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2000/12/10
2002/11/03
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食べ物情報(6)生鮮食品(海産物)

養殖魚介類


【2000/12/10】

「エビ」


 エビというのは、世界中で日本人が最も食べるんだそうです。エ ビ類の輸入額は、魚介類の中でも、特に多いものです。

 キューバのカストロ首相が、「キューバのエビは自分たちで食べ ずに、日本に全部輸出して、その金で学校に給食を実施しよう。」 と言ったとか。実際、伊勢エビ(結婚式で見る、豪華なやつ)はキ ューバあたりからの輸入品がほとんどです。(オーストラリアあた りから来る、ロブスターというのもあります。)

 伊勢エビはかなり大きいものですが、私たちの食べているエビは 実はみんな子供です。エビの養殖をするためには、卵を孵化させて エビの子供(稚エビ)をとる必要があります。その卵をとるための 親エビを見せてもらったときは本当に驚きました。

 私の知っている(食べている)エビとは、サイズが全然違う、巨 大なものだったのです。それが大人のエビの姿で、私たちが食べて いるのは、ほとんど小さい子供なのです。

 エビにもいろいろと種類があります。また、大きく分けて、養殖 ものと天然ものとがあります。お正月によく登場する、クルマエビ なんかでは、稚エビを養殖して、少し大きくなってから湾内に放流 し、天然ものとして漁獲する、半養殖といえるような方法もあるそ うです。

 養殖ものと天然ものとでは、何となく、天然ものが優れているよ うに思います。ただ、天然ものの漁獲には、いろいろと問題が多く、 アメリカなんかでは天然もののエビ漁を批判している人も多いよう です。

 まず、底引き網を使いますので、他の魚介類が混じってくること、 特にアメリカでは、ウミガメなんかを問題にしている、というのは 最近の風潮です。また、ほんとうに小さなエビまで取ってしまうの で、資源の面からも、これからは規制されていく方向だろうと思い ます。

 ムキエビとして売っている、小さなエビも、実はほっておけば大 きくなる、普通のエビです。養殖エビでは、こんなに小さなエビを 出荷すれば大損ですので、当然、ムキエビはすべて天然もののエビ ということになります。大きくしてからとれば、もっと儲かるのに と思うのですが、なかなか難しいようです。

 養殖エビとしては、クルマエビの仲間がほとんどを占めています。 一番多いのは「ブラックタイガー」という、なんだか怖そうな名前 のエビです。加熱するともちろん赤くなりますが、生のときは黒い 縞模様がある、おなじみのエビです。

 エビの養殖は台湾で大成功を収めたのが、世界中で注目を集めた ことがあります。ところがコンクリートで固めた池に、大量にエビ を入れ、エサも大量に与えて、早く、大きくするという「集約型」 だったため、病気が出たりして、まもなく台湾ではエビ養殖は衰退 していきました。

 ただ、エサ産業や養殖技術は生き残って、他の国に産地を拡大し ていきました。フィリピン、インドネシア、ペルーをはじめ、世界 中でいろんなエビの養殖がされています。ベトナムなんかでもはじ まっているとか。

 さすがに最近では、極端な集約型で養殖し、投入資本を短期で回 収する、あとは野となれ式のやり方は少なくなって、持続的な方法 をどこでも模索しているようです。

 エビ類はもちろん、冷凍で輸入されてきます。中身を保護するた めに、水といっしょに、氷の中に入ったような状態のブロックで、 段ボール箱に入っています。それを解凍して、消費者向けの商品と するのですが、この辺の賞味期限関係の話は前に書きました。

 また、再度冷凍して出荷するときも、表面を保護するために水を かけていっしょに凍らせます。このため、氷の分、重さが多くなり ます。まさに「水まし」ですが、他の冷凍魚介類でも、このような 処理をしていることは多いのです。

 エビ類は解凍して時間がたつと、黒くなっていきます。このため、 調理寸前まで冷凍しておき、流水で急速解凍するのが良いのです。 この黒変を防止するため、亜硫酸が使われます。別に毒性という問 題はないようですが、スーパーによっては、国内の業者に、一定以 上の残留を義務づけたりしています。まったく黒変しないようなも のは、逆にどうかと思います。

 また、プリプリとした食感を出すために、重合リン酸塩を使用す ることもあります。

 ニューカレドニアのエビ養殖の話はこのメールマガジンの最初に 少し書きました。

http://www.kenji.ne.jp/food/review/review1.html

 で、そのつづきなのですが、エビというのがどういうところで育 っているのか、という話を書きます。

 エビの養殖場は、海の近くの池です。エビは海の生き物ですが、 特に子供のうちは、河口などの塩分の少ないところに好んで住みま す。それで池には、海の水を入れたり、川の水を入れたりできるよ うにして、塩分を調節できるようにしているところが多いのです。

 塩分が少ない方が、成長が早いということです。ニューカレドニ アでは、全部海の水でした。海水をポンプでくみ上げて、池に入れ、 自然流下で岬の反対側の海に戻す、という方法でした。

 成長は遅くなるのですが、この方が病気が出ない、と云っていま した。なにしろ、薬剤は一切使用しない、という方針ですので。水 質に注意し、エサが残らないよう、適切な量を与えていけば、基本 的に病気は出ない、ということでした。

 それでも、池から流れ出る水は、栄養が多いらしく、反対側の海 は生き物が多く、格好の漁場になっていました。また、マングロー ブ林も、養殖場ができてから、ずいぶんと育ってきた、と云って威 張ってました。

 収穫直前のエビのいる池で、網ですこし取って、食べさせてもら いました。生きているエビの殻をむいて、そのまま食べるのです。 私はちょっとビビリましたが、現地の人の手前、仕方なくそうして 食べました。味は当然、Good!でした。

