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宮沢賢治の童話と詩 森羅情報サービス
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食べ物情報(4)生鮮食品(農産物)


【2000年9月3日の記事】

 「安心!?食べ物情報」のホームページを見た人はご存じのことと 思いますが、私は「森羅情報サービス」というもう一つのホームペ ージを持っています。(実はこちらの方がメインです・・)

 そこは宮沢賢治に関するサイトで、賢治の童話や詩が読めるよう になっています。また、メールマガジン「宮沢賢治 Kenji Review」 の発行もしています。

 その関係で、花巻で行われた「宮沢賢治国際研究大会」に行って きました。今年はずいぶん暑い夏だったので、東北地方は大豊作の ようでした。

 もうかなり熟してきていて、稲刈りも早くなりそうです。例年は 9月の中旬以降の稲刈りも、もう始まっていることと思います。  初めて家族連れで花巻に行ったのは、ちょうど同じ8月の下旬だ ったのですが、1993年の、不作の年でした。その時は稲はみんなき れいな緑色をしていたのを覚えています。今年と比べると、同じ時 期とは思えないです。

 宮沢賢治関係の本で読んだのですが、花巻近辺の土壌も、賢治が 肥料設計をしていた時代と、今とではずいぶんと違ってきているそ うです。

 たった70年ほどなのですが、その間の稲作の努力が、土の状態を 変えていったのだと思います。そういう意味で、賢治の努力も無駄 にはならなかったし、賢治の夢見た、豊かな未来が到来したことは 事実だと思います。

 ところが皮肉なことに、今年も米の価格は早くも暴落していると のこと。万年豊作貧乏の時代になってしまいました。アフリカのさ る国でも、ようやく農業が復活し、飢えから解放されたとたんに、 豊作貧乏になってしまった、という話を聞いたことがあります。

 農業の誕生以来、この問題はずっとついてまわっていることです。 農業では、生産力のごく低い段階を過ぎると、必ず自分の食べる分 よりもたくさんの食糧ができてしまい、その消費者がいるのです。 私は古代における権力の発生はこのことと関係していると思ってい ます。

 米の作り方もずいぶん変わって来ているようです。最近の特徴と して、「一発除草」などをはじめとして、農薬の使用回数が減って いる、ということがあります。

 これは一つには、高齢化による作業量の低減、ということもある のでしょうが、消費者サイドからの農薬使用量を減らせ、という圧 力もやはりあるんだろうと思っています。

 ただ、詳しいことは私は理解していないのですが、「一発除草」 といって、稲作を通じて除草剤を一回しか使用しない、というやり 方も、良いことばかりではないんだそうです。

 一発で済ますために、効力の強い薬剤を用いたり、一つの薬剤に 複数の有効成分が含まれていたり、効果を長引かせるために製剤を 工夫したり、といろんな努力がされているようです。つまり2回、 除草剤をまくのと、1回で済ますのと、どちらが良いかは一概に言 えないということです。

 また、肥料も時代の変化もあって、食味重視という視点から、窒 素を減らす方向にあるようです。賢治の時代は(1930前後の話です) 硫安などの化学肥料がようやく一般的になってきた時代で、その後、 高い窒素濃度に耐える、多収系の品種が登場したこともあって、窒 素過多の傾向がずっと続いていました。

 窒素というのは、空気中に一番多くある元素ですが、植物は空気 中の窒素を利用することができず、アンモニアまたは硝酸などのイ オンになったものを吸収します。

 マメ科の植物と共生する微生物で、空気中の窒素をこのような植 物の利用できる形にかえる力を持ったものがありますが、肥料成分 としては、窒素が常に制限因子になっていました。賢治は空中放電 によって窒素を含んだ雨を降らす、ということまで空想したりして いますが、硫安などの化学肥料は、そういう意味では画期的なこと でした。

 これはアンモニアを化学合成できるようになったことから実現し たものです。(肥料の3要素のうち、カリはカリ鉱石、リン酸はリ ン鉱石から作られています。リン鉱石で有名な南太平洋のナウルと いう国では、島全体が海鳥の糞からできたリン鉱石からできている そうです。)

 窒素というのはアミノ酸の成分ですので、たんぱく質を作るため には必要なものです。米のたんぱく質も昔は貴重な栄養素だったの ですが、最近では味が悪くなるといって、たんぱく質の多い米は嫌 われるようになりました。確かに、たんぱく質の含量と米の食味と は関係があるようです。

 また、窒素が多いとどうしても成長が良くなりすぎて、稲刈り前 に倒伏しやすくなったり、病気にかかりやすくなったりします。そ ういう意味で、化学肥料の過剰使用と農薬の使用とは関係があると 言えます。

 このように、米作りに関しても現場ではいろんな努力がされてい ます。そんな風にしてせっかく作った米が余って困る、というのも 因果な話ですが、今年も豊作間違いなしとのことですので、やっぱ りそうなるのでしょう。

 私の見るところ、米の価格維持政策も破局は近いようです。頼み は北朝鮮への援助?米といったところでしょうが、それもどうなり ますやら。


【稲刈り】

 そろそろ稲刈りのシーズンです。「早場米」の地域以外でも、9 月になれば、どんどん稲刈りが始まります。

 私の住んでいる和歌山では、まだほとんどの田が稲刈りにはほど 遠いです。全国的に、北海度、東北、北陸の米の産地では、5月の 連休のころに田植え、9月に稲刈りというスケジュールですが、西 南日本では、早場米を作る地方以外では、6月田植え、10月稲刈 りという日程になります。

 この早く稲刈りする、というのが、米の産地が北上していった、 大きなポイントです。夏のまだ暑いうちに、米が熟す、というのは 冷害の対策にもなっているわけです。

 兼業農家では、5月の連休に田植えし、秋の彼岸に稲刈り、とい うのはなかなか良いスケジュールですので、これからだんだんとこ うなっていきそうな気がします。

【米の品種】

 稲の品種では、コシヒカリ全盛時代が長く続いています。このコ シヒカリは福井県の農業試験場でできた品種ですが、私は生みの親 である石墨博士の話を聞いた事があります。

 氏の話では、コシヒカリの一番良いところは、低肥料分に耐える ということだ、といっていました。倒伏しやすいコシヒカリにとっ て、栄養過多は害になる、ということでした。

 確かに、コシヒカリは普通は良くないとされる砂や礫の多いよう な土壌で、美味しいものがとれる、ということを農家の人に聞いた ことがあります。

 米の品種改良の歴史は東北の「亀の尾」から始まります。これは 田の中で、他の稲より1週間ほど早く稔った変わり穂を選抜して育 てたもので、最初はこうした選抜による育種でした。

 その後、こうした品種を交配して新しい品種を作る努力がなされ、 宮沢賢治の時代には、「陸羽132号」などが登場しています。

 味の良さで知られた「農林1号」や「農林61号」などという品 種は、現在の美味しい米の先祖になっています。

 日本が台湾を領有していた時代、台湾からイモチ病に強い品種が 導入されました。この系統は多肥に耐え、増産にもむいていました ので、大いに普及しましたが、これがよく悪口を言われる、「まず い米」の先祖ということになります。

【米不足】

 実際、日本は1930年頃から、1960年ころまで、米不足に悩んでい ました。最近の米余り現象は、その後の増産と米の消費量の減少と の両方が原因になっています。

 最近では、1993年の不作による輸入米の騒ぎが印象に残っていま す。あのとき、私は断固として輸入米を購入したのですが、確かに まずくて、家族には大不評でした。

 ところが、あの年と同じ収穫量でも、今では米は不足しない、と いいますから驚きます。確か2割ほど、米が不足していたと思うの ですが、10年足らずのうちに、米の消費量はそれ以上減ってしま ったのです。

 ここまでくれば、大幅な米の減産しか方法はないと思うのですが、 なかなかそうはならないようです。

【米の流通】

 米の収穫は今ではコンバインが主流です。米の主産地では、コン バインで脱穀された米(籾)をそのままカントリーエレベーターと 呼ばれる貯蔵施設に持ち込みます。トラックで持ち込んで、床の穴 に投入する、という荒っぽいやり方ですが、そのまま自動的に乾燥 され、貯蔵されます。こうした米は出荷もバラ出荷されることがほ とんどのようです。

 米の乾燥はたいへん大事なことで、普通水分量15%程度まで乾 燥します。水分が多い方が美味しいのですが、保存性が悪くなりま す。また乾燥しすぎると、胴割れがおきたり、まずくなったりする そうです。

 昔は田で自然乾燥したものですが、この自然乾燥した米を、すぐ に食べるのは、やはり最高に美味しいものです。

 和歌山の米は収穫量も少ないし、味の評価も全然ダメなのですが、 地元でこうした米を頂いて食べると、やはり本場のブランド米より 明らかに美味しいと思います。米は動かさない方が美味しい、とい うのはこういうことか、と思いました。

 米の産地・産年・品種を明記するのは、今や当然のこととして求 められていますが、はっきりいって全く信用できないのが実情です。

 「魚沼産コシヒカリ」がどれだけ出回っているか考えると、世に インチキの種はつきない、という感じです。

 全くのウソ、ということでもないので、高い米はそれなりに美味 しいものです。要するに、ブランドに惑わされないで、価格と食味 を比べて、納得できるものを買う、ということしかないと思います。

 「減農薬」「有機肥料」などという表示も、特別の流通ルートを 確認できるもの以外は、信用しない方が賢いと思います。減農薬の 定義は実にいい加減なものですし、今時化学肥料だけで育てている 米なんかありませんので、ことさら「有機」という言葉を持ち出す のもどうかと思います。(本当の「有機栽培」と混同しないでくだ さい。)

【玄米食】

 宮沢賢治の「雨ニモマケズ」という詩に、「一日ニ玄米四合ト…」 というところがあり、それが戦後の教科書に載ったときに「三合」 に値切られた、というのは、有名な話です。今時三合の玄米も食べ られる人はほとんどいないと思いますが、戦時中は二合半ほどの配 給米を、白米にしないで玄米で食べることを本気で推奨していたん だそうです。

 玄米食は趣味としては悪くない趣味ですが、何か特別な意味があ る、というものではありませんので、私はあまり関心がありません。

【米のとぎ汁】

 米をとがずに炊ける「無洗米」というものも登場していますが、 欠点は食味が少し落ちることだと思います。(これは改善されてい くのでしょうが。)

 「米のとぎ汁をきれいにするにはお風呂何杯分の水が…」という 言い方をよく聞きますが、あれはかなり悪質な言い分です。水中の 有機物を排水基準に適合する水準まで薄めるための比率はその通り なのですが、もし現実にそのようなことが必要だったら、世界中の 海は排水中の有機物であふれてしまっています。

 有機物は自然界では時間とともに分解されていきます。それを効 率よく行うための施設が下水処理施設です。米のとぎ汁だけに薄め るしか方法がないような言い方をするのは、何か特別の意図がある のでしょうか。

 米のとぎ汁くらい、自由にさせていいじゃないか、と思います。


2002.08.04追加

 早いもので、つい先頃田植えをしていたと思ったら、もう早場米 の季節がやってきました。

 今年の作柄は平年並かやや良くらいの予想だそうです。一応、需 給計画は機能しているようですが、昨年やや持ち直したかと思われ た米の消費量は、今年また大幅に減少しているようです。

 早場米の相場も昨年より5%以上値下がりし、売れ残りが大量に 出ています。

 肉の産地偽装事件がいろいろと発覚していますが、米業界の表示 がいかがわしいのは有名です。それへの批判が高まっていることも 関係あるのでは?と思っています。新米を仕入れて古い米を混ぜて 売る常套手段も、ちょっと使いにくくなってきたのではないでしょ うか。

 いろいろと多難な米の話題のなかで、一つ気になっているのがカ ドミウムによる汚染です。

 カドミウムといえば「イタイイタイ病」で有名になりました。大 量に摂取するとカルシウムと似た動きをするカドミウムが骨の異常 をもたらすのです。

 日本の土壌で、カドミウムを含むところがあちこちにあります。 自然のものではなく、鉱山などの影響のものが多いらしいです。特 定の地域で、高濃度のカドミウムが検出されています。

 このカドミウムを含んだ米があるのです。

 米に含まれるカドミウムの濃度ではイタイイタイ病がおこったり、 骨に異常が出たりするわけではありません。

 問題になっているのは、腎臓障害です。米に含まれる程度でも、 1ppm程度では腎臓に影響が出る可能性が指摘されています。

 人体に対するリスクは結構ありそうです。現在、1ppmをこえ るカドミウムを含む米は出荷停止になり、廃棄処分されています。

 0.1ppm以下ではあまり問題はないそうです。国際的には基 準値として0.1〜0.4ppmくらいを設定するようになってい ます。

 CODEX(FAO/WHO 合同食品規格委員会)では0.2ppmを 基準値とする方向のようですが、日本は0.4ppmを主張してい ます。

 基準値は低ければよいわけではありませんが、ちょっと日本の分 が悪いようです。少なくなったとはいえ米は「主食」の扱いです。 本当は濃度ではなく総摂取量が問題なのですから、日本が米の基準 値に対して最も厳しい基準であって当然だと思います。

 ところが片方で米は日本農業の基幹作物です。規制を厳しくする ことは危機にある日本の農業をますます追い詰めることになります。

 今のところは消費者保護より農業保護の方を優先するのが日本政 府の方針のようです。

 調査の結果では、このような数字があります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

平成12 年7 月にコーデックス委員会食品添加物汚染物質部会へ 提出

平成9 ・10 年度分析結果

分 析 値 の 分 布(ppm )

品 目 試料数 ≦0.05 ≦0.1 ≦0.2 ≦0.3 ≦0.4 ≦0.5 0.5
玄 米 37,250 21,149 9,796 5,061 947 203 52 42
(%)100.0 56.8 26.3 13.6 2.5 0.5 0.1 0.1

最小値 最大値 平均値
ND 1.20 0.060

注1:検出限界は0.01ppmであり、「ND 」は不検出を意味する。
2:試料採取は、全国を50ha ごとに区分し、50ha の調査対象地域 内で生産された米のうち1袋から玄米を採取した。

※ 平成14 年3 月のコーデックス委員会食品添加物汚染物質部会に おいて、米のカドミウム濃度の基準値は、精米で検討することが決 定されました。この決定に対応するため、玄米と精米のカドミウム 濃度比較試験を実施するとともに、上記の平成9 ・10 年度分析 結果を再整理し、11 月初旬までにFAO/WHO 合同食品添加 物専門家会合に提出する予定です。

http://www.maff.go.jp/cd/PDF/C1.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この数字で見ると、0.2ppm以下なら全体の3%、0.4p pm以下なら0.2%が 基準値を上回ることになります。

 玄米の検査ですから、白米では数字は下がると思います。しかし これを見ると日本政府が0.4ppmにこだわる理由がわかりそう な気がしますね。

 カドミウムの汚染地域はわかっているのだから、その地域全体で 米を作らなければよい、という乱暴な意見もあります。どうせ米は 余って困っているのですから。

 減反政策の減反をこの地域に強制的に割り当てるとか。でも米は それでよいかも知れませんが、その土地でとれた他の作物も、売れ るとは思えません。この指定はその地域に農業をやめろと言うに等 しいことになります。

 農業が全滅してしまった地域の姿というのは、ちょっと想像した くないです。

 そう考えると、口では農家の保護に走る政府を批判しつつ、内心 は助かったと思っている、昔ながらの考えにも妥当性があるのかも しれないな、と思う今日このごろです。

 農業に死を宣告しても、消費者の健康を守るのが大事なのか?そ れとも消費者の健康に少々の被害は出ても、農業を守るのが大事な のか?

 という究極の選択にはしたくありませんね。さて、どうすればよ いのでしょうか。


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