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食べ物情報(9)食品の安全性について

賞味期限


 しばらく前に、食品の製造年月日表示が賞味期限表示に変更にな りました。

 これは主に外国との関係で、国際的な習慣に合わせた、というこ となのですが、外国からの要求として、製造年月日表示ではどうし ても輸入品は不利になる、ということがあると思います。

 インドから輸入した紅茶(ダージリンやアッサム)を扱ったとき、 「商品が古い」というクレームがときどきありました。製造日から 半年以上たっている、というのですが、実は日本に入ってきた時点 で、製造から数ヶ月たっているのです。(当たり前の話ですが)

 日本のメーカーの商品も、中身は輸入の紅茶です。だから、紅茶 自身の製造からはずいぶん経っているのですが、商品としての製造 年月日は最終的にそのパッケージができたときの日付、ということ になります。

 紅茶自身を比較した場合、「製造年月日」から半年たった輸入の 紅茶よりも、ほんの数日前の日付の国内メーカーの紅茶の方が、実 は古い、ということが普通です。

 このようなことは他にもたくさんあって、「製造年月日」が最終 商品の製造時につけるものである以上、避けられない矛盾です。メ ーカーではこのことから、実際の製造時に直接パッケージせず、半 製品の状態にしておいて、在庫をみながら、すこしずつ、最終商品 にする、というテクニックはよく使われています。

 中身は全部できていても、一番外側の袋に入れていなければ、ま だ製品ではない、ということですが、このことからも「製造年月日」 というものがいかにあてにならないかわかります。

 そういうこともあって、「賞味期限」表示に変わったことは、私 は別に悪いことではないと思いますが、ここでも同じような問題は あります。

 まず、賞味期限というのは、「製造日からの日数」をあらかじめ 決めて、製造日+賞味期限日数で、期限の日付を決めますが、この 起点になる「製造日」は前述のとおり、かなり恣意的に変えられる、 ということがあります。

 賞味期限日数については、メーカーが独自に判断して良いことに なっています。メーカーによっては、ちゃんとした保存テストをし て、日数を算出しているところも多いのですが、多くは業界団体か らのアナウンスによって、日数を決めています。

 つまり、そのメーカーの商品が本当にその賞味期限で良いのか、 という根拠はあいまいだ、ということです。業界団体では一応のテ ストをしているのですが、商品の衛生状態はメーカーごとに違いま すので、実際の商品でテストしないことには、厳密には意味がない のです。

 実際のメーカーのテスト結果を見せてもらったことがあります。 無添加ウインナーのテストでしたが、無添加でも30日の賞味期限 を設定している根拠を示したものです。

 同じ製造日の商品をたくさん用意し、一定の間隔をあけて悪くな っていないかを確認していくのです。昔の話ですので言ってもいい と思いますが、30日目では事故率0、60日目でも0、90日目 あたりから徐々に事故品がでてきて、120日目でほぼ完全にダメ になる、というようなテスト結果でした。

 この結果からすると、賞味期限を60日で設定しても充分だと思 ったのですが、実際には安全率はこれくらい見込むようです。

 もちろん保存状態にもよるのですが、私はこれを見てから、少々 の期限オーバーはあまり気にしなくなってしまいました。

 ただし、商品によっては、賞味期限内でもダメ、というひどいも のもあります。あくまでメーカーによりますので、注意は必要です。

 低温殺菌牛乳の賞味期限設定のときのテストでは、保存温度によ って、ずいぶん結果が違いました。5度以下で保存すれば、UHT 殺菌のものと遜色ない保存期限を設定できる、という結果が出たの ですが、そんなものは当たり前だ、ということで、10度以下の結 果を見れば、やはり低温殺菌牛乳は2日ほど短くなるようです。

 これは初発の菌数が違うためで、保存期間中は同じように菌数は 増えていきますが、菌は分裂によって倍々と増えていきますので、 最初の菌数が多い方が早く限界に達するわけです。5度以下であま り差が出ないのは、菌の増える速度が極端に遅くなるためです。 (当然、UHT殺菌の方は5度以下ではもっと日持ちします。)

 「文藝春秋」の牛乳に関する記事(以前ちょっと言及しました。) で、低温殺菌牛乳は乳酸菌が残っているので、UHT殺菌のものよ り保存性が良い、などと書いていましたが、たぶんこの著者はこん なテストなんかはしたことがないのでしょう。

