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食べ物情報(10)その他の話題

以下は2000年7月2日の記事です。


【食中毒?事件】

 前回、HACCPの話を少し出したら、牛乳で食中毒事件がもち あがっています。

 というのは、大手メーカーの工場は、ほとんどこのHACCPの 考えに基づく衛生対策をとっているはずだからです。それなのに、 食中毒事件をおこし、その上事後の対策にまで批判が及んでいる、 というのは大事件と思います。

 まず事件についてですが、報道によると、「雪印の低脂肪乳」に より、広範囲に食中毒と思われる被害が出ているということです。 個別の被害は嘔吐、腹痛などで、致命的なものではないようです。 また、牛乳を飲んで3時間くらいしてから症状がでていますので、 毒物の混入、ということでもないと思います。

 ということで、食中毒事件、と判断されていますが、今のところ まだ原因が不明です。これだけ大量のサンプルがありながら、まだ どこのテストでも原因と思われるものが発見されていません。黄色 ブドウ球菌が疑われていますが、まだ決めつけるのは早すぎます。

【牛乳工場とHACCP】

 牛乳は必ず殺菌してから、販売されています。しかもその工場は だんだんと集中が進み、ちゃんとした設備の整った工場がほとんど になっています。

 そんな中、数年前から、大手のメーカーではHACCPの衛生基 準を確立し、厚生省に届け出ているはずです。これはHACCPの 導入を進めたかった厚生省にとって、最もコントロールしやすい業 界として、牛乳業界に強く要請がありましたので、例によって足並 みを揃えて導入したものです。

 しかし、このようなお上からの通達による導入がいかに魂のない ものかは、この事件を見ればわかります。HACCPの内容につい ては、別項に譲りますが、事後の対策を見れば、それはわかります。

 HACCPシステムにとって、事故(製品による健康被害)は常 に起こりうるものとして想定されます。これは衛生基準の徹底によ って、100%事故を防いでいこう、という従来の考えの対極にあ るものです。

 従って、事故が起こったときの対策は、HACCPシステムにと って、必須のものです。またこの対策は絶対的なもので、経営者の 思惑などで左右されることはあってはなりません。企業にとって、 致命的な事故であっても、企業の存続よりも消費者に健康被害を出 さないことを第一に運用されることが求められます。

【事後の対策】

 事故の第一報が入ったときの対策が遅かった、という批判ですが、 遅かったかどうかは単に時間的な問題ではありません。上記の対策 がマニュアル化されているはずなのに、それが自動的に発動せず、 上部の判断にゆだねられていたようなのが、何よりも問題です。

 経営者は当然、いろんな情報を集め、企業にとって最善の選択を する義務があります。判断するためにちょっと待ってほしい、とい うことは当然、あり得ることです。

 しかし、HACCPシステムは、そんな思惑とは別に、いつでも 必ず無条件に発動されなければ意味がありません。たとえそのため に会社が倒産しようとも、です。

 雪印乳業の事故対策マニュアルとしては、すみやかな製品の回収 と原因の究明、広く消費者に対しての警告の発信、などが定められ ていたはずです。

 HACCPに限らず、ISO9000シリーズや14000シリ ーズの認定を取得している企業が多くなっていますが、いずれも、 システムとして機能している限り、このような対策があらかじめ立 てられていて、事故があった場合、それが「無条件に」適用される ことになっているはずです。

 原則を決めておきながら、それがそのとおりに運用されていない、 いかにも日本的な現象です。この事件によって、日本ではHACC PやISOの基準を持っている、といっても実は信用できない、と いう印象を外国の関係者は持ったと思います。

【マスコミ報道】

 被害自体は大した事はありません。問題にすべきはこれまでに述 べたことのはずです。この事件でも、マスコミの勉強不足は明らか で、相変わらずのセンセーショナリズムに走っているのが現状です。

 私に言わせれば、このマスコミのセンセーショナリズムが企業の 対策を誤らせているのですが、この場合、罪はあくまで事故をおこ した企業の側にあります。でも、記者会見で鬼の首をとったように 追求している、マスコミ関係者も同罪というか、事件の本質を見誤 らせるために動いている、ということが言えます。

