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2002/02/03
2002/02/17
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食べ物情報(10)その他の話題

無洗米

いただいたメールを発端にしています。


2002/02/03

 今回はすごく長文のメールをいただきました。あまり長いので、 少し略して掲載します。「無洗米」についてです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 最近、水環境改善のために、無洗米使用をすすめる自治体などが 出ております。しかし、私は、米屋で 無洗米のうそを調査中で、 是非 お知らせしたく メールさせていただきます。

 ご参考にしていただければと思います。

 無洗米は、CMスポンサーということでもあり、マスコミは悪口 は言いませんが、業界裏では正直良い評判ではありません。なかば うそをついての商売ということです。

 私は、無洗米につき、調べれば調べるほど不信感を抱いておりま す。業界に生かされている者としてこれでよいのかという思いです。

 昔は、もっと精米の悪い(精白度の低い)お米をもっとたくさん 食べていました。そして、ほとんどの台所排水は、今のような下水 処理をされないまま、河川に入っていきました。そのとき、河川汚 染はあったのでしょうか?この本源的質問を回避して、現在の下水 道全体の問題をお米の研ぎ汁に集中させて一般消費者に一面的な情 報を提供することになってはいないかと、お米に携わるものとして 考えております。

 以下は、あるHPからの引用です。

引用開始

 台所排水の汚染原因として油同様、もしくはそれ以上に注意が必 要なのが、米のとぎ汁である。米のとぎ汁は栄養価が高く、BOD やリンなどの含まれる量がかなり多い。BODについては下水処理 の対策がすすめられている一方、リンや窒素の除去は現在の下水処 理技術では困難であるため、一旦下水道に流れると、川や湖、海に まで流れ、富栄養化を導き、プランクトンの大量発生の原因となる。  無洗米は、ぬかを精米段階で除去することで、家庭で米を磨ぐ必 要をなくした製品である。除去されたぬかは、肥料や飼料として利 用されている。

引用終了

 多くのHPや掲示板で、「全国無洗米協会」などのPRを参考に して上記のような形で無洗米について書かれております。しかし、 私はこの協会やそれを支える東洋精米機、そして無洗米には、色々 と問題があると思っております。

 無洗米については、以下のような利点があげられています。
1)環境に良い 
2)美味しい 
3)浸漬時間が不要
  4)ヌカの有効理由 

 さて、これは本当なのでしょうか?

1.環境に良い:生活排水と台所排水の意味の違い

 とぎ汁は環境汚染の最大原因であることが、環境に優しいという 根拠のようです。しかし、広域下水道が整備されているところでは、 河川汚染(特に赤潮・青潮)の原因である栄養塩類(窒素・リン) の最大排出源はトイレ・洗濯です(窒素で80%、リンで60%)。

 テレビや雑誌での説明では、生活排水と台所排水という二つの言 葉の使い分けに気をつける必要があります。生活排水が河川汚染の 約70%を占めていますが、生活排水は台所・トイレ・洗濯・風呂 の4部門の集合です。これを説明せずに、意図的に、生活排水から 話をはじめ、途中から、台所排水に話を変える、というやり方で視 聴者は騙されてしまいます。

 また、下水が敷設されたところでは、窒素・リンを除去する高度 処理が導入されつつあります。

 さらに、米ヌカが下水処理に都合が良いとの研究もあります。

http://www1.ttcn.ne.jp/~kankyo/lab/t1_2.htm

骨子を引用すると

 米ぬかを下水処理時に添加すると、活性汚泥(汚水処理する生物) を活性化し、結果として排水中のBOD、CODを下げる効果がある。全 窒素並びに全リンも米ぬかの添加による影響は見られない。
「無洗米と普通米のLCA比較」においては、「米の研ぎ汁が環境 負荷がある」といった前提のもとに計算されていますが、その仮定 が揺らぐ可能性があります。