 どこからこんなウワサが発生したか知りませんが、低温殺菌で生 き残る菌が乳酸菌に限るわけではありません。また、乳酸菌がある と腐敗しにくい、という事実もありません。(乳酸菌による腐敗は 乳酸がたまって酸性になるので、乳酸菌以外の菌による腐敗とは見 た目は違いますが、腐敗していることには違いありません。)

 ということで、上記のようなデマはあちこちで発生していますが、 真っ赤なウソですので、ご注意ください。


2002.07.07追記

 最近大きくとりあげられたニュースです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市此花区)の 運営会社「ユー・エス・ジェイ」は4日、園内のレストランで冷凍 牛肉や冷凍ボイルエビなど賞味期限が切れた44品目を食材として 使っていたことを明らかにした。期限切れの食材は計約2トンにの ぼるという。(略)

 ユ社や大阪市によると、昨年6月〜今年2月、委託会社の倉庫で 保管していた食材の一部について、飲食部の総料理長が「賞味期限 が切れても大丈夫だ」と判断したという。賞味期限は1カ月から最 大9カ月切れていた。(略)

http://www.asahi.com/national/update/0704/015.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 けしからん、と思われるでしょうが、私はちょっと同情的です。 レストランで出す食べ物は調理した人が責任をもつのであって、原 料のメーカーが責任を持つのではないと思います。

 賞味期限はそれを使用する人への注意です。賞味期限がすぎてい ても、状態をみて異常なしと判断して自己責任で食べる分には何も 問題はありません。

 とくに冷凍品の場合、メーカーの冷凍倉庫に保管されている状態 では賞味期限は別にありません。出荷の段階で賞味期限がつけられ ます。そしてこの賞味期限がすぎたころになっても、メーカーの倉 庫には同じ商品があり、相変わらず一年程度の賞味期限をつけて販 売されていたりするのです。

 家庭での保管はむずかしいでしょうが、専用の冷凍倉庫をもって いる場合、メーカーの倉庫にあるものと同じように、もっと長い賞 味期限があってもよさそうに思います。

 調理人が責任を持つのは提供する食べ物の安全性であって、原料 の賞味期限の厳守ではありません。自分の判断で使用したのですか ら、ネスレのインスタントコーヒーのように、「何も問題はない」 と開き直ってもよさそうに思います。

 まあ、開き直っても客が逃げていくでしょうけれど。

 賞味期限についてはこのような矛盾があります。まず、出荷時に つけられますので、原料については何も決まりはありません。原料 にも賞味期限がついていることがありますが、それを守っていると ころは少ないのではないでしょうか。

 変質したものを使って事故を出してはいけませんから、使用にあ たって注意が必要です。しかしこの注意は賞味期限を守っていれば よいだけの甘いものではありません。

 もっと厳しく、味や衛生面で問題がないことが要求されます。逆 に賞味期限がすぎていても、合格ならば使ってよいのです。

 こうしたことから、製造の現場では原料についている賞味期限な んか気にしていないところが多いと思います。賞味期限がすぎたか らといって捨てていたのでは、その方が無駄なような気がします。

 出荷する商品の賞味期限については、半製品のままで保管してお く手があります。正月用のかまぼこは大量に出るので、直前の製造 だけではたりません。そこで早くから製造したものを冷凍しておき ます。

 このとき最終の包装をせずに冷凍しておくのがコツです。正月前 になって、冷凍庫から出して外装の包装をして、そのときを基準に 賞味期限をつけるのです。

 これは合法ですし、品質にも問題はありません。大きく変動する 需要に対して、このようにしてメーカー側は対応してきたのです。

 かずのこなどは年に一度しか販売チャンスのない商品です。売れ 残って正月をむかえてしまった数の子は倉庫で一年間まつことにな ります。それでも翌年には新しい賞味期限をつけて売られるのです。

 また塩や砂糖には賞味期限をつける必要はありません。生協など ではそれにも賞味期限をつけるように言ってくるそうです。これも 売れ残ったら新しい日付の袋に入れなおすのではないでしょうか。

 このように賞味期限だけを見ていてはわからないことも多いので す。賞味期限は単なる目安だ、といってしまってはいけないでしょ うか。


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