 私はテレビも新聞も、基本的に好きなのですが、最近のマスコミ 関係者の頽廃ぶりは、実に目を覆うものがあります。

【都合のよい商品】

 ところで、事件の報道の中で、被害者の中で、保育園でアイスク リームを作って食べた、というものがありました。低脂肪牛乳でア イスクリームを作るなんて、奇想天外です。かわった保育園もある ものだと感心しました。

 低脂肪牛乳というのは、要するに加工乳です。通常の加工乳では 脂肪分を補うために、無塩バターなどで脂肪分を補給するのですが、 脂肪を抜き取ったあとの牛乳を商品として売れる、というメーカー にとってはたいへん都合の良い商品です。

 都合が良い、といえばコーヒー牛乳やフルーツ牛乳といったもの も同様です。これらは売れ残った牛乳の処分先になっているのは、 公然の秘密です。

【今後の見通し】

 少し前、全酪乳業の工場で、洗浄のさいに出る牛乳を生産ライン に戻していた、というインチキ事件が発覚したことがあります。私 はこのような事件を起こした企業が存続できること自体、不思議だ と思っています。しかし日本では、お上の温情、というものがあっ て、普段からお上の意向に従順にしておけば、いざというときには お上の温情に縋れる、というよき伝統があります。

 今回もきっとそうなるでしょうが、私の意見は、このような事故 を起こし、自発的な対策もとれなかった以上、そのメーカーが現状 のままで生き延びることは許されない、というものです。

【ハムのO−157騒動】

 話は変わりますが、1週間ほど前、「ハムからO−157検出」 という事件があって、報道されましたが、あれは検査のミスだった ということが発覚しています。

 誤りを認めた埼玉県の姿勢は評価されますが、被害をうけた企業 側は100億円規模の賠償を求める、ということです。これは当然 の要求ですから、県は税金でもって、この金を払うことになるでし ょう。

 私もハムから大腸菌、というのは許せない話だと思っていたので すが、こんな被害をうけた企業が黙っていて良いはずがありません。

 県民は知事と県幹部の辞職、ミスを犯した検査機関の廃止と職員 の解雇を要求すべきでしょうね。数百億円の被害に対しては、それ くらいが当たり前です。


以下は2000年7月9日の記事です。


 大事件になってしまった、雪印食中毒事件についての続きです。 前回、つぎのように書きました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 今回の雪印乳業の事件では、

(1)加熱殺菌そのものに不備があった。

(2)加熱殺菌以前に加熱殺菌では取り除けない毒素の混入があっ た。

(3)加熱殺菌以後に細菌汚染または毒素の混入があった。

の3つの可能性が考えられます。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 わかったことは、このうちの(2)だったことです。牛乳から細 菌が検出できていないようなので、たぶんそうだろうと思っていま したが、黄色ぶどう球菌の毒素によるものと思って、間違いないよ うです。

 例によって、パイプを洗浄していなかった、などということが取 り沙汰されていますが、私の評価を書いておきます。

(1)事件の最大の原因は、HACCPの不適切な適応です。その 背景には、余った牛乳の処分、という経済的な問題があります。

(2)パイプの洗浄や現場の手抜き、といったことは、問題の本質 ではありません。

(3)今後、雪印の全社、さらには乳業界全体に余波が及ぶ可能性 があります。

 HACCPでは、「重要点管理」といって、たとえば殺菌工程の 前に半端な殺菌をしても意味がない、と考えます。従って、現場で は、殺菌工程の前の衛生管理は手抜きしていいと考えたと思います。

 しかしこれは誤解です。全般にわたる衛生管理の徹底は、HAC CPの前提条件です。手抜きして良い理由にはなりません。

 ただ、この事件でHACCPに適応していないのは、この部分で はありません。

A「殺菌後の牛乳を、殺菌前のタンクに戻した」

ということと、

B「HACCPのシステムに記載されていないパイプが存在した」

ということが最大の問題です。

 Aについてですが、これはとんでもないことです。絶対にしては いけない、というか、こんなことをしている工場がHACCPに適 合するはずはありません。だからHACCPの設計からわざと外し て、隠したのです。(理由は後で述べます。)

