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食べ物情報(9)食品の安全性について

「HACCP」(その1)

 HACCPというのは、「hazard analysis and critical cont- rol point」の略で、日本語に訳すと「危害分析と重要管理点」と なります。

 インターネットで私が見つけた限りでは、東京都立衛生研究所

http://www.tokyo-eiken.go.jp/shokuhin/topics/haccp/haccp.html 

に簡潔な解説が載っていました。参照してください。

 少し引用しますと、

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 営業者は、通常、製造した食品が安全であることを確認するため、 できあがった製品について微生物などの検査を実施しています。こ の方法では、食品が安全に製造されていたことをより確かにするた めに検査する最終製品の数をふやす必要がありますが、同時に検査 にかかる費用や時間が増加することや検査しなかった製品の安全を 必ずしも保証するものではないという限界があります。

 一方、HACCPシステムによる衛生管理は、勘や経験に頼る部 分の多かった従来の衛生管理の方法とは異なり、食品の安全性につ いて危害を予測し、その危害を管理することができる工程を重要管 理点として特定し、重点的に管理することにより、工程全般を通じ て食中毒などによる危害の発生を予防し、製品の安全確保を図ると いうものです。

 具体的には、次のような手順で行います。

1 食品の原材料の生産から、できあがった製品が消費者に消費さ れるまでのすべての過程において、食品の安全を損なうおそれのあ る微生物や化学物質、異物にはどのようなものがあるのかを明らか にします。さらに、それらの危害を取り除く方法を決定します。

2 明らかにした危害の中から、食中毒等の発生を防ぐ上で、極め て重要な管理点(CCP)を決定します。

3 次に、管理点ごとに管理が適正に行われているときに守られる べき基準(温度、pH、加熱時間等)を定めます。

4 さらに、基準が守られているかどうか、どのようにモニタリン グ(監視)するのか、又決められた基準からはずれたときは、どの ような対策をとればよいのかといった対応方法を決めます。

5 各工程上の作業については、標準作業手順書として文書化して おかなければなりません。これをみることでだれが作業する場合で も間違わないようになります。

6 モニタリングの結果などは、記録し保管しておくことで、HA CCPに基づいて安全に製造されていることの証拠となります。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 一般的な解説としては、こんなものです。よくNASA(アメリ カ航空宇宙局)の開発、と言われますが、宇宙飛行士の食事を作る 際、求められる安全率は非常に高いので、通常の方法では、製造し た食品のほとんどを検査しなければならない、ということから出発 しています。

 サンプルの数から、求められる安全率は、統計学の手法で計算で きるのですが、安全率を高く取るためには、サンプル数を増やすし かありません。1000個作って、999個を検査して、異常がな ければ、残る1個の安全性はかなり高い、ということになります。

 もちろん、こんな方法は実際的ではありません。どこに問題があ るかというと、食品の検査というのが、「破壊的」な検査だからで す。「非破壊的」検査が食品について可能であれば、全品検査終了 後、出荷すれば良いだけのことです。

 いつの日か、こんなことが可能になる時代が来るのかも知れませ ん。でも、今のところは別の方法を考える必要があります。

 検査に頼らずに安全性を保障するには、製造工程自身を検証する しかありません。それがHACCPの考え方です。

 よく誤解されるのは、HACCPが衛生管理の徹底を意味する、 と思われてることです。「HACCPになると殺菌剤などの使用が 増える」と主張している人もいますが、的外れです。

 衛生管理の徹底は、HACCPにとっては当然の前提です。その 上で、どこに重要管理点を設け、どのようにそれをコントロールす るのか、ということがHACCPなのです。

 たとえば製造工程の中に「加熱殺菌」というのがあったとします。 その工程の前に殺菌を部分的にしたり、防腐剤を使用したりするの は無駄な努力で、加熱殺菌工程そのものがどのように実施されたか を監視し続ける、というのがHACCPの考え方です。

 加熱殺菌時の管理項目としては、加熱温度と時間、サンプリング による製品の内部温度の確認などです。これらを全部、記録として とっておきます。

 そして加熱殺菌工程以後は、無菌状態で推移する必要があります。 したがって、「加熱殺菌→包装」でなく、「包装→加熱殺菌」とい う工程が正しいのです。

 牛乳などでは、加熱殺菌後に容器に充填されますので、その充填 機器周辺の衛生管理が大問題になります。

 70度以上の高温をたもったまま、充填されるのが理想で、ジュ ース類はそうしています。牛乳では高温による変質、という問題が あって、加熱殺菌以後は急速に冷却してしまいますので、充填の工 程ではすでに冷たくなっています。そこが苦しいところです。

 今回の雪印乳業の事件では、

(1)加熱殺菌そのものに不備があった。

(2)加熱殺菌以前に加熱殺菌では取り除けない毒素の混入があっ た。

(3)加熱殺菌以後に細菌汚染または毒素の混入があった。

の3つの可能性が考えられます。

 もちろん、この3つの可能性を想定し、その対策をあらかじめ講 じていないHACCPシステムというのは考えられません。

 もし、(2)に該当する現象が起こっていて、その現象ないし対 象毒物がまったく未知のものであった場合、工場の責任は免責され ることになります。どんなに被害をもたらしても、この場合は「責 任はない」のです。

 そのためにも、それ以外の可能性を消す、製造工程の監視記録が 完全に残っていることが必要になります。この監視記録は、公開し て原因の究明に貢献させるためのものです。


 HACCPの導入を大いに宣伝している業界に、建設業界があり ます。

 これはHACCP導入にあたって、工場の配置が問題になること が多いので、建設業界にとってはビジネスチャンスということにな るのです。

 HACCPに適合させようとすると、工程の流れを常に意識する 必要があります。「重要管理点」を設けて、そこで全体を管理しよ うということですから、製品は必ずこのポイントを通過することが 必要です。また、このポイントを通過したものが、それ以前に戻る ということがあってもなりません。

 ということで、工場は基本的に一方通行の作りになります。大き な冷蔵庫を作って、原料も製品も同じ場所に保管しているようでは 失格です。

 原料の入庫と反対側に出庫場所を設け、両サイドに入庫・出庫専 用の冷蔵庫を作るのが理想的です。

 人間の動きも同様で、作業室への出入りの手順はもちろん、作業 場所での動きなども細かく指定して、人間の動きによって、管理点 が攪乱されないように気づかっています。

 たとえば、私が見た養鶏場でHACCPを導入しているところで は、鶏のいる場所に入れる人は個人的に決まっていて、その人は鶏 の世話をしますが、卵の選別場所には入りません。卵の選別をして いる人は、隣の建物に大量に飼育されている鶏の顔をみたことがな い、ということになります。

 そして鶏舎から選別場をつなぐものは、卵を運ぶベルトコンベア だけで、ここが「ポイント・オブ・ノーリターン」になります。

 牛乳工場では殺菌機がすべてを支配しますので、殺菌機を中心に 未殺菌側と殺菌側に工場自体が別れているのが普通です。つまり、 殺菌機自身が「ポイント・オブ・ノーリターン」ということになり ます。

 こういう意味で、殺菌した後の牛乳を、余ったからといって、元 に戻して他の製品に流用するということは、それだけで大きな問題 です。

 HACCPでは、主にチェックポイントを作って、そこで監視す る、というのが主になりますが、そのためにも、このような工程の 流れは大変大事なことになります。

 そして実は、やってみると衛生的に優れたシステムは、作業性に も優れているのです。ごちゃごちゃしていた動線が整理されるだけ で、作業の能率が上がったりします。まあ、こうしたことは建設会 社のパンフレットに詳しいのですが、決してウソではないと思いま す。

 重要管理点での監視は、連続的なものであることが望まれます。 たとえば冷蔵庫の温度管理では、定期的な温度計のチェックより、 自動記録タイプの温度計を使って、1日中の温度の動きを記録する ことが望ましいのです。自動的にプリントアウトする温度計もあり ますし、コンピュータにつないで、リアルタイムでデータを蓄積し ていくタイプもあります。

 細菌検査は時間もかかるので、大変なのですが、簡易なものでは ほとんど即座に細菌量を検出できる機械もあります。これはあくま で簡易なものですので、最終的にはきちんとした培養検査が必要で すが、現場でのチェックにはこの方が向いています。

 食品では金属探知機なども必須です。この程度はHACCP以前 に、使っていて当然なのですが、運用では実にいい加減なことが多 いのです。機械がただあるだけでは、一度に大量に通したり、通し たことにして手抜きしたり、必ずします。

 製造の工程で、必ず一度は通り、しかも1個ずつ通せる場所(た とえば箱詰めするためのコンベア上など)に、設置すると、別に手 をかけたり、精神論をぶったりしなくても、確実に検査機を通るよ うになります。

 こうした一つ一つの工夫の組合せがHACCPの実際の運用形態 になります。そしてそれを文書に記述し、公開する、というのが、 HACCPの認証、ということです。

 できればその届け出先がお役所ではなく、民間の認証機関であれ ば、よりよいのです。この辺、役人より商売人の方が信用できる、 というのが世界の常識のようですから。


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