 その池では経営者夫婦(これはフランス人)と4〜5人の現地人 (いわゆるメラネシア人で、現地ではカナクと自称していました。) という体制で仕事をしていました。みんな若い人で、将来は彼らが 独立して、カナク人の産業としていくんだ、という夢を持っている とのこと。

 ニューカレドニアというのは、フランスの植民地で、かつては流 刑地だったところです。大きなニッケル鉱山があって、日本とも関 係が深かったものです。「天国に一番近い島」という本がありまし たが、あれはニューカレドニア本島ではなく、近くの珊瑚礁の島の 話だそうです。

 今はニューカレドニアでは自治政府ができ、将来の独立に向けて 準備中といったところです。カナク人の独立への要求は強く、かつ ては武力闘争も盛んでしたが、現在では話し合いで平和に独立する 方向です。ただ、フランス系住民の間では、独立反対派も多く、ま だ前途多難ではあるようです。

 植民地というのは、今では宗主国に利益をもたらすものではなく、 ニューカレドニア経済は本国からの援助で成り立っているといって よいくらいです。メラネシア諸国とは比較にならない、高い所得と 生活レベルを維持していますが、独立後、どうなるかという心配は 当然あると思います。

 独立のためには、自立した産業だ、ということで、頑張っている ようでした。その後、インドネシアでも、かなり大きな養殖池を造 成し、集約型ではなく、有機栽培型の養殖をするんだ、という話が あり、スマトラ島の写真なんかを見せてもらいましたが、インドネ シアの経済、政治の危機の前の話ですので、今ではどうなっている のでしょうか。

 日本がエビの輸入大国であることに、批判的な意見が多いのです が、私は比較的高価な魚介類であるエビを、日本が輸入することは、 世界の発展途上国にとっては、決して悪いことではない、と思って います。

 「贅沢は敵だ!」と云っておくと「清貧」ぽくて格好良いのです が、私は日本人がもう少し贅沢することが、世界中の、これから頑 張っていこう、という国々の人のためには、良いことだと思うので す。


【2002/11/03】


 「エビ」についてメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 エビについてですが、私は日本のエビ輸入に対してあまり肯定的 ではありません。

 日本がアジアからエビを大量に輸出することはそれらの地域に大 きな雇用を生み出し、その地域を潤す助けとなっているのは確かで しょうが、その地域の人々がエビの食としての恩恵を受けずして全 て日本に輸出することで金を得るというのは何かが違う気がします。

 どうして目の前の大量のエビを遠くの国にやらなくてはならない のか。そこで獲れたものはその場ですぐに食べるのが一番美味しい はずで、その特権はそこに住む人々にあるはず。そこに住んでいる のだから、それを享受して当然でしょう。

 ある本に紹介されていたのでは、日本にエビを輸出しているイン ドでは、南インドやスリランカに昔から家庭料理としても食卓に登 場していた「エビ・カレー」が近年姿を消したという。それは、獲 れたエビはほとんど日本へ輸出してしまうから−漁獲量は増えてい るにもかかわらず。

 これは、あちらの食文化の一部を奪っている行為ではないでしょ うか。他の国の食文化を乱してまで食べる権利がどうして日本人に あるのかと疑問に思う訳です。

 勿論、もしも輸入をストップさせてしまえば、あちらではエビ養 殖から加工・輸出業者に至るまで、あらゆる人々を失業に追いこむ 事になり、それこそ大変な事態になるのでしょう。だからそうは言 いませんが、エビとエビを生み出す海という環境やその環境に生き る人々の為に、略奪的な過剰生産を促すのはストップさせるべきで はないかと思うのです。

 その為に、こちら側では、輸入エビをもう少し高値で売るとか、 もっと正当なやり方で過剰消費を抑えるべきではないでしょうか。 こんなにたくさんのコストや負を生んでいるのにどうして輸入エビ が安いのかわかりません。

 エビの養殖の方法については改善がなされているようで、環境に 対する負荷はいくらか軽減されているのは喜ばしい事だと思います が。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これはむずかしい問題です。いろいろと問題はありますが、私は 基本的にエビの輸入は悪いことだとは思いません。

 ある国で服をつくって日本に輸出したり、おもちゃをつくって輸 出したりしても、同じように考えるのでしょうか。もしみんな同じ というのなら、国際的な貿易そのものを否定しなければいけません し、ひいては国内の分業も否定する思想になってしまいます。

 食べ物だから特別、という感情が入っているのではないでしょう か。食べ物であれ、何であれ、その国で産業として成立し、輸出可 能な競争力をもっている商品を否定するいわれはないと思います。

 環境問題や労働問題は常につきまとってきますが、それは当事者 である現地の人々や政府の問題で、私たちが軽々しく発言すべきも のではないでしょう。

 発展途上国の自然は先進国の人間の目を楽しませるためにあるの ではなく、現地で暮らす人たちが豊かに暮らすために使ってよいも のだと私は考えています。

 もちろん、ねこそぎ自然を破壊してしまうほど、途上国の政府が 愚かだとは思いませんが。

 それから、「「エビ・カレー」が近年姿を消した」というのは本 当なのでしょうか。当地の事情はよくわからないのですが、本当に あったことかどうか疑問だと思います。

(A)現地では「エビ・カレー」が日常よく食べられていた。
(B)日本への輸出のせいで食べられなくなった。

と解釈できますが、まず本当に現地の常食であったら、日本への輸 出があっても現地消費用のエビは確保できると思います。自分たち の食べる分も輸出に振り向けるのを「飢餓輸出」といいますが、北 朝鮮ならいざしらず、インドやスリランカの政府が飢餓輸出を実行 するほどの独裁政権だとは思えません。

 私は(A)(B)どちらかが(あるいは両方とも)ウソなんだと 思いますよ。


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