以上

 無洗米が環境に良いというふれこみは、本来、水質を言うなら森 林・河川・湖沼・上水・下水・農業用水全体の体系で考えるべきと ころを、米の砥ぎ汁をスケープゴートにしてミクロの問題を急所の ように見せ、一方、利便性だけで購入することにためらいを感じる 消費者への免罪符とする巧みな理論です。

 広域下水道の地区に限って話をしてきましたが、行政によっては、 下水整備率が低いことを理由に、生活雑排水の環境負荷を少なくす るために無洗米が必要だというロジックを見うけます。

 しかし、むしろ、広域下水道がないので、土を生かした浄化を取 り戻す可能性が残っていますので、広域下水道がひかれてしまって、 その中途半端な施設を使用せざるをえない都市部より恵まれている はずです。石井式などの合併浄化槽の設置や三面コンクリートの水 路の見なおしなど、いくらでもやるべきこと、出来ることはありま す。

(略)

2.美味しい・栄養がある

 ヌカを取り去り、うまみのもとである部分(アリューロン層=白 米とヌカ層の境目でビタミン等を含んでいる)をきれいに残してあ る。このために、無洗米はより美味しくなる、というふれこみです。

 しかし、「アリューロン層」がうまみのもとだという概念自体、 東洋精米機の持論です。我田引水ということです。だいたい、アリ ューロン層では、玄米や胚芽米がおいしいことは証明できません。

 また、米の表面のビタミンが残るので栄養が高い、とも言ってい ますが、それが本当だとしても、その差は本来精米で失われる量と 比べれば小さいものです。精米で失われる栄養素は他にもあります から、本当に栄養を取りたいなら、胚芽米か強化米を取ればいいは ずです。これなども、「差」の程度がわからない消費者を誘導する 話です。実際のデータについては、下記をご参照下さい。

 そして、私の知るかぎり、米屋でおいしいと言ったところはあり ません。「すかすかで、お米の味がしない。お米の旨み・甘味を感 じない。」という意見が多数を占めましたが、「売れりゃそれでい い。どうせ、消費者の舌はどうにかなってしまっている。」と無洗 米を販売しています。

 残念ながら、現在の米販売は不正流通がまかりとおっています。 消費者も、まともに比較できるような状況ではありません。

 炊いている時の湯気の香りがしないお米を美味しいと思う消費者 をこれから作っていくのでないか、と思うと残念な気持ちになりま す。

3.浸漬時間が不要

 余計なヌカがないので、水をすぐに吸収する、ということです。 これは悪いことではないのですが、問題は無洗米設備には「水が引 いてある」ということです。

 機械メーカーは、「ヌカを顆粒状にするために水を使う」と説明 しております。無洗米の特徴は、ヌカを粘土状にしてヌカを取る、 ことですが、粉体のヌカはそのままでは粘土にはなりません。

 そのために米に水を吹きかけるか、ヌカに水分を与えるか、しな ければなりません。結局、米に付いた水分を調節します。この過程 で、お米の旨みがなくなってしまいます。

 東洋は、肌ぬか(米の一番内側のぬか)は粘着性が高く、水は不 要と説明しているようです。

 最近、わかったことですが、東洋精米機のプラントには灯油も使 うそうです。何に使っているかはわかりません。

4.ヌカの有効利用

 今まで、家庭から排水されていたヌカは、無洗米工場では農家や 園芸に引っ張りだこ、と言われています。しかし、今までもお米の 重量の約10%にあたるヌカは、主にサラダ油を作るために油脂工 場に引き取られていました。

 一方で、とぎ汁の中のヌカは、ヌカの総量からすればわずかな量 です。ほとんどはすでにリサイクルされていたわけです。

 困ったことに無洗米工場から出る顆粒状のヌカは、油脂工場が引 き取りません。処理に困った無洗米ヌカが飼料・肥料に使えないか、 検討しているそうです。しかし、発酵していないヌカはそのままで は田畑にはまけず、厳密な栄養計算をしている飼料でも需要は限ら れています(鶏卵の場合、総えさの2%)。

(略)