 取り外し可能な仮設パイプになっていたことが意識的に隠されて いたことを証明しています。おそらく、検査が入った時には、取り 外して隠していたことでしょう。

 今回の件で、HACCPの認証は取り消されるようですが、これ は当然のことです。大阪工場だけでなく、雪印全社で行われていた はずです。徹底的な調査が必要です。

 こういう意識的な犯罪行為(虚偽のHACCP申請)に対して、 受け付ける側が見破るのは難しかったと思います。一応の立ち入り 検査はしても、意識して虚偽申請しているのであれば、当然隠して しまうでしょうから。

 こんな場合、発覚後の処分になるのはある程度やむを得ないと思 います。そのペナルティは、その分、厳しくなるべきです。

 私は大阪工場の閉鎖だけでなく、雪印全社の商品に対して、永久 に安全性が保証できない、という宣言が必要と思っています。これ は社会的には企業の死を意味しますが、それだけの犯罪性がある、 ということです。

 ということで、雪印の商品を買うのはやめましょう。

 他の乳業メーカーは大丈夫なんでしょうか?

 トップメーカーである雪印で行われていた、ということで、殺菌 した牛乳を戻す、というのは業界で広く行われている可能性があり ます。以前、他の食品のときに、「トップメーカーの姿勢が業界全 体の品質レベルを左右する」といった意味のことを書いたと思いま す。牛乳業界はどうも根本的な問題を抱えているようです。

 まさか市乳(普通の、加工乳でない牛乳です。)に殺菌済牛乳を 使用している、ということはないと思いますが、加工乳(低脂肪牛 乳、コーヒー牛乳など)には、こんな牛乳が使われているかもしれ ません。

 昔の話ですが、売れ残った牛乳を引き取ってきて、パックをあけ てタンクに戻し、コーヒー牛乳にするんだ、という話を聞いたこと があります。本当かどうか確かめたわけではありませんが、今回の 事件の話を聞くと、こんなことまでも、ありそうなことと思います。

 そういうこともあって、低脂肪牛乳についての問い合わせがあっ たときは、かれは加工乳だから、避けた方が良いですよ、と答えて きましたが、はからずもそのことが証明された形です。

 他のメーカーのものでも、加工乳は避けた方が賢明です。低脂肪 牛乳はすべて加工乳ですから、「低脂肪」だから何となく良い、と いうイメージは棄ててください。


以下は2000年7月16日の記事です。


 雪印の食中毒事件もようやく全貌が明らかになってきました。前 回、「 昔の話ですが、売れ残った牛乳を引き取ってきて、パック をあけてタンクに戻し、コーヒー牛乳にするんだ、という話を聞い たことがあります。本当かどうか確かめたわけではありませんが、 今回の事件の話を聞くと、こんなことまでも、ありそうなことと思 います。」と書いたときは、こんなことを書くと、怒られるかな、 などと思っていたのですが、何と本当にやっていたのですね。

 加工乳から加工乳を作るのは食品衛生法違反ですし、いったん出 荷した牛乳のパックからタンクに戻しているなんて、論外もいいと ころです。

 今回の食中毒事件の最終的な原因は、低脂肪牛乳の特売をかけて、 大量に生産したのに、売れ行きが悪くて、返品が多かった、という ことにあるようです。

 その低脂肪牛乳は、昨年まで脱脂粉乳で作っていたので、味の評 判が悪く、改善策として、回収乳を入れることにした、というので すから、何とも最低のメーカーです。

 文句を言っていても仕方ないので、この辺でやめにします。ただ、 読者の皆さんには、「保健所がもっと検査すべきだ」とか、「取り 締まりをきちんとしろ」とかいうふうな結論は出さないでいただき たい、と私は思っています。

