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2003/05/11
2000/02/07
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食べ物情報(5)生鮮食品(畜産物)

畜肉加工品


2003/05/11

 生協を退職してから、遠ざかっていた「無添加ハム」を久しぶり にスーパーで見つけて、買ってきました。

 別に隠してもしかたないので、言ってしまういますが、次のペー ジにあるような商品です。
http://www.shinshuham.co.jp/syouhin-m5.html#syouhin2

 味は以前とあまり変わっていなくて、懐かしく思いました。表示 なんですが、「化学合成添加物は使用していません」と大きく書か れていて、発色剤・防腐剤・化学合成調味料不使用などと書いてい ます。

 化学合成調味料などというものがあるというのは聞いたことはあ りません。この表示はちょっといただけないですね。

 懐かしいので、無添加ハムについて、思い出話を書いてみます。

 私がはじめて無添加ハムを扱ったのは、今から25年以上前にな ります。そのころはまだ本当に珍しいものだったんです。

 内容を調べてみて驚いたのは、原料の豚肉がカナダからの輸入だ ったことです。これは製造上、どうしてもこれでないとできないの だ、というのがメーカー側の説明でした。

 無添加ハムといっても、厳密にはすべての添加物を使用していな いわけではありません。原料はたとえばロースハムでは、「ロース 肉、乳たん白、糖類(麦芽糖、砂糖)、食塩、たん白加水分解物、 酵母エキス、香辛料、卵殻カルシウム」などとなっています。

 糖類、食塩は添加物ではないのでしょうが、「たん白加水分解物」 以降は純然たる食品添加物です。

 「無添加」の意味は「発色剤・着色料・防腐剤・結着剤無添加」 という意味でした。このことは当時から説明していましたが、必ず しも理解してもらってはいなかったかも知れません。

 結着剤というのは重合リン酸塩のことで、肉をつなぎ、保水性を よくする働きがあります。結着剤を使わずにハムを作るには、非常 に新鮮な原料肉を使う必要があります。

 当時、日本のと畜場では冷蔵庫の設備も充分ではなく、枝肉は平 荷台のトラックで運ばれたりしていました。衛生状態も悪いところ が多く、無添加ハムの原料にできるような品質のハムはなかなか手 に入らないのが実状だったそうです。

 そこで、カナダから状態のよい豚肉を、空輸してきて原料に使っ たのですから、開発者の苦労が偲ばれます。

 豚肉はまず塩漬けされます。発色剤である亜硝酸塩は、このとき 塩といっしょに使われます。ヨーロッパでは昔、亜硝酸塩ではなく、 硝石を直接漬け込むのに使ったのだそうです。

 この工程を「塩漬」といいます。無添加ハムは「無塩漬ハム」と いう区分になりますが、亜硝酸塩を使用せずに塩漬けしたものは、 普通の「塩漬」工程を経ていない、という解釈なのでしょう。

 私が扱いをはじめたころは、無添加ハムはハムの仲間にも入れて もらえず、「食肉加工品」という扱いでした。

 ところで、この無添加ハムは共同購入などでは売れていますが、 店舗での販売は苦戦しているようです。何といっても、見かけがパ ッとしないのが原因だと思います。値段も高いのですけれど、普通 のハムでも高級品もありますので、値段だけではないと思うのです。

 肉の色はミオグロビンという色素が主役です。名前から想像がつ くように、赤血球の色素であるヘモグロビンの仲間です。

 ケガをして少し出血すると、最初に出てきた血は黒っぽい色をし ていますが、すぐに鮮やかな赤色になってきます。これは静脈の中 ではヘモグロビンは酸素と結合していないので黒く、空気にふれて 酸素と結合することによって赤くなるからです。

 ミオグロビンも基本的に同じように変ります。肉のかたまりから スライス肉を作るのを見ていると、スライスした瞬間は切り口の肉 の色は黒っぽいのです。その肉をトレーの上に一枚ずつ、きれいに ならべておきますと、空気中の酸素と結合して、きれいな肉の色に なってきます。

 最近はこの作業が面倒なので、スライスした肉をそのままトレー に盛る「切り落とし」というスタイルも多くなりました。当然、こ うした肉は発色はよくありません。

 高級肉は相変わらず、一枚ずつ手でひろげ、トレーに盛るときも ていねいに畳んでいます。こんなことをするのは日本人だけなんだ ろうなあ、といつも思いますが、外国ではどうなのでしょう?

 さて、この酸素と結合したミオグロビンはやがて徐々に変色して、 くろずんできます。これは古くなった肉でおなじみですね。

 調理したときは熱によっても色が変ります。また冷凍やけといっ て、家庭用の冷凍庫で長期に保管していても、色が変わってきます。 このあたりの色の変化には水の分子も関係するらしく、いろいろと こまかいテクニックがあるのだそうです。

 色の変色をとめる添加物というのもあります。ニコチン酸などを 使っているものを見たことがありますが、その他にもいろいろあり そうです。もちろん、生肉に添加物を使ってはいけませんので、も し使っていれば食品衛生法違反です。

 前置きが長くなりましたが、ハムに亜硝酸塩を使うのも、あらか じめ亜硝酸とミオグロビンを結合させて、発色させておくのが目的 です。この状態になると、ミオグロビンは古くなっても変色してき ません。

 無添加ハムでは、発色させていないので、後の工程でボイルする と、ミオグロビンが熱によって変色してしまうのです。これが無添 加ハムがあまり美味しくみえない原因なんですね。

 亜硝酸塩は食品添加物の中では毒性の強いものです。できれば避 けた方がよいものだと思っていましたが、野菜にはもっと大量の硝 酸塩が含まれていることは先日紹介したとおりです。

 ヨーロッパでは硝石を使用していた歴史的な背景もあり、発色剤 は必要なものだという認識のようです。ボツリヌス対策もある、と よく説明されていますが、亜硝酸塩でボツリヌスが防げるのかどう かは疑問ですね。

 塩漬けした肉は整形され、調味液につけられます。調味液はピッ クルと呼ばれていますが、最近では針で直接、肉の内部に注射する ことが多いようです。

 ここで、結着剤を使った肉はたくさんのピックルを含み、元の肉 より重くなる、という魔法のようなことがおこります。無添加ハム ではこのようにはなりませんので、価格的にはこの辺もつらいとこ ろです。

 その後、充填・熏煙・ボイルという工程を経てハムになります。 ソーセージは挽き肉にしてケーシングという袋のようなものに詰め ますが、基本的にはハムと同じような工程で、無添加ソーセージも 同様です。

 ケーシングは細いもの(ウインナー)は羊の腸、太いもの(フラ ンクフルト)は豚の腸、もっと太いもの(ボロニア)は牛の腸を使 うのが本来です。

 昔は無添加ソーセージのケーシングも天然ものを使えず、大豆た んぱくや卵白から作った人工ケーシングを使っていました。なにし ろ天然の腸ですから、衛生面でよいものが手に入らなかったのです。

 いろんな苦労をしながら作ってきた「無添加ハム」ですが、その 後だんだんとつくるメーカーも増えてきました。学校給食で選ばれ るようになったことも大きかったと思います。全国的には少数派な のでしょうが、都会では無添加ハムしか使わないという栄養士もた くさいるのです。

 ただし、店頭での販売では相変わらず苦戦しているようです。味 の面では普通のハムより充分美味しいと思うのですが、人気はもう 一つのようです。


2000/02/07

 ハム類は食品添加物の話には必ず登場します。ハムは基本的には 豚肉を塩漬けしたものです。保存のため、その後「燻製」にします。 「生ハム」や「ベーコン」はそのまま食べますが、普通のハム・ソ ーセージは加熱処理されています。

 最初の塩漬けの段階で、発色剤として、「亜硝酸塩」を添加しま す。以前は亜硝酸塩を使用しないものは、「ハム」ではない、とい って、「蓄肉製品」などと書いたのですが、今はどうなのでしょう か。

【亜硝酸塩】

 亜硝酸塩は食品添加物の中では、毒性の強いものです。市販のハ ムは、独特のえぐみのある味がしますが、あれが亜硝酸の味ではな いかと私は疑っています。

 亜硝酸の殺菌力を評価して、必要であるという意見もありますが、 殺菌効果のあるほどの濃度では、人間にも被害が出ると思いますの で、これは眉唾ものと思います。

 ヨーロッパでは、ハム類による、「ボツリヌス菌中毒」の事例が ときどきあります。ボツリヌス菌は非常に強い毒素を作る菌で、細 菌の毒性としては最強のものです。胞子を作るため、加熱にも強く、 缶詰などの殺菌温度はこのボツリヌス菌をターゲットにしています が、ある程度の菌数があった場合、完全に殺菌するのは難しいよう です。

 あるレトルト食品のメーカーでは、製造後、製品を細菌の繁殖し やすい環境において、ボツリヌス菌が出てこないのを確認してから しか、出荷しない、という方法をとっていました。

 このボツリヌス菌を亜硝酸が抑える、というのですが、どう考え ても、亜硝酸だけの力では無理と思います。

 日本では、幸い、肉製品でのボツリヌス菌中毒は起きていません。 この菌は土壌中にいる菌で、日本のはヨーロッパとは少し種類が違 うという話です。

 ハム類に「加熱してお召し上がりください」と書いてあるのは、 実はこのためです。菌自体は加熱しても胞子を作って生き延びるの ですが、毒素は熱に弱く、食べる直前に加熱することで、無毒化で きるのです。冗談ではなく、ハム類は加熱して食べるようにしまし ょう。(無添加でなくても)

【豚肉とハム】

 ハムというのは、豚肉のモモの部分をさす言葉です。ドイツあた りでは、単に「ハム」というと、骨付きの豚モモの塊を想像する、 というのですから、日本とはずいぶん違います。

 「ボンレスハム」というのは、文字どおり、骨抜きのハム、とい う意味で、原料はやはり豚モモ肉です。日本では、「ロースハム」 の方が人気があります。

 豚肉は、まず1頭を背骨の部分で縦に2つに割ります。これを 「枝肉」といいます。この半頭分の枝肉を、前駆、体幹、後駆と 3つに分けます。前肢の部分は「ウデ」といいますが、ここは小 さい筋肉に分かれる部分で、一番安いところです。肉を解体処理 している工場では、お弁当屋などの業務用にさばいている、と言 っていました。

 真中の部分は、さらに「背」「腹」に2等分します。「背」が ロース、「腹」がバラです。この辺は、あばら骨があって、骨を はずすのが大変なところです。昔の職人は糸を使って骨をはずし たりしましたが、「包丁人味平」というまんがでは、それをヒン トに「白糸ばらし」などという大技をやっていました。

 背骨の下に「ヘレ」もついています。ヘレは最も脂肪の少ない 部分ですが、枝肉1本にヘレ1本しかとれませんので、夏場は品 不足になります。沖縄あたりの豚肉をたくさん食べる地方では、 ヘレはあまり好まれないので、そういう地方から、関西などのヘ レを好む地方に入ってくるそうです。

 ロースはいわゆる「背筋」の部分で、高価に取引されますので、 ロースをたくさんとれる、胴長の豚が開発されてきました。最近 の豚がどれも大型なのは、このせいでもあります。

 ロースはロースハムになりますが、バラはふつう、ベーコンに なります。市販のベーコンで、赤身の多いものは、前述のウデ肉 を使った、「ショルダーベーコン」のことが多いようです。これ は脂肪のいやな人には良いのですが、味はかなり劣ります。やっ ぱり脂肪のついた、本来のベーコンの方が美味しいです。

 後肢は先ほど言った「ハム」になります。製法は、塩漬け、燻 煙、煮沸、という工程になります。最後の煮沸をしないものが、 「生ハム」です。ベーコンは煮沸しないところが、ハムとは違い ます。

【ハムの製法】

 最近では、「くん液」という、燻製、塩漬けの風味をつけるた めの調味液を「注射」するものがほとんどです。たくさんの針の ついた機械で、この液を肉の内部に注入します。このとき、結着 剤として、重合燐酸塩や、発色剤として、亜硝酸塩も添加されま す。こうすると、本来の塩漬けや燻煙の工程にかかる時間を大幅 に省略できるわけです。

 私がハムについて、一番いけない、と思っているのは、この工 程で、ハムの「歩留まり」が上がってしまうのです。歩留まりが 120%というと、1キロの肉から、1.2キロのハムが出来る、 ということですが、実際、ほとんどのハムはこういった水増しな のです。

 また、副原料として、豚肉以外を使用したものも、今でも多く みかけます。

 無添加で作れば、どんなにがんばっても、歩留まり100%を 超えることはありません。また、豚肉100%以外のハムは、ハ ムと名乗るべきではないでしょう。

 豚肉以外の肉が悪いわけではありません。昔、日本が貧乏だっ たころ、庶民が肉類に親しんだのは、「魚肉ソーセージ」をはじ めとして、こうした低コストの肉加工品の功績があったのですが、 外国から安く、肉を手に入れることができるようになった現在で も、本物のハムの味が、日本人の間で広まらないのは、大変残念 なことです。

 外国の食文化を日本に紹介する際、ある程度の日本化はさけら れないと思います。でも、食品によって、本来のものから、遠い ものだけが広まっているものもあります。ハム類、チーズ類、な どはその筆頭です。このままでは、やがて外国から、安くておい しい「本物」が入ってくれば、国産のものは駆逐されてしまうの ではないでしょうか。


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