 このように、無洗米の利点については、かなり疑問があります。

 逆に、無洗米には問題があります。

1.災害に強い町作りへの影響:

 神戸の震災で、「災害に強い町作り」が提唱されています。もし、 無洗米が一般的になると?無洗米設備は、これまでの精米設備に比 べると非常に高額です。一部の大手精米業者だけが買うことが出来 ます。この傾向が進むと、卸も小売も在庫を持つ必要がなくなりま す。現在、地方の大型精米工場への精米委託が増えております。

 経営者としては、在庫の資金やスペースを心配する必要がないの はありがたいことですが、いざ災害が起こった時はどうなるでしょ うか?現在、府中市の米穀小売商組合は、市と契約を結び、災害時 の協力店舗となっています。

 玄米在庫が市内にない状態では、全く協力することが出来ません。 また、お米を研ぐという技術を忘れてしまった状態では、無洗米し か使用できません。

 技術・設備・品物を分散化させておくことこそが災害対策である にもかかわらずに、全く反対の方向に進んでしまいます。

2.環境悪化の懸念:

 東洋の無洗米設備は中身が分からなくなっていて、品種を変える と設定を変えなければならず、また設備が高額なために、一つの工 場で多数品種を取り扱うことは難しいので、あらゆる品種を無洗米 にしようとすると、配達ルートが多様化・少量化します。小売は複 数卸と付き合い、卸は複数工場と付き合う。すると、どうなるでし ょうか?非常に少量商品が流通するために、今までより多くのトラ ックが行き来します。すなわち、東京都などで問題になっている排 気ガス規制に逆行します。

(略)

2.東洋精米機のブラックボックス

 東洋はBG無洗米機を特許申請せずに、中身はブラックボックス です。フリージャーナリスト・舘澤貢次(『消費生活新報』3月1 5日号)さんの記事をご参照下さい。

http://www.j-rice.com/musenmai.htm

3.返品の処理

 ヌカ屋さんの話では、卸は大手量販店からの返品に困っているそ うです。普通のお米なら、機械に戻せばよかった(ブレンド?)の に、無洗米は戻せない。どのように処分しているのでしょうか?

 最新の話では、精米機に戻さずに直接 白米に混ぜているそうで す。

4.お米の栄養調査

 お米と卵の専門サイト 「直実」Naozane、というところ では、以下のように書かれています。これは、東洋精米機の提供デ ータのようです。他にも同じデータが書かれていますので。

http://www.naozane.co.jp/index.htm

http://www.naozane.co.jp/okome/musen.htm

引用

 とがずに炊くから、天然ビタミンそのまま!BG米は、天然のヌ カだけで天然ヌカを除去していますので、米肌にあるビタミンやナ イアシンなどの栄養成分が流出することはありません。つまり、従 来のお米より栄養価が高いと言えます。
成分分析比較データ BG精米方式のお米 従来精米方式のお米 強化米入り(武田薬品工業)
ナイアシン 0.47mg/100g 0.22mg/100g ( 4.50mg/100g )
ビタミンB1 0.04mg/100g 0.02mg/100g ( 0.87mg/100g )
ビタミンB2 0.01mg/100g 0.01mg/100g ( 0.06mg/100g )

引用終了

 さも無洗米が栄養豊富のように見えますが、実際に強化米入り (玄米並みの栄養)と比べると目糞鼻糞を比較していることがわか ります。なお、強化米入りデータは、武田薬品工業のパンフから私 が転記したものです。

 そして、実際のところ、精米の仕方で、比べられる「従来精米方 式」のお米はどのようにも栄養を操作できるのです。

(略)

以上、

 富山和子さんの言われる「水と緑と土」の循環を回復させたいと 思い本当にすばらしい水環境を取り戻すための啓蒙や運動が必要と 考え良心から無洗米を販売できない米屋のたわごとです。 ご参考になれば幸甚です。

 便利なことは間違いありませんので、消費者の方が無洗米を使う ことを批判しているのではありません。この点は、ご留意下さい。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------


