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食べ物情報(9)食品の安全性について

食品検査


 食品を検査に出すときは、まず検査機関をどうするか、というこ とになります。ある程度のメーカーだと、社内で検査体制をもって いることが多いのですが、部外での検査も必要です。

 そうすると、公的な機関が良い、ということで、私は市立の衛生 研究所をよく利用していました。これは保健所に併設の機関で、ふ だんの一番多い仕事は、検便なんだ、と言っていました。

 食品を扱う営業所では、定期的に従業員の検便をするのですが、 一括してこういう検査機関に持ち込まれるわけです。

 毎日、同じようなことばりしていますので、私が変わったものを 持ち込むと、喜んでくれたものです。試薬をわざわざ取り寄せてく れたりしました。

 検査は化学検査と生物検査があります。化学検査の方は、主に添 加物関係です。検査には、定性検査と定量検査があります。定性と いうのは、量ではなく、あるかどうかだけを見ますので、簡単なの ですが、普通は定量検査をして、どれだけ入っているかを確定しま す。

 もちろん、検出限界というものがあります。検査の報告書には、 検査の方法、検出限界が必ず記載されています。この二つは大変重 要ですので、もしこれが書かれていない検査報告を見たら、インチ キであると思って間違いありません。

 定量、といっても、別に秤で計れるわけではありませんので、実 はそんなに正確ではないと思います。だいたい、「○○×10の○乗」 などという形式で書かれていますので、この「○乗」の部分、要す るにケタの部分だけを見ていれば良い、と思います。

 この手の検査で、一度、問題がありました。「無添加かまぼこ」 から、保存料のソルビン酸が検出されたのです。このときはびっく りしましたが、検査した人の意見として、「保存料としての通常の 使用から考えると、検出濃度が低すぎるので、おそらく他からの混 入と思います。」ということがありました。

 保存料としての効果を発揮するためには、ある程度の濃度で存在 しなければなりません。また、使用しすぎても、使用基準にひっか かりますので、正規の使用がされている場合、かなり正確に似たよ うな濃度になるんだそうです。

 事実関係を調査したら、すり身を練る容器(石でできていて、プ ラスチック製のすりこぎのようなもので、練り合わせます。)が他 の製品と共用のため、前に作った製品に入れてあったソルビン酸が 混入したものだったようです。

 毎日、製造終了後には徹底的に洗浄しますので、無添加のものに ついては、毎朝、最初に作ってもらうことで、とりあえずは解決し ました。

 ただ、同じ工場内で、無添加規格以外のものも作っている場合、 検出限界をもっと低くとれば、きっと出るんだと思います。「無添 加」という言葉が適応できるのは、どの検出限界では検出できない 場合か、はっきりさせておく必要があります。ここが決まっていれ ば、それ以下の量が含まれていても、OKということになります。

 生物的な検査、というのは、要するに細菌検査です。細菌を調べ る場合、顕微鏡で見る、というのは基本的にはできません。これは 細菌の世界をいったん破壊してしまいますので、もともと生きてい たかどうか、わからなくなってしまうからです。

 牛乳で原乳の「総菌数」というときは、例外的にこの顕微鏡検査 を行います。牛乳の処理は急ぎの仕事になりますので、培養してい る時間を節約するためと思います。この場合、生きているものも、 死んだものも、同列に数えますので、だいたい検査までの時間に、 菌数は比例することになります。近郊でとれて、すぐに処理施設に 持ち込まれる牛乳は、比較的この数字が低くでますが、時間のこと を考えると、必ずしもきれいとは限らないので、注意が必要です。

 細菌は眼には見えませんので、培養検査をします。これは寒天な どでできた培養地に、薄く検査物の溶液を塗って、培養するのです。 菌は分裂によって増えていきます。培養地の上では、菌は移動しま せんので、元の菌があった場所のまわりに、だんだんと広がってい き、肉眼で見える程度の固まりになっていきます。

 これを「コロニー」といい、コロニー一つを、元の細菌が一つあ った(生きていた)証拠と考えます。こうして出された数字が「一 般生菌数」です。

 この数字も、検体1グラムあたり、10の何乗、というように表 します。○○×10の何乗、なんですが、最初の○○の部分には、 あまり意味はありません。

 牛乳の一般生菌数は10の5乗以下であることが求められます。 一般に、生で食べることのできる菌数としては、この10の5乗が 基準になるようです。(10の5乗=10万個です。)

 ずいぶんと多いように感じられると思いますが、細菌というもの が、それほど小さいものである、と解釈しています。この程度だと、 通常の細菌では、それこそなんともありません。

