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食べ物情報(3)酒・飲料など

日本酒


2009.11.22 追記

日本酒の規格が2007年に変わっている件については、メールマガジン388号の記事をご覧ください。

メールマガジン524号にも関連記事あり。


 初めまして。私は大の「お酒」好きです。 日本酒にも何か問題があるのでしょうか? 少し心配になりました。(その心配よりも 飲み過ぎに注意しろ!と言われそうです が)。

Q&Aのページも見てください。

【添加物】

 あるメーカーから、日本酒の仕様書をもらったら、添加物のらん に、「乳酸」と書いてありました。これにはちょっと驚いたのです が、実はほとんどの日本酒の製造時には、乳酸を使用しています。

 でも、メーカー自身にも普通、「添加物」という意識はないので、 問題にされることはありません。件のメーカーは正直すぎたので、 こちらも驚いたのです。

 酒を仕込む際には、最初に「酒母」というものをつくります。米 麹を仕込んで、酒の醗酵に必要な酵母などの微生物を繁殖させたも のなのですが、伝統的な手法では、さまざまな工程を経て、乳酸菌 が優勢になるように仕込みます。乳酸が多くなると、乳酸菌自身も 繁殖しにくくなり、酸に強い酵母が独占的に繁殖するようになりま す。

 まだ微生物の存在ということも知られていない江戸時代に、この ような技術を確立した、というのは驚異的なことです。近年では、 この工程を簡略化して、あらかじめ乳酸を添加しておく、「速醸元」 (本当は「元」に「酉」偏がつくのですが、変換できなかったので、 このように表記しておきます。以下同じ。)が主流になっています。

 厳密に言うと、「速醸元」を使用している酒は、添加物として、 乳酸を使用していることになる、というのが、最初の話の理由です。

【山廃仕込み】

 CMでときどき見かける、「山廃」とか、「生元」とかいうのは、 この「速醸元」ではないことを主張しています。「生元づくり」の 工程で必要な、「山おろし」という作業を省略したのが「山廃仕込」 です。

 ただ、工程としては伝統的なステップを踏んでいるとしても、微 生物制御には現代の知識を動員するのですから、本質的な差はない、 と思います。

 近代以前の日本酒は、今のものより、はるかに酸味、雑味が強い、 超辛口のものだったと想像されているようです。驚異的な技術とは いうものの、今のようには微生物制御ができきれなかったはずだか らです。

【日本酒度、アルコール分】

 甘口、辛口を測るのに、「日本酒度」と呼ばれる表示があります が、これは酒の比重を測ります。酸の多い酒は比重が重く、辛口に なり、糖の多い酒は比重が軽く、甘口になります。

 酒は「アルコール醗酵」によって作りますが、この醗酵は糖をア ルコールと二酸化炭素に分解します。原料の糖は果汁などには豊富 に含まれますが、米から酒を造るためには、米のでんぷんを糖に分 解しなければなりません。

 日本酒では、「米麹」を使用しますが、これは米に麹カビを繁殖 させたものです。このカビが出す酵素によって、でんぷんを糖に分 解する、「糖化」という作用をさせます。

 日本酒の醸造は、「糖化」と「アルコール醗酵」が同時に進行し ていく、「並行複醗酵」と呼ばれる醗酵形式になります。この結果 日本酒は醸造酒としては最高度のアルコール分を含む酒になります。

 18%を越えるアルコールを含む原酒ができるのですが、私たち が普通に飲むものは14〜5%です。この差は何かというと、アル コール分の調整のため、「加水」しているのです。要するに水で薄 めるわけです。

【搾りと貯蔵】

 仕込みが終わると、搾って酒粕と酒に分離します。この搾りの工 程も、機械によってかなり違います。古くて能率の悪い機械で搾っ ている酒蔵から出る酒粕は、大手メーカーのものと違って、ふかふ かしていて、味もとてもよいものです。ぺしゃんこになった酒粕し か知らない人が見ると、びっくりされます。

 搾りの工程は、できた「もろみ」を袋に入れて、重ねてプレスし ます。袋は布製で、目は粗いので、最初は白く濁った酒がひとりで に出てきます。そのうち、酒粕の成分で目が詰まって、あまり出て こなくなりますが、それからプレスすると、今度は酒粕で酒粕がろ 過されて、透明な酒が出てきます。

 この最初に出て来る部分だけをいただいたことがありますが、そ の場で飲むと、極めて美味でした。しかも、自家栽培の米で仕込ん だ純米吟醸酒でしたから、何とも贅沢な話です。(自慢^^;)

 搾った酒はタンクで不純物を沈殿させ、熟成させます。このとき、 タンクを冷やして低温で熟成させると、普通のものより、すっきり とした、冷で飲むのに適した味になるそうです。最近はこういうも のが人気だといっていました。

 火入れはこの熟成前と、ビン詰め時に2度するのが普通です。火 入れを全くしない「生酒」や熟成前の火入れをしない「生貯蔵酒」 というのも、近頃の好みを反映して出来てきた商品です。

 火入れをした酒は品質が安定し、かなり長期の保存に耐えます。 しっかりと熟成し、火入れをした日本酒が出まわるのは、この冬に 仕込んだ酒では、夏場以降、来年の冬にはこの酒が出まわっている のが普通です。

 生酒の類は冷蔵して、できるだけ早く飲んでください。すぐに味 が変わってきます。

【杜氏】

 酒蔵では伝統的に、「杜氏」と呼ばれる専門職の人が醸造にかか わります。酒蔵の経営者は、酒作りそのものには関係しないのが普 通でした。

 杜氏というのは、冬に農作業のできない地方からの出稼ぎで、近 畿地方では「丹波杜氏」、東北では「南部杜氏」が有名です。

 最近では「四季醸造」のひろがりや、その他の事情もあって、杜 氏という制度そのものが間もなく滅びる運命にあるようです。

 和歌山では、酒蔵の従業員の若い女性が杜氏の仕事をしている所 もありますし、私の見学したところでは、まだ30代の社長が、杜 氏のおじさんの弟子をしていました。将来は自分だけの技術で、酒 つくりに取り組むのだそうです。

 こんな話を聞くと、すぐに応援したくなります。


2002.01.06追加

 お正月ということで、久し振りに日本酒を飲みました。最近はど こでも「吟醸酒」「大吟醸酒」「純米酒」などが手に入るようにな ってきています。

 今回は日本酒の歴史のような話です。

 神話の時代から、酒というものはあったようですが、このときは 乙女が噛んで作る、という表現になっています。これは唾液の酵素 で米のでんぷんを分解し、できた糖でアルコール発酵する、という ものだったようです。

 今の日本酒の原型(米麹を利用するもの)は平安時代にはすでに 存在していた、といいます。麹カビが出す酵素を利用するようにな ったわけです。この麹カビの利用、というのが日本酒の一番大きな 特徴になっています。

 そのころの酒は僧坊酒と呼ばれ、主に寺院で作られていた、とい います。まだ今の清酒とはほど遠い品質だったでしょうし、庶民が 普通に飲むものではなかったと思います。祭礼の時などには、どの ような酒が飲まれていたのでしょうか。

 室町時代になると、酒造業がおこってきます。奈良、京都などで は造り酒屋もでき、現在の日本酒の原型が徐々に整ってきたようで す。「麹米」「掛米」の2回にわけて仕込むようになったのも、こ のころで、古くは玄米を使いましたが、双方ともに白米で仕込むよ うになってきたのが、「南都諸白」と呼ばれる酒です。

 麹を玄米で仕込むのが「片白」、麹も白米になったのが「諸白」 です。

 このころ実用化された技術には、2段仕込み(酒母と掛け米を分 けてつくる)、酒母仕込みでの乳酸発酵の利用(最初に米を乳酸発 酵させ、乳酸によって雑菌の繁殖を抑える技術)木炭の利用(不純 物の吸着)などがあるそうです。

http://www.sakejapan.com/sake-info/sake-info13.html

 その後、江戸時代初期には酒造業の主流は伊丹に移ります。この ころに開発された技術としては「柱焼酎」というものがあります。 これは蒸留によってあらかじめアルコール度の高い酒(米焼酎)を 造り、醸造時に添加することで、しっかりとした味と腐敗を防ぐ効 果を持たせたものです。今日の「本醸造」という、アルコールを添 加した酒の先祖といえるものです。

 江戸が開けてくると、今度は灘に大きな酒造業が起こってきます。 これは海運の便、大量に使用できる六甲の伏流水、また急流を利用 した水車による精米などに加え、背後に控えた丹波などの酒造好適 米の産地、「杜氏」と呼ばれる酒造技術を持った季節労働者の登場、 吉野杉による大樽の大量製造などの背景があり、まさに当時の一大 コンビナートといったところだったと思います。

 この酒造用の樽は今でも古い酒倉ではときどき見かけます。杉の 香りも日本酒の重要な要素といって良いと思います。

 日本酒の技術はこうして確立してきたのですが、パスツール以前 に火入れ法などの微生物制御法を開発し、麹カビによるでんぷんの 糖化と酵母によるアルコール発酵を並行してすすめる、「並行複発 酵」技術、そして何より、大量生産・大量流通・大量消費の一大産 業として発展してきたことなど、前近代の産業としては出色のもの があったと云われています。

 また、その酒造技術が「杜氏」という季節労働者によって担われ てきた、というのも一つの特色になっています。このことは経営と 酒造りの分化、というちょっといびつな構造を作ってしまいました が、歴史的には大きな役割を果たしたと思います。

 明治以降、近代的な知識が導入されるとともに、伝統的な技術が 近代化学の眼で見直されるようになっていきました。

 私たちの知っている日本酒は、この近代の酒で、それ以前の日本 酒は基本的には同じですが、酸味が強く、とても辛いものだったそ うです。

 ここまではまだ、「米と米麹(米焼酎)」だけが原料だったので すが、戦後の混乱期に「合成酒」というものが登場します。

 これはエタノール溶液に日本酒の味をつけたものです。私の子供 のころはまだどこの酒屋でも売っていたと記憶しています。一合入 りのとっくり型をしたガラス容器に入っていて、立ち呑みで1本50 円くらいでしたか…。

 戦後すぐの時代はこんなものでもまだ良い方で、「メチル」とい う、メタノールを飲んでの健康被害などもよく起こっていたといい ます。「眼が散る」からメチルだという冗談もありました。これは 冗談ではなく毒ですので、絶対やめましょう。

 また、純粋の合成酒でなくても、この技術を応用して、少しの米 で大量の日本酒を作る方法として、「三倍醸造」などと呼ばれる、 合成酒で水増しした酒が作られるようになりました。

 昔の「二級酒」などというのは、こうしたものばかりでしたが、 「特級」という酒でも実はアルコール添加の水増し酒が多かったの です。

 今の「本醸造酒」もアルコール添加はしていますが、調味料を使 用しているという点で、また違ったものです。

 この背景としては「米不足」が考えられます。今からは信じられ ない話ですが、1960年代まで、日本では常に米不足で、輸入に頼っ ていました。輸入の黄変米などというものが騒ぎになったこともあ ります。

 また、産業としても寡占化の進んだビールなどの洋酒業界と違い、 日本酒業界は前近代の造り酒屋を近代税制に組み込んできた関係で、 小さな蔵に少しずつ酒造量を割り当て、大手業者はその中小業者か らできた酒を仕入れる「桶買い」と呼ばれる慣習があったことも、 こうした水増し酒がはびこった原因である、とも考えられます。

 安直な技術によって、製造コストを抑え、品質の均一化をはかる、 という意味です。

 また、保存料としてサリチル酸を添加する、など伝統的な米と米 麹から作った酒は実態としてはほぼ滅びた、という状況になってし まいました。

 先程書きました、経営と酒造りの分化、ということが、ここでは マイナスに作用したのではないか、と思っています。実際、酒の話 を何もできない経営者などという人も結構いるのです。

 1970年代以降の経済成長と消費者運動の拡大などの流れによって、 「純米酒」が見直され、またグルメブームによって「吟醸酒」も流 行するようになって、少しずつ日本酒も変ってきました。

 この流れは当然のことで、私としては早く「純米酒」という呼称 がなくなってほしい、と思っています。すべての日本酒が米と米麹 だけで作られるようになれば、日本酒=純米酒ですから、こんな呼 び方をする必要はないのです。

 米も今では余って困るようになってきています。この時代に米を 節約するような酒造りをする必要などはないわけですから、純米酒 以外の日本酒造りは禁止すべきだ、と私は思います。

 何でも法律で禁止するのはおかしい、とは思っているのですが、 酒に関しては酒税との関係もあるし、これくらいはしても良いかと 思うのですが、いかがでしょうか。

 ドイツではビールの原料に大麦以外を使うことは禁止されている そうです。また、フランスではワインに砂糖を添加することはダメ なんだそうです。(フランスのビールやドイツのワインにはそんな 規制はありません。)

 民族文化の誇り、というんでしょうか、日本でも、せめて日本酒 だけはそんな厳しさを持っていたいですね。もう目先の利益のこと で頭が一杯の貧乏国ではないのですから。

 ということで、「日本酒純粋法」として、米と米麹(例外として 米焼酎=米から作ったアルコール)以外の原料を日本酒に使用する ことを禁止する、という法律ができれば良い、と私は思います。

 米の消費拡大、日本酒のイメージアップ、税収の確保、と良いこ とだらけだとおもうのですが。


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