2002/02/17

 無洗米というものについて、どうも情報の混乱があるようで、私 もちょっとよくわらなくなっていたので、整理してみます。

 まず、「無洗米」といっても、みんな同じものではない、という ことがあります。

 「無洗米協会」という団体があって、ホームページも持っていま す。

http://www.musenmai.com/

 ここは東洋精米機という会社のつくった、「BG無洗米」という ものを扱っている団体です。
(東洋精米機のホームページ)
http://www.toyoseimaiki.co.jp/

 無洗米には、他にもいろいろあって、

株式会社 サタケ
http://www.satake-japan.co.jp/

株式会社 クリキ
http://www.nnc.or.jp/~kuriki/

 といったところをネット上でみつけました。それぞれに特徴があ るようで、特許がらみの係争もあるようです。

(1)東洋精米機が以前に、水で洗うタイプの特許をとっていた。

(2)しかし、BG無洗米はこの特許とは違う技術で、特許の申請 をしていない。(技術は公開されていない。)

(3)サタケなどの無洗米機がこの特許に抵触している、というこ とで東洋精米機側が提訴している。

 というややこしい話で、しかも昨年、特許庁がこの特許を取り消 したとか、東洋精米機が勝訴したとか、サタケが逆提訴した、とか、 いろいろと大変なようです。

 さて、無洗米の主流は東洋精米機のBG無洗米ですが、これの特 徴は基本的に水を使わず、ヌカを湿らせたもので米の表面に残って いるヌカを吸着させて取り除く、というのが原理です。

 この結果、無洗米と吸着ヌカが残りますが、ヌカの方も肥料など に利用することを考えている、ということです。東京では生協など でよく利用され、シェアはだんだんと増えています。

 評価は一般的には高いようですが、前々回のいただいたメールで もありましたように、批判も強く出されています。

 まず、この機械は技術の内容をまったく公開せず、設置した装置 は東洋精米機からリモート回線を利用して遠隔操作している、とい う徹底ぶりです。

 新しい技術を知的財産として守るためには、有効な方法ではあり ますが、日本の企業がここまでやるのは珍しく、いろいろと反発も あるようです。

 また、特許係争の件からも、業界ではなにかと軋轢があるように 感じられます。

 サタケの方の無洗米も、最新のものは単に水で洗うのではなく、 タピオカ澱粉でヌカを吸着させる、というものになっているようで す。

 各地の大手精米業者では、次々とこうした装置を導入している状 況ですが、消費者にとってはどれも同じ「無洗米」としてしか認識 されていませんので、この辺に混乱があると私は思います。

 問題は「安全性」「おいしさ」「環境への影響」といったあたり ですの。

 まず、安全性については、別に問題はないと思います。保存性に ついても、白米はもともと保存性のよいものではありませんので、 無洗米にしてもたいして影響はないと思います。

 おいしさについては、美味しいという意見もあるようですが、私 はちょっと疑問があります。元の米にもよりますし、一概には言え ない、といったところです。

 環境への影響については、前々回のメールで詳しく書かれていま したが、この辺が争点になっています。私としては、無洗米は少な くとも環境負荷を増大させるものではない、と考えています。

 環境負荷をどれだけ低減させる効果があるのか、ということはよ くわからないので、積極的に環境によい、というのは躊躇します。 少なくとも家庭で米のとぎ汁を流すより、悪くはないだろう、とい うことです。

 私はもっと利便性を打ち出すべきだと思います。無洗米の一番の 利点は、やっぱり研がずに炊ける便利さだと思うのです。味や環境 負荷でマイナスではない以上、便利なものを選ぶのはあってもよい のではないでしょうか。

 やっぱり冬に米を研ぐのは、手が冷たいです。研がずに炊ける米 を選んでもよいのではないでしょうか。

 そういう意味で、私はコンビニで無洗米を1回分ずつ包装したも のが売られていて、家庭ではそれを直接炊飯器にかけて炊く、とい うスタイルを、近未来として予想しています。


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