 冷凍の魚介類でも、解凍して生だ食べるものは、この基準を満た さねばなりません。ただ、冷凍している間は菌数は増えませんので、 全体にこの基準はあまり守られていないように思います。

 殺菌すれば、生菌数はほとんど0になりますが、生鮮食品では、 常にかなりの菌数があります。私のつきあいのあった肉の処理場で、 パック詰めした牛肉の菌数が10の3乗程度だったというので、検 査した保健所が驚いた、という話があります。どうも怪しいことを していないか、疑われたようでもありますが、生肉で3乗程度、と いうのは、驚異的にきれいなものである、ということがよくわかり ます。

 野菜などでも同様です。検査機関では、生鮮食品の生菌数検査は それ自体、意味はほとんどない、と言っていました。(たくさんあ るに決まっているからです。)牛乳などで意味があるのは、いった ん殺菌しているからです。この意味では牛乳はやはり生鮮食品では ありません。

 生菌数以外には、「大腸菌群」「黄色ブドウ球菌」の検査をする のが普通です。これらは培養地を工夫することで、該当する種類の 菌だけを培養して調べます。

 「大腸菌群」というのは、大腸菌の仲間、といった意味で、これ らの菌は通常、自然界には存在しないものなのです。というのは、 動物の体内にいる菌で、外界に出ると、わりとすみやかに死んでし まうからです。

 食品から大腸菌群が検出される、ということは、最近、動物の排 出物に触れた可能性が強い、と考えられます。大腸菌群自身は、普 通、別に害のあるものではありませんが、大腸菌群が検出されると いうことは、伝染病などの病原菌が混じっている可能性がある、と いうことなので、加熱殺菌された後の食品からは、検出されてはな らないことになっています。

 これも、生鮮食品には当てはまりません。私は牛肉の大腸菌群検 査を研究所に依頼したことがありますが、出るに決まっているから、 やめておけ、と断られました。

 黄色ブドウ球菌は、人間の皮膚にいる菌で、キズが化膿するとき の主役です。これもやはり、殺菌後の食品が汚染された指標菌とし て検査されています。


2005/05/15 追記

 以下のようなメールをいただきました。おわびして訂正します。


--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」は毎週楽しみにしています。

 食品関係の文章と言えば脅かす様な文章が多い中、健全な内容と 捉えて愛読しています。しかしながら貴殿の「大腸菌群」に対する 認識については疑問があります。

 INDEXの「食品検査」の中で下記の様に述べられていますが、

「大腸菌群」というのは、大腸菌の仲間、といった意味で、これら の菌は通常、自然界には存在しないものなのです。というのは、動 物の体内にいる菌で、外界に出ると、わりとすみやかに死んでしま うからです。
 食品から大腸菌群が検出される、ということは、最近、動物の排 出物に触れた可能性が強い、と考えられます。大腸菌群自身は、普 通、別に害のあるものではありませんが、大腸菌群が検出されると いうことは、伝染病などの病原菌が混じっている可能性がある、と いうことなので、加熱殺菌された後の食品からは、検出されてはな らないことになっています。

 との事ですが大腸菌と大腸菌群は定義が異なる菌です。大腸菌群 が大腸菌の仲間なのではなく大腸菌が大腸菌群の仲間です。

 大腸菌群は通常、自然界に存在します。動物の体内のみに居る菌 ではないです。大腸菌が検出された場合は確かに「最近、動物の排 出物に触れた可能性が強い」と考えられますが大腸菌群はそうでは ないです。

 「大腸菌群が検出されるということ」と「伝染病などの病原菌が 混じっている可能性がある」とは無関係です。

 「加熱殺菌された後の食品からは、検出されてはならないことに なっています」とありますが加工されたもの、例えば「冷凍食品」 でも規格上は一般生菌数と大腸菌は決められていますが大腸菌群は 決められていません。

 私も食品から大腸菌群が検出されない方が良い、とは認識してい ますが貴殿は大腸菌群と大腸菌をほぼ同じ物と認識されていらっし ゃる様なのでそれは区別しTて欲しいです。安心!?食べ物情報286 号でも「大腸菌群が検出された・・・」の問いに「大腸菌は直接、 生物の排泄物に由来します。」と大腸菌群が大腸菌の話に摩り替っ ています。

 加熱後加工した食品から大腸菌も大腸菌群も検出されてはならな いですが大腸菌群の検出は糞便に触れていなくてもありうる事です。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------


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