 このようなことはお上の規制に頼るのではなく、メーカーが自主 的に対応すべきことです。それができない場合には、そのメーカー は存続できない、という自己責任においてです。


以下は2000年7月23日の記事です。


 牛乳の返品について、次のようなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 雪印やその他の牛乳メーカーが、返品された牛乳を加工乳に再利 用していることが悪いと言われておりますが、牛乳を返品すること 自体が問題だと思います。スーパーなどの大型店は、売れ残った商 品を返品しないで自己責任で処分すれば、このような問題は起きな かったはずです。

 消費者も、天然水より牛乳が安い値段で売られていることに疑問 を持つべきであり、大型店が、納入業者をいじめていることと、マ スコミの無知が問題だと思います。

 私も、食品関係の仕事をしてますが売れ残った商品を捨てると言 うことは、お金をどぶに捨てるようなものです。だから、大型店が 力任せに商品を返品して大量にゴミを出させながら、自分たちだけ が環境に配慮しているふりをしているのが許せないのです。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これは非常にもっともなご意見です。前にも書きましたが、私も メーカーに返品を引き取ってもらえなかったりした立場でしたので、 おっしゃっていることはよくわかります。

 それと、再利用の問題については、インターネット上で、次のよ うなニュースが出ていました。

http://www.nissyoku.co.jp/ 「日本食糧新聞」7月14日号

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

     加工乳などの製品再使用で厚生省が見解

 厚生省生活衛生局乳肉衛生課は11日、「加工乳等の製品再使用」 について、「一定の要件を満たしたものは直ちに食品衛生法上問題 とならない」との見解を、都道府県・政令市・特別区の食品衛生主 管課と乳業界団体に示した。

 加工乳などへの再使用があたかも食品衛生法上問題と報道が相次 いでいるが、同省の見解は「一〇度C以下に保存されるなどの衛生 管理が徹底されており、かつ品質保持期限内のものであれば再利用 が直ちに食品衛生法上問題にはならない」としている。ただ、衛生 管理の状況が不明なものや品質保持期限切れのものの混入は、食品 衛生法に抵触する恐れがあるので、「再使用は厳に慎むよう」との 指導の徹底も促している。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これはちょっと変な話です。厚生省のページ

http://wwwcl.mhw.go.jp/%7Ehourei/html/hourei/contents.html

で、「食品衛生」を選んで、さらに、「乳及び乳製品の成分規格等 に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)」を見 ると、次のように記載されています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 加工乳にあつては水、生乳、牛乳、特別牛乳、部分脱脂乳、脱脂 乳、全粉乳、脱脂粉乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、無糖脱 脂れん乳、クリーム並びに添加物を使用していないバター、バター オイル、バターミルク及びバターミルクパウダー以外のものを使用 しないこと。   

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 加工乳の原料はこう規制されています(よけいなお世話ともいい ますが・・)。自分たちで作った省令だから、適当に解釈しても良 い、というものではないでしょう。

 低脂肪牛乳は「部分脱脂乳」にあたる、とでもいうのでしょうが、 実際には他の原料と混合して製造された製品です。また、製品とし て出荷されたものを使って良い、とはどう考えても読めないと思い ます。

 ということで、牛乳・加工乳の製造に、いったん出荷された製品 を再使用するのは、食品衛生法に違反しています。

 また、HACCPの計画書には、何処にも「余剰の殺菌済み牛乳 を原料タンクに戻して使用する。」とか、「返品の牛乳も賞味期限 以内なららパックを開けてタンクに戻し、原料として使用する。」 と書かれていないはずです。

 いったい厚生省は何を考えているのでしょう。

 報道ではよく、「賞味期限切れ」などということを問題にしてい ますが、温度管理の実態を明らかにできない以上、こんなことは意 味はないです。「賞味期限内なら良い」なんて、どうして言えるの でしょうか。

 製品になっていなくても、殺菌した牛乳を殺菌前の原料乳タンク に戻すだけでも、HACCPの衛生管理基準からすると、もっての 外だということも、何度も書いたとおりです。


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