の3項目を総合した概念である。照射食品の健全性を確認するためには、(1)誘導放射能の生成の有無、(2)毒性物質生成の有無、(3)発癌性物質生成の有無、(4)栄養価の破壊の程度、(5)子孫に及ぼす影響の検討、(6)生残微生物の有害性の有無、の検討が必要とされている。しかし、動物を使った毒性学的安全性評価は、丸ごとの食品を用いるため栄養バランスの乱れが生じやすく、データに誤差が生じやすいという問題点がある。このため、放射線による食品成分の分解生成物分析や遺伝毒性学的評価も含め照射食品の安全性が確認されてきた。照射食品の健全性評価は国際的な協力が必要であり、1961年以降からFAO(国連食料農業機関)、IAEA(国際原子力機関)、WHO(世界保健機関)による評価活動が行われてきた。健全性評価の主な項目については以下のように要約できる。

(1)動物などを使った毒性評価

 国際プロジェクトなどで多くの動物試験が行われ、長期飼育試験(慢性毒性試験)、3世代飼育試験、催奇形性試験、遺伝毒性試験(変異源性試験や染色体異常試験、優性致死試験など)の各試験で安全性に問題がないという結論が得られている。

(2)放射線分解生成物による評価

 食品成分の放射線化学的反応は基本的に酸化分解反応であり、放射線による多くの分解生成物は非照射食品中にも含まれている。食品成分の中でも脂質は加熱処理と同様に放射線でも分解しやすいが、180℃の加熱調理の方が分解生成物の量が多いことが報告されている。放射線特有の分解生成物としては2−アルキルシクロブタノン類が検出されているが、その生成量は極微量であり、エームス試験で変異原性がないことが報告されている。

(3)栄養学的適性

 一般に食品を加工したり調理すると栄養成分がいくらか損失するが、放射線照射の場合、栄養価の変化は主として線量と関係があり、食品の成分組成、温度、酸素の有無などの要因も栄養価の損失に影響を及ぼす。1kGy以下の低線量の放射線を照射した食品における栄養価の損失はほとんど問題にならない。1〜10kGyの中線量照射する場合には、ある種の栄養成分の損失が起こる。特に、栄養学的に重要なものはビタミンである。ビタミンB2、葉酸、ビタミンDのようなビタミンは放射線に対して比較的安定であるが、ビタミンA、B1、C、E、K、ビオチンのようなビタミンは、放射線照射により分解されやすい。しかし、これらの栄養成分の分解は加熱や酸化によっても起こることが多く、放射線の場合では脱酸素包装や凍結、乾燥下での照射により分解は著しく抑制され、この場合の各種ビタミン含量は非照射品とほとんど差が認められない。さらに、完全殺菌を目的とする高線量照射の場合でも凍結下または乾燥下ではビタミン類の分解はほとんど問題にならない。

(4)微生物学的安全性

 食品を照射すると、食品の微生物相が変化したり(例:腐敗菌が死滅して病原菌だけが生残するかどうか)、微生物の毒素産生能が増加したり(例:アフラトキシン産生能が上昇するかどうか)、食品の加工や人間の免疫力では制御できない病原性微生物や巨大細胞を有する微生物が突然変異により生じて、人間の健康が害されるといった可能性について研究しておく必要がある。これまでに数多くの研究が実施されてきており、その結果、このような心配のないことが明らかにされている。

http://sta-atm.jst.go.jp:8080/08030201_1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「不必要な」技術であることは間違いありませんが、食品の安全性ということについては問題ないという理解でよいと思います。

 さて、この技術を使って食品を配布すれば、より効果的に飢えに苦しむ人たちを救うことができる、と言われたとき、どう考えるべきなのでしょうか。

 「不必要な進歩」に反対する人たちにはぜひ答えてもらいたいものだと思います。

 飢えに苦しむ人たちには使ってもよいが、豊かな暮らしをおくっている私たちには不必要だと、言われるのでしょうかね。


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