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食べ物情報(9)食品の安全性について

抗生物質


 先日も紹介した話ですが、NHKのホームページの掲示板にのっ た意見で、抗生物質の話がありました。

 その人はどうも、抗生物質が食品添加物のように使われていると 思っているようで、これはとんでもない誤解というか無知というか、 まあ批判しても仕方のないことですが、抗生物質についてすこし書 いてみます。

 抗生物質といえば、私たちの世代ではペニシリン、とすぐ思い浮 かびます。私は昔盲腸炎と診断されたとき、どうしても手術が怖か ったので、勝手に友人から入手したクロロマイシンを飲んでなおし てしまった、アホな経験をもっています。(おかげで今も私の盲腸 は健在です。)

 現在でも純然たる人工の物質としての抗生物質は存在しません。 それではどうして生産されるのかというと、ご存じのようにカビな どの微生物が生産するのを利用しているのです。

 このような物質は自然界では一般的に存在するものです。たとえ ばほとんどの樹木は、その根元から一定の範囲では、他の種子の発 芽を妨げる物質を出していることが知られています。

 これは自分自身の種子であっても、あまり親の木の近くに落ちた ものは発芽しないようになっているのだそうです。

 抗生物質は微生物には破壊的な作用を持っていますが、人間自身 には無害といっていいものです。これは抗生物質を生産する微生物 自身の利害関係によるので、要するに微生物から見れば人間を攻撃 しても意味はない、ということです。

 それでは食品に抗生物質が含まれていると、どういう問題がおこ るかというと、まず第一には、人間の体内に棲息している微生物に とって、重大な影響がある、ということがあげられます。

 体内、特に腸内には大量の微生物が棲息していて、それぞれに勢 力をあらそいながら、均衡を保っています。この腸内の細菌相は、 その人間の健康にとって、重大な影響力をもっています。

 不用意な抗生物質の服用は、この腸内の細菌を一掃してしまった りすることがあります。このように外部の力で腸内の細菌相が乱れ た場合、それまでおとなしくしていた微生物が突然暴れ出すことが あります。また、一掃するほど大量でない場合は、体内で耐性菌が 登場することがあり、いざというときに抗生物質が効かない、とい う可能性があるのです。

 このような理由で、あらゆる食品から、抗生物質は検出されては いけないことになっています。抗生物質が使用されている恐れのあ る食べ物としては、牛・豚・鶏という畜産物が考えられます。

 家畜に抗生物質を与える、というのは、当然病気を防ぐため、と 思っていたのですが、豚などでは、抗生物質をやった方が飼料の効 率が良い、つまり少ない餌でよく太る、ということがあるのだそう です。

 一説には、抗生物質が細菌を抑えるため、腸内での細菌の活動が 弱まり、その結果、腸に対する刺激が弱くなって、腸の運動がゆっ くりになり、栄養の吸収が良くなる、ということがあるそうです。 (ホントカナ・・)

 乳牛では、乳房炎の治療のために抗生物質が使われることがあり ます。前にも書いたと思いますが、牛用の抗生物質には、色がつけ てあり、抗生物質が牛乳に出てくると、牛乳に色がつくようになっ ています。この色はいくら薄めてもわかるため、1頭でも抗生物質 が混じった牛乳があれば、その牧場の全部の牛乳が販売できなくな ります。

 牛乳メーカーでは、当然ながら、抗生物質が検出された牛乳は買 い取りません。で、人間用の抗生物質を使えば良い、という手口で 不正を働く人がいる、という噂を聞いた事がありますが、まさか事 実としてはないと思います。

 抗生物質の問題点としては、もう一つ、耐性菌の登場ということ があります。WHOでは、特定の種類の抗生物質は、耐性菌対策と して、通常は使わないように、というように提案していますが、そ の限定的使用という範疇に入るバンコマイシンが日本では売り上げ の多い薬の表に堂々と顔を出しています。

 抗生物質に対する耐性は、いままで思われていた以上に簡単に獲 得することができるようです。実験では、抗生物質にさらされてい る環境に、耐性を持った菌をいれてやると、すぐに他の、今まで耐 性のなかった菌まで、耐性を持つようになるということです。

 これは細菌同士で、耐性を司る遺伝子をやり取りしているため、 ということで、どうして遺伝子がそんなに簡単に出入りするのか、 またどうして他の細菌に、耐性を持っていることを伝えるのか、ま ったく不思議な話です。

 でも、せっかく獲得した抗生物質に対する耐性ですが、耐性菌を 撃退するのは、実は簡単なのだそうです。というのは、耐性を持つ こと自体が、細菌にとっては負担なので、抗生物質にさらされてい ない環境では、耐性を持った菌は耐性を持たない菌との競争に負け て、勝手に滅んでいきます。

 これが耐性菌が病院の中でだけ問題になる、原因です。使えば必 ず耐性菌が登場する、使わなければ耐性菌は姿を消す、という実に 明快な仕組みになっています。

 食品の安全性を確保するには、このような微生物の動向を、どの ようにして制御するのか、という問題があります。何しろ目に見え ない相手なので、なかなか大変なのです。アニメでも、いかにも強 そうな巨大な敵より、微生物などの形をとった敵の方が対処しにく い、というのがありましたが、まさしくそのとおりです。

 その目に見えないものを見、まだ食べていないものの安全性を保 証していく、というのが、HACCPと呼ばれるシステムです。こ れは私に云わせればきわめて合理的な考えに基づいたもので、反対 する理由などはないはずなのですが、なぜか目の敵にしている人も あるようです。


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