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食べ物情報(5)生鮮食品(畜産物)

牛肉



2003/01/05

 正月になってから、次のようなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 以前、某農協に勤めていたものです。

 霜降り肉は今でも、高級な肉として扱われていますが、食べない 方がいいと思います。なぜなら、霜降りの作り方は結構簡単で、緑 の植物を食べさせないようにするだけです。野菜(サイレージなど の緑の葉)を食べさせず、コーン、綿花、魚粉、ビタミン、ビート のペレットなどを食べさせてます。健康的ではない肉が、霜降りで す。

 それと今はどうなったか知りませんが、五年くらい前、九州地域 の黒豚ですが、スーパーで売られている黒豚の肉と、農家で飼育さ れている黒豚の数量はおよそ10倍の違いがありました。

 偽りが多かったです。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 年末は霜降り肉が一番売れる季節です。お正月くらい、上等の肉 を食べよう、というわけなのでしょうね。高級肉になる牛は11月 ころから徐々に市場に出てきます。

 12月に入って肉の処理場に行くと、高級品の枝肉にはわざとらし く白い布をかけてあったりします。枝肉はロースの部分に切り込み が入っていて、ロースの断面が見えるようにしています。

 このロースの断面が白っぽくて、赤い肉のなかに白い脂肪がたく さん入っているのが高級品です。脂肪が多いといっても、皮下脂肪 が多いのはダメなんですね。

 牛肉は基本的にはこのロース肉への脂肪の交雑の程度によってラ ンク付けされています。具体的には以下の引用のようになります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 現在、枝肉は卸売り市場等で評価されていますが、「さし」の評 価を紹介します。

 「さし」は第6第7肋間で切開した胸最長筋の断面で評価します。

 簡単に言えば枝肉を6番目と7番目の肋骨の間で切って、そこの ロースの断面をみて評価するのです。

 ここの脂肪交雑(さし)の度合いを1(まったく入っていない) 〜12(最高)の12の段階に分けて区分するのです。この数字(基 準)をBMS(Beef Marbling Standerd)といいます。

 これを基に5つの等級に分けます。no.8〜12 のものが等級5で 「かなりよいもの」、no.5〜7が等級4で「やや良いもの」、no. 3〜4が等級3で「標準のもの」、no.2が等級2で「標準に準ず るもの」、no.1が等級1で「劣るもの」となっています。

 私の個人的なというか庶民的な感覚で言わせてもらうと

no.11以上「一生のうちで1回食ってみたい牛肉」、
no.9〜10「こんな高級な牛肉食ったの初めてだ」、
no.7〜8「久しぶりに旨い牛肉くった」、
no.5〜6「こりゃー旨い肉だ」、
no.4以下「なんと牛肉はうまいのー」

といったあんばいです。

http://www.banjo.org/about_cow/sasi/sasi.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「胸最長筋」というのが要するにロース肉のことです。最高級品 はほとんど白く見えるほど脂肪が多く、あまり高級な肉を届けて、 苦情になってしまったことがあります。脂肪の多い、安い肉(バラ 肉など)を入れてきたと勘違いされたのです。よくよればわかるの ですけどね。まあ、こういう肉は庶民とは無縁の存在であったほう がよいようです。

 ここで注意してほしいのは、この等級は肉そのものを見て決めて います。牛の品種には直接関係がないのです。和牛は高い等級のも のができやすいので、高い等級の肉=和牛と思われがちですが、必 ずしもそうではありません。

 やはり等級5がつくのはほとんど和牛に限られているとは思いま すが、和牛なら必ず高い等級になるわけではなく、飼育方法やエサ が関係していることは間違いありません。そんな中で、いただいた メールのようなこともあるのだと思います。

 肉牛と健康というのはやや難しい問題があります。本当に健康な 牛の肉というのは、オーストラリア名物だった靴の底のようなステ ーキになるやつで、まずふつうの日本人には食べられない肉だから です。

 世界で一番安い牛肉は自然放牧で、数年間、勝手に草を食べて育 ちます。それをヘリコプターで捕獲してくるそうですが、なにしろ エサにお金がかからないのですから、とても安いし、草原を走り回 っていたのですから、とても健康だともいえると思います。

 食べておいしい、やわらかい肉というのは、生物として見れば単 なる肥りすぎなんでしょうね。またあまり知られていませんが、雄 牛の肉はふつうは食べません。雄の成牛の肉というのは固くてとて も食べられたものではないのです。また雌でも乳牛として飼育され てきたものはやはり上等の肉にはなりません。上等の肉は若い雌牛、 若い去勢牛がそれに次ぐことになります。

 上記の等級で5がつくのは、たいてい雌の処女牛(子牛を産んで いないもの)です。血統のよい牛を4歳くらいまで大事に育てて、 子牛もとらずに肉にするのですから、このうえない贅沢ですね。

 普通の牛肉はホルスタイン種の去勢牛を2年未満飼育したもので す。これは乳牛が産んだ雄牛で、雌牛は乳牛にしますが、雄は去勢 して肉牛にするわけです。こういう牛はどうしても高い等級の肉に なりませんが、霜降り肉よりかえって健康だといえるのかもしれま せん。

 ただ、「飼育」ではなく「肥育」された牛ですので、本当に健康 かどうかはわかりません。肉にする牛が健康かどうかを問う、とい うのは一見当然の要求のようですが、案外難しいものです。牛が健 康かどうか、肉の品質がよいかどうか、その肉が健康によいかどう か、みんな微妙に違った問題です。

 飼っている牛が病気で死んでしまったら、生産者は大損害ですの で、そういう意味の健康には注意して育てているわけですが、動物 愛護の観点からいう健康とはまた意味が違うのだと思います。

 黒豚は要するにバークシャー種の豚のことです。生産者側の宣伝 が功を奏した例で、なぜか「黒豚」=高級品ということになってし まいました。そこで品質のよい豚肉を「黒豚」として売ってしまう ことは多かったでしょうね。

 つぎに別に品質がよくなくても「黒豚」と書いておけば高く売れ るわけですから、そういうインチキ品もあると思います。いずれに せよ,畜産の流通業界の信用は地に落ちていますので、当分は何と 書いてあっても眉につばをつけておいたほうがよいと思います。


2001/11/11

 狂牛病騒ぎもややネタ切れになってきました。このまま落ち着い てくれればよいのですが、まだまだ油断はできないです。

 さて、問題の牛の食肉処理ですが、日本では歴史的な経緯もあっ て、常に差別問題にさらされてきました。業界の体質も、旧態依然 のところがあり、近代化ということがまだまだ課題になっていると 私は思っています。

 最近では食肉センター(と畜場+一次処理場)が近代的な設備で 全国的に整備されてきています。流通業者としては、自分の仕入れ る肉が、どこのセンターで処理されたものか、意識せざるを得ない 時代になってきました。

 結局、衛生的にも優れた、きちんとした処理ができるところだけ が生き残る、ということになるのだと思います。

 解体の手順はだいたい以下のようなものです。(「屠場文化」創 土社 より)

(1)ノッキングペン

 牛の額にピストルをあて、「ペン」を打ち込む。牛は脳しんとう をおこして倒れる。その穴に棒を差し込み、神経を完全に麻痺させ る。

 頸動脈を切り、レールから逆さに吊るして放血させる。

(2)頭落し

 頭の皮を剥ぎ、首の骨を切って頭を落とす。(ツラ、タンなどは この部分にあります。また、狂牛病の検査もこの部分が対象になる はずです。)

(3)皮剥ぎ

  ナイフで皮をはぎ、皮は原皮処理場へ。肛門を縛り、肉の汚染 を防ぐ。

(4)内臓おろし

 腹、胸を切って内臓お落とす。腎臓以外の内臓はこれ以降、牛肉 とは別に流通する。肝臓は検査にかける。

(5)背割り

 電動のこぎりで背骨の部分から半分に割る。これで1頭の牛から 2本の枝肉ができる。(この「背割り」が狂牛病の関係では問題に なっいます。背骨を割る前に、脊髄を抜き取ることが求められてい ますが、たぶんまだ未対応です。)

(6)検査

 腎臓・肉を検査。合格すると印が押される。(腎臓は以降も牛肉 と一緒に流通します。牛肉についてくる「牛脂」は、この腎臓の周 りの脂肪です。)

(7)水洗い

 洗浄した枝肉はレールで運ばれて冷蔵庫へ。

 といった具合です。レールというのは、処理場の天井に取り付け られていて、そこらつり下げられたフックに、牛の後ろ足の、アキ レス腱の部分を引っかけるようになっています。

 あの大きな牛の体を、骨とアキレス腱の間に差し込んだフックで つり下げるのですから、その丈夫なことには感心します。

 最新の食肉センターでは、隣接して一次加工場が設けられていま す。以前は枝肉のまま、流通していたのですが、最近は人手の問題 もあって、食肉センターで部分肉までしてから、流通することが多 くなっています。

 と畜場と加工場では、経営母体が違うことが多いので、隣接して いるとはいっても、建物は別々です。ところが、レールはつながっ ていて、1mもないような隙間を通って、枝肉は加工場に入ってき ます。

 加工場でも、枝肉はレールにつり下げたまま、順に解体していき ます。逆さにつり下げていますので、牛の前の方から順に、解体し ていくわけです。

 部分ごとに切取り、骨を外すのが主な作業です。一番面倒そうな のは、アバラ骨を一本ずつ切り離すところです。

 できた部分肉は、真空包装され、段ボール箱に入れられて、冷蔵 車で消費地に送られます。消費地でこれを最終処理して、パックに 詰められた牛肉になるわけです。

 すべての牛肉がこうした流通にのってしまえば、食肉への信頼は ずいぶん高くなるのですが、まだまだそうでない部分を残している と思います。しばらく前に、病死した牛の肉を、不正に流通させた、 という事件がありましたが、ああいうことが起る可能性はまだまだ あり得る、と私は思います。

 肉骨粉を禁止する、というのが、緊急避難としては理解できるの ですが、恒常的にそうすることが良いとは思えないのは、こうした 理由によります。

 処理過程での廃棄物や、牛肉でできなかった牛の遺体を再利用す る、こうしたシステムを滅ぼすのは、廃棄物による汚染の問題と、 不正流通の問題を、もう一度呼び起こすでしょう。

 リサイクルにはリスクがつきもので。リサイクルを万能だと思う のは間違っていますが、少しのリスクのためにリサイクルそのもの を放棄してしまうのも、やっぱり困るのではないか、と私は思って います。


2000/03/26

 牛を買いにいったときの話です。

 牛というのは、もちろん牛からしか生まれてきませんので、お母 さんも牛です。

 母牛には2種類あって、子を産むためだけに飼われている、専業 の牛と、牛乳を出すために飼われている、職をもった、牛がありま す。

 専業の母牛はどのような品種でも良いのですが、乳牛には、その ために改良された品種を用いますので、ホルスタイン種という、例 の白黒模様の牛が主になります。

 「和牛」というのは、日本の在来種を外来種で品種改良した牛で、 「黒毛」「褐毛」「短角種」などがあります。

 和牛などの、肉専用種の話は別の機会にして、今回は「乳用種雄 の若年肥育」というものについてです。

 乳牛というのは、あたりまえの話ですが、子を産んだあと、乳を だします。そこで、毎年、種付けをして、連続して子を産ませるよ うにします。見学に行くと、たくさんの乳牛がいますが、ほとんど が実は妊娠中で、次のシーズンには、また子を産むのです。

 産まれてきた子は、雌であれば、乳牛として育てられます。関西 では、乳牛になるまで、北海道の育成牧場に預けて、育ててもらう ことも多いようです。

 雄の子牛は、かつてはすぐに処分されていました。北海道の開拓 時代、生まれてくるのが雌ばかりだと、順調に経営できるが、雄が 続くと、やっていけなくなる、などという話もありました。

 最近では、この乳用種の雄を肉用に肥育するようになり、牛肉の 価格安定に貢献してきました。産まれてすぐ、育成農家に渡され、 約半年、子ども時代を過ごします。半年たって、体重が300〜400kg くらいになったところで、セリに出荷されます。

 肥育農家は、このセリで、素牛を購入します。私の行ったところ は、電子式で、ボタンを押しつづけていると、どんどん値が上がっ ていく、という油断ならないシステムでした。

 1頭ずつ、引き出されてきますが、見る人が見ると分かるらしく、 値段はかなり差がつくものです。もちろん、素質がよい、と判断さ れたものが、高くなるわけです。

 この時点では、まだ雄のままです。このあたりまでは、去勢しな い方が、健康に、大きく育つということです。

 セリで落とした牛はそのままトラックに載せてつれて帰ります。 子どもといっても、 400kgもあれば、そばに寄ると怖いほど大きい のですが、牛というのはとてもおとなしい動物で、文句もいわずに 荷台に乗って行きます。

 同行した専門家の話では、ときたま、暴れることもあるようで、 暴れ出したら、人間の力では取り押さえることは不可能だというこ とでした。

 関係ない話ですが、競馬界に女性騎手が登場したとき、「女に馬 が押さえられるか」という偏見があったそうです。武豊騎手は、 「馬とけんかして勝てるやつはどこにもいないよ。」といって笑っ ていましたが。

 で、どうしたかというと、猟銃を持っている人を呼んできて、射 殺するのだそうです。なにげなく見学していると、彼らが実はそん な危険なものでもある、ということは忘れそうになりますが、油断 大敵です。

 購入してきて、最初にするのが、「鼻輪」をつけることですが、 落ち着くとすぐに「去勢」します。牛に限らず、肉用にするには、 雄ではまずいのです。鶏のように生後数十日で肉にするもの以外で は、去勢は必須のことです。

 大人の雄の肉はとても食べられないそうです。極上の牛肉は実は 雌の牛のものです。若い雌、とくに満3、4歳の「処女牛」の肉が 再高級で、いわゆる「松阪牛」の極上品などというのは、こういう ものです。

 牛は一生に5〜6頭しか子を産まず、そのことが牛肉の価格を高 くしているのですが、最も血統のいい牛を、子を産まさずに、食べ てしまうのは、いかにも罰あたりなことです。

 去勢といっても、ペンチのようなもので、睾丸からの輸精管をつ ぶすだけで、簡単なもの、と聞きましたが、私はなんだか怖かった ので、見ていません。

 肥育農家では、約1年、700kgくらいになったところで、出荷され ます。よく考えると、1日に1kgずつ体重が増えていくわけです。 何を食べてそんなに太るのかというと、やはりトウモロコシなどの 穀物が中心のようです。

 私の見学したところでは、初期には草中心の餌なのですが、それ まで、草を食べたことのない牛が多く、牛のくせに草を見ると、し りごみする、という冗談みたいなやつがよくいるそうです。

 でも、牛は本来、草が好きですから、すぐになれて、腹いっぱい 食べるようになるそうです。牛の健康のためには、草だけで充分な のですが、さすがにそれでは、体重の面でも、品質の面でも、商売 になりませんので、後期になるほど、穀物の比重が上がってくるの は、おいしい肉をたべたい当方としては、やむを得ない話ではあり ます。

 牛は大きな動物ですし、頭数も少ないので、薬品などのお世話に ならなくても、健康に育てることができる、ということです。

 いま、アメリカとEUの間で「ホルモン剤」をめぐって、もめて います。アメリカでは許可されている牛用のホルモン剤をEUで認 めない、というものです。

 ことは貿易戦争なのですが、気になる話ではあります。アメリカ も輸出国なのですから、消費国の意向を尊重して、折れるのが商売 というものと思います。

 実際に飼っているところに行くと、管理状態の良いところでは、 牛が大騒ぎして寄ってきます。カメラを構えると、ポーズをとるひ ょうきんものとか、仲間の後ろにかくれてしまう、恥ずかしがりと か、なかなか個性ゆたかで、案外すぐに見分けがつくようになりま す。

 汚い牛舎、牛がいじけているところ、など、ちゃんと育てていな いところでは、当然、あまりよい肉は生産できないのですが、そう いうところも、今でもまだあるようです。

 牛肉の生産はこのような図式でわかるように、牛乳の生産と相関 しています。関西では、乳牛の飼育頭数は減少を続けていますので、 いずれ素牛の不足が心配になるはずでした。実際は肉牛の飼育頭数 も減っていて、問題になっていないというのは、何だかさびしい話 です。


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