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食べ物情報(1)調味料

「マーガリン」


 マーガリンについてのメールを2ついただきました。まず最初は こういうものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 先日あるサイトの掲示板で「マーガリンとショートニングは体に 悪い、プラスチックを食べているようなものだ」という書き込みを 見ました。それによると、どちらも植物油に化学的なものを加える 方法で固形化しているから、ということでした。更に精製した砂糖 も悪いとか。その人は市販のクッキーなどは食べないようにしてい る、とのことでした。

 私はそれを読むまでマーガリンはバターよりも体にいいと思って 食べていたのですが、逆に体に悪いのでしょうか。また、市販のク ッキーやパンにはほとんどショートニングや精製した砂糖が使われ ていると思いますが、本当に悪いのでしょうか。それを読んで以来、 気になってあまり市販のお菓子が買えなくなりました。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「マーガリンがバターより体によい」というのはまあ誤解でしょ うね。でも、マーガリンが悪いかというと、それほどでもないと思 います。

 マーガリンの原料は植物性油脂です。植物性油脂に含まれる脂肪 酸は「不飽和脂肪酸」といって、炭素の二重結合をもったものです。

 脂肪酸は鎖のようにつながった炭素のまわりに、水素がついたも のが基本になっています。炭素は4つの「手」を持っています。炭 素どうしの結合に2つ使っていますので、残りの2つの「手」には 水素がついています。水素が足りないと炭素は余った「手」で隣の 炭素と結合します。これが「二重結合」です。

 不飽和脂肪酸は融点が低く、常温では液体になりやすい油脂を作 ります。そこで水素を与えて、二重結合を解消させます。こうして 融点を下げて、常温で固体のマーガリンを作っています。

 問題はこの「水素添加」の際、残った二重結合に変化が現れると いうことにあります。二重結合の両側で炭素原子が同じ側について いる「シス型」と、違う側につく「トランス型」があります。

シス型 \_/

トランス型 \_
        \

 こんな感じですね。通常の脂肪酸はシス型がほとんどです。同じ 構成の脂肪酸でも、トランス型になってしまうと栄養的な価値がほ とんどなくなります。

 それどころか、必要な脂肪酸の働きを阻害するのではないか、と いうことで健康被害が心配されているのです。

 ここで、次のメールを紹介します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 最近新聞に書かれていたのですが、マーガリンは健康に害があり、 ドイツなどでは禁止されているとの事、本当なのでしょうか?

 私の家ではよくマーガリンを使いますし、パンに塗るだけでなく その他の料理にもたくさん利用しています。以前にもこのような事 が言われたように思いますが、バターに比べ使い易いですし、市場 には相変わらずいろいろなものが出回っているので買いやすい気が します。何故マーガリンがいけないのでしょうか、教えて頂けます か。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 マーガリンが問題になっているのは、上記の「トランス型不飽和 脂肪酸(以下では「トランス脂肪酸」と表記)」のことです。

 ただ、「ドイツでは禁止」というのがよくわかりません。下の記 事をみてください。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

(1) 諸外国等の状況

 デンマークでは、2004年1月1日から国内のすべての食品について、 油脂中のトランス脂肪酸の含有率を2%までとする制限が設けられ ています。

 米国では、2006年1月から加工食品のトランス脂肪酸量の表示を 義務付けることとしています。また、2004年8月に発表した米国人 のための食事指針案では、トランス脂肪酸の摂取量は一日当たりの 総エネルギー摂取量の1%未満とするよう勧告しています。

 カナダでは、一部の中小製造業を除いて、原則として2005年12月 12日からの栄養成分の表示義務化の中でトランス脂肪酸も表示対象 としています。

 食事、栄養および慢性疾患予防に関するWHO/FAO合同専門家会合 (Joint WHO/FAOExpert Consultation on Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases)の報告書では、心臓血管系の健 康増進のため、食事からのトランス脂肪酸の摂取を極めて低く抑え るべきであり、実際にはトランス脂肪酸の摂取量は、最大でも一日 当たりの総エネルギー摂取量の1%未満とするよう勧告しています。

http://www.fsc.go.jp/sonota/54kai-factsheets-trans.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この記事以降に禁止したということなのでしょうか?でも上記記 事には2006年1月の情報もあります。国家として禁止したのなら、 載っているはずだと思います。

 表示が義務化されたという情報はあります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ヨーロッパでは昨年1月、デンマークで「トランスファット使用 禁止」になりました。続いてドイツ、オランダ、オーストリアでも (禁止ではないのですが)「表示が義務化」されました。

http://www.melma.com/backnumber_75510_173163/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このことが誤解されたのでしょうか。たとえば、表示の義務化に より、トランス脂肪酸を多く含むマーガリンが実質的には販売でき なくなったとか…。

 その他の可能性としては、ドイツは連邦国家ですので、どこかの 州で禁止されたのかもしれません。でも、全体としては禁止されて いるとは思えません。

 日本マーガリン協会によると、ドイツでのマーガリン生産量は、 442,000トン(2004年)です。ずっと減り続けているようですが、 日本の生産量 247,000トン(2005年)と比べるとずっと多いです。 日本の方が人口が多いので、ドイツ人は日本人の3倍くらい食べて いるわけです。

 トランス脂肪酸の話をするには、この消費量の問題を避けて通れ ません。下の表をみてください。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

※ トランス脂肪酸の一人あたりの摂取量
    1日あたり摂取量( g ) 摂取エネルギーに占める割合(%)
日本(平均)    1.56         0.7
米国(成人平均)  5.8         2.6
EU(男性平均)  1.2〜6.7       0.5〜2.1
  (女性平均)  1.7〜4.1       0.8〜1.9

http://www.fsc.go.jp/sonota/54kai-factsheets-trans.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 EUの数値はバラツキが多いですが、ドイツなどの西ヨーロッパ ではこの上限に近い値になると思います。WHOの勧告値が1%で すから、欧米諸国では問題になるのは当然なわけです。

 日本では、政府の立場は日本人の消費量なら問題は少ない、とい うことのようです。ただし、平均値としては勧告値を下回っていま すが、個人的には問題になっている人もたくさんあるはずです。

 トランス脂肪酸の摂取量が多い人は、同時に脂肪全体の摂取量も 多いはずです。だから、食生活の改善という点からすれば、マーガ リンをやめることより、脂肪摂取量全体を減らすことの方が先決問 題だと思います。

 マーガリンをやめたから安心というのは誤解ですので、いたずら にマーガリンを悪者にするのはかえってよくないです。

 上の表のトランス脂肪酸は、マーガリンからとっているものだけ ではありません。トランス脂肪酸は天然にも含まれていますので、 あらゆる食品からとっているものの合計です。

 トランス脂肪酸は多くの食品に含まれています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 牛や羊などの反芻動物の脂肪分にはトランス脂肪酸が含まれてい る。したがって、牛乳にも含まれている。その量は、

*日本の食品に含まれる総脂肪酸中のトランス型脂肪酸の平均割合
マーガリン   13.5%
バター      4.1%
チーズ      5.7%
牛乳       4.5%
食パン      9.3%
ドーナツ     0.8〜23.9%
フライドポテト  0.8〜19.5%
レトルトカレー  6.2%
牛肉バラ     4.9%
牛肉ヒレ     2.7%
 (日本食品油脂検査協会調べ)

http://www.yasuienv.net/TransFat2005.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 食パンも多いですが、これは使用しているショートニングと呼ば れる油脂がマーガリンと同じようなものだからです。

 ドーナツやフライドポテトが不定になっているのは、揚げている ときに自然に生成してくるからです。

 上記の数字は「脂肪酸中のトランス脂肪酸の割合」です。全体に 対する割合ではありません。摂取量は(食べた量×脂肪酸の割合× トランス脂肪酸の割合)ですから、食べる量が多いもの、脂肪の多 いものが寄与率が高くなります。

 だから、マーガリンよりも牛肉の方が問題だったりする人もいる はずです。どうしてトランス脂肪酸の害を訴える人が、マーガリン を問題にして、牛肉を問題にしないのか?という謎が残ります。

 答はたぶん、自然崇拝のような宗教的な感情が基本にあって、何 かしら科学技術でもって作ったようなものがいけない、という感情 からきているのでしょう。「プラスチックのようなもの」という比 喩もよく登場しています。

 マーガリン製造時に、トランス脂肪酸の生成を抑える技術も登場 しつつあるようです。ヨーロッパではそういうものも登場し、宣伝 されてきているという話もあります。

 日本でも早晩「低トランス脂肪酸」をうたったマーガリンが出て くるでしょう。私は別にマーガリンをおすすめしませんが、「技術 で生じた問題は技術で解決する」というのが本来の姿ですから、そ ういう方向に動いていってほしいと思います。

 結論としては、

(1)マーガリンに含まれるトランス脂肪酸の摂りすぎはよくない と考えられている。

(2)WHOではトランス脂肪酸の摂取量を「総エネルギー摂取量 の1%未満」とするよう勧告している。

(3)日本人の平均はこれを下回っているので、日本人で比較的脂 肪摂取量の少ない人は心配する必要はない。

(4)日本人でも脂肪摂取量の多い人は要注意である。しかし、マ ーガリン以外からもトランス脂肪酸は摂取していること、脂肪の過 剰摂取にも問題があることから、マーガリンを避けるより、脂肪摂 取量を減らすよう努力すべきである。

(5)マーガリンについては、問題なしとしない。トランス脂肪酸 含有量を減らす努力が期待される。

